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【特別企画】花粉の季節・空気清浄機の基本と選び方

~加湿空気清浄機から卓上型まで
Reported by 平澤 寿康

 今年は異常とも言えるほどの暖冬で、2月の初頭からさっそくスギ花粉の飛散が確認されている。例年よりも花粉の飛散量はやや少ないという予想ではあるが、花粉症を持つ人にとって、花粉症対策は怠れないはずだ。

 ところで、現在花粉対策として広く活用されているのが空気清浄機だ。以前は、空気清浄機と言えばたばこの煙やニオイを取るものというイメージが強かったが、現在では花粉の集塵を始め、アレル物質やハウスダストの集塵、様々なニオイの除去など、より広範囲な用途に利用されている。

 そこで今回は、花粉症対策としての空気清浄機選びのポイントを解説しつつ、ワンルームなどでの利用に適した空気清浄機をいくつか紹介していこう。





空気清浄機はファン集塵式の利用が基本

 現在市販されている空気清浄機は、「ファン集塵式」、「電気集塵式」、「イオン集塵式」という3つの種類に分けられる。ではまず、これら3種類の特徴を確認しておこう。


ファン集塵式空気清浄機。ファンで吸い込み、フィルターで濾過する
・ファン集塵式

 ファン集塵式の空気清浄機は、ファンを利用して空気を清浄機本体内に吸い込み、吸い込んだ空気を本体内に配置されたエアフィルターに通してホコリなどを集塵し、きれいになった空気を外に吹き出す構造になっているものを指す。

 ファン集塵式の空気清浄機の能力は、ファンとエアフィルターの仕様によって決まる。強力なファンが搭載されているほど空気を吸い込む能力が高まり、集塵能力が高まる。同様に、小さなホコリも逃さない目の細かなエアフィルターを搭載することによっても集塵能力は高まる。

 ファン集塵式の空気清浄機に搭載されるエアフィルターとしては、「HEPAフィルター」と呼ばれるものが利用される場合が多い。HEPAフィルターとは、日本工業規格(JIS)によって「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能を持つエアフィルタ」と定められている。つまりは、一定の性能を保証されたフィルターであると考えればわかりやすい。

 0.3μmの粒子とは、たばこの煙の粒子とほぼ同じ大きさ。つまり、たばこの煙をほぼ完全に集塵できるエアフィルターであると考えて差し支えない。ちなみに、花粉の大きさは20~30μmほどなので、HEPAフィルターを利用すれば花粉もほぼ確実に集塵可能と言える。なお、タバコの煙に含まれる一酸化炭素やニコチンなどの有害物質は空気清浄機では除去できない。

 ところで、HEPAフィルターは微粒子を集塵するためのもので、ニオイを取ることまではできない。そのため、一般的なファン集塵式の空気清浄機では、活性炭フィルターなどをHEPAフィルターに並べて配置することでニオイを吸着させる構造になっているものが多い。

 さらに、最近では”プラズマイオン”と呼ばれる物質を利用して、消臭や除菌、アレルゲン物質やウィルスの分解・不活性化を行なう機能を持つ機種も増えている。プラズマイオンとは「OHラジカル」という物質を指している場合がほとんどで、このOHラジカルがニオイ物質やアレルゲン物質などと反応し、ニオイを分解したりアレルゲン物質などを分解・不活性化する。これによって、微粒子の集塵以外の能力を高めているわけだ。

 ファンを利用して大きな風を起こし、部屋の空気を一気にかくはんしつつホコリと一緒に吸い込んで集塵するため、特に花粉やホコリなどの集塵能力は非常に高い。ただ、本体内部にファンや集塵用フィルターを配置する必要があるため、本体サイズが比較的大きくなったり、稼働時の騒音が大きい、定期的なフィルター交換が必要なためにランニングコストがかかる、といった欠点がある。


