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家電製品ミニレビュー
東芝「クワイエ VC1000X」

~「業界No.1」静かなサイクロン掃除機
Reported by 奥川 浩彦

 東芝から、「業界No.1」49dBの静音性を実現したサイクロン式掃除機「クワイエ VC1000X」(以下、クワイエ)が3月に発売された。

 「クワイエ VC1000X」では従来機と異なる内部構造が採用され、「業界No.1」となる49dBの静音性を実現したという。


 これまで使っていた掃除機は1995年製の東芝のもの。この機種で不満だったのはまず音。こちらがテレビを観ている時に、家人が掃除機をかけるとテレビの音が聞こえなくなってしまう。

 2つ目はニオイ。排気口がこちらに向くと逃げたくなるニオイがした。臭うということは、きっと目に見えない細かな塵が、大量に飛んできているということ。それを想像すると不快な気分にもなっていた。

 買い替えにあたり、編集部の方に「静かで臭くない掃除機」と相談すると、「業界一49dBですよ」と紹介されたのがこのクワイエというわけだ。価格はオープンプライス。Amazon.co.jpで57,422円で購入した。


ホース、延長管、「ライト付ワンタッチどこでもブラシ」、「新・快走オートマパワーヘッド」 「ライト付ワンタッチどこでもブラシ」ライトは意外と便利

「新・快走オートマパワーヘッド」と「ライト付ワンタッチどこでもブラシ」 床ブラシの裏側。右の緑のローラーで前後の検知する。左のローラーが安全装置

 まず、外観から見ていこう。本体は262×374×245mm(幅×奥行き×高さ)とやや大きめ。重量は本体だけで5.7kg、ホースも含めると7.5kgとかなり重い。実際に持って運ぶときはズシリとくる。転がせば問題ないが、階段などを持って上がるのは女性には辛いかもしれない。

 ホースの先は3分割されている。収縮する延長管は縮めると465mm、伸ばすと750mm(接合部除く)となる。ストッパーにより5段階に長さを変えられる。その先に「ライト付ワンタッチどこでもブラシ」、「新・快走オートマパワーヘッド」という床ブラシをつなぐことができる。手元スイッチにもブラシが付いていて、手元スイッチの裏にすき間ノズルを取り付けることが出来るので、全てのパーツを一緒に持ち運ぶことが可能だ。

向きが変わって数cm進むとローラーの回転方向が変わる シフトチェンジセンサーは単純な仕組みだ


 「新・快走オートマパワーヘッド」と呼ばれる床ブラシは、移動方向に合わせブラシの回転が自動的に切り替わる方式だ。仕組みは単純で、シフトチェンジセンサーと呼ばれるローラーの向きで移動方向を検知している。ローラーの向きが変わるのに数cm必要なので、ブラシの往復運動より少し遅れて回転方向が変わる。実際に使ってみると、押す方向の時は前へ、引くときは後ろへブラシがアシストしてくれるのがわかる。

 シフトチェンジセンサーの隣にあるローラーは自動停止装置だ。これは押し込むとブラシが回転する仕組みで、床ブラシを持ち上げるとブラシの回転が自動的に止まる。内部に上下方向のセンサーもあり、裏返した状態では自動停止装置のローラーを押し込むことが出来ないためブラシがいきなり回転する危険はない。小さな子供がいる家庭でも安心だろう。

 ブラシの位置は先端ギリギリに取り付けられている。加えて先端のゴム製のカバー部分は、壁や家具に当たると、斜め後ろに逃げる構造となっていて、壁際ギリギリまでブラシを近付けることが可能だ。左右はブラシが当たらない部分があるので、壁際を掃除するときは壁に直角、ぶつける方向に使えば吸い残しはなくなる。回転ブラシはコインで取り外しが可能で水洗いができる。


床に置いた段ボールを久々にどけたらホコリがたっぷり ブラシで壁際までしっかり掃除できる
「360°回転ホース」は向きを変えたいときには少々不便


 次に本体を見てみよう。外観で特徴的なのはホースの取り付け位置だ。一般的な掃除機は先端から前方に向けてホースが固定されているが、クワイエは本体上部に上向きに取り付け位置がある。

 さらに、取り付け部が回転する「360°回転ホース」を採用している。回転することにより、部屋の高いところを掃除する際に本体が起き上がったりしないのがメリットだが、実際に使用してみると使い勝手は微妙だ。曲がり角などで本体が引っかかった際、向きを変えようとホースを引っ張っても、ホースが回転して本体が動かない場合がある。不便と言うほどではないが少々慣れが必要な感じがする。


