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【特集・電球形蛍光灯 パナソニック編】
蛍光管からコイルまで、すべてを自社で造る強み

Reported by 平澤 寿康

パナソニックの電球形蛍光灯の変遷。左から古い→新しいの順に並んでいる。一番右が最新モデルの「パルックボール プレミアQ(クイック)」だ
 世界遺産の白川郷やサミットが行なわれた洞爺湖などで、白熱電球から電球形蛍光灯への切り替えを訴えるイベントを開催するなど、積極的な活動の目立つパナソニック。同社もまた、東芝ライテック同様に1980年から28年間の電球形蛍光灯の歴史を持っている。

 しかし、同じ28年間という時を経ても、両者が販売する製品には大きな違いがある。特に、2008年7月に発売された最新モデル「パルックボール プレミアQ」は、電球形蛍光灯の中に白熱電球を入れ、電球形蛍光灯の弱点とされる立ち上がりのスピードを改善する、という逆転の発想から生まれた、ほかに例を見ない独創的な製品だ。

 このような製品が生まれた理由には、パナソニック独自の製造法にある。パナソニックの照明部門であるパナソニック ライティング社に話を伺ったところ、蛍光管からコイルなど、部品すべてを自社で作れるという強みがあるというのだ。それでは以下に、同社の電球形蛍光灯の進化の過程を紹介しよう。


東芝と同年の1980年に発売。普及のポイントは小型・軽量化

 パナソニックの電球形蛍光灯の歴史は、1980年に発売された「ライトカプセル」から始まる。“日本初”の座は東芝に譲ったものの、こちらもまた、白熱電球に置き換わる期待の新商品として発売された。(なお、過去の製品の多くは“ナショナル”ブランドだったが、本稿ではすべて“パナソニック”で統一する)

 当時の電球形蛍光灯は、現在の製品と比べると様々な点で課題があった。特に問題だったのがサイズと重量。同社の60形白熱電球は、サイズが60×110mm(直径×高さ)、重量が32gなのに対し、ライトカプセルは78×160mm(直径×高さ)、重量が450gと、この時点でかなりの差があった。

 「当時は蛍光管の発光効率が悪かったので、十分な明るさを確保するためには長い蛍光管を入れる必要がありました。それに加えて、大きく重い発光回路も取り付ける必要があったので、かなり大きくて重いものでした」こう語るのは、パナソニック ライティング社 民生商品開発グループ 放電制御開発チーム 主任技師の高橋暁良氏だ。

 当時は、現在ほど蛍光管の小型化の技術が進んでおらず、大きな蛍光管と安定器を取り付けなければ十分な明るさが確保できなかった。だが裏を返せば、小型・軽量化を実現することが、電球形蛍光灯を普及させる最大のポイントということになる。


パナソニック初の電球形蛍光灯「ライトカプセル」。東芝のネオボール(初期型)と同様に、手に収まらないほどの大きさだ パナソニック ライティング社 民生商品開発グループ 放電制御開発チーム 主任技師 高橋暁良氏

水銀蒸気圧をコントロールし、高温時にも高い発光効率を実現

「ライトカプセル」のパッケージ。蛍光管が折れ曲がっている様が描かれている
 では、小型化はどのように実現されてきたのだろう。その第一歩は、まずは蛍光灯の発光効率を向上させることからスタートした。ライトカプセルでは明るさを確保するために長い蛍光管を折り曲げて収納していたが、このことがさらなる問題を生んでいたからである。

 「蛍光管の効率は、蛍光管が長くなればなるほど良くなります。そして、電球形蛍光灯は電球の代替品ですので、大きさは決まっています。その決められた大きさの中にいかに長い蛍光管を入れるか、ということが効率改善のいちばんのカギになります。しかし、蛍光灯は折り曲げて使用すると熱がこもり、蛍光管の表面温度が高くなりますが、蛍光管の温度が高くなると蛍光灯の発光出力は低下してしまうのです」(高橋氏)。