電気集塵式を採用した業務用分煙カウンター。写真は松下電器産業の「F-P15K2」
・電気集塵式

 電気集塵式の空気清浄機は、高電圧によって発生するプラズマ放電を利用して電気的にホコリを集塵する方式のものを指す。プラズマ放電によって空気中のホコリなどが帯電し、反対の電荷となる電極に帯電したホコリが吸い寄せられることによって集塵が行なわれる。静電気を帯びた部分にホコリが吸い寄せられるのとほぼ同じ原理である。ただし、電極のそばのホコリしか集塵できないため、集塵能力を高めるために強制的に空気の流れを作るファンが取り付けられている。

 電気集塵式の空気清浄機は、電極にホコリが吸い寄せられるという構造のため、ファン集塵式のようなホコリを集塵するためのフィルターは必要ない。ただし、電極を素通りしてしまうホコリもあるため、フィルターを使うファン集塵式の空気清浄機よりも集塵効率はやや落ちる。

 とはいえ、電極に集塵されたホコリは水道水などで洗い流せばよく、メンテナンスコストもほとんどかからないため、電気集塵式の空気清浄機は、特に業務用として広く販売されている。以前は一般家庭用として販売されていたこともあるが、現在はほぼ存在しないといっていい。


・イオン集塵式

 イオン集塵式の空気清浄機は、基本的な集塵の仕組みは電気集塵式とほぼ同じ。高電圧をかける電極を用意し、電極で発生するプラズマ放電によってホコリを帯電させ、逆荷電を持つ電極に集塵させるというものだ。

 ただ、電気集塵式と異なるのは、空気の流れを作るファンが取り付けられていないという点だ。ファンが取り付けられていないために、利用時はほぼ無音であり、非常に静かという特徴があるものの、空気の流れができないために、本体周辺のごく狭い範囲にしかその効果が及ばない。

 そのため、一般家庭で利用したとしても、部屋全体のホコリを集塵することは非常に難しい。事実、2000年に公正取引委員会は、イオン集塵式空気清浄機の集塵能力に関して不当表示があるとして排除命令を行なったほどだ。業界団体の日本電機工業会(JEMA)でも、このタイプの製品は空気清浄機として認めていない。

 そのような経緯もあって、一時はイオン集塵式の空気清浄機は市場から姿を消した。しかし、最近になってイオン集塵式の空気清浄機が徐々に市場に出回ってくるようになっている。確かに狭い範囲に対しての集塵効果はあるものの、部屋全体に対しての集塵効果はほとんど期待できない。

 これら3タイプの空気清浄機のうち、家庭用の空気清浄機として現在最も主流のものはファン集塵式だ。電気集塵式は業務用が主で家庭用の製品はほとんどなく、また集塵能力の低さからイオン集塵式は期待するような効果が得られない。つまり、製品選択肢の多さも合わせ、家庭用の空気清浄機は、事実上ファン集塵式のみに絞って考えていいというわけだ。

 確かに、ファン集塵式の空気清浄機には、ランニングコストや騒音の問題がある。しかし、モーターの性能が向上したこともあり、特に静音運転時には音がほとんど気にならないほどの静音性が実現されている。また、定期的なフィルター交換が必要という点に関しても、だからこそ他の方式よりも高い集塵効率が確保されているわけで、欠点とは言えないだろう。

 これからの季節、花粉をしっかり集塵する目的で空気清浄機を購入しようと考えているのであれば、やはりファン集塵式の空気清浄機がベストだ。


用途に合わせて機種を選択しよう

JEM1467で定められている測定環境
 ファン集塵式の空気清浄機といっても、その種類は非常に多い。また、多機能化も進んでおり、機種選択に悩むことも多いはずだ。だが、花粉症対策というしっかりとした用途があれば、製品選択はそれほど難しくない。

 空気清浄機を選択する上でまず確認すべきスペックは「適用床面積」だ。適用床面積とは、その空気清浄機がどの程度の広さの部屋に対して有効に働くかを示す指標となる。設置しようと考えている部屋の広さをカバーするものを選択すべきなのは当然だが、できれば多少余裕のあるものを選びたい。例えば、12畳の部屋で利用しようと考えているなら、適用床面積の上限が12畳よりも広いものを選択したほうが余裕を持った空気清浄が可能となる。

