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家電製品ミニレビュー
温風型と吸湿型の靴乾燥機、2機種を試す
Reported by 平澤 寿康
今回試すのは、温風を使って靴を乾かすものと、湿気を吸湿するタイプの2種類の靴乾燥機
雨になるといろいろな面で憂鬱になる人は多いと思う。筆者も雨は嫌いだが、特にイヤなのが靴が濡れてしまうという点だ。筆者は、比較的通気性に優れるスニーカーやランニングシューズを履く機会が多いが、そういった靴は通気性に優れるかわりに水分が内部にしみ込みやすく、雨の日にはつま先の内部まで濡れてしまうことが多い。しかも、つま先内部の濡れた靴を履くのはとにかく不快で、一刻も早く靴を脱ぎ捨てたいと思うことがほとんどだ。
また、帰宅後に濡れた靴をそのままにしておくとニオイのもととなってしまうため、できればすぐに乾燥させたいところ。濡れた靴の乾燥方法としては、新聞紙を丸めて靴の中に入れるという方法は広く知られているし、筆者もこの方法はよく利用している。ただ、長雨が続く梅雨時では、靴を乾かそうと思っても湿度が高いために簡単には乾かず、翌日も湿ったまま靴をはかなければならないこともある。そういう時には仕方がなくドライヤーを使って乾かすこともあるのだが、もちろんそれは非常に危険なのでおすすめはできない。そこで、安全に利用できる靴の乾燥グッズを試してみることにした。
購入したのは、ツインバードの「シューズパルU」と、ビーズ株式会社の「エコシューズドライヤー」の2製品。どちらもネット通販で購入。シューズパルUはメーカー希望小売価格4,200円、Amazon.co.jpでの購入価格は2,980円、エコシューズドライヤーはオープンプライスで、Amazon.co.jpでの価格は2,600円だった。
ツインバード「シューズパルU」
まず、シューズパルUから見ていくことにしよう。シューズパルUは、本体先端部に2本用意されている角のような部分から温風が吹き出すようになっており、その温風で靴を乾燥させるというもの。先日取り上げた
「シューズパルST」
とほぼ同じ仕様だ。ただ、シューズパルSTでは布製のスニーカーだけでなく革靴や長靴などにも利用可能であるのに対し、シューズパルUはスニーカー専用とされており、革靴や長靴には対応していない。そのため本体サイズは、145×80×225mm(幅×奥行き×高さ)とシューズパルSTよりもかなりコンパクトだ。
使い方は至って簡単。本体裏のスタンドを起こして縦に置き、先端に温風吹き出し口のある突起に靴の先端部分を上にしてかぶせ、本体側面にあるタイマーのつまみを回して温風を出す時間を設定するだけだ。ただし、シューズパルSTのようなモード切替機能は用意されていない。
本体正面。上部U字型の突起に靴を引っかけて利用する
左右突起部先端にはスリットがあり、ここから温風が吹き出し靴を乾燥させる
利用時には、背面のスタンドを引き上げて立てて利用する
側面にはスイッチを兼ねたダイヤル式タイマーが取り付けられている。ダイヤルを回せばスイッチが入り、セットした時間だけ稼働する
実際の靴乾燥能力だが、なかなかのものであった。今回は、手持ちのスニーカーを洗い、それを乾燥させるために利用してみたが、普段なら午前中に洗って夕方ぐらいまで干しておいても乾いていない場合がある(特に冬場は乾きづらい)のに比べ、1時間ほどでシューズパルUを使えば、つま先部分は完全に乾いていた。温風の吹き出し口が突起先端にしかないため、かかと部分は1時間経過した段階でもまだ湿っていたが、さらに30分ほど動作させたら、かかとの湿りもほぼ気にならないレベルになった。
シューズパルSTでは、本体を横に倒した状態で利用できるので、かかと部分も効率よく乾燥させられるようだが、シューズパルUのマニュアルではかかとを先端に引っかけての利用は厳禁とされており、横向きでの利用に関する記述もない。温風吹き出し口が結構小さく、かかとを引っかけると吹き出し口がふさがれてしまう可能性があるために、禁じられているのだろう。かかとまでしっかり乾かすには時間がかかってしまう点はやや残念だ。とはいえ、洗ったスニーカーを1時間から1時間半ほどでほぼ完璧に乾燥できるという点は、十分満足できる。
左側面の吸気口から空気が吸い込まれるため、この部分を塞がないように利用する
このように靴のつま先が上になるように引っかけて利用する。1時間半ほどで洗ったスニーカーもほぼ完全に乾いた
●
乾燥剤で靴の湿気を取り臭いの発生を抑える
ビーズ株式会社「エコシューズドライヤー」
