家電製品ロングレビュー
ラジコン感覚で操作できるモニュエルのロボット掃除機「CLEMON」
by 藤山 哲人(2013/11/29 07:00)
今日紹介するロボット掃除機は、世界初の機能を搭載しているMONEUAL(モニュエル)の「CLEMON(クレモン)MR7700」。真っ赤なボディーがカッコイイだけじゃなく、ジャイロセンサーを搭載していて、リモコンを傾けると掃除機を無線で操縦できるという男(少年)ゴコロをくすぐる仕様になっている。
メーカー | MONEUAL |
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製品名 | CLEMON MR7700 |
購入場所 | 公式オンラインショップ |
購入価格 | 69,800円 |
どこかの名探偵とは反対で「見た目はおっさん、頭脳は子ども」な筆者を熱くさせたのは、別売で操縦かんのような「ハンドルリモコン」が用意されているという点だ。これを使うと操作性が抜群になり、まるでラジコン! スゲー! スゲーよ! CLEMON!!
家具の下を掃除するシャドウモードに惚れた!
操縦かんの話に移る前に、まずは各社から様々なタイプが出ているロボット掃除機について、確認しよう。ロボット掃除機の動作は大きく2つに分かれていている。
ルンバを代表するランダム方式は、壁にぶつかると向きをランダムに変えて部屋全体を掃除する。いっぽう東芝のスマーボのように、部屋をジグザグと矩形に走るタイプがある。どちらも一長一短あり購入時にどちらかを選ばなければならないが、クレモンは両モードを搭載している。なので念入りに掃除したいときはランダムモードで、短時間でサッと掃除したい場合はジグザグモードで掃除できる点がいい。なおデフォルトの掃除モードは、ジグザグ運転だ。
CLEMONは、作業で汚れた場所をスポット的に清掃するモードも搭載する。運転開始部分を中心に、上下左右2mの区画を集中的に掃除してくれる。さらに壁ぎわモードでは、部屋の壁伝いを1周してゴミのたまりやすい壁ぎわのみをサッと掃除してくれる。掃除の後は、自動で充電台に戻ってくれる。
ユニークなのは、「シャドウモード」と呼ばれる独自の掃除モードだ。ソファーやベッド、家具などの下は影(シャドウ)になっている場合が多く、普通の掃除機では掃除しづらい。CLEMONのシャドウモードは、家具下などの隙間が得意なロボット掃除機ならではの機動性を活かしている。毎日使うモードではないが、あると便利な機能だ。
高いけど、操縦かんはぜひ合わせて買いたいアイテム
たとえば部屋の一部をスポットモードで掃除する場合や、シャドウモードで掃除する家具の下へ掃除機を移動させたいときがある。充電台から外して持って移動させるのが手っ取り早いのは分かるが、腰を下ろすより手元のリモコンで手動操作して目的地まで移動させることがよくある。
このような手動運転は、ほとんどのロボット掃除機が機能を備えており、リモコンの上下左右ボタンで操作できる。CLREMONの場合は、付属のリモコンを傾けたり振ったりすることで、掃除機の色々な機能を操作できる。特に手動運転は直感的で、さながら任天堂のゲーム機Wiiのコントローラのよう。カーソルキーを操作より断然使いやすい。
ユニークなのは、別売りで用意されている操縦かんのような「ハンドルリモコン」。本来は掃除機のCLEMONだが、室内専用のラジコンとてしても十分に遊べる。部屋にペットボトルを置いてタイムアタックしてみたり、イスの足の間をスラロームさせてみたり(これは難しい)と、思った以上に遊べることを約束しよう。
後発だけにディテールまで考え抜かれた機能が満載
もちろんリモコンを使って遊べるだけじゃない。CLEMONは、これまでのロボット掃除機が見逃していた、細かい部分までケアできている。例えば、筆者の知る限りほかのロボット掃除機のモップ清掃モードは、床がフローリングだろうが、カーペットだろうが、モップユニットをつければとにかく部屋全部をモップで拭き掃除しようとする。
しかしCLEMONは、モップユニットを取り付けるとモップ清掃モードに切り替わり、フローリングに敷いてあるカーペットを避けて拭き掃除する。CLEMON正解っ! と言いたくなっちゃうほど、目からウロコだ。