 そのため、高温下でも十分な光量が得られるだけの優れた発光効率を実現しなければならなかったのだ。

 ここで重要になるのが、蛍光管内部の水銀の蒸気圧のコントロールだ。

 「発光効率を決定する大きな要因となるのが、蛍光管内部の水銀の蒸気圧です。この水銀の蒸気圧をコントロールすれば、高い発光効率が得られます」(高橋氏)

 蛍光管内部には水銀蒸気が封入されているが、その水銀蒸気の蒸気圧は温度によって変化する。この蒸気圧の温度は低すぎても高すぎても発光効率が低下してしまうが、蛍光管内に「アマルガム」という金属のツブを入れることで、ちょうど良い具合に調節できる。これが「アマルガム制御」という手法だ。つまり、あらかじめ使用中の温度に合わせて高い発光効率が得られるように水銀蒸気圧を調節しておけば、温度が高くても優れた発光効率が得られるようになるというわけだ。


効率化のため“細く長く”を追求、結果的に「螺旋形」に

 アマルガム制御により、長い蛍光管の折り曲げが可能になったが、今度はそれをどう折り曲げて、どれだけ長くガラス球に封入できるかがポイントになってくる。

 当初、パナソニックが発売する電球形蛍光灯では、直線の蛍光管を曲げてU字型にした蛍光管が利用されていた。その後、U字管をさらにもう一度曲げた「ダブルU」、U字型の蛍光管を3個つなげた「3U」と形状を変更してきた。しかし、U字型の組み合わせでは3個が限界。そこで出てきたのが、スパイラル形状だ。

 「従来はU字型の管を複数つなぎ合わせた形状の蛍光管を利用していました。しかし、U字管をつなぎ合わせる部分で放電路(電子の通り道)に無駄が発生してしまいます。それに対して、らせん状のスパイラル形状であれば、ほとんど無駄な部分が発生しませんので、同じ大きさでもより長い蛍光管を実現できます。そのため、このスパイラル形状が最適という結論に至りました」(高橋氏)

 同じスパイラル形状の蛍光管でも、長さが変わることで効率が変わる。例えば、パナソニックで初めてスパイラル形状の蛍光管を採用した「パルックボール スパイラル」では、蛍光管の総延長が400mm、消費電力が12Wだったのに対し、2006年に発売された「パルックボール プレミア」では、蛍光管を細く長くすることで、電球60形の明るさの製品で、蛍光管の総延長が480mmに延長、消費電力も10Wに低減されている(いずれも60W形の製品)。

 「電球形蛍光灯の蛍光管の歴史は、“細く長く”というのが続いてきて、ようやくスパイラル形状に行き着いたという感じです」(高橋氏)


「パルックボール スパイラル」以降は、蛍光管は左のような「U字」形から右の「螺旋形」へ変わった 螺旋形の蛍光管を伸ばしたところ。蛍光管が長いほど効率が向上する

熱を効率良く逃がす「ダブルダウン方式」で、低温時の暗さを改善

 スパイラル形状とともに、アマルガム制御なしで発光効率が高められる「ダブルダウン方式」というものが新たに採用された。アマルガム制御にはある弱手があったのだ。

 「アマルガム制御は、水銀蒸気圧を調整して発光効率のピークとなる温度を高めることが可能になりました。しかし、逆に低温時の発光効率が低くなってしまいます。そのため特に冬場の低温時では、点灯直後は暗く、明るくなるのに時間がかかってしまいます」(高橋氏)

 つまりアマルガム制御では、発光効率の曲線が全体的に高温側にシフトしてしまい、低温時の発光効率が下がってしまうのだ。これが、いわゆる“立ち上がりの遅さ”につながってしまうのである。そこで、アマルガム制御を使用せずに発光効率を高める仕組みが開発された。


蛍光管の先端にある突起物が、蛍光管を覆うガラス球と接触、熱を逃がし、立ち上がりの早さを実現している
 「スパイラル形状の蛍光管の先端に突起を設け、そこにシリコンを付けて、外のガラス球に接触させるようにしました。これにより、蛍光管の熱がガラス球に移動して冷やされますので、アマルガム制御を使わずに発光効率のピークに合わせられるようになって、低温時の明るさも以前の製品よりも増したのです。」(高橋氏)

