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家電製品レビュー
東芝「クワイエ VC1000X」

~最新機種のフィルターお掃除機能を徹底検証
Reported by 本田 雅一

クワイエの本体。自宅近くのヤマダ電機テックランドで購入した
 5月の連休も終わりにさしかかる頃、かねてより家人から買い換えを訴えられていた掃除機を新調した。

 いつもなら、じっくりと情報を収集し、技術面でも、商品企画の面でも、そして製品の使い勝手という点でも、充分に吟味してから製品を選ぶのが、筆者のいつもの買い物なのだが、今回に限っては最新モデルの知識を持たないまま、店頭で製品を選んだ。衝動買いに近い行動を取ってしまった。理由と顛末は本記事の最後に書くとにしても、まずは商品の紹介から始めよう。

 購入したのは以前のコラムで奥川浩彦氏もレポートした東芝「クワイエ VC1000X」。本製品は奥川氏のレポートにもあるように、業界ナンバーワンとなる49dBAの静粛性にある。仕事がら締め切り前には朝方まで原稿を書き、取材がない日は昼間で寝ていることもある筆者には、静粛性は大変魅力的な訴求点だ(家人は掃除好きで午前中には筆者が寝ていても掃除機が動くので、うるさい掃除機だと起こされてしまう)。

 確かにVC1000Xの動作音は静かだ。奥川氏の期待ほどではなかったようだが、ライバルと比較すると5~10dBぐらいは違うという。ちなみにマイナス4.5dBなら音のエネルギーは1/3、マイナス10dBなら1/10となる。これぐらいなら充分に静かといってもいい。動作時の音質もヒステリックではなく、(掃除機としては)穏やかというのも「まぁ、いいんじゃないの」と感じた理由だ。

 ただし、音に関しては別の問題がある。本機のもう1つの特徴である「お掃除ロボ」の動作音が、短時間とはいえカタカタとちょっと耳につく。う~ん、これはどうにかならなかったのかなぁとは思うが、他の掃除機がうるさいこともあって、本機を非難するつもりにはなれない。


購入直後、数日使ってはじめてダストカップがいっぱいになったところ。ダストカップ内部が、ネコの毛でいっぱいになるまで、吸引力に劇的な低下は感じられなかった ゴミでいっぱいのダストカップは、ワンタッチでふたが開いて簡単にゴミ捨てできる ダストカップの裏側。分離室からゴミが右下の穴に送り込まれ、金属製の粗いフィルタに空気が抜ける

 掃除機はうるさいものだ。吸引力が強い(つまり吸入部に流れる空気の流速が極めて速い)掃除機であればなおさらである。騒音対策に巨大な容積を使えば話は別だが、常識的な範囲内であれば、どんな掃除機もうるさい。その中で5dB以上も静かになったのなら上出来ではないだろうか。

 それに、筆者がVC1000Xの購入を決めた主な理由は、実は音の静かさではなかった。もっとも重視していたのは、目詰まりの少なさなどメンテナンス頻度とやりやすさの2点である。そこで奥川氏とは別の視点で、お掃除ロボの動作について掘り下げてみることにした。


「お掃除ロボ」の真実を探して

 筆者がVC1000Xに興味を持った一番の理由は「約10年間、プリーツフィルタお手入れ不要」と謳っていることだった。実は筆者宅で使っていたシャープEC-BP3では、細かな「粉ゴミ」が内部フィルタにこびりつき、頻繁に清掃を行なわないと吸引力が格段に落ちるという悩みあった。

 EC-BP3は2005年の発売で、まだ3年ほどしか使っていない。製品としてはまだまだ使えるのだが、それでも買い換えを家人に強く訴えられていたのは、上記の問題があったためである。

 筆者は掃除機の開発者ではないが、掃除機が吸い込むゴミを観察してみると、大きく分けて三種類のゴミがある。糸くずのような繊維質のゴミ。比較的、重量の多い粒度の荒いゴミ。それに重量が軽く粉のように細かなゴミだ。EC-BP3はこのうち、粉ゴミがの分離が不得手なようで、遠心分離する部分で充分に粉ゴミを分離できず、それがフィルタ部に目詰まりしているのだ。

