LED電球、どれを買う?
パナソニック「EVERLEDS LDA5L-E17/C/W」
~ミニクリプトンサイズでも煌めく“クリアLED電球”
by 藤原 大蔵(2013/2/7 00:00)
パナソニックの「クリアLED電球」に、E17口金バージョンが登場
器具のデザイン性や雰囲気をより引き出すなら、それに合った電球選びが必要。特にE17口金の照明器具だと、大きさやデザインの自由度が高いため、取り付けるLED電球によっては、明るさや光の広がり、光源の輝き方などで、器具の印象が変わり、白熱電球を取り付けていた頃とはまったく違って見えてしまう恐れもある。
そこで今回紹介するのが、パナソニックの「EVERLEDS(エバーレッズ) クリア電球タイプ 小型電球形LED電球 LDA5L-E17/C/W」だ。このLED電球、「クリア電球」という名の通り、器具のグローブがクリアタイプの白熱電球のように透明になっている。以前紹介した、E26口金のクリアLED電球「LDA6LC」の小型電球形で、形から輝き方まで、クリアタイプの小型白熱電球を再現することにこだわったLED電球だ。
電球のデザインは、E26口金タイプをE17口金サイズにギュッと収めたような印象。ガラス製のグローブの中には、フィラメントを模したLED素子が宙に浮かぶ「センターマウントテクノロジー」を採用しており、上下に広がる立体的な発光を実現している。
明るさを表す全光束は360lm。日本電球工業会のガイドラインで、「小型電球25W形相当(230lm以上)」に該当する。しかし、明るいにもかかわらず、実使用で40W形ミニクリプトン電球にひけをとらない明るさがあり、さらに言えば、全配光タイプに引けをとらない光の拡散性もあった。
メーカー名 | パナソニック |
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シリーズ名 | EVERLEDS(エバーレッズ) |
品番 | LDA5L-E17/C/W |
全光束 | 360lm |
定格消費電力 | 5.4W |
口金タイプ | E17 |
光色 | 2,700K(電球色相当) |
小型電球と比較した光量 | 25W形相当(ランプ単体) |
定格寿命 | 40,000時間 |
調光器対応 | - |
密閉器具対応 | ○ |
防湿・防雨型器具対応 | ○ |
配光角度 | 記載なし |
サイズ | 43×82mm(直径×高さ) |
重量 | 55g |
実売価格 | 3,980円(yodobashi.com) |
今回は、このE17口金のクリアLED電球「LDA5L-E17/C/W」について、どこがクリアタイプの小型電球と似ているか、あるいは違うのかを検証しよう。
なお、今回の比較対象には、東芝の40W形クリアミニクリプトン電球「KR110V36WC2PA」(110V・省エネタイプ)を使用している。本来ならば、25W形のミニクリプトン電球と比較するべきだが、あまりにLDA5L-E17/C/Wが明るすぎて、比較にならなかった。
また記事中には参考として、グローブが白いシリカタイプのミニクリプトン電球「LDS100V36WWK」(100V)や、過去に紹介したLED電球の写真も入れている。
【基本スペック編】
サイズ比較
実測したサイズは43×82mm(直径×高さ)だった。クリアタイプのミニクリプトン電球(E17口金の小型電球)より、背は15mm高く、直径は8mm大きい。大きさ、電球の中身の構成から、見た目の印象は異なるが、ガラス製のグローブ、口金に向かって細くなる白色の放熱部は、全体的に見れば電球に近いフォルムと言ってよいだろう。なお、比較のために電球型蛍光灯とも並べたが、それよりも小さく、より電球らしい印象だ。
重量は実測で53gだった。小型電球形としては重い方ではあるが、1~2灯を実際の器具に取り付けて、器具が傾くような事は全く起こらなかった。ただし、シャンデリアなど、1台の器具に電球を多数取り付ける場合は、注意は必要だろう。
器具に取り付けたようす
シェード(笠)が深いタイプの器具に取り付けた場合、器具内部にきちんと収まった。ただし、透明なグローブは電球らしいが、黄色いLED素子がはっきりと透けて見えるので、電球が良く見える器具の場合、多少の違和感はあるかもしれない。
一方、電球をほぼ横向きに取り付ける小さめのダウンライト(75×80mm[開口部の幅x深さ])には取り付けられず、市販の可変式ソケットを使う必要があった。取り付ける器具によっては、前もってサイズを確認しておきたい。
光の広がりかたと配光性
光の配光角度が180度以上の全般配光形ではないが、光は光源部を中心に全体に広がっている印象だ。特に、上、斜め上方向にしっかり、遠くまで広がっている。床方向への光は強くはないものの、直接光が届いている。電球の内部にある透過性基板のためか、真横方向は明るさが若干抜けるようだ。