真ん中の四角い部分が吸引口、左に分離室、右にダストカップ
分離室。メタルメッシュ部分から空気が抜け、右上からからダストカップへ塵が送られる
塵は吸引口の手前を通ってダストカップへ

ダストカップは上に引くだけで取れる。上側の口から塵が入り、メッシュと抜けて下側から空気が抜ける ダストカップ。黄色いボタンを押すと下部がパカっと開く
ボタンを押して開いた状態

 内部を見てみよう。蓋を開けると右に塵を集めるダストカップ、左に塵と空気を分ける分離室がある。ホースから四角い吸引口を通った塵は分離室に入ると、約65m/sの風速で空気と分離される。空気はメタル状のメッシュから排気され後方のプリーツフィルターへ、塵は吸引口の手前のパイプを通過して右側のダストカップに移動する。

 風速65m/secは時速にすると234km/h。話はそれるが、台風のときなども最大風速60mなどと報道されるが、筆者は時速で表現した方がその凄さが伝わるような気がする。風速(秒速)60mより時速216kmと言われたら「新幹線の上には立てないよな」とが実感がわくと思うがいかがだろうか。

 プリーツフィルターは青色の蛇腹形状になったもの。しばらく使用した後にプリーツフィルターを見ると細かな塵が周辺部分に付着している。メーカーによると、このプリーツフィルターは10年間お手入れ不要という。なんでもクワイエには「フィルターお手入れロボ」が組み込まれていて、プリーツフィルターに貯まった塵を振動と風速25m/sの気流で常に洗浄してくれるというのだ。

 確かにコンセントを挿すとカタカタと振動する音がし、停止時には振動に加え空気を送っている。フィルターから振るい落とされた塵は気流によりダストカップに送られる仕組みだ。


「フィルターお手入れロボ」も持ち上げれば簡単に外すことができる 背面にプリーツフィルターがはめられている

青い蛇腹がプリーツフィルター。自動清掃で10年間お手入れ不要。水洗いも可能 しばらく使うとこれくらい汚れが付く

マナーモードから停止するところ。停止時が意外とうるさい


 「フィルターお手入れロボ」の効果を確認してみた。普通に使うと停止時に必ずお手入れロボが作動するので、しばらく稼働した後に強制的にコンセントを抜いてみた。お掃除ロボが動作する前のプリーツフィルターと、再度フィルターを取り付け通常動作させ、お掃除ロボが機能した後のプリーツフィルターを比べると、わずかではあるが差が確認できた。おそらく、なにもしなければ大量に貯まってしまうのが、お掃除ロボのお陰で写真の程度に収まっているのだろう。サイクロン式の掃除機を買うと、フィルター類を掃除するもう一台の掃除機が欲しくなると聞いたが、確かに微妙に貯まった塵を見るとそんな気になる。精神衛生上はこの汚れを見ると清掃したくなるが、性能的にはこの程度は気にしなくていいのだと思われる。このプリーツフィルターは外観からは想像しづらいが水洗いが可能だ。気になる方は数カ月に1度は水洗いすればいいだろう。

 「フィルターお手入れロボ」は迷路のように、空気の通る穴と弁がいくつもある。掃除のときの気流の経路、フィルター清掃のときの経路、更にオゾン気流が流れる経路も用意されている。手元スイッチの[切]ボタンを長押しするとプラズマオゾンユニットからオゾンを発生し、本体内に1分間循環させて内部の除菌脱臭を行うことができる。本体の蓋を開けると動作が停止してしまうので、実際に空気経路の弁がどう動いているかを確認することはできないが、もしスケルトンタイプの製品があれば、1時間くらいは楽しめそうな気がする。


お掃除ロボが動作する前
お掃除ロボ動作後。写真真ん中付近の塵が取れている

お掃除ロボが動作する前
お掃除ロボ動作後。溝の奥の塵の塊や蛇腹の山部分に塵が取れている

 さて一番気になる音を確認していこう。

 クワイエのカタログ上の運転音は43~49dBとなっている。同じ東芝のタイフーンロボは45~57dB、これまで業界で最も静かだったのはシャープのEC-VX1/2で45~51dBだ。はたして「業界一静音49dB」はどれくらい静かなのか。

 掃除を始めた瞬間に結論は出た。「テレビも見られるくらいの静かさ」という期待は裏切られたが、従来使用していた掃除機と比べると確かに違う。前は、甲高い感じの音色だったが、それと比べるとやや低音よりで耳障りではないのだ。

