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家電製品ミニレビュー
ティファール「スチームジェネレータープロミニッツ」

~別体ボイラーが生み出す強力スチームアイロン
Reported by 石川 ひさよし

 アイロンの買い替え候補としてティファールの「プログラム8パワージーンズ400」を思い出した。パワフルなスチーム機能が特徴ということで当時から目星を付けていたのだが、そのティファールがさらに強力な製品を発売したとのこと。これが「プロミニッツ」をレビューすることになった経緯である。

 プロミニッツの定価は50,400円とティファールの低価格モデルと比べると約6倍の高級モデルである。知る限りでは家庭向けでこの価格帯の製品はほかに知らない。ただ、価格比較サイトをチェックしてみると、(それでもまだ高価だが)3万円~4万円で購入できるようである。今回はAmazon.co.jpで、39,800円で購入した。


ボイラーとアイロンを切り離したアイデアアイロン

 届いたプロミニッツは、およそ中身がアイロンとは思えない梱包サイズで、製品本体もかなりの大型。長年愛用しているコードレスアイロンに充電用置き台と収納ボックスを足したサイズよりも若干大きい。

 早速外観から特徴を捉えていこう。まずプロミニッツはコード式なのにもかかわらずアイロン部と充電用置き台にも似た部分に分かれているのが特徴。置き台に見える部分は実はボイラー。ボイラーをアイロン本体から切り離しているのがプロミニッツ最大の特徴なのだ。こうして、市販のアイロン製品のなかでは他に類を見ないデザインとなっている。ボイラーを別体(以下、ボイラースタンドと表記する)としたことで、大量・高圧なスチームを連続噴射できるとのこと。正式には、プロミニッツは「スチームジェネレーター」となっているのにお気づきだろうか。スチーム機能こそがプロミニッツの最大のポイントなのである。


こんな大きな荷物を注文した記憶は無い……と伝票を確かめてしまったほどデカい箱 コードレスアイロンの充電台のようなボイラースタンドに太いホースと電源コード。見たことの無いデザインのアイロン。というよりスチームジェネレーターとして捉えたほうが良さそうだ

ボイラーで作られたスチームはコードを通って本体に来る

 別体のボイラーで作られたスチームは、ボイラースタンドからアイロンに伸びるコード(というかホース)を伝わることになる。そしてこのホースのなかを電源も一緒に通っていることになる。このホースは熱いスチームが通だけあって断熱対策がされている。

 コードの太さは1.5cmほどで長さは約1.8mほど。しなやかではあるのだが折り曲げてしまうわけにはいかないため、電気コードとはまた違った取り回しが必要になることは確かだ。なお、収納はボイラースタンドの側面に用意されたスチームコード留めを使う。つまりここにはさめる程度にしなやかということだ。反対側には電源コード用の留めがある。


幅は15mm、厚みも5mmほどあるスチームが伝わるホース
スチームが通る側のホース用のフック。ホース自体はある程度しなやか
フックだけではあまり綺麗には収納できないところはちょっと悲しい

 ボイラーへの給水はおなかの部分のキャップを開けて行なう。プログラム8ではそのまま蛇口まで持っていくようなことも可能なようだが、大きなプロミニッツの場合、基本はコップを使って給水することになる。吸水口はかなり広め。容量は500mlで他のティファール製品と比べてもかなりの大容量。小さなカップでは2回ほどアイロンと蛇口とを往復することになるので大きめのコップを用意しておこう。なお、タンクは取り外しができない構造なので、排水時は少々やっかい。排水する際はプロミニッツ一式を流し台まで担いでいく必要がある。


キャップは魔法瓶のような頑丈な作り。しっかり閉めておけば熱湯こぼれることもない
タンク容量は500ml。一段凹んだところに口があり注水中にこぼすことも防いでいる

ボイラースタンドに装着したままの持ち運びも可能

 ここで重量についてメモしておこう。プロミニッツの場合、まずアイロン部が1.2kg。そしてボイラースタンドが2.3kgある。合わせて3.5kgほど。まずアイロン部だけ見れば他社のコードレス機上位モデルとさほど変わらずか若干重い程度。一般的なアイロンならばタンクもアイロン部にあることを考慮すれば使用時は同等といって良い。

 ボイラースタンドという名の通りボイラー部はアイロン置きにもなっている。コードレス機に慣れてしまうとアイロン置きの存在は火傷防止の面で安心感があって良い。そしてプロミニッツが良く設計されているなと思うのは、固定用にフックを付けているところだ。フックをかけた状態ならばアイロン部の取っ手を持って持ち運んでも安定している。ただ、取り扱い説明書によれば、使用時にかけ面が暖まるまでフックをかけておくようにとある。位置もかけ面の先端で、けっこうカッチリしたフックであるため、外す際にかけ面に触れないかヒヤヒヤである。ミトンを用意すると安心かもしれない。


