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水素から直接発電する「純水素燃料電池」など~エコプロダクツ2015
(2015/12/10 17:51)
環境に優しい持続可能な社会の実現を考える、日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ 2015」が、12月10日~12日の3日間、東京ビックサイトで開催されている。今年で17回目となる同展示会のテーマは「わたしが選ぶクールな未来」。700社の企業・団体が最新のエコ関連製品を展示する。
入場は無料(登録制)で、会場には社会見学などで訪れる学生も多く、小中学生でも楽しめる展示が並ぶ。家電 Watchでは、パナソニックの取り組みを紹介する。
水素社会の実現に向けた未来の「エネファーム」
パナソニックは、「A Better Life, A Better World」をコンセプトに、同社が実現を目指す姿を展示。環境負荷の少ない「水素エネルギー」技術や、CO2の排出を低減するエコカーなどを紹介していた。
ブースの中心では、エネファームを通した水素技術を紹介。エネファームは、都市ガスから水素を取り出し、空気中の酸素と結びつけることで電気を作る家庭用燃料電池。発電時に熱が発生するため、タンクにお湯として溜めることで、電気とお湯を同時に作ることができる。2009年より販売を開始し、さまざまな家庭施設で利用されている。
水素は、宇宙で最も豊富にある元素であり、燃焼すると水になりCO2を排出しないため、省エネ性が高く地球温暖化防止にも繋がるという。この水素をエネルギーとして利用するために、同社は20年以上にわたって水素に関する研究を続けている。
現在開発しているのが、都市ガスを使わずに水素を生成してエネルギーにする「純水素燃料電池」。
既存の家庭用燃料電池「エネファーム」は、内部に搭載されている改質器を通して、都市ガスから水素を取り出している。都市ガスは炭素を含んだ化石資源のため、二酸化炭素や一酸化炭素が発生してしまう。
だが、開発中の「純水素燃料電池」は都市ガスを使わず、直接、水素から発電するもので、将来的には太陽光と水から生成する水素を利用する方法などが検討されている。自然エネルギーを利用して水素を作るため、クリーンなだけでなく非常時にも安定した電源供給が可能になるという。
「純水素燃料電池」は、発電量750Wの家庭用と、5kWの業務用を用意している。山梨県米倉山の施設「ゆめソーラー館やまなし」内に試験機を設置し、発電性能の試験を実施中。2020年までの実用化を目指している。
3種のプラスチックを分類してリサイクルに活用
家電のリサイクルに関する説明コーナーも設置。自治体などから回収された家電を、リサイクル工場でプラスチック再生する仕組みを紹介していた。
家電の部品に使える「ポリプロピレン」「ポリスチレン」「ABS」の3種のプラスチックを選別する機械を用意し、デモを実施。赤外線で3種類をそれぞれ分類することができ、10月には資源循環技術・システム表彰 経済産業大臣賞を受賞した。
小学生が楽しみながら環境について学べるビンゴやセミナー
また、ブースの入り口には、パナソニックが目指す未来の姿を物語風にした絵巻「ECO Wall」が目を引く。家電だけでなく、車や飛行機など、同社が展開するさまざまな事業を紹介する。
入り口ではビンゴ大会が行なわれ、配布されているビンゴカードの絵柄と同じものが、テレビ画面に表示されると穴を開けられ、ビンゴを目指す。絵柄は、「車・空・おウチ・オフィス」など、同社が取り組む環境事業に関連するものがピックアップされていた。
画面に絵柄が表示される際には、例えば車の場合は「車載用リチウムイオン電池供給量 世界No.1」などの解説を用意。1回7分ほどの所要時間で、小中学生が多く参加していた。ビンゴをクリアすると、デジタルカメラや衣類スチーマーなどが当たる抽選会に参加できる。
セミナーブースもあり、パナソニック社員が講師となって環境事業に関するワークショップを開催。「エネルギー収支ゼロを超えるエコ性能 パナホーム ゼロエコ」から、小学校高学年向けにエネファームを説明する「水素を使った小さな発電所~家庭用燃料電池~」まで、幅広い年齢層に対応する講座を用意。
外部講師も招いており、12月11日には宇宙飛行士・山崎直子氏による「宇宙、人、夢をつなぐ」と題した特別講演も行なわれる予定。いずれの講座も15~30分ほどで、事前予約は不要。