 動作モードは「強」「マナー」「エコ自動」の3つに分けられる。その名の通りパワーを優先するなら「強」、静かさを優先するなら「マナー」となる。「エコ自動」は塵の詰まり状況などをみながら消費電力を低減する。床ブラシが4秒間停止したり、浮かしたときには一気にパワーダウンする様になっている。動作音は「強」が最もうるさく、「マナー」はかなり静かになる。「エコ自動」は状況に応じて動作が変化し、音的には強とマナーの間で変化する感じだ。

 筆者の感覚だけでは不確かなので、実際に騒音計で計測してみた。当然、無響室ではないので参考程度の目安にして欲しい。測定条件は掃除機本体の真上約1m、A特性、暗騒音約30dB。測定場所は6畳和室(絨毯有り)、14畳リビング(フローリング)、廊下(フローリング)、7畳洋室(絨毯)の4箇所。動作条件は強(ブラシON/OFF)、マナー(ブラシON/OFF)、エコ自動(強/弱)の6モードだ。

運転音の実測値(dB)
モードマナーエコ自動
ブラシオンオフオンオフ
和室707060585766
リビング696961585965
廊下767565636371
洋室707062615867
平均71.3 71.0 62.0 60.0 59.3 67.3


騒音計で計測中。撮影用に低くしているが、測定データは1mで計測した
 「強」にしたときが一番うるさく、本体の音がうるさいのでブラシのON/OFFはそれほど気にならない。「マナー」はかなり静かで、ブラシを止めれば夜間やテレビを観ながらでも使用できるレベルだ。「エコ自動」で弱になっているのは床ブラシの動作を止めたときだけなので、実際に使用しているときはそれなりにうるさい。場所的には狭い廊下が最もうるさく76dBとかなりの騒音レベルだ。「マナー」で使用した場合も、停止すると「フィルターお手入れロボ」が作動し、「強」と同じレベルの騒音を発する。必要な動作だとはわかるがやはりうるさいと感じる。

 70dBの音圧は49dBとはかけ離れている。そのため騒音計を家電量販店に持って行って、他の掃除機を計測させてもらった。家電量販店はお馴染みのテーマ曲も流れ、暗騒音が67dBくらいある。その環境で図った結果はダイソンが80dB、クワイエが70dB、東芝の他機種が75dBとなった。厳密な測定ではないが、ダイソンの騒音は圧倒的で、他の掃除機が動いていることがわからないほどだ。80dBと70dBの差は、数値以上に大きい。また、東芝機同士ではクワイエの方が確かに静かだった。

 また、ニオイに関しては期待通りだった。クワイエにはWゼオライト脱臭フィルター、へパクリーンフィルター、イチョウ葉エキス入りフラボノイドフィルターの3重構造で、排気の細塵除去率は99.9%となっている。実際に排気口の顔を近づけても気にならないレベルで充分満足できる。

 排気風は後方から斜め上に排気される。掃除中に床にある埃を巻き上げない工夫だ。少々気になったのは、排気口の斜め下にある電源コードの穴からかなりの排気風が出てきたこと。これに関しては疑問が残った。


ホコリの貯まったダストカップ 風圧で圧縮されている

 紙パック式と比較して、サイクロン式の欠点と言われるのがゴミ捨てだ。ダストカップは引き上げるだけで簡単に取り外すことができる。上部のボタンを押すと、下部がパカっと開いてゴミを捨てることができる。ダストカップに貯まったゴミは風力でそこそこ圧縮されている。ゴミ捨て時に舞い散る塵を気にする意見も聞くが、筆者はゴミ箱の上でボタンを押して気楽に捨てている。気になる方は屋外で捨てる手もあるし、ゴミ袋の中で捨てる手もあるだろう。

 サイクロン式が紙パック式と大きく違うのは、掃除して集めたゴミの量がハッキリわかることだ。筆者の家が汚いのか、掃除機の集塵能力が高いのかダストカップにはすぐに塵が貯まる。掃除した成果が一目瞭然にわかり「こんなに綺麗になった」と感じる満足感は、紙パックでは味わえない。

収納は普通に立てる方式だ。延長管は伸ばした状態で高さは約120cm、縮めた状態では約92cmとなる。ホースをパイプ部分に固定することができ、比較的スマートに収納可能だ。


延長管を伸ばした状態。高さ約120cm
延長管を縮めた状態。高さ約92cm

 1カ月ほど使用した感想から言うと、期待を大きく超えるものではなかった。だが、他機種と比較すれば確かに静かだと思う。吸引力と音はトレードオフの関係。なかなか難しい問題ではあるが、今後のさらなる発展に期待したい。





URL
  東芝ホームアプライアンス株式会社
  http://www.toshiba.co.jp/tha/
  製品情報
  http://quie.jp/quie/

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2008/05/14 00:08

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