 ちなみに適用床面積は、JEMAが定める「JEM1467」という規格に基づいて算出されている。これによると、適用床面積の定義は、「自然換気回数1(1回/時間)の条件において、粉塵濃度1.25mg/立方mの空気の汚れを30分でビル衛生管理法に定める0.15mg/m^3まで清浄できる部屋の大きさ」となっている。

 簡単に言うと、「たばこ5本分の煙に含まれる微粒子を30分できれいにできる部屋の広さ」ということになる。大手メーカーはみなこの基準に沿って表記しているが、輸入品などでは、表記されている適用床面積がJEM1467に基づいていない場合もある。こうした製品を購入する場合は、JEM1467という記述があるかどうかをしっかり確認しよう。


各種センサーは表面パネルの中にあることが多い
 次に機能面。ファン集塵式の空気清浄機の中でさらにカテゴリー分けすると、24時間常時稼働させて部屋全体を浄化するタイプのものと、デスクの上など限られた場所をスポット的に浄化するタイプのものに分けられる。

 24時間稼働で部屋全体を浄化するタイプのものは、フロアに置いて利用する大型のものが中心。製品によって異なる部分もあるが、基本的にはサイズが大きいほど大きな部屋に対応できる。また、大きなファンを搭載して強力な風を発生させられるものほど集塵能力も上がる。ボディの大きさ(=ファンの大きさ)と集塵能力は、ほぼ比例する。言い方を変えれば、集塵能力、つまり花粉を吸い込む能力を求めるならば、ある程度の大きさを覚悟した方が良いだろう。

 最近の機種では、ニオイやホコリ、花粉など様々なセンサーを搭載し、部屋の状態を常に監視しつつ、風量を自動調節するようになっている。花粉対策として購入するならば、ホコリセンサーを搭載するものを選択したい。


加湿空気清浄機の内部。水に浸した加湿フィルターに空気を通し、湿度を上げる。写真はシャープの「KC51-C1」
 また、一部、加湿機能を持つ製品も登場してきている。これは、単なる加湿器の代替としてだけでなく、加湿によって花粉が飛散しにくくなったり、ウイルスの働きを鈍らせる効果も得られる。当然、価格は高めとなるが、加湿器を持っていないのであれば、選択肢に入るだろう。

 さらに、イオン放出機能の有無もチェックポイントだ。メーカーごと、さまざまな呼び名で呼ばれるイオン放出機能だが、その多くはOHラジカルという物質だ。OHラジカルは花粉などのアレル物質やウイルスを分解・不活性化する効果がある。ただし、空気清浄機の役割は、「汚い空気を吸い、きれいにして吐き出す」のが基本。こうした機能は付加機能として捉え、予算に余裕があるならば、選択するようにしよう。

 一方、デスクの上に置いて利用するような小型の製品は、スポット的に浄化するタイプだ。こういった製品に搭載されているファンは小さく、部屋全体の空気を浄化したり、花粉を除去するといった用途には不向き。灰皿の近くに設置し、部屋全体にたばこの煙が拡がらないようにしたり、デスク周りのホコリを吸い取るなど、局所的かつ一時的に使うためのものだ。

 では、ここから用途別にいくつか製品を紹介していこう。今回は、6~8畳程度のワンルームに住むひとり暮らしの家庭向けということで、24時間連続稼働タイプとして、加湿機能付の高機能モデルと、1万円ほどで購入できる一般的な仕様のモデル、そしてデスク上で利用するスポット用途の3製品を取り上げたので、参考にしてもらいたい。





三菱電機 MA-266SV

三菱電機 MA-266SV
 三菱電機のMA-266SVは、適用床面積が最大12畳(20平方m)と、ワンルームにピッタリな加湿機能付空気清浄機だ。空気清浄機以外に加湿器を置かなくてすむというメリットに加え、このMA-266SVは一般的な空気清浄機に比べてもかなりコンパクトで、特に省スペースに気を遣うワンルームには最適と言っていいかもしれない。