電気スタンド型の器具に取り付けるのもさほど悪くない。光の力強さは大したことはないが、下方向へもキリッとした光が届き、クリア電球らしいクッキリとした光と影が楽しめるだろう。シェードに基板による光のムラがうっすらと浮かんでしまうものの、器具全体の雰囲気を引き出している。
小型の透明ガラス製ペンダントにも取り付けた。きらめく輝きが、円筒形のガラス内部で繰り返して反射し、シェードの縁に硬質な輝きが浮かびあがる。透明感のある器具の雰囲気を引き出していると言ってよいだろう。点灯してしまえば、黄色いLED素子、白色の放熱部は気にならない。
明るさ(55cm直下の照度)
直下照度は505lxだった(点灯15分後)。40W形クリアタイプのミニクリプトン電球 (110Vの省エネ型)が300lx、明るさ比較のために用意した40W形ミニクリプトン電球は467lxだったので、数値も見た目もそれらを上回った。日本電球工業会の基準で、「小型電球25W形相当の明るさ」と規定されているが、40W形ミニクリプトン電球と取り替えて遜色ない明るさを実感した。
なお点灯中は、電球からジーという雑音がすることもなく、ラジオにノイズが乗ることもなかった。
ミニクリプトン電球よりも大きく、放熱部があるなど見た目も異なる。しかし、クリア電球らしい輝きが再現され、しかも40W形クラスの明るさで、高い拡散性も感じられた。主照明に利用できる実力がありそうだ。
【実使用編】
ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。他のエバーレッズシリーズの製品と同様に、密閉器具にも対応しているので、浴室や密閉型のペンダントにも使用した。
なお、LDA5L-E17/C/Wは先に紹介したとおり、我が家のダウンライトには取り付けられない。したがって、ダウンライトを使用したシーンでは、前述の【器具の取り付けたようす】の項で使用した斜め付けダウンライト用の可変式ソケットを利用した。
玄関
玄関では、一般的な40W形ミニクリプトン以上の明るさだった。拡散性は十分で、空間全体にキリッとした硬質な光が広がる。電球を直接見ると眩しく、多少強めの影ができるが、ガラス製のグローブがキラリと輝き、無味乾燥なダウンライトに親しみのある表情を加える。赤みを抑えた光色も温もりがあり、人を出迎える場所にもふさわしい明かりと言えるだろう。
浴室
浴室でもしっかり明るい。密閉器具で電球が覆われていても、明るさは40W形ミニクリプトン電球に負けていない。
しかし、我が家の浴室の器具は乳白色のカバーなので、わざわざクリアタイプを使う意味はなかった。透明、もしくはカットガラスを模したような器具なら、クリアタイプの良さがもっと引き立つはずだ。
トイレ
明るさで判断するなら、トイレもアリかもしれない。ミニクリプトン電球よりも一段と明るく、壁面から床面にかけて光がしっかり届いている。
とはいえ、長時間過ごす場所ではないし、装飾的な照明器具を使う場所でもない。よほど凝った器具を使っていない限り、もっと割安なもので十分だろう。
テーブルランプ
手元を照らすテーブルランプの電球としては、とても実用的だ。ミニクリプトン電球よりも明るく、光がより広範囲に届く。器具のスリットから覗くガラス製のグローブのきらめく輝きは、一般的なLED電球では味わえない趣がある。手元を彩る明かりとしての選択するのもアリだろう。器具が顔の近くにあっても、熱が感じられず快適だ。
ただし、点灯時にLED素子が直接目に触れるとかなり眩しいのでシェードの向きには多少気を使う。
リビングルーム
リビングルームでの明かりの煌めき感を見るために、透明なガラス製のクラシカルな1灯型ペンダントに、前述の【光の広がりかたと配光性】の項で使用したスタンドスタンド1灯を組み合わせてみた。なお、この項で使用するペンダントライトはE26口金なので、いずれも変換アダプタを用いている。
ガラス製のペンダントを点灯すると、まさにクリアタイプのミニクリプトン電球のようなきらめき感の強い光が、シェードに浮かぶ。光はクリア電球に近いリズミカルな陰影を映し出し、器具が持つ表情を引き出す。クリアタイプのミニクリプトン電球から取り替えて、大きな違和感は感じられなかった。光色は暖かみがあり、くつろぎのシーンに似合う。
ペンダントにスタンドを合わせて点灯すると、部屋全体がミニクリプトン電球で点灯した時と遜色ないほど明るくなった。ガラス製のペンダントは煌めき、天井や壁にリズミカルな陰影を映している。またスタンドは、天井やカーテンをシャープな光で照らし、その反射光が柔らかな間接光となって、部屋全体に広がる。LED電球でありながら、複数の光の表情が重なり合い、明るく華やいだ雰囲気が演出できる。
ここで、過去のレビューと同じように、1台に2灯取り付ける透過タイプと不透過タイプの器具も試してみた。
