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シャープとドコモ、エアコンの快適と節電の両立へ実証実験 他社製品も連携

シャープはNTTドコモと家庭内の機器を遠隔制御するエネルギーマネジメントシステムの構築に向けて協業する

シャープは、6月24日にNTTドコモ(ドコモ)と、エネルギーマネジメントシステムの構築に向けて協業することを発表した。このシステムは、ドコモが提供する電力サービス「ドコモでんき」において、家庭内の機器をデマンドレスポンス(以下「DR」)制御するもの。DRとは、消費者側の電力使用量を調整することで、電力の需要と供給のバランスをとることをいう。

今回、両社は互いの強みを融合し、「ドコモでんき」において家庭内の機器を省電力制御しながら自動的にDR制御する新たなエネルギーマネジメントシステムの構築を目指して協業を開始する。

実用化に向けた最初の取り組みとして、7月1日より両社の従業員を対象に、自宅のエアコン(シャープ製エアコンおよびECHONET Lite対応の他社製エアコン)を使用した実証実験を実施する。実施期間は7月1日~9月30日。

実証実験では、参加者の外出や就寝などの行動や天候に合わせた省電力制御に加え、ドコモが電力供給状況により設定する節電対象時間帯に、シャープが開発中の省電力遠隔制御プラットフォームを通じてエアコンの設定温度の遠隔調整も行なう。

遠隔で設定温度を上げた後、参加者が設定温度を元に戻したかどうかなど、各家庭の運転状況を分析・学習しながら家庭ごとの傾向に沿った制御を行ない、快適性を保ちながらのDR制御の実現性や課題を検証。また、DR制御による節電効果や電気代の削減効果も確認するとしている。

両社は、本実証実験で得られる知見を活かし、「ドコモでんき」での新DRサービスの創出や、制御対象をエアコン以外の住宅設備機器や蓄電池などにも拡大することを目指す。

近年、太陽光などの再生可能エネルギーの普及が進む中、電力供給に応じて消費量を調整し、安定的な電力供給を図るDRの重要性が高まっているという。

こうした社会的ニーズに応えるためシャープは、自社のAIoT家電の省電力制御で培った技術を基に、同社以外のECHONET Lite対応製品を含めた家庭内のさまざまな機器を省電力かつDR制御する新たな省電力遠隔制御プラットフォームの開発を進めている。

一方、ドコモは、2022年度に開始した「ドコモでんき」サービスでDRの取り組みを継続的に拡大しており、2024年3月からは節電をサポートする「ドコモでんき自動エコモード」の提供を開始し、DRサービスの高度化を進めている。

両者が連携することで、さまざまなメーカーの機器を対象とした、快適性を損なわないDR制御を実現するエネルギーマネジメントシステムの構築を通じて、カーボンニュートラル社会の発展への貢献が期待できるとしている。