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【ダウン症児と私40】フォーク使いを覚えたものの、麺を丸呑みするように

年中さんの春、「滲出性中耳炎」で耳鼻科通いが続いていたユキトくんですが、食事の練習に成果が出てきました。今回は、フォークの使い方を覚えたものの、噛まずに丸呑みするクセが出てしまったときのお話です。

 

フォークで潰せる「固形物」が食べられるように

Q.年少さんのとき、工夫しながら食事の練習を続けていましたが、ユキトくんの食事に変化はありましたか?

A.年少さんの4月は、柔らかい食事をさらにすり潰したり、とろみを付けたりと、ユキトが食べるために先生がいろいろな工夫をしてくれました。その後も、ユキトの口の動きを見ながら、すり潰し過ぎないようになどの細かい調節も引き続きしていただきました。その甲斐もあって、10月ごろには柔らかい給食なら、すり潰さないでも食べられるようになりました。

 

Q.柔らかければ、固形のものを口に入れて噛めるようになったのですね。

A.はい。その後も先生の指導は続き、自分でフォークを持って食べ物を自分の口へ運べるようになりました。今年に入ると、手づかみですが自分で食べ物を口に入れるようになり、さらに食べ物へフォークを刺せるようにもなりました。モグモグも上手になり、30~40分で給食が食べ終われるようになりました

 

食べ物を手づかみして、グチャグチャに

Q.手づかみで食べ物を口へ入れる時期は、ちょっと大変ではないですか?

A.はい。お弁当箱をそのままユキトに渡してしまうと、手を突っ込んでグチャグチャにするので、大変なことになってしまいます。そこで、ハンバーグ、ミートボール、シュウマイ、バナナなどの食べやすいおかずを1口大にカットして、お皿に1つ乗せて出すようにしていました。こうすれば、手づかみで食べたり自分でフォークに刺したりと、食べることだけに集中できます。

 

食べられるようになった麺類を、丸呑みするように

Q.スパゲッティーやうどんなどの麺類は、すすって食べられましたか?

A.麺類も上手に食べられるようになってきました。初めのうちは、麺を長さ2cmほどに切って、スプーンであげていました。5cm、10cmと徐々に長さを増やしていったところ、きちんと噛んで食べられるようになりました。さらに、箸やフォークでユキトの口に入れてあげるうちに、口からはみ出した麺も自分ですすれるようになりました。

 

Q.吸い上げることができるようになったのですね。

A.はい。口に麺を入れてあげると、だんだんと麺を食べるのが早くなりました。ですが同時に、噛む回数が減ったようにも感じました。あるとき、あまりにも噛まないで麺を飲み込むので心配になり、ユキトの口から麺を1本引っ張ってみると、長いままの麺が出てきました。よく観察すると、ユキトは麺をすするとき、喉の奥を開いて一気に飲み込んでしまっていました。今までは口の中に食べ物が入ると、モグモグと咀嚼していたのに、知恵が付いて噛まずに飲み込むことを覚えてしまったようです。

 

Q.まったく噛まないのは心配ですね。どうされたのですか?

A.先生やほかのダウン症児のママに聞いてみると、やはり、丸呑みをしてしまう時期はみんなあるそうです。幸いなことに、ユキトが丸呑みするのは全部の食べ物ではなく、麺類のほか、カレーやシチューのようなドロッとした食べ物だけで、ハンバーグやシュウマイなどは普通に咀嚼します。しばらくは麺類やカレー類をお休みにして、様子を見ようと思っています。

 

ストローでお茶を飲む練習も、継続中

Q.飲み物を飲む訓練の進み具合はどうですか?

A.本当はストローでお茶を飲んで欲しいのですが、なかなか飲んでくれません。いまはまだ、スプーンで水分補給をしています。それでもストローの練習は毎日していて、ストローでお茶を吸い上げるところまではできるようになりました。ですがまだ、口に入ったお茶を飲み込まずに口から出してしまいます。ジュースをストローで飲むときは、出さずに少しずつ飲めるようになってきたので、このままストローの練習も頑張っていこうと思います。

 

ダウン症の基礎知識40:食べる楽しみからできる楽しみへ

なかなか柔らかい給食が食べられず苦労していたユキトくんですが、年中さんになって、柔らかい給食が食べられるようになり、フォークを使って食べ物を口に運べるようになりました。食事の練習は、まずは食べる楽しさを感じるようにサポートし、次にフォークやスプーンを使う楽しさを感じることが重要なのだそう。最初は食べさせていた食事も、手に持たせて口に入れる、自分で食べ物をつかめるようにする、フォークで刺したりスプーンですくうなど、自分でできることを増やしていくようサポートしていきたいですね。

 

 

 

ナナ

5歳のダウン症の息子「ユキト」と、3歳半の弟「マサト」のママの「ナナ」と申します。ダウン症の子どもを育てている様子や、母親の気持ちなどを率直にお話ししたいと思います。