CLEMONの吸い込み口は、回転ブラシと吸引の併用タイプ。じゅうたんなどは、毛足の中にあるゴミを掻き出して吸い込むので効率よく掃除できる。
また吸引力が3段階になっているのもCLEMONの特徴だ。他社製は「強/弱」2段階が多く、「強」はうるさく、「弱」は吸引力が弱すぎて使い道がなかったりする。しかし3段階から吸引力を選べるCLEMONは、「中」があり、そこそこの吸引力で掃除できる点が使いやすい。
運転音はかなり静か。フローリングを走行する際の運転音を測定したところ、吸引力「弱」で40dBとなった。これは昔に調べた他メーカーと比べてみると、かなり静かな部類だ。吸引力を「強」にすると50dBになり、夜に運転するのはためらわれるが、「中」で使うと一般的なロボット掃除機程度という、うまいセッティングがされている。
また、ロボット掃除機は小型のモーターを高速で回転させるので、耳障りなキーン! という高い音が出る傾向にあるが、本製品は高音があまり出ていないようだ。なので部屋で飼っている犬もまったく怖がらず、むしろ興味津々で近づいていくほどだった。
このほか、ロボット掃除機を進入させたくないマーカー(仮想の壁を設ける機器)も、他社製のものに比べ進化している。他社製のマーカーは、1方向のみに仮想の壁を作る信号を発信しているが、CLEMONは左右と前の3方向に信号を発信している。このためマーカー1個で部屋のコーナーに四角い閉区画を作れる。
またこのマーカーには、部屋番号も割り当てることができ、部屋番号1を掃除したら次は部屋番号2を掃除して、充電台に戻るといったことが可能だ。最大5部屋まで対応できるので、一般家庭なら対応できるはずだ。なおマーカー1個は製品に添付されているが、2個目以降は別売となる。
ロボット掃除機で忘れてはならないのが、バッテリーの寿命だ。たいていの掃除機は繰り返し500回利用できるタイプなので、いいトコ寿命は2年だ。なので2年に1回は1万円ほどするバッテリーを買い換えなければならない。しかし、CLEMONの内蔵バッテリーは1,000回繰り返し使えるので、ランニングコストが安く済む。
実際に掃除させてみると賢く速いというイメージ
実際に8畳間を掃除させてみたところ、ジグザグ走行で素早く効率的に掃除しているという印象だった。壁や障害物の検知も賢く、障害物に接近すると速度を緩め衝撃を弱くするなどの配慮もされている。ロボット掃除機によっては、家具にバンバンと当たりながら掃除するものもあり、その衝撃音や家具を引きずる音が、運転音より大きい場合がある。その点、CLEMONはほとんど衝撃音もなく、壁ぎわもスムーズに走行していた。
段差の乗り越え性能は1cmと、一般的なロボット掃除機に比べ5mmほど低くなっているが、実際に掃除させてみると家ではかえってちょうど良かった。例えば、自宅で使っているイスの足の厚みがちょうど1~1.5cm程度あり、他社のロボット掃除機ではこれを乗り越えようとして、立ち往生する場合があったが、CLEMONはムリに乗り越えようとせず、早々に障害物として回避したからだ。
これらの賢い動作は、側面に配置された赤外線距離センサーとバンパーセンサー、そして底面に付けられた赤外線センサー、さらに3次元の傾きと加速度センサーからの情報を瞬時に処理して行なわれる。部屋を認識するカメラは搭載されていないが、走行距離や向きから空間をマッピング(どこに何があるかを記憶)しているようだ。標準のジグザク走行モードでは、いちばん合理的なコースを選ぶということだ。
8畳間の掃除にかかった時間はわずか18分。近所のコンビニまで買い物に行く前にCLEMONをスタートさせていけば、帰ったころには掃除も終わっているという感じだ。以前に同じ条件で調べた他のロボット掃除機の清掃時間と比べても、かなり速いことが分かるだろう。
モップモードで運転すると、マニュアルにあるとおりじゅうたんを避けてフローリングだけを拭いてくれた。またシャドウモードでモップがけもできるので、ベッドの下など拭き掃除も簡単にできる。
遊び心が分かる技術系男子の必須アイテム(笑)
ロボット掃除機としての性能は申し分なく、動作音も静かで素早く掃除してくるCLEMON。ロボット掃除機をラジコンとして遊ぶという遊び心やシャレの分かる、技術系男子にはぜひオススメしたい。室内で飛ばせるラジコンヘリを持っているようなら、即買いのマストアイテム!