家電製品ミニレビュー
シャープ「プラズマクラスターサイクロン掃除機 EC-WX300」
シャープ「プラズマクラスターサイクロン掃除機 EC-WX300」 |
今回紹介するのはシャープのサイクロン掃除機「プラズマクラスターサイクロン掃除機 EC-WX300」。言わずと知れた同社の独自技術「プラズマクラスターイオン」を放出するだけでなく、集めたゴミを最大で1/10まで圧縮することで、サイクロン掃除機特有のゴミ捨て時のイライラも解消してくれるという最新技術が詰まった製品だ。
新モデルのEC-WX300では、前だけでなく本体後部にも吸引ファンを設けたという。吸引ファンを後ろに配置するってどういうことなのだろう――さっそくチェックしてみよう。
メーカー | シャープ |
製品名 | プラズマクラスターサイクロン掃除機 EC-WX300 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 53,980円 |
■掃除中は窓を開ける派?
機能の説明に入る前に、突然だが、簡単な質問をしておこう。
「あなたは掃除をするときに窓を開けますか?」
私個人の意見でいうと、答えはイエス。ただ、開けたくても開けられない状況があるのも確か。たとえば、深夜にゴミ箱をひっくり返してしまって、急に掃除機をかけなければいけない時。ご近所への騒音を考えると、とても窓をあけることはできない。
また、気温が低い今の季節は、窓を開けての掃除をするには厳しい。暖房器具を使ってせっかく温めた室温が、外気によって一気に下がってしまう。
一方、シャープによると約8割の人が掃除機を使う時に窓を開けるという。そもそもなぜ掃除のときに窓を開けなければならないのだろう。それは、掃除機運転中のホコリの舞い上がりを避けるためだ。最近の掃除機は、高精度のフィルターを搭載しているため、本体から排出される排気は昔にくらべると随分きれいになっている。
しかし、問題なのは本体から出る排気ではなくて、排気によって舞い上がる室内の空気の方。床上に浮遊するハウスダストや、アレル物質などが室内に一気に舞い上がってしまう。これらの有害物質を吸い込んでしまうのを避けるために、掃除、もしくは掃除機をかける時には窓を開けた方が良いというのが定説になっている。
本体後部の排気口すぐ上に吸引ファンを設けた |
そこで、今回のEC-WX300では本体ヘッド部だけではなく、本体後部にも吸引口を設けた。排気によって舞い上がったホコリを、排気口すぐ上の吸引ファンで吸いこんでしまうという仕組みだ。床上に舞うハウスダスト対策としてヘッドの下ではなく、上部に吸い込み口を設けた掃除機はこれまでもあったが、本体後部に吸い込み口を設けているのはかなり珍しい。これにより、床面だけでなく、室内の空気まできれいにできるとして、「掃除中も室内の窓をあける必要がない」としている。
EC-WX300は、これ以外にもプラズマクラスターイオン放出機能や、ゴミ圧縮機能など、他メーカーにはない独自の機能を搭載した“個性の強い掃除機”だ。本体サイズは258×420×271mm(幅×奥行き×高さ)で、重量は5kg。最大消費電力は1,000Wで、吸込仕事率は450Wとなっている。
本体正面 | 本体側面 | シャープ独自のプラズマクラスターイオンを搭載する |
本体からダストボックスを取り外したところ | ヘッド部分 | 回転ブラシ |
■静かで軽い!
使い始めた最初の印象は「軽い!」。本体サイズは決して、小さいとも軽いともいえないが、ヘッドブラシがうまく機能していて、ヘッド部分が自分で進んでくれるようだ。本体の小回りもよく、部屋と部屋を移動するときも、ストレスを感じない。ヘッドブラシの吸いこみ口の上には、方向転換のための車輪が付いていて、手首をちょっと返すだけで、楽に方向を変えることができる。
ヘッドとホースの部分がほとんど平らになるので、ベッドやソファーの下も無理なく掃除できる。
手元の操作パネル | 手首に負担がかかりにくい構造になっている | ソファーなど家具の下も掃除しやすい |
運転音が小さいのも大きな特徴だ。運転音は最大でも約52dBで、テレビを見ながらや会話しながらの掃除が可能なレベル。運転音だけでなく、移動時のタイヤの「ゴロゴロ」という音も抑えてあるので、階下へ伝わる音も抑えられるだろう。
使い勝手の面で気になったのは、ヘッドブラシが軽くて方向転換しやすい構造のあまり、逆に直進するのが難しいと感じたこと。ちょっと力を入れると、すぐに方向転換してしまうので、慣れるまでに時間がかかった。気になる場合は回転ブラシを切った状態で使うと良いだろう。
本体音を抑えるためのサイレンサーが本体各所に搭載されている | 回転ブラシ上の車輪。方向転換が簡単にできる構造になっている |
■排気がきれいで、静電気にも効果あり!
