ニュース

タオル洗濯したのに残るニオイの原因とは? 花王が研究

洗濯後もタオルに残ったニオイに関わる研究結果を花王が発表

花王の感覚科学研究所・ハウスホールド研究所は、洗濯後もタオルに残るニオイと繊維に潜む「バイオフィルム」が相関することを確認したと発表した。また発生するニオイ成分は、酸っぱいニオイを有するイソ吉草酸やヘキサン酸といった脂肪酸と特に相関があるという。

今回の解析から、タオルに残存するバイオフィルムは、タオルの風合いや見た目に影響するだけでなく、悪臭の発生にも関与していることが示唆された。バイオフィルムとは、菌が分泌した多糖やタンパク質を含む菌体外マトリクス(Extracellular Polymeric Substances:以下 EPS)と菌の複合体を指す。

ニオイ強度とバイオフィルム量が相関する結果に

同社ではこれまでに、工場の排水設備、一般家庭のキッチンや浴室などの水回り、さらには口腔内など、身の回りのさまざまな場所に存在して悪影響をもたらすバイオフィルムについて幅広く解析し、対処技術を研究してきた。

洗濯においては、使用を重ねることでタオルの繊維の隙間にバイオフィルムが形成されるケースがあること、バイオフィルムは落とすことが難しく、くすみなどの原因となっていることを確認してきたが、今回は洗濯後もタオルに残るニオイとバイオフィルムとの関係を詳しく解析した。

まず一般家庭で洗濯された中古タオル386枚を回収し、特にニオイの場所に偏りがあるタオル5枚を選定。選んだタオルを3×3cmに裁断し、ニオイ専門評価者が官能評価(無臭から強烈なニオイまでの6段階)を行ない、さらにタオル1枚につきニオイの強さが異なる部分4カ所、計5枚のタオルで20カ所のバイオフィルムの量(主成分のEPS量)を測定した。

すると、ニオイ官能強度とタオルに残存するバイオフィルム量に相関があることが判明。このことから生活者のタオルにはバイオフィルムが局在しており、不快なニオイが強く臭う部分にはバイオフィルムが多く存在することが明らかとなった。

不快なニオイが強く臭う部分にはバイオフィルムが多く存在する

そこでさらに、バイオフィルムが多い部分にはどのようなニオイ成分が発生しているのかを解析した。なおニオイ成分の分析には、同社独自のScentEYE(セントアイ)技術を用いており、この技術によりニオイ成分とバイオフィルム量を同時に測定することが可能となったという。

回収したタオルを洗濯し、部屋干し状態を再現するために高温・高湿度下(37℃/湿度100%)に24時間密閉しながら保管。室内にて乾燥させた後、5×6cm角にタオルを裁断し、タオルのニオイ評価とニオイ成分の分析、続いてバイオフィルム量の解析を行なった。

測定の方法。同社独自のScentEYE(セントアイ)技術を用いて行なった

測定の結果、4-メチル-3-ヘキセン酸のような極微量の中鎖脂肪酸は、今回の測定では検出限界以下だった。しかしイソ吉草酸やヘキサン酸といった脂肪酸が、バイオフィルム量との相関があることが判明。これらの脂肪酸は、部屋干し臭・戻り臭でもよく感じられる酸っぱいニオイで、部屋干し臭や衣類のニオイの強さと相関するという。

以上の結果から、洗濯をしても落としきれていないバイオフィルムが多い場所には、洗濯後に部屋干し臭や戻り臭と関連のある悪臭成分が多く発生することを確認した。

バイオフィルムを除去することにより、ニオイの発生源も除去することに繋がり、洗濯をしても落ちにくい部屋干し臭や戻り臭といった嫌なニオイの解決につながると考えられるという。

バイオフィルムが多い場所には、イソ吉草酸やヘキサン酸といった脂肪酸が多く発生していた

今後も衣類のニオイ発生の本質解明を行ない、その課題を解決する洗浄技術の開発を進めていくとのこと。また本研究成果は、6月22日から23日に長野県で開催される、日本繊維製品消費科学会2024年年次大会にて発表予定。