家電製品ミニレビュー

東芝「E-CORE LEDシーリングライト」

~全304パターンの調色/調光。自動調光の「楽エコ」で節電効果も
by 藤原 大蔵
東芝ライテック「E-CORE LEDシーリングライト LEDH95000Y-LC」(12畳用)

 シーリングライトは、天井に直接取り付けられる全体照明としては、もっともポピュラーな照明器具だろう。広いリビングルームはもちろん、キッチンや個室など、部屋全体を一台で隅々まで明るく照らせるのが特徴だ。

 現在、白熱電球がLED電球に変わってきているように、このシーリングライトの分野にも、LED化が進みはじめている。今回はそのLEDシーリングライトの中から、東芝ライテックのE-CORE(イー・コア)シリーズにラインアップされた「LEDシーリングライト LEDH95000Y-LC」を紹介しよう。



メーカー東芝ライテック
製品名E-CORE LEDシーリングライト
品番LEDH95000Y-LC (12畳用) 調光・調色機能搭載
器具光束5,490 lm
店頭予想価格オープンプライス
実勢価格51,800円(yodobashi.com)

 実際に使った感想を一言で言ってしまうと、「一度使い始めたら、蛍光灯のシーリングライトには戻りたくない!」である。

 このLEDシーリングライトは、蛍光灯よりも明るく、光色も明るさも気分次第で自由自在に変えられる。その組み合わせパターンは、なんと304通りにものぼる。さらに、外光をセンサーで感知し、自動で細かく明るさを調整してくれる「楽エコ」機能が特徴的。日中の外光を感知して無駄な明るさ、つまり消費電力を自動で抑えてくれるのだ。

 さらに、本体は50mmにも満たないほど薄く、天井にスッキリと取り付けられる。光にはムラが無く、部屋の隅々まで光が届く拡散性の良さもある。同等の消費電力の蛍光灯シーリングライトよりも明るく感じられる。また、LEDにありがちな光の粒状感もほとんど感じられない。

LEDシーリングライトの全灯時のようす。ほぼ同じ消費電力の蛍光灯シーリングライトよりも大幅に明るい。光の拡散性も良く、部屋の隅々まで光が広がるこちらはこれまで我が家で使っていた、消費電力が95Wの蛍光灯シーリングライト
本体をほぼ真横から見る。器具の高さは44mmと薄く天井にスッキリと取り付けられるLEDチップは器具の外周に沿って並べられている。効率的な導光板が内部にあり、均一な面発光が得られる。「LED一体型パネル」のため、器具内部に虫や埃が入る隙間が無い密閉構造だ

 おおよその特徴を知っていただいたところで、今回はこのLEDシーリングライトの実力をひも解いていこう。


取り付けは従来のシーリングライトと変わらず。操作は分かりやすいリモコン

 器具の第一印象は「薄い」「発光面が広い」というところ。サイズは555×569×44mm(幅×奥行×高さ)で、面積自体は一般的なシーリングライトと変わらないが、厚さの44mmhば「薄い」という表現がピッタリ来るぐらいスッキリしている。

 取り付けは、天井に設置されている引掛けシーリング(天井用配線器具)があれば工事は不要。付属のアダプターを引掛けシーリングに装着し、本体を押し上げるようにセット。電源コネクターを差しこみ、カバーを取り付ければ完了する。考慮する点は、本体の少し出っ張ったセンサー部を、外光が入る窓の反対側に設置するぐらい。簡単であっという間に取り付けられた。

取り付けは簡単だ。天井にある引掛けシーリング(天井用配線器具)に、付属のアダプターをはめ込む本体をアダプターに合わせて押し上げるようにセットする。このとき器具のセンサー部を、外光が入る窓の反対側になるようにする
器具の中央のカバー内部。付属のアダプターから伸びる電源コネクターを本体に差し込む透明のカバーを取り付ければ作業は完了。サイズは555×569×44mm(幅×奥行×高さ)、重量は4.3kg

 本体がセットできたところで、次にリモコンを紹介しよう。灯りに関するコントロールは、すべてこのリモコンで行なう。

 リモコン中央部には、器具の点灯・消灯、光色・明るさ調整といった主要なボタンが大きめに配されている。ボタンの数は少ないとは言えないが、使う頻度の低いボタンは小さく、また位置も上下に振り分けられており、よく整理されている印象だ。最新の器具のリモコンとしては地味な印象を受けるが、“何をするか”が一目瞭然なので、使いこなすのは簡単だ。