 この「ダブルダウン方式」は、2004年に発売された「パルックボール スパイラル」で初めて採用された。パルックボール スパイラルのサイズは55×110mm(同)、重量は81gとなり、大幅にサイズと重量を抑え、より白熱電球に近い形状へと変わったのだ。


内部に小型の白熱電球を入れることで立ち上がり特性を改善

 サイズはほぼ白熱電球と同じになった電球形蛍光灯。しかし高橋氏が「電球形蛍光灯の課題としては、白熱電球の特性に近づけることと、省エネ化という2点があります」と語るように、まだ課題も残されている。

 最も大きな課題となるのが点灯直後の暗さだ。「白熱電球は、点灯直後からほぼ100%の明るさになりますが、蛍光灯には温度特性がありますから、点灯直後はどうしても100%にはなりません。この点は、電球形蛍光灯が普及していくにあたっての壁になっているので、その差をいかに縮めるのか、ということが大きな課題となっています」(高橋氏)

 点灯スピードに関しては、前述の「ダブルダウン方式」で徐々に改善されたが、より根本的に変わったのが、2008年7月に発売された最新モデル「パルックボール プレミアQ(クイック)」だ。スパイラル管の間に小型の白熱電球「クイックランプ」を取り付けたもので、ライトの電源スイッチを入れるとまずクイックランプが点灯し、点灯直後の暗さを補う。するというもの。蛍光灯(スパイラル管)が十分明るくなった頃に、自動的に消える仕組みになっている。


「パルックボール プレミアQ」の透明モデル。スパイラル形状の蛍光管の中にランプが見える これがパルックボール プレミアQの内部に搭載されているクイックランプ。蛍光管よりも先に点灯することで、立ち上がりのスピードを早めている

左が「パルックボール プレミアQ」、右は前モデルの「パルックボール プレミア」。プレミアQの方が点灯時のスピードが早い

パナソニック ライティング香川 開発技術チーム 合田和生氏
 クイックランプの開発に携わったパナソニック ライティング香川 開発技術チームの合田和生氏は、クイックランプについて「大前提として、蛍光灯より先に切れてはいけないという寿命の問題がメインテーマでした。それをクリアした上でさらに、小さく、そして点灯直後に明るくする、という課題もありました」(合田氏)と語る。確かに、蛍光灯よりも先に寿命を迎えてしまっては本末転倒だ。

 合田氏によると、クイックランプだけが先に寿命を迎えないために、蛍光灯の消灯時間に応じてクイックランプの点灯時間を変えているという。「蛍光灯がずっと消えていて温度が低い状態で点灯した場合には、中の白熱電球は約1分間点灯するようになっています。しかし、消灯から1分程度しか経過していない状態で点灯させた場合には、蛍光灯自体がまだ温かく明るさが確保できるので、白熱電球は10秒ほどで消灯します」(合田氏)。なるべく白熱電球の総点灯時間を減らし、寿命を確保しているのだ。

 クイックランプの隠れた効果として、蛍光管を温めてより早く100%の明るさに近づける効果もあるという。クイックランプは白熱電球のため光とともに熱を発している。このため、短時間で白熱電球が消灯しても、十分な明るさが確保できるようになるわけだ。


 このクイックランプを導入した理由について、面白い話を聞くことができた。実は開発側では、先に挙げた「ダブルダウン方式」で、かなり立ち上がり時の明るさをかなり改善できたと考えていたそうなのだ。しかし、「ダブルダウン方式で点灯スピードを改善できたと思っていたんですが、それでもまだ“なぜこんなに暗いの?”という問い合わせが非常に多かったのです」(高橋氏)とのことだ。「お客様の声に押されてできたという意味合いが大きいと思います」と高橋氏が言うように、ユーザーの声に耳を傾ける姿勢があったからこそ、パルックボール プレミアQが誕生したというわけだ。