加熱中や冷却中にかけ面に触れる事故を防げるスタンド仕様
フックをかければアイロン部のハンドルを握って安定した状態で持ち運べる

操作は3ステップ

温度調節は上から、麻・木綿、羊毛・絹、合成繊維、ドライ、minの5段階。ハンドルの前方にはスチーム発射用のプッシュボタンがある
 次に操作を説明しよう。操作を要する箇所は、ボイラースタンド側面にあるボイラーのON/OFFスイッチ、アイロン部には温度を調節するレバーと、スチーム用のプッシュボタンがあり、基本的にこの3つでアイロンがけができる。

 温度調節レバーは5段階。上から、麻・木綿、羊毛・絹、合成繊維、ドライ、minとなる。このうちスチームが利用できるのは合成繊維よりも上の温度の時。説明書には「ドライにセットした際はスチームを使用しないで下さい」とある。また、minにセットしても通電している。かけ面は熱くならないとのことだが、「スイッチオフはコンセントを抜いて」と心がけよう。

 アイロンがけまでの順序は、コンセントを挿して、ボイラースイッチをオンにして、温度を設定するという3ステップ。

 温度調節レバーの下のサーモスタットランプが消灯すると、設定した温度までかけ面が暖まったサインだ。また、ボイラースイッチにあるスチームランプも消灯の状態が準備できたことを示している。両方のランプが消えたら、あとは必要に応じてスチームボタンを押しながらアイロンがけできる。スチームとドライは切替え式ではなく、ボタンを押すか押さないかで使いわける仕組みだ。なお、スチームが充填されるまでにかかる時間は約7分。

 かけ面は特殊セラミックで出来ているとのことで、かけ面の温度が上がれば上がるほど良くすべるのだそうだ。また、スチーム穴は中央部35穴、側面10穴×2列、そして先端に9穴の計63穴。十数年前に購入したアイロンのスチーム穴が、先端部の7穴のみだったのを思い出すと、この進化はすごい。


ボイラースタンドの縁にあるのがボイラースイッチ ボイラースイッチのランプ、サーモスタットランプとも消灯時が準備OKのサイン 「ULTRAGLIDE」と「Turbo(スチームマーク)」という2つのロゴが誇らしげ。スチーム穴もまんべんなく設けられている

強力スチームでハンカチからデニムまで

柔軟剤無し、陰干し状態のハンカチの右半分を普通にアイロンがけしてみた。生地が薄いので基本的にはスチームを当てなくても綺麗にシワが伸びる
 では実際にアイロンがけしてみよう。まずかけ面のすべり具合だが、さすがティファールというべきか非常に滑りが良い。アイロン自体も普通かやや重めなため、あまり力を入れずにシワが伸びるといううたい文句は本当だ。ハンカチ1枚ならほんの数回すべらすだけで綺麗にアイロンがけ完了。スチームの出番は無い。

 これまでがコードレスのアイロンだったため、ややコードの存在が気にはなるが、実際のところあまり不便には感じられない。長さとしなやかさがあるためだろう。ただ、次のスチーム利用時にはこのコードがある程度熱を持つ。もちろん火傷するほどではない。子供のころ母が使っていた電気が通るアイロンコードも結構な熱を持っていたものだ、と思いおこせばそれよりは低温と感じた。

 もっと厚手でシワがしぶといものを、ということで次はチノパンとデニムに挑戦してみた。普段なら柔軟剤を入れて洗濯し、半乾きの状態でまず1回アイロンでシワを伸ばす、なんてことをしていたが、今回は柔軟剤なしでそのまま乾燥機にかけた状態でチャレンジ。

 プロミニッツのスチームボタンを押すと、かなりな音とともにスチームが噴き出す。最初は加減がわからなかったがすごいスチームの量だ。スチームボタンを押し続けるとアイロンを持つ手の方が熱くなるくらい。どうやらこれまでのアイロンがけ方法は改めたほうが良いらしい。スチームを当てるのはほんの1秒くらい。そしてスッとアイロンを滑らすだけで厚手の生地でもシワが取れる。