 器具の取り付けの後は、リモコンの時計設定と、部屋の好みの明るさを指定する「環境設定」が必要だ。「環境設定」というのは、本製品を外光に影響されない夜間に点灯し、“自分にとってちょうど良い明るさ”をセンサーに登録する作業。この作業が終わっていれば、リモコンの「楽エコ」ボタンで点灯した時、外光やほかの照明器具の光を感知して、自動で明るさを調整し、無駄な明るさを抑えて節電してくれるというわけだ。

 環境設定はとても簡単だ。夜間、外光が入らない時に「全光」ボタンを押して、一番明るい状態で点灯する。次に「明るさ」のキーを使って、自分が“ちょうど良い”と感じる明るさに調節。そして、器具から2.5m以上離れたところから、リモコンの下部にある「メモリ」と「環境設定」ボタンを同時に押すだけで完了する。何度でも変えられるので、使い慣れてから明るさの見直しをしてもよいだろう。

あかりのコントロールや設定は、全て付属のリモコンで行なう。サイズは49×21×172mm(幅×厚み×高さ)で、重さは電池込みで104g卓上スタンドにもなれば、壁付けもできるリモコンホルダーも付属する
使用前に重要なのが「環境設定」。自分にとってちょうど良い明るさを「楽エコセンサー」に登録する作業だ。蛍光灯シーリングライトと同じ明るさの300lxぐらいで設定した登録は、リモコン下部にある「メモリ」と「環境設定」ボタンを同時に押すだけで完了する


304通りの細かな調光・調色。お気に入りの組み合わせを記憶することも

「全光(昼白色)」の時、約2mの直下は500lxを超え、部屋全体がニュートラルな白色の眩い光に包まれる

 準備が終わったところで、いよいよ使ってみよう。まずは、照明器具としての実力を紹介したい。

 冒頭でも触れているが、LEDライトでありながらとても明るいシーリングライトだ。器具から約2m真下にあるローテーブルの明るさを計測すると、「全光」で500lxを超え、眩いほどの明るさになる。ほぼ同じ消費電力の蛍光灯より200lx近く明るかった(ちなみに、本製品の定格消費電力は92W)。「全光」時の光色は、あたたかみと清潔感を両立した昼白色だ。

 本製品の特徴のひとつが「調色」。リモコンの「光色」ボタンを押すだけで、全21段階の変化が楽しめる。「全光」の昼白色の状態から青いボタンを押せば、涼しげな昼光色、赤いボタンで温かみのある電球色へと変化する。


光色と明るさのイメージ図(パンフレットより)明るさと光色の組み合わせの一部。横軸は光色の変化、縦軸は明るさを示す。左から、昼光色→中間色(昼光)→昼白色→中間色→電球色。上から各色・最大の明るさ→各色・中間の明るさ→各色・最小時となる
器具内部に交互に並ぶ昼光色と電球色の2色のLEDチップ。各色の光量の比率を変えて、21段階の光色を作り出している

 ところで、このLEDシーリングライトは、「全光(昼白色)」の状態が一番明るい。なぜなら、本製品は昼光色と電球色の2色のLEDチップが器具内部に交互に並べてあり、全光の時だけ2色のLEDチップが同じ比率の明るさで点灯するからだ。

 光色を調節すると、色違いのLEDチップのどちらかが減光、または消灯した状態になる。つまり、単色に近づくほど暗くなるわけだ。例えば、全光の状態で青いボタン(昼光色)を押し続けると、電球色のLEDチップが減光し、昼白色と昼光色の中間色。完全に昼光色になると、器具の半分を占める電球色のLEDチップは完全に消えてしまい、明るさは全光時の約半分になってしまう。

 調色で暗くなるのは、普通に考えると欠点とも言える。しかし、青白い昼光色は外光と相性が良く、日中の補助光に向く光色だ。また、電球色はリラックス、くつろぎのあかりに向いているので、強烈な明るさはあまり必要ない。また、暗くなるといっても、テーブル面の明るさは昼光色で292lx、電球色で205lxあるため、使用していて不満は特に感じなかった。

 調光も、リモコンの「明るさ」ボタンを押すだけでできる。調光の段階数は、現在選んでいる光色によって異なり、全光時は全てのLEDチップが点灯しているため20段階に調光できる。一方、昼光色と電球色の時は、どちらか半分のLEDしか点灯していないので、11段階と少なくなる。中間色の時は、それぞれのLEDチップの比率が変わるため、19~11段階と変則的になる。どの光色の時でも、10lx以下のほのかな明るさまで絞り込むができるのは共通している。

昼光色の最大の明るさ: 292lx昼光色と昼白色の中間の最大の明るさ: 310lx以上
昼白色と電球色の中間の最大の明るさ: 235lx以上電球色の最大の明るさ: 205lx