透過タイプの器具の相性はまずまず。器具の下方向はミニクリプトン電球と変わらない明るさになった。器具は全体的に輝き、柔らかな光が広がる。またシェードを通らない光は、LED特有の強い影を落としており、明るく活気のある雰囲気が演出できる。とはいえ、クリア電球の特徴である煌めきや影の美しさは、無地の器具では活かされない。強めの影を求めるなら、一般的なLED電球でもできるので、もっと華やかな器具に使用した方が良いだろう。
一方で非透過タイプは、非常に良い結果が得られた。下方向の明るさはミニクリプトン電球を上回り、天井へもある程度の光が届く。統一感のある光と影のコントラストは、落ち着いた雰囲気の中に、硬質な輝きがキリリと引き締まった印象を演出する。きらめき感を演出するガラス製のペンダントとは一味違った、クリア電球らしい硬質な輝きも魅力的だ。
リビングルーム(小型インテリア照明)
ガラス製のインテリア照明にも適している。器具全体が輝き、クリア電球らしい硬質な光が楽しめる。しかし、直視するにはかなり眩しい。部屋全体を照らす局所照明の1つとして利用するのがいいだろう。
食事の風景
食事のシーンにも十分にお勧めできる。クリア電球に近い硬質な光が、食べ物の照り、食器の輝きを一層引き出し、より華やいだ食卓が演出できる。色温度が異なるため (クリアミニクリプトン電球は2,850K、LDA5L-E17/C/Wは2,700K)、光色の違いによる差はあるが、照らされた食事は色のくすみもほとんど感じられず、全ておいしそうに見えた。テーブルと器具の距離は80cmだったが、1灯でテーブル全体に光が広がり、しかもしっかり明るかった。
40W形ミニクリプトン電球と交換で、元が取れるのは【1年9カ月】
カタログ上の消費電力は5.4Wだが、実測では5Wだった。40W形ミニクリプトン電球と比肩する明るさで、消費電力は1/7と大きな節約できる。初期費用がかかっても、約1年9カ月で回収でき、さらに10年以上使い続けられる。
また、通常の100Vタイプよりも省エネの110Vタイプの40Wミニクリプトン電球と比較した場合、明るさが大幅にアップできるうえ、消費電力は1/6節約できる。電球代も2年1カ月で回収できる試算だ。
光源 | 実測 消費 電力 | 1カ月 | 3カ月 | 半年 | 9カ月 | 1年 | 1年 9カ月 | 2年 1カ月 | 4年 |
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パナソニック クリア電球タイプ LDA5L-E17/C/W | 5W | 4,007円 | 4,060円 | 4,141円 | 4,221円 | 4,301円 | 4,542円 | 4,649円 | 5,265円 |
東芝 ミニクリプトン電球 40形 110V | 30W | 401円 | 722円 | 1,204円 | 1,925円 | 2,407円 | 4,093円 | 4,975円 | 9,149円 |
※参考 パナソニック ミニクリプトン電球 40形 100V | 35W | 436円 | 807円 | 1,363円 | 2,170円 | 2,727円 | 4,646円 | 5,639円 | 10,406円 |
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」
※1日の使用時間は8時間と仮定
※ミニクリプトン電球は、8カ月ごとに電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算
E17口金のガラス製照明器具を持っている人は間違いなく買い
本製品の特徴は、きらめくような光と、40W形ミニクリプトン電球に負けない明るさを、小型電球サイズで両立した点だ。クリアタイプのミニクリプトン電球と見た目は異なるが、ガラス製の器具に器具に使えば煌めくような輝きが生まれ、クリア電球らしい硬質な光が楽しめる。また、全般配光型とは規定されていないものの、拡散性はとても高い。
価格は4,000円弱とかなり高価だが、現時点で、本製品に代わるLED電球はほとんど見当たらない点から、高価でも選ぶ価値は十分にある。
使用シーンとしては、やはりガラス照明の器具に取り付けたい。居間のペンダントやインテリア照明、さらに、多灯タイプのシャンデリアが筆頭に挙げられる。明るさと表情豊かな光が両立しているので、玄関や、テーブルランプにもお勧めだ。
クリア電球のようなきらめく明かりで、生活空間をより一層豊かに彩ってみてはいかがだろうか。
・40W形ミニクリプトン電球に全くひけをとらない明るさ。拡散性も高い。
・密閉器具、屋外の防湿・防雨型器具にも対応
・40W形ミニクリプトン電球と交換した場合、1年9カ月で電球代が回収できる(1日8時間使用)