コイルの形状を見直して寿命を延ばす――自社製造の強み

 課題のもう1点が「省エネ化」だ。もともと白熱電球と比べて省エネ性能の高さが売りの電球形蛍光灯だが、寿命が過ぎれば当然廃棄物となる。より長寿命化が達成できれば、省資源という点からの省エネ効果も期待できるのだ。

 パナソニックの電球形蛍光灯は、長寿命化が進んでいる。2004年の「パルックボール スパイラル」では、寿命が約6,000時間であった。それに対し2006年の「プレミア」では約10,000時間、2008年の「プレミアQ」では13,000時間となっている。

 この寿命延長の鍵となっているのが、蛍光管内部のコイルだ。

 「電球形蛍光灯の寿命を決めているのが、蛍光管の中に入っているコイルです。そのコイルには『エミッタ』と呼ばれる放電物質が塗られていて、これがなくなると光らなくなります。そこで、寿命を延ばすために、2006年の『プレミア』でコイルを作り替えました」(高橋氏)

 電球形蛍光灯の蛍光管は、新製品になればなるほど、徐々に細く長く変化している。“電球形”の小さなスペースに、できるだけ長く蛍光管を封じ込めるためだ。そのため、蛍光管内部のコイルも、それに合わせて小さくする必要がある。しかし、コイルを小さくするとエミッタの塗布量が減るために寿命が短くなってしまう。そのため、新たに長寿命かつ小型のコイルを開発する必要があったというわけだ。


パナソニック ライティング社 部品SBU 技術チーム 谷脇達也氏
 「従来の電極コイルは、“トリプルコイル”という3重巻きの構造のコイルを採用していました。それに対してパルックボール プレミアで採用されているコイルでは、トリプルコイルをさらにもう1回巻いて4重巻きにしました。これによって、トリプルコイルでデッドスペースになっていた部分にもエミッタを充填できるようになりました」(パナソニック ライティング社 部品SBU 技術チーム 谷脇達也氏)

 この4重コイルに使用しているタングステン線径は、20ミクロンほどの小ささ。肉眼ではコイルが何重に巻かれているかはっきりと見えず、ルーペを使ってやっと確認できるほど細かい。

 「パナソニックは、蛍光管のガラス化工からコイルまで、全て自社で製造しています。ですから、何か新しいことをやる場合でも素早く対応できますし、やりたいこともたくさんできます。このような小さなコイルも、素材の製造から自社で行なっているからこそできたことで、我々の強みでもあります」(谷脇氏)


従来の3重巻きから、もう1巻き追加した4重巻きのコイル。これにより、エミッタの塗布量が増え、寿命が長くなった この4重のコイルの線径はとても小さく、直径は20ミクロンほど。写真右のボールペンと比較して見ていただきたい 写真は針の穴も通すということをアピールする広告

蛍光灯に変わる次世代照明デバイスはまだ先

同社内の展示ルームの写真。ここで使われている照明はすべてLEDライトによるものだという
 ここまで改良が進んだ電球形蛍光灯だが、それではLEDや有機EL照明など、電球形蛍光灯に代わる次世代照明デバイスについてはどうだろうか。

 「(LEDなどが)次世代の照明デバイスであることは間違いありません。今の電球形蛍光灯と同じコストで製品が作れるかというと、まだそのレベルには達していません。例えばLEDでも、効率は蛍光灯を超えたといわれていますが、それは小さな素子レベルでの話です。電球形蛍光灯のような一般照明として利用するにはたくさんの素子を使わなければならなくなりますので、相互の熱で効率が落ちるなどの問題が出てきます。そのため、一般の主照明として利用できる製品が登場するのはまだまだ先の話でしょう」(谷脇氏)

 LED・有機ELの有望性については肯定しつつも、一般照明としては、現時点では電球形蛍光灯に遠く及ばない、というわけだ。

 とはいえ、「次世代照明デバイスも、時代とともに対応する場所には入っていきますので、当然やっていかなければならないことです」と谷脇氏が語るように、パナソニックは商品開発を積極的に行っている。11月にはグループ会社のパナソニック電工がLED照明事業を強化し、2010年には現在の2倍となる約150億円規模にするというニュースもあった。そういった意味では、今後のパナソニックの照明事業の動向に注目したい。