 まとめると、21段階の調色、20~11段階の調光を行なうことで、本製品では304通りの組み合わせが実現できることになる。

 304通りの組み合わせの中から、毎回いちいち調節するのは面倒にも思えるが、お気に入りの明るさと光色は、2つまでリモコンに登録できる。登録はリモコンの「メモリ」ボタンを押して、次に「シーン1または、2」を押せば設定は簡単にできる。リビングルームなら、シーン1には新聞を読んだりテレビ視聴に心地良いあかりを、シーン2にはゆっくりとくつろぐ明るさを抑えたシーンを登録しておくと便利だろう。

 付け加えると、常夜灯LEDがあり、そちらも独立して6段階の調節ができる。

リモコンの2つの「シーン」ボタンにお気に入りの明るさと光色設定しておくと便利。「メモリ」ボタンを押したあと、「シーン1」または「シーン2」ボタンを押せばお気に入りが簡単に登録できる常夜灯も6段階の明るさが調節できる


明るさを自動で調節、節電してくれる「楽エコ」モードは快適

パンフレットに記された「楽エコ」の解説図。外光や他の照明器具を自動的に感知して明るさを調節、つまり自動で省エネしてくれる機能だ

 本製品ではこの304通りの調色・調光に加えて、快適な明るさを自動調整してくれるという「楽エコ」モードもある。この機能は、リモコンのボタンを押すだけで“自分にとってちょうど良い明るさ”に設定できる。

 楽エコを使うには、最初の方で述べた「環境設定」をあらかじめしておく必要がある。今回は、テーブル上の明るさが蛍光灯とほぼ同じ300lxぐらいになるように環境設定をしておき、早朝から暗くなるまで、一日の調光の変化を追ってみた。なお、楽エコボタンを押すと、本体の「楽エコセンサー」の緑色のLEDが点灯し、作動中か確認できる。

 結果はお見事! である。丸一日中、テーブル上は290~300lx付近で明るさがずっと安定していたのだ。外光が入って昼間は、LEDの明るさを抑えるため、室内の明るさがほぼ一定に保たれる。昼間の使用が多い家庭ではより消費電力が抑えられるお勧めの機能だ。

 ところで、楽エコは、光色の変化はもたらさない。あくまでも外光や他の照明器具による部屋の明るさを感知して、自動で明るさをコントロールする機能だ。言い換えれば、どの光色に対しても明るさを自動でコントロールしてくれるのだ。

環境設定した明るさは300lx弱。「エコ楽」作動時、この明るさが基準にセンサーが外光を感知して自動的に明るさを調整してくれるエコ楽作動時、センサー部の緑色のLEDが点灯する
早朝(左上)、昼間(右上)、夕方(左下)、夜間(右下)と撮影したが、器具の真下の明るさはほぼ300lx前後で安定していた。特に昼間は大きく節電できるだろう全光(左)から楽エコ(右)に切り替え。一時的に明るくした後もエコ楽で節電
光色は関わらず楽エコは機能する。こちらは昼光色の場合電球色も楽エコで、光色はそのままで自動調光する


158通りの消費電力と明るさを調べてみました

消費電力はシーリングライトを床に置いた状態で計測した

 LEDは、白熱電球や蛍光灯と比べて、少ない消費電力で点灯できる「発光効率」の高さが特徴。しかし、個人レベルでどれだけ省エネ効果があるのかを詳細に検証するのは難しい。

 そこで、このLEDシーリングライトで調色・調光したときに、消費電力がどのぐらい変化するのかを、ワットチェッカーで測定してみよう。さすがに304通り全てを紹介しきれないので、光色は1つずつスキップして、約半分の158通りを実測した。ついでに、それぞれの明るさも測定している。

 まず、全光(昼白色・明るさ100%)時の場合は、消費電力は90W、明るさは506lx。一方、これまでずっと不満無く使っていた蛍光灯シーリングライトの場合は、ほぼ同じ消費電力(95W)で、明るさは316lx。これだけでもLEDの発光効率の高さを実感する。

 さらに、蛍光灯とほぼ同じ明るさ(296lx)で環境設定を行なったところ、その時の消費電力は45Wだった。つまり、設定を行なった時点で、すでに蛍光灯の約半分の消費電力となっている。照度と消費電力のデータについては、以下の表にまとめたので、ご覧いただきたい。ちなみに表には表記していないが、常夜灯の消費電力は 0Wと、ワットチェッカーでは測定できないほど低かった。

【光色と明るさ調整による消費電力の推移:単位はW(ワット)】
明るさ↓昼光色
10
昼光色
8
昼光色
6
昼光色
4
昼光色
2
昼白色電球色
2
電球色
4
電球色
6
電球色
8
電球色
10
100%-----90-----