 また、ホコリセンサーが搭載され、少量の花粉にもすぐに反応して急速空清を行なってくれるという部分も特徴の1つだ。低価格な空気清浄機にはホコリセンサーが搭載されていない製品もあるが、当然そういった製品と比較すると、花粉対策には有利といえる。実際に、ベランダ側の窓を開けるとすぐにホコリセンサーが反応し風速が強くなる。花粉やホコリをきちんと関知してしっかりキャッチしてくれているというのが見た目にもわかって、非常に気持ちがいい。

 ボタンやインジケーターは、本体正面に配置されている。電源ボタンの横には、運転状態を示すランプに加え、湿度を示すモニターランプと空気の汚れ具合を示すモニターランプが用意されている。汚れ具合は、基本的には花粉やホコリの量を示す。湿度が50%を切ったり、センサーが花粉やホコリを検知すると、風速が強くなり、一気に空清・加湿を行なう。ただし、ニオイセンサーは搭載されていないため、基本的にニオイには反応しない。

 風速は、「弱(静音)」、「中」、「強」の3段階。「弱」は、騒音がほとんど聞こえず、非常に静かだ。また中でも比較的うるさくない。ただし「強」はかなりうるさい。とはいえ、実際に自動運転で使ってみても「強」での運転となることは一度もなかった。通常の使用では、ほぼ「強」で動作することはないと考えていいだろう。

 内蔵されるフィルターは、表面がHEPAフィルター、裏面が活性炭フィルターとなっており、ホコリや花粉をHEPAフィルターで取り、ニオイは活性炭フィルターで吸着する。そのフィルターの奥には加湿用フィルターが取り付けられており、空気に湿気を与える。加湿方式は気化式のため、加湿時に余計な電力がかからない点もうれしい。それでいて、加湿能力は430mL/hと十分な能力を備えている。

 運転モードは、花粉やホコリの除去を重点的に行なうモードと、「のどガード」と「うる肌モード」という2種類の加湿を重点的に行なうモード、そして加湿と空清を同時に行なう標準モードの4モードが用意されている。のどガードは、ウィルスの働きが鈍くなる湿度60~70%ほどに湿度を保つモード、うる肌モードは、上下10%ほどの揺らぎを持たせた湿度管理を行なうモードとなっている。また、標準モードでは、加湿と空清を同時に行なうモードで、湿度は50%ほどに設定され、花粉やホコリを検知したら空清強化に切り替わる。


本体前面の操作ボタンおよびインジケータ類。電源ON/OFFや動作モードの設定は全てここで行なう 本体内蔵の抗アレル除菌HEPAフィルター。裏面側は活性炭フィルターが配置された2層構造となっている HEPAフィルターの奥には加湿フィルターが配置されており、HEPAフィルターを通ってきれいになった空気が加湿される

空気は本体前部の側面および底面から吸入される 本体側面にホコリセンサーが配置されており、花粉やホコリを検知する 右側面には加湿用の水タンクが用意されている

水タンクの水が水受けに溜まり、加湿フィルターに浸透して加湿が行なわれる。加湿方式は気化方式だ タンクの容量は2.5L。縦長なので洗面所や台所の蛇口から直接水を入れるのは難しい

 加湿機能は、内蔵される湿度センサーによって風速をコントロールすることによって加湿量を調節するようになっている。実際に湿度計を利用して、2日間ほど標準モードで利用した場合の部屋の湿度の変化をチェックしてみたところ、下のグラフのように、やや湿度の振れ幅が大きかったものの、60%を超えることはなく、平均すると45~50%ほどと、ほぼ理想的な湿度を維持できていることがわかる。振れ幅が大きかったのは、普段の生活どおりに、24時間換気システムを稼働させたり、窓の開け閉めを行なっていたということが理由として考えられる。

 ところで、内部の構造上、タンクに水があるかぎり、送り出す風は常に加湿フィルターを通過するため、部屋を加湿し続けることになる。例えば、自動モードでは湿度とホコリを同時にセンシングしているが、湿度が高くても、ホコリを検知して風速が強くなってしまうと、湿度はどんどん上がっていくことになる。