 粉ゴミまで遠心分離してくれる掃除機としては、元祖サイクロン方式のダイソン製が優れていることは理解していたのだが、筆者宅の収納環境や掃除ヘッドの使い勝手などの点で家人の了解が取れず、また価格や動作音といった問題もあって見送りとなっていた。

 そんな中、メンテナンス製の良さに自信アリというVC1000Xが登場したことで、大いに興味を持って、そして自分で実験台になりながら、その機能を観察してみようと考えたのである。幸い、主に掃除機を利用する家人も、ヘッドを手前に引く際に逆回転になるなどのギミックを組み込みながらもコンパクトなパワーブラシ付きヘッドや、吸引パイプの先に付けられたLEDライトなどの装備を気に入ってくれた。

 ご存知のように「お掃除ロボ」は近年の流行の1つでもある。松下電器がエアコンで自動メンテナンスメカを組み込んで以来、様々な名称でセルフメンテナンス機能を持つ家電製品が生まれた。セルフメンテナンス機能を持つ掃除機も、VC1000X以外にシャープEC-VX2、松下MC-R7000JX、日立CV-RS1などがある。

 とはいえ、本当に10年間メンテナンス不要なんてことが可能なのか。ちょっと腰を据えて試してみた。特に国産サイクロン掃除機が総じて不得手な、粉ゴミへの対応というところに重点を置いて評価してみた。


粉ゴミを濾し取るプリーツ型フィルタの自動メンテナンス

複雑に入り組んだクワイエのゴミ分離ユニット。左下の丸い部分が分離室で、メンテナンス時の作業性を考慮してフタを取り外せるようになっている。斜め配置の分離室とすることで、ゴミの分離が良くなっているとか。分離されたゴミはダストカップへと導かれ、それ以外は中央部のフィルタを通って背面のプリーツフィルタに抜ける
 サイクロン式掃除機は、遠心分離を行なう部分とゴミを格納する部分が一体になっていることが多いが、本機は分離されたゴミがカートリッジ式のダストカップに入るシカケになっている。

 しかし軽い粉ゴミはダストカップ内から若干漏れて、最終的に大型のプリーツフィルタに到達する。以前の東芝製掃除機ではプリーツが放射状になったフィルタを用い、フィルタを回転させることでふるい落としていたそうだが、本機は縦方向に折り目を付けたプリーツだ。この方が大きなフィルタ面積を確保できるだろう。フィルタ面積が広くなれば、目が細かくフィルタ効果の高いフィルタ素材でも、吸引抵抗を下げることが可能だ。

 当然、粉ゴミはプリーツフィルタに堆積していくことになるが、ここで活躍するのがお掃除ロボその1、東芝が言うところの吸引持続サイクロンだ。(サイクロンという言葉が他所に使われていたヤヤコシイが、遠心分離を行なうサイクロン気流のことではなく、単に空気循環のみを指しているようだ。こういう誤解を生みやすい名前を付けて「スリーステージサイクロン」と命名するのは個人的にはやめて欲しいと思う)

 吸引持続サイクロンは、掃除機として使っている場合とは異なる空気循環経路となるように弁を動かし、掃除機内部で空気を循環させる。吸入口の弁を閉め、大きなプリーツフィルタではなく、ダストカップを外した窓から見える小さなプリーツフィルタから空気が吸われるよう本体内部の弁も変わる。そして大きなプリーツフィルタ上部の窓が開き、そこから思い切り空気を吸い込んでプリーツのヒダに空気を流す。


ゴミ分離ユニット全体を裏返したところ。ご覧のようにプリーツフィルタが全体に配置されているのがわかる。プリーツフィルタは取り外し可能
さらに上部に目を移すと、お掃除ロボ動作時に開くふたがある。通常時は閉まっているが、セルフクリーニング時にはここから空気を吸い、プリーツのゴミを下に落とす
プリーツフィルタの奥、本体側には三つの突起が配置されているのがわかる。お掃除ロボが動作し始めると同時に、これらが左右に動いてプリーツを裏面から“弾く”ことで粉ゴミを落としやすくする