-----80-----

----677166----

----646263----

----575357----

---535145※5053---

---5043404349---

--48463735364548--

-464638313131384646-
約50%4443433226262631434344

4135352522222225353541

3327272218181822272733

2421211815141518212124

1918181511111115181819

1514141199911141415

66667776666

45555555554

33333333333

33222222232
約1%22222222222
※環境設定時。消費電力は蛍光灯シーリングライトの半分以下

【光色と明るさ調整による照度の推移:単位はlx(ルクス)】
(光源からの距離は約2m直下)
明るさ↓昼光色
10
昼光色
8
昼光色
6
昼光色
4
昼光色
2
昼白色電球色
2
電球色
4
電球色
6
電球色
8
電球色
10
100%-----506-----

-----466-----

----425428385----

----413389369----

----387334325----

---342330296※294280---

---321293264262252---

--310285256236229234235--

-300285247222208198205216222-
約50%292287249210192180171177191212205

279246212179163152144150165183196

234203178151135124118132140151165

1871651481271089795113117123133

1521961221048678779497101107

119105938268606374768085

5045434246484437373536

3234373736343332292623

2725252423222120201919

1615151414131312121112
約1%9.59.18.68.48.27.97.87.57.57.57.8
※蛍光灯と同じ明るさ。この明るさで環境設定した

 以上の測定結果からも、日中はエコ楽を機能させておけば、快適な明るさを一定に保ちながら、大幅な節電が期待できると言って良いだろう。さらに、環境設定時の明るさを、ほんの少し抑えれば、さらなる節電が可能だ。なお、本製品に自動消灯機能はないが、最小時の消費電力はたったの2Wと、とても低かった。


目覚めと就寝をサポートする「おやすみ」と「おめざめ」機能も

 最後に、「おやすみ」と「おめざめ」機能を紹介しよう。

 本製品の光色の調整は基本的に手動。しかし、起床と就寝をサポートしてくれる「おやすみ」と「おめざめ」機能の時は、明るさだけでなく、光色も自動で調整してくれる。

 「おやすみ」機能は、リモコンのボタンを押すことで、30分後、または60分後に自動消灯してくれる。どの光色、明るさの状態からでも、自動消灯の10分前から徐々に眠りを誘う電球色に変化し、さらに徐々に暗くなって自動的にあかりが消える。設定によって、消灯ではなく常夜灯に切り替える事もできる。

 「おめざめ」機能は、設定時刻の30分前から目覚めを促す昼光色が点灯し徐々に明るくなるモードだ。さらに、15分前から「シーン1」ボタンに記憶させた明るさ・光色までゆっくりと変化してゆくのだ。

 このおやすみ・おめざめ機能のほか、1分単位で特定の時刻に自動で点灯・消灯する、独立したタイマーも備わっている。

左上から、「おやすみ」ボタンを押した直後から自動消灯してくれる様子。光色も自動で変化するリモコンと本体の設定で「おやすみ」時、自動で常夜灯を点灯することもできる「おめざめ」が機能する様子。30分かけてシーン1に記憶させた明るさ・光色に変化する。カーテンを閉め切っていても室内が明るくなるので目覚めを助けてくれるだろう

寿命は40,000時間。快適な使い心地で節電効果も高いシーリングライト

部分照明だけでは少々物足りない明るさを、ほのかな明るさの電球色で補い親しみのあるくつろいだ雰囲気が演出できる

 自由自在に光色と明るさが変えられる便利さは、一度使い始めると、蛍光灯のシーリングライトには戻りたくないほど、快適な使い心地が楽しめる。蛍光灯では望みにくい「ほのか」な明るさまで調光できるので、部分照明などと組み合わせて、雰囲気作りにも活用できる。

 また、細かな話ではあるが、ノイズの心配もなかった。どの明るさ・光色でも、器具から「ジー」という雑音は聞こえない。ノイズを拾いやすいAMラジオ、コードレスフォン、そして携帯電話などに雑音が入るような事は無かった。

 本製品の定格寿命は40,000時間と長く、毎日10時間使用して、10年以上メンテナンス無しで使い続けられる。その上、同じ消費電力の蛍光灯よりも明るいので、明るさを全く我慢せずに大きな節電効果も期待できるのが魅力的だ。ラインナップは、今回紹介した12畳用のほかにも、8畳、6畳用もある。取り付ける部屋の広さに合わせて選ぶと良いだろう。

 価格は一般的なシーリングライトよりも高価ではある。しかし、長く使えて、かつ節電と快適性が両立する、これまでの光源にはない良さがある。毎日長時間過ごすリビングルームだからこそ、是非お勧めしたいシーリングライトである。





2011年5月10日 00:00