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ソニー、スマートウォッチの省電力化を加速するデュアルバンド対応GNSS受信LSI

GNSS受信LSI「CXD5610GF」(左)、「CXD5610GG」(右)

ソニーは19日、デュアルバンド測位で業界最小となる9mWの消費電力を実現した、IoT/ウェアラブル機器向け高精度GNSS(全地球衛星測位システム)受信LSIを商品化すると発表した。9月からサンプル出荷を行ない、サンプル価格は1,000円。スマートウォッチの省電力化に貢献するほか、自動車向けサービスへの活用も見込んでいる。

位置情報を利用するIoT/ウェアラブル機器に搭載されるGNSS受信LSIは、地面や近距離にある建造物などからの反射によるマルチパスのほか、手首に装着された状態での腕振りの影響など、厳しい通信環境や不安定な使用条件下でも動作させるため、測位精度や通信の信頼性確保が求められる。また、バッテリーを小型化する必要がある一方で、衛星信号を受信/測位するための消費電力が大きく、バッテリーの持ち時間が短い課題があった。

開発された新製品は、従来のL1帯に加えて、衛星の環境が整備されつつあるL5帯信号受信にも対応し、デュアルバンドでの測位が可能。独自の測位アルゴリズムにより、ウェアラブル機器特有の厳しい環境下でも、高精度で安定的な測位ができるという。

独自開発の高周波アナログ回路技術とデジタル信号処理技術を採用し、業界最小となる連続測位時電力9mW(デュアルバンドでの受信時)を実現した。

また、再起動にかかる時間が長いコールドスタート時(現在時刻、現在位置、衛星情報などがない状態からの測位)でも、より短時間での測位に繋がるという。

ファームウェアなどを格納するための不揮発性メモリーも内蔵。外付けメモリーを追加することなく、最新のファームウェアへのアップデートが行なえる。さらに、同製品内でデータ処理が完結するため、低消費電力化やアクセス速度の向上に繋がるとしている。

今回のLSIは、電源を外部から供給できないスマートウォッチなどのウェアラブル機器や、トラッカー用途などのIoT機器向けを想定。そのほか、測位精度や安定的な通信が求められる自動車向けサービスなどの幅広い用途での活用も期待できるとしている。