ゴミ分離ユニットとダストカップの接合部。左上の穴からゴミがダストカップに入り、その右下の穴からプリーツフィルタへと導入される。その手前にある小さいプリーツフィルタは通常時には機能していない。お掃除ロボ動作時、この穴からプリーツフィルタへの流路が塞がれる。そして小さいプリーツフィルタの中から空気が吸い込まれる(その先は右の写真の赤で囲んだ穴につながっている) さらに下部を見ると、お掃除ロボ動作時に循環路を切り替える弁を動かすギアが見える。さらに赤く囲んだ部分に注目。お掃除ロボ動作時はこの小さな穴から空気を吸引。これにより分離室内などを通常時とは逆方向に空気が循環し、プリーツフィルタ部以外のフィルタも目詰まりしにくいよう配慮されている

 しかし、空気循環の勢いだけで粉ゴミのこびりつきがなくなるわけではない。そこでプリーツフィルタの裏側に配置された突起が左右を往復し、プリーツを「カタカタカタ」と揺らす。この振動で粉ゴミをふるい落としつつ、上部からの風圧で粉ゴミを吹き飛ばそうというわけだ。


吸入部のクローズアップ通常、掃除をする際にはこのようになっている
お掃除ロボが動作する際にはこのように弁が動いて吸入口を塞ぐ

 VC1000Xは、このセルフクリーニング動作を電源プラグをコンセントに差し込んだ時と、掃除機のスイッチを切った際に自動的に実行する。

 思ったよりも複雑なシカケだが、意外にローテクだと感じたのは筆者だけではないだろう。加えて言えば、プリーツの真ん中だけをカタカタと弾くだけで、こびり付いた汚れが落ちるものなのだろうか。

 そこで以下の3つの疑問点について、重点的に考察してみた。

・プリーツフィルタの裏から“カタカタ”軽く弾くだけで本当に粉ゴミは落ちるのか。
・落ちた粉ゴミはどこに行くのか。
・粉ゴミの割合が多い場合にも対応できるのか。


フルい取られた粉ゴミの行方

 家人に「絶対にプリーツフィルタは掃除しないように。できれば、ダストカップにたまったゴミ以外は掃除をしないようにしてほしい」と伝え、基本的に「お掃除ロボ」まかせで使い続けた。

 最初の1週間でプリーツフィルタの汚れをチェックすると、見た目には結構なゴミが付着している。本当に大丈夫だろうか。と吸引力をチェックしてみたが、新品時とほとんど変化はない。

 次に1カ月目、同じようにチェックすると、前回見た場合とほとんど汚れ状況は変化していなかった。むしろ、僅かながらキレイになっている部分もあったほどだ。この状況は2カ月目、そして2カ月半経過した現在でも変わらなかった。


2カ月半後のクワイエ。果たして中はどうなっていることやら…… 2カ月半、お掃除ロボに任せきりだったプリーツフィルタ。両端には粉ゴミの付着が目立っているが、ほとんどの部分でたいした目詰まりは起きていない。吸引力に大きな変化がないので、当然と言えば当然か…… 2カ月半後のダストカップ。金属フィルタ部分に粉の付着が見られるが、とっくに性能に影響しそうな印象はない。ゴミ袋の中で軽くふるってやれば、粉ゴミも落ちる

 つまりある程度、粉ゴミはプリーツフィルタに堆積するものの、それ以上はほとんど増えない。クリーニング効果はフィルタ全体に均一ではなく、両端にはやや堆積が目立つが、いずれにしろある程度以上は増えないようだ。

 試しに先の丸い棒を使って、プリーツの裏をカタカタと振動させてからプリーツを開くと、粉ゴミがさらに落ちて内部に溜まっていた。ローテクだが、それなりに効果はあるようだ。次にセルフクリーニングをもう一度行なったら、内部に落ちていた粉ゴミは“どこかに消えて”いた。あの溜まっていた粉ゴミはどこにいったのだろう。

 セルフクリーニング時、空気は遠心分離を行なう分離室なども同時にクリーニングするのだが、その空気はダストカップと小さいプリーツフィルタを通じてモータ部へと還流する。どうやらダストカップ内部に溜まった繊維ゴミに混ざって、居所がわからなくなっている(ダストカップ内のゴミに混ざった)というのが正解らしい。