 とくにチノパンのジッパー部やデニムパンツの分厚い縫い面など、アイロンしづらいところもスチームを当てるだけである程度伸びる。すかさずかけ面の先端で形を整えてやれば見た目も十分に仕上がっていく。これは相当気分の良いもので、面倒だったアイロンがけが意外なほど簡単に、しかも短時間で仕上がっていくのには感動した。


チノパンの片脚のみアイロンがけ。このぐらいの生地の厚みになるとスチームの威力が出てくる。縫い目でデコボコした部分も、スチームボタンをプッシュするとその部分を中心に綺麗にシワが伸びる もう少し厚手のデニムもスムーズに。ちなみに洗濯後にそのまま乾燥機モードでカピカピに乾かしてしまったのだがなんの問題も無く、スチーム一発とほんの数回滑らせただけでこのとおり

本体を縦にしてもパワーが落ちない強力スチーム

 説明書によれば、プロミニッツのスチームは、3.5気圧という高い気圧であり、そのため一般的なスチームよりも40℃高い140℃を実現しているのだという。スチーム量は60g/分。ちなみに60g/分というのは同社ラインアップからすればやや少ないのだが、気圧の高さと温度、持続性とでこのしっかりとしたシワ取りと快適さを得ているようだ。

 また、アイロンを立てた状態でもスチームの威力と持続性が変わらないというのもプロミニッツのボイラー別体構造のメリット。ハンガーに掛けたスーツやカーテンなどにも便利なこの機能は「バーチカルスチーム」と呼ぶらしい。なお、バーチカルスチームは強力なのだが、やはりコードによる制約がある。実際試したところ、プロミニッツ自体をやや高めの位置にセットしておく方が楽だ。たぶん、立った状態で使えるアイロン台や、机の上に置いたくらいがちょうど使いやすい高さではないかなと思う。


スチームはかなりな量とかなりな音がする。映像では長めにスチームをかけたが、普段は本当にプッシュ感覚で大丈夫。むしろ普通のスチームアイロンよりもしっとりしてしまうくらい強力

準備と後片付けにはやや時間がかかる

 スチームに関してはちょっとだけ注意点もある。アイロンがけの途中でボイラーの水が足りなくなった時、水をつぎ足そうとタンクキャップを開けてはいけない。ボイラー内には高温のスチームがあるためだ。水のつぎ足しをする際は、まずスチームを出し続けてボイラー内のスチームを空に。そして温度設定レバーをminにし、ボイラースイッチをオフにし、電源プラグを抜き、十分(1時間以上)冷ましてからキャップを開けることと注意書きされている。これを誤ると大変なことになるので十分注意が必要。プロミニッツを使う際は、アイロンがけの最初にまず水を満タンにすることをおすすめする。

 アイロンがけ終了後は、アイロン部をボイラースタンドに置きロックをかけ、ボイラースイッチを切り、コンセントを抜いて1時間ほど冷ますようにとある。もちろんプロミニッツはロック機構もあるしタンクのキャップも頑丈だが、ボイラーにまだ熱湯が湧いている状態ではあまり動かさない方が良いだろう。ただし1時間放置するとなるとあまり邪魔にならない場所を選ぶ必要がある。この点、例えば日本のコードレスアイロンのように安全なカバーを付けているともっと便利だっただろう。


メリット・デメリットがハッキリしているが強力スチームは効果抜群

 もちろん年代物のコードレスと比べるべき製品ではないが、プロミニッツはまず“パワフル”コード式ということもあり、ボイラー別体という面もパワーにとってメリットだ。なかでもシワ伸ばしに関しては長い持続力と高い圧力のスチームのほか、比較的重いといわれる重量も効果的なのだろう。そして“スピーディ”使ってみて感じたのはかけ面の滑りの良さと大きさだ。今回、柔軟剤やスムーザーをあえて使わずテストしてみたが、予想以上の滑りの良さでアイロンがけの時間はかなり短縮できた。

 ただ、デメリットもハッキリしている。価格と大きさ、重さ、ボイラー操作の手順、コード式による行動範囲の制限などなど。だから踏ん切りが付きにくいかもしれない。とくに大きさやコードなどは不便と感じるところだが、プロミニッツの良さは、こうしたところを納得した上でそれでもアイロンの本来の機能「シワ伸ばし」にフォーカスを当てなければ見えてこないのではないかと思う。このシワ伸ばしに関して、これまでのアイロンに物足りなさを感じた方なら一度検討してみる価値があると思うのだがいかがだろうか。





URL
  ティファール(株式会社グループセブジャパン)
  http://www.t-fal.co.jp/tefal/
  製品情報
  http://www.t-fal.co.jp/tefal/pro_minute/index.html

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2008/07/29 00:01

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