電球形蛍光灯への切り替えは必然

 ところで、以前から現場で開発に携わっている人たちに、一度伺ってみたいことがあった。

 それは、2008年4月5日に行われた「第二回 地球温暖化問題に関する懇談会」において、甘利経済産業大臣(当時)が、「家庭等で使用される一般的な白熱電球に関して、2012年を目途に、原則として電球型蛍光ランプなどへの切りかえの実現を目指すこととして、製造事業者、小売事業者、消費者等へ働きかけていきたい」と発言したことだ。この発言により、白熱電球の電球形蛍光灯への切り替えが政府の方針として受け止められ、パナソニックも2012年に一般電球(E26口金)の70%を電球形蛍光灯に切替えると発表した。

 この件についてどう思ったか聞いてみたところ、電球形蛍光灯の開発に携わっている高橋氏は、「電球形蛍光灯を設計していますので、これからさらに商品開発を頑張らないといけないということで、モチベーションが上がる出来事でした」と語ったが、一方で白熱電球の開発に携わっている合田氏は、「パルックボール プレミアQに搭載する小型の電球を製造することで電球形蛍光灯に関わっていますが、我々は白熱電球も作っているので、方向転換をする必要がありますね」と話した。やはり、携わる業務によって、受け止め方は大きく異なっていた。


パナソニック ライティング社 部品SBU 冶金部品課 課長の西村誠氏
 とはいえこの方針自体は、パナソニックとしては“正しいもの”だと受け止めている。それは、パナソニック ライティング社 部品SBU 冶金部品課 課長の西村誠氏が語った次の言葉からもわかる。

 「水であれば、使っている水が見えるので実感も沸きますが、電気の省エネというのは見えにくいものです。白熱電球を電球形蛍光灯に変えたことによる効果が実感としてよくわからないため、浸透しにくいかもしれません。しかし、省エネを目指すには白熱電球よりも電球形蛍光灯が優れています。地球温暖化抑制という意味では、(電球形蛍光灯への切り替えを)やっていかなければならないことだと思います」

 初期導入コストは、白熱電球のほうが電球形蛍光灯よりもはるかに安くすむ。しかし、白熱電球を電球形蛍光灯に置き換えた場合、1年で約2,000円(1日6時間点灯の場合)、電球形蛍光灯の寿命トータルで考えると10,000円ほど電気代が安くなる。また、電球形蛍光灯は白熱電球の10倍ほどの寿命があるため、トータルの導入コストもほとんど差がない。つまり、電球形蛍光灯に置き換えることで、使用中の電気代の差がまるまるトクになるのである。しかも、電球形蛍光灯は寿命が長く、取り替え頻度が大幅に減るので、ゴミの減量や取り替えの手間の軽減にもなる。当然省エネにも貢献できるわけで、電球形蛍光灯は、コストや省エネ、環境など様々な面で有利になる。

 そう考えると、電球形蛍光灯は積極的に取り入れていくべき製品だということがよくわかるのではないだろうか。





 今回、3回にわたって電球形蛍光灯の仕組みや、開発メーカーの取り組みについてお伝えしてきた。その過程で、電球形蛍光灯にはまだ課題も残されているものの、省エネや環境、コストなどを考えると、現時点で白熱電球に変わる選択肢として最有力な照明デバイスであり、さらなる普及に向けて努力が続けられているということがよくわかった。そして、我々消費者にとっても、白熱電球を電球形蛍光灯に交換することで、大きなメリットが享受できるということも再認識できた。

 これから年末にかけて、大掃除とともに電球を交換するという方も多いはずだ。その時には、ぜひとも白熱電球から電球形蛍光灯への交換を行ってみてもらいたい。点灯時の暗さも以前より改善されているし、なにより電気代が大幅に減っておトクになるという点は大きな魅力であり、初期導入コストもすぐに回収できる。省エネや低コストに興味があるなら、迷わず電球形蛍光灯を選択してみてもらいたい。




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2009/01/06 00:03

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