プリーツフィルタを取り除いたゴミ分離ユニット。通常時はこのように弁が開いているが……
お掃除ロボ動作時は弁が閉まる。一部開いている三角形の部分は空気をそこから導入し、一部のエアを分離室のフィルタに逆方向から風当てて目詰まりを防ぐため。落とされた粉ゴミは右下に少しだけ見えている穴から分離室内部に直接入っていき、そのままダストカップへと導かれる

 小さいプリーツフィルタにも粉ゴミは付着するハズだが、この部分は通常の掃除を行なう際に堆積ゴミが掃除されるように空気循環するよう設計されているので、結果的にこの部分のメンテナンスも必要なくなっている。

 つまり、繊維ゴミと粉ゴミの割合が、一般的な家庭内の状況から大きく逸脱しなければ、やっかいな粉ゴミの問題が起きることなく、ダストカップのゴミを捨てているだけで性能を維持できる。「お掃除ロボ」というと、キレイに粉ゴミを拭き取ってくれるようなイメージを持ってしまうが、そこまでの機能はVC1000Xにはない。しかし性能を維持し続けるという目的は達成できるかも。というのが、2カ月半使った正直な感想だ。

 ただし、この方式は「こまめに掃除ロボが動作する」のが前提だとも思う。掃除機は短いサイクルで定期的に動かす製品なので、使う度に短時間ながら掃除ロボが動くことで、ある種の“均衡”が保たれている。言い換えれば、極端な状況ではうまく行かない場合もあると考えられる。


粉ゴミだけのテストでは本来の機能を推し量れない

 このように筆者自宅における検証では、うまくお掃除ロボが動作してくれた。筆者宅にはネコがいるため、その抜け毛が繊維ゴミとしてダストカップの大部分を占めるので、余計に粉ゴミ処理の効率が高いのかもしれない。ただ、いずれにしろこの機能はうまく動作するはずだ。

 しかし、粉ゴミだけを吸い続ける状況では、その限りではないのでは。と予想して、ダストカップの中身を捨ててから、小麦粉を床に蒔いて吸わせてみた。

 すると、あっと言う間に吸引力が落ちてきて「フィルターお掃除サイン」が点灯した。つまり、お手入れ不要なハズのプリーツフィルタが詰まったということだ。なんど振り落として粉ゴミを循環させても、他の種類のゴミがないため、単にグルグルと粉が回るだけになり、掃除する際にプリーツフィルタに吸い込まれて堆積を繰り返してしまうからだ。

 なぜこのような極端な条件のテストを行なったかと言うと、そういったテストを実行してレポートしている例があったからだ。そこではあっと言う間にVC1000Xの吸引力が落ちると報告されているのだが、筆者宅では吸引力低下の現象が発生しない、なぜだろう。と思ったのがきっかけである。

 他の掃除機におけるセルフクリーニング機能がどのような仕組みかはわからないが、本機の場合は複数のゴミの種類を、ある程度分散して吸い込むことを前提に設計しているようなので、粉だけを吸い込むといったテストを行なっても、あまり意味がないといえそうだ。


やや心配だったのが、分離室内部の金属製フィルタ部に目詰まりの傾向がみられたこと。中心部のキレイな空気を通す網にはゴミがほとんど付かないが、この部分はゴミが目立つ。性能に大きな変化は見られないので、大丈夫だとは思うが……
 ではVC1000Xのセルフクリーニング機能は完璧かというと、そこまで言うつもりもない。たとえば分離室の中心部にあるフィルタ(遠心分離されてゴミが取られたあとの空気が通るフィルタ)は、セルフクリーニング時に空気が通常時と逆方向に流れることでキレイになるのだが、その周囲にあるフィルタは、この逆流によるセルフクリーニングがうまく効かないのか、結構な粉ゴミが堆積したままになる。

 現段階では、この現象は性能低下に大きく影響していないようだが、長期間使った時にどのようになるかは判らない。しかし、プリーツフィルタ部、分離室、ダストカップともに、実に簡単に掃除できるように配慮されているので、たとえ低い頻度で掃除をしなければならない状況に陥ったとしても、全体的な使い勝手には大きな影響はないと思う。オゾン発生ユニットによる除菌脱臭サイクロンが効いているのか、確かに排気も全くにおわない。

