三菱、純度99.9%の“本炭釜”搭載の蒸気レスIH

「蒸気レスIH NJ-XWA10J」。左からルビーレッド、ピアノブラック

 三菱電機は、純度99%の本炭釜を内釜に採用した「蒸気レスIH NJ-XWA10J」を2010年2月1日から発売する。希望小売価格はオープンプライス。店頭予想価格は11万円前後。

 炊飯工程中に発生する蒸気を蓋の内側に設置したカートリッジで回収し、外に蒸気を出さないIH式の炊飯器。蒸気を抑えることで、炊飯工程での大火力、密封状態が可能となり、米の旨み成分を引き出すことができるという。また、蒸気を外に出さない事で本体設置付近が蒸気で汚れる事がなく、設置場所を選ばないという点も特徴。

 同社では今年2月に業界で初めて炊飯中に発生する蒸気を回収する「水冷式蒸気回収システム」を搭載した炊飯器を発売したが、5万円以上の高級炊飯器市場で発売以来9カ月連続で売り上げ1位になるなど高い評価を受けている。

本体上面の操作部分本体側面。四角い形が特徴的フタを開けた状態
フタの内側には蒸気を回収するカートリッジが設置されている本体カットモデル回収した蒸気は水で冷やされる。炊飯工程中は写真のように蒸気が泡となってタンク内に放出される
昨年モデルは、発売以降9カ月連続高級炊飯器市場で売り上げが1位だったという蒸気が出ないことで、置く場所を選ばない、炊飯中の匂いが抑えられるといった利点があるという蒸気を水で冷やして回収する同社独自の水冷式蒸気回収システム

 2代目となるNJ-XWA10Jでは、これまで最上位機種にのみ搭載されていた純度99.9%の竹炭を使った本炭釜を新たに採用している点が最大の特徴。これまで、同社の炊飯器のラインナップで最上位機種はIH式炊飯器の「本炭釜」だったが、今回のリニューアルでNJ-XWA10が同社の炊飯器の最上位となる。

 まず、内釜には、従来の「本炭釜」に搭載されている内釜を採用する。本炭釜は、純度99.9%の炭素材料を使用し、職人が削りだして作る高級内釜。IH加熱の際に発熱する磁力線との相性が良く、釜全体が発熱するため、米を均一に加熱することができるという。

 また、底部の厚みに変化をつけて、沸騰の時に発生する泡をより大きくし、米を押し上げながら炊きあげるという。こうすることで、米はふっくらと炊きあがり、炊きあがりの際の米の高さは従来の金属多層釜に比べ約20%向上するという。

今回から新たに採用した「本炭釜」。純度99.9%の炭素材料で出来ている削り出す前の炭素材料。炭は電気を通す性質だという本炭釜を作る工程。削り出しの作業は職人が担当しているという

 加熱方法では、同社の圧力式炊飯器に搭載されている「五重全面加熱」を新たに採用した。これはフタと、胴回りにそれぞれヒーターを設置し、さらに釜底に3重のIHコイルを設けたもので、5つのヒーターで内釜を包みこむように加熱することで炊きムラを抑えるという。

釜の上部、側面、底面の全部で5つヒーターを搭載した五重全面加熱左が従来機種、右が新製品。釜の中央部分まで熱がしっかり届いている

 炊飯メニューでは、米の甘みを引き出す「匠芳潤炊き」を新たに搭載した。これは、低温で米に含まれるデンプン分解酵素を活性化させて、米の糖度を引き出すというもの。炊き始めの低温時間を通常より長く維持することで、米の糊化を抑え、ベタつきを抑えているという。炊飯時間は通常炊飯に比べ約15分長い。なお、炊きあがりの米の味は圧力式炊飯器に比べ、しゃっきりとして食感は固めだとする。

 そのほか炊飯メニューでは、発芽米、おかゆ、すし、炊き込み、玄米などのメニューを用意する。

炊き始めの低温時間を多めにとる「匠芳潤炊き」炊きあがりはしゃきしゃきとした食感で、甘みが通常炊飯に比べ高いとする

 使いやすさの面では、内釜の水位線の表示を分かりやすくしたほか、蒸気を回収する水タンクの水位線も見やすいものに改良した。また、液晶部分には文字が見やすいホワイトバックライト液晶を搭載する。

釜の内側の水位線を見やすくした線だけでなく点でも水位を認識できるため、上からでも見やすいとする水タンクの水位栓も改良した

 本体サイズは、253×348×230mm(幅×奥行き×高さ)。重量は約6.1kg。炊飯容量は5.5合。最大消費電力は1,350W。本体カラーは、ルビーレッドとピアノブラック。

「NJ-XSA10J」。左からルビーレッド、クリスタルホワイト

 下位機種として、本炭釜、匠芳潤炊きを省略した「NJ-XSA10J」を同時発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は8万円前後。本体カラーはルビーレッドとクリスタルホワイト。

 

 

 


三菱電機ホーム機器株式会社営業部 部長 吉田泰弘氏

 三菱電機ホーム機器株式会社 営業部 部長 吉田泰弘氏は、NJ-XWA10について「現時点で考えるもっともおいしくご飯が炊ける炊飯器。全ての機能をギリギリで揃えるのではなく、本質の機能を突き詰めた製品」と話し、製品への自信を見せた。





(阿部 夏子)

2009年12月8日 19:22