排気のニオイやホコリの舞い上がりについては、全く違和感を感じることはなかったし、窓を開ける必要性もなかった。ただし、空気清浄機のセンサーは反応していた。おそらく、室内の空気が動いたことで、反応したのだろうが、ホコリが全く舞い上がらないというわけではないということを記しておく。
他の掃除機との差をはっきりと感じたのは、静電気発生の有無だ。プラズマクラスターというと、消臭や除菌のイメージが強いと思うが、実は静電気の抑制にも大きな効果を発する。床や家電製品などに発生した静電気は、ホコリを引き寄せてしまう。わかりやすいところでいうと、テレビやステレオなどの“黒い家電”に付着した白いホコリがそうだ。
EC-WX300では、高濃度のプラズマクラスターを発生させることで、静電気を効果的に除去。特にホコリが気になる家電製品などを掃除する場合、プラズマクラスターイオンの放出口がある本体後方を家電製品に向けると、あっという間にホコリがさっと取れる。これまで、専用のモップなどを使って掃除していた場所が、掃除機で掃除できるのは嬉しい。
黒い空気清浄機の表面に付着した白っぽいホコリ | プラズマクラスターを放出させながら付属のブラシで表面を掃除した | 表面の小さなホコリまですっきり除去できた |
プラズマクラスターイオンを放出している時は、パネルの周りが青く光る |
というわけで、プラズマクラスターイオン効果には満足しているのだが、一点気になったのは、本体の電源を切った後に15分間プラズマクラスターイオンが出続けるという機能。プラズマクラスターイオンを放出してくれるのは嬉しいのだが、掃除機はリビングに出しっぱなしにして使うものではなく、使ったら電源を切って、クローゼットや押し入れなどのスペースに収納するのが一般的だ。掃除し終わったのに、掃除機をリビングに出しっぱなしにしておくのは、どうにも気持ちが悪い。
もちろん、コードを引き抜けば、プラズマクラスター放出機能も切れるので、自分で操作すればいいだけのことだが、機能として定着するかというと、疑問を感じるところだ。
■舞い上がりもなく、ゴミ捨て頻度も少ない
もう1つ、シャープのサイクロン掃除機の大きな特徴が、吸込んだゴミを従来の約1/10まで圧縮するという機能だ。ダストボックスには、吸込んだゴミを圧縮するための、スクリューが設けられていて、電源を切るたびに、このスクリューが「ギュルギュル」と動いて、ゴミをダストボックス下のほうに押しやっていく。ゴミ捨ての頻度が少なくなるほか、ゴミ捨ての際にホコリが舞い上がることも防ぐことができる。
本体からダストボックスを外す時は、上部のレバーを手前にひく | 本体のダストボックス | ゴミを捨てるときは、ダストボックス側面のレバーを上にあげる |
ゴミ捨ての際はダストボックス底面の蓋が下に開く仕組みだ | ダストボックスの中にはスクリューが内蔵されている | 掃除終了後に、ゴミは底面に向かって圧縮される |
また、ダストボックス底付近にゴミがまとめられているため、ダストボックスを開けると、すぐにゴミが下に落ちる点も気に入っている。実はサイクロン式掃除機の機種によっては、ダストボックスの壁面にゴミがへばりついてしまっていて、手でかき出してやらないと、ゴミが落ちてこない場合がある。EC-WX300では、ダストボックスにもプラズマクラスターイオンを放出することで、この問題を解決。静電気を除去することで、ホコリがダストボックスの壁面に付着しずらい構造としている。
■マンション住まい 夜カジ派にお勧めの最新掃除機!
本体には布団やカーテン、クッションなどの布掃除をするときに便利な「ベンリヘッド」上)と、高い場所や幅木など狭い場所の掃除に便利な「2段伸縮すき間ノズル」(下)。 |
最後にもう1つ、EC-WX300の特徴として是非紹介したいのが、替え用ブラシだ。本体には布団やカーテン、クッションなどの布掃除をするときに便利な「ベンリヘッド」と、高い場所や幅木など狭い場所の掃除に便利な「2段伸縮すき間ノズル」、本体の手元ハンドルにあらかじめ装着されている「ベンリブラシ」が付属する。
特に便利だったのは、手元部分に装着されているベンリブラシ。掃除機用のアタッチメントは、使えば便利なのは分かっているが、多くの場合、本体とは別になっているため、いざ使おうと思った時に、まず、アタッチメントをほかの場所から持ってきて、ホースを外して付け替えるという手間がある。それが、ベンリブラシでは、ホースを外すだけで使えるので、使用頻度がグンと増した。
本体の手元ハンドルにあらかじめ装着されている「ベンリブラシ」 | ベンリブラシを出した状態。ホースにあらかじめ装着されているので、アタッチメントを出してくる手間がない | ベンリブラシを使って空気清浄機のフィルターを掃除しているところ |
ベンリヘッド。ペットの抜け毛を掃除するのに便利な「ゴムブレード」と、ふとんやカーテンなど布製品を掃除するのに便利な「エチケットブラシ」が搭載されており、用途に合わせて使い分けられる | カーテンを掃除しているところ | カーテンの表面に付いていた毛玉まで取り除くことができた |
2段伸縮すき間ノズルを本体に装着したところ | エアコン内部に溜まったホコリを除去するのに便利 | 幅木に溜まったホコリを掃除しているところ |
排気・運転音・操作性と、掃除機を使う上での3大ストレスを見事に解消している製品。特にお勧めしたいのは、昼間仕事をしているため、夜に家事をすることが多い「夜家事派」の方。運転音やホコリの舞い上がりを気にせずに掃除できる。
2011年12月27日 00:00