 調べれば調べるほど「コレじゃ10年メンテフリーなんて無理じゃない?」と思えたVC1000Xだが、実際の部屋での運用ならば、なかなかうまく出来ているという印象。これならば、EC-BP3から買い換えたかいもあったというもの。筆者の経験が、セルフクリーニング機能を中心に、新しい掃除機選びをしている人の参考になれば幸いだ。


某量販店での本機購入記

 さて、最後に本機を購入した際の顛末を、参考までに書き添えておきたい。

 冒頭にも書いたように、VC1000X購入時、筆者は掃除機を買うつもりで家電量販店に行ったわけではなかった。

 古くなった実家のキッチンを改装する際、新しい冷蔵庫を親にプレゼントするため家電量販店に向かった。冷蔵庫に関しては充分に予備知識を蓄えて行ったため、ベテランの販売員とも相談しながら製品を簡単に絞り込むことができた。

 話が非常に盛り上がった(質問に対して明快な答えが返ってくる)ので、かねてから家人より相談されていた掃除機の買い換えについて話を聞くと「東芝からの販売応援の女性ですが、掃除機に関して大変に詳しく、他社製品についても理解が深いので紹介させて欲しい」と言われ、東芝の販売員とバトンタッチ。

 実は筆者は東芝が発売した、いちばん最初のサイクロン掃除機ユーザーだったのだが、その掃除機のデキが著しく悪かった。あまり吸わない上、フィルタ掃除も大変。小型軽量でワイヤレスということだけが、唯一の取り柄という製品だった。最新モデルではないが、2005年にEC-BP3を購入したときにも、東芝の掃除機にはあまり良い印象を持っていなかったので、次に掃除機を買うときは“東芝の掃除機だけは決して買わない”と心に決めていたほどだ。

 ところが、そのことを伝える前に彼女は「私も東芝の人間ですが、販売応援に来ても売りたいと思える東芝の掃除機がなくて困っていたんです。特に中級機に関しては、他社さんの方が良いところも多いので、そちらを勧めます」と言い始め、丁寧に各社の良いところと悪いところを解説してくれた。

 最初はそうやって信用させた上で東芝製掃除機を売る作戦なのかとも思ったのだが、どうやらそうではなさそうだ。話をしていると彼女はタダの営業担当者という感じではなく、技術者や商品企画担当者に直接インタビューしている感覚に陥るほどの人物だった。「自分で使いたいと思わない製品は、いくら自社製でもやっぱり勧められないですよね」という言葉が印象的だった。

 その彼女がVC1000Xを評して「確かに静かですし、オゾン脱臭でニオイも出ません。パワーヘッドのブラシ回転方向が自動的に変わったり、LEDライトなども便利ですが、必須でもないでしょう。一番はやっぱりセルフクリーニング機能。いろいろな製品がありますが、この機能に関してはVC1000Xが一番優れていると思います」と話し、様々な筆者の疑問に対してもロジカルに応じてくれたことが、買わないと心に決めていた東芝掃除機の購入を後押しした。


 筆者がこうしてお掃除ロボの仕組み、振る舞いについて検証できたのも、この時に事細かく動作の仕組みを彼女が教えてくれたからだった。店頭において、メカニズムの詳細まで話を聞ける機会というのはそれほど多くはないと思うが、販売応援の彼女がいなければ筆者は当時は他製品よりも高い値付けだったVC1000Xを購入することはなかったとも思う。ちなみに現在でも7万円前後の販売されている。Amazon.co.jpでは69,720円だ。

 量販店におけるメーカーの販売応援というと、とかく“売りつける”イメージを強く持つものだが、気になる機能に関して徹底的に議論できる知識がある人ならば、忌み嫌うのではなく、積極的にその知識を吸収して購入判断に活用する方が良いと感じた事例ということで、最後に付記させていただいた。





URL
  東芝ホームアプライアンス株式会社
  http://www.toshiba.co.jp/index_j3.htm
  掃除機関連記事リンク集
  http://kaden.watch.impress.co.jp/static/link/cleaner.htm

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2008/08/04 00:01

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