 ただ、気化式の加湿器では原理的に、湿度が高い状態では加湿の度合いも落ちる。湿度の高い部屋で、なかなか洗濯物が乾かないのと同じで、湿った部屋の空気を加湿フィルターに通過させても、あまり変化が起きないというわけだ。

 実際に連続駆動時でも湿度が60%を超えることはなかった。極端に湿度が上がりすぎることを心配する必要はないだろう。

 加湿機能を併せ持つ空気清浄機の中では特にコンパクトな本体サイズ、ホコリセンサー搭載で花粉やホコリの除去に有利な点、さらに販売価格が25,000円前後と比較的安価な点など、魅力の多い製品だ。花粉やホコリの除去を重視し、さらに加湿器を持っていないならば、おすすめだ。


約2日間の湿度の変化。40%~60%の間で振れているが、60%を超えることはなく、湿度がコントロールされている

URL
  三菱電機株式会社
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/
  製品情報
  http://www.mitsubishielectric.co.jp/home/airclean_kashitsuki/ma266sv_b.html




東芝コンシューママーケティング CAF-F3

東芝コンシューママーケティング CAF-F3
 東芝のCAF-F3は、適用床面積が16畳で、実売価格が10,000円前後と、コストパフォーマンスの高い空気清浄機だ。構造は、本体に設置したフィルターによって、花粉やホコリ、ニオイなどを除去するという、非常にオーソドックスなもので、加湿機能や、イオン放出機能は搭載していない。適用床面積という基本スペックを重視した作りだ。それでいて、本体は結構コンパクトになっており、ワンルームに設置する場合でもそれほど邪魔に感じることはないだろう。

 フィルターには、「除菌クローンHEPAフィルター」を採用している。HEPAフィルターに加え、活性炭を利用した「脱臭フィルター」、花粉やダニなどの働きを低下させる「花粉・ダニフィルター」、そしてフィルターに付着したウィルスや菌の働きを抑制する抗菌フィルターの4層構造となっており、花粉やホコリ、ニオイなどを除去してくれる。

 用意されているセンサーは、ニオイやたばこの煙などを検知するニオイセンサーのみとなっており、花粉やホコリを検知するセンサーは用意されていない。そのため、窓を開けた場合でもほとんど反応することはなかった。花粉に即座に反応して除去してくれないのはやや残念だ。帰宅時や窓を開けたときは、「強」運転にするなど、使い方の工夫でカバーすることになるだろう。


本体前面の操作ボタンおよびインジケータ類。自動運転とおやすみモード、手動運転と動作モードはシンプル 内部に設置される除菌クローンHEPAフィルター。HEPAフィルター、活性炭フィルター、花粉・ダニフィルター、抗菌フィルターの4層構造となっている
内部には大型のシロッコファンが取り付けられており、最大16畳とパワフルな空清能力を誇る

センサーはニオイと煙を関知するもののみで、花粉やホコリのセンサーは搭載されない 吸気は本体側面からとなる 上部の排気口の中には、マイナスイオン発生器が配置されている

 操作ボタンや動作状態を示すインジケータなどは本体前面に用意されている。運転モードは「自動」、「おやすみ」、「手動」の3種類のみと非常にシンプルだ。「自動」では、ニオイセンサーが反応した場合に自動的に風力が強まる。「おやすみ」では、風速が「静音」に固定となり、インジケータの輝度が半減する。ワンルームで利用する場合、寝るときにインジケータの光が気になることがあるが、これなら安心だ。また、手動モードでは、風速を「静音」、「中」、「強」のいずれかに固定して連続運転となる。

 ファンの騒音だが、「静音」では動作しているかどうかわからないほどに静かだが、「中」および「強」ではかなりの音がする。特に「強」は、テレビを見ていても気になるほどで、常時、「強」のままで利用するのは現実的ではない。ただ、「自動」で利用していると、たまに風速が「中」に上がる程度で、ほとんどの時間は「静音」での動作となる。「強」になるのは、ほぼ、ユーザーが自分で設定したときのみと考えれば、さほど気にする必要はないだろう。