対するエコシューズドライヤーは、内部に封入されている乾燥剤を利用して靴を乾燥させるという製品だ。シューズパルUのように温風が吹き出すことはなく、靴箱や押し入れなどに入れて湿気を吸い取る乾燥グッズと同じ、静的な靴乾燥機だ。使い方は非常に簡単で、靴の中にエコシューズドライヤーを入れるだけだ。電源スイッチを入れたりといった操作も全く必要なく、誰でも簡単に利用可能だろう。
封入されている乾燥剤は、おなじみのシリカゲルで、内部にめいっぱい詰め込まれているようだ。サイズは手のひらに乗る程度で非常にコンパクトだが、重量は1つ234g(実測値)と結構重く、実際に持ってみると結構ずっしりと感じる。
エコシューズドライヤーが重い理由は、乾燥剤の封入量が多いから、というわけではない。実はエコシューズドライヤーには乾燥剤を乾燥させるためのヒーターが内蔵されていて、そのためにやや重量が重くなっているのである。シリカゲルは水分を吸着しやすいだけでなく、吸着した水分は加熱することで放出でき、何度でも再利用が可能という利点がある。そこでエコシューズドライヤーでは、ヒーターを内蔵させることでシリカゲルが吸着した水分を放出させ、何度でも再利用できるようになっているのだ。
内部に乾燥剤シリカゲルが封入されており、多数の穴から靴の中の湿気を吸い取る
このように、本体ごと靴の中に入れて利用する。革靴、ブーツなど素材や形状を問わず何でも利用できる
重量は234gと見た目よりもかなり重い
シリカゲルがどの程度水分を吸着しているかは、本体上部の窓から見えるシリカゲルの色で判断する。乾燥している状態ではシリカゲルは青色だが、水分を吸着するに従って徐々に色が紫になり、最終的にはオレンジ色になる。これは、食品などに添付されているシリカゲルと同じだ。
水分を吸着したシリカゲルの乾燥方法は、本体裏にあるプラグを引き出してコンセントに取り付けるだけ。これで、内蔵されているヒーターが熱くなり、10時間ほどでシリカゲルが吸着した水分が放出される。ただし、タイマーなどは搭載されておらず、コンセントに差している間は常にヒーターが稼働する。これは、安全性を考えると少々疑問で、できれば改善を期待したい。
シリカゲルが乾燥している状態では、このように青色となる
湿気を吸い取ると紫からオレンジへと色が変わる
底面に電源プラグが用意されており、コンセントに接続すれば内蔵のヒーターでシリカゲルを乾燥できる
利用時にはつま先を下に向けてコンセントに取り付ける。ただしタイマーはなく、コンセントに差している間は常にヒーターが稼働するので取り扱いには要注意
さて、エコシューズドライヤーの乾燥能力だが、さすがにびっしょり濡れた靴を乾燥させるという用途には向かない。試しに洗ったシューズに入れ、それほど風通しの良くない場所に置いて利用してみたところ、5時間ほど経過してもまだ乾燥していなかった。もちろんある程度は乾燥していたが、それがエコシューズドライヤーによるものなのか自然乾燥によるものなのかは判断が付かないといった感じだ。
とはいえ、これはエコシューズドライヤーの本来の使い方ではない。もともとエコシューズドライヤーは、靴の中の湿気を吸い取って、雑菌の繁殖やニオイの発生などを抑えるために利用するものとして位置付けられている。帰宅後に靴の中に入れることで、靴の中にこもっている湿気が取れ、ニオイも抑えられるというわけだ。実際に革靴で1日行動し、帰宅後にエコシューズドライヤーを入れて一晩置いてみたが、翌日靴の中はサラッとしていて、特にイヤなニオイも感じなかった。雨で濡れた靴を乾燥させるという用途には厳しいが、革靴やブーツなど、こもった湿気が取れにくい靴でニオイの発生を抑えるために利用すれば、なかなかの効果を発揮してくれそうだ。
今回取り上げた、靴の乾燥グッズ2製品はそれぞれ性質が大きく異なっている。雨で濡れた靴や洗った靴を手早く乾燥させるという用途ならシューズパルU、毎日履く靴のニオイを抑えたいというのであればエコシューズドライヤー、というように、どちらも想定されている用途に沿って利用すれば、十分満足できる効果が得られる製品であることは間違いない。どちらの製品も、これから梅雨時にかけて、常に気持ちよく靴を履きたいという要望にしっかり応えてくれるはずだ。
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URL
ツインバード工業株式会社
http://www.twinbird.jp/
「シューズパルU」製品情報
http://www.twinbird.jp/product/sd501/
ビーズ株式会社
http://www.be-s.co.jp/
「エコシューズドライヤー」製品情報
http://www.be-s.co.jp/PressRelease/20070228-EcoShoesDryer.html
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