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ウェアラブル端末やセンサーを使った東芝のスマートホーム向けサービス

製品展示や将来に向けた実験を行なうスマートハウス

Toshiba Smart Home
快適な住空間を実現するには、空調や照明の最適な制御や、ウェアラブル端末による居住者の活動量や睡眠の把握が必要とする

 東芝は、ホームソリューションの事業拡大を目的とした、顧客向けの体験型展示、および実証実験施設「Toshiba Smart Home」を10月2日より開設した。同施設の主要諸元は、建築面積が140.77平方m、延床面積が225.23平方m、1Fの床面積は140.77平方m、2Fの床面積が84.46平方m。

 この施設は、同社の府中事業所に建設された。既存の商品やサービスに加え、開発中の技術や、未来に向けたコンセプトを、ハウスメーカーやマンションデベロッパーなどの顧客に伝えるためのショールームや、新商品やサービスの開発を進めるための実証実験棟として活用される。

 同社では、Toshiba Smart Homeのコンセプトとして、「環境(エネルギー)」「こころ(快適)」「からだ(ヘルスケア」)」の3つを掲げる。人々の生活パターンに合わせた、エネルギー機器や、空調・照明などを最適に制御し、経済的で、快適・便利・健康な暮らしを実現する商品やサービスを展示している。

 エネルギー面では、エネルギーゼロの住宅(ZEH)というニーズを実現するために、高効率な太陽光発電やエネファームの最適な制御を行ない、さらに蓄電池などを組み合わせることにより、光熱費を最小化する。

 また、今後のエネルギー市場の動向として、2014年よりスマートメーターの導入が進み、2016