 機能面は単純だが、フィルターの集塵能力は申し分なく、16畳まで対応するパワフルな空清能力を持つ。加湿機能が必要なく、手軽に花粉やホコリを除去したいと考えている人におすすめしたい。


URL
  東芝コンシューママーケティング株式会社
  http://www.toshiba.co.jp/tcm/
  製品情報
  http://www.toshiba.co.jp/living/air_cleaners/caf_f3/




フカダック SD-245

フカダック SD-245
 この製品は、6,000円前後で購入できる非常にコンパクトな空気清浄機だ。構造としては、ファンで空気を吸い込み、本体内に設置したフィルターでホコリなどを集塵し、きれいになった空気をはき出すという、オーソドックスなもの。ただ、本体サイズが小さいために、これまでに取り上げた2機種とは、基本的な性能に差がある。

 パッケージには、“有効床面積”が6畳との記述があるが、残念ながらJEM1467に基づく適用床面積ではないようだ。そのため、実際の適用床面積はかなり小さくなるものと思われる。つまり、デスクの上などに設置し、その周囲の空気清浄を行なう製品であると考えた方が良さそうだ。

 本体に取り付けるフィルターは、活性炭フィルターと光触媒フィルターの2種類。光触媒フィルターの表面には酸化チタンが塗布されており、本体内部に配置されている紫外線含有LEDの光を受けると強力な酸化作用が発生し、OHラジカルが生成される。このOHラジカルによって消臭や除菌効果が得られるとされている。

 ただ、光触媒フィルターおよび活性炭フィルターは非常に薄く単純な構造となっており、HEPAフィルターと比べて優れた集塵能力を持っているようには見えない。しかも、フィルターの面積自体も非常に小さく、“空間”ではなく“ポイント”で使用する製品という印象だ。

 本体前面下部に、LED内蔵型のボタン型スイッチが4個並んでいる。これらのボタンは、電源ボタンと風速切り替えボタン、タイマー、イオン発生のボタンとなる。風速は強弱の2種類のみだが、弱でもかなりの騒音を発する。タイマーは1時間の切タイマーだ。また、イオン発生ボタンではマイナスイオン発生器のON/OFFを制御する。風速の自動制御機能などは用意されておらず、基本的に全て手動運転となる。必要なときだけ電源を入れるスタイルを前提としているため、センサーによる自動制御がないわけだ。

 騒音もやや大きく、サイズから考えても6畳ほどの部屋に設置して花粉やホコリ、ニオイの除去に利用するというのはやはり苦しい。これは、デスクの上や灰皿の近くに設置して性能を発揮する製品だろう。活性炭フィルターと光触媒フィルターによるニオイや煙の除去は十分期待できるはず。目に見える煙や鼻で感じられる臭いを、部分的に吸い取るもの、という理解すれば良い。そう割り切れば、6,000円前後という価格分の働きは十分してくれるはずだ。


本体の角度は前後3段階に調節可能となっている
前に傾けたとき

本体前面の操作ボタン。プッシュ式で、ON/OFFや風速などの設定を行なう
内部に配置するフィルター。左が活性炭フィルター、右が光触媒フィルターだ
本体前面のカバーを開け、この部分に2種類のフィルターを設置する

6個のLEDと光の反射板が取り付けられており、このLEDの光によって光触媒フィルターが作用してOHラジカルが発生する
本体背面の排気口部分にファンが取り付けられている。ファンの動作音は弱でもかなり大きい

URL
  フカダック株式会社
  http://www.fukadac.co.jp/




 今回は、ワンルームでの花粉対策を主な用途として想定し、適用床面積が16畳以下で、比較的サイズがコンパクトな製品を紹介した。現在の空気清浄機は、たばこをメインターゲットにした簡易なものから、花粉、ハウスダスト対策やニオイ除去、ウイルス除去機能などを搭載した高級機まで、そのバリエーションは多岐に渡っている。

 “適用床面積”という基本スペックとともに、必要とする機能をしっかりチェックすることで、失敗のない製品選択を行なってもらいたい。





URL
  日本電機工業会(JEMA) 空気清浄機について
  http://www.kuusei.jp/

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2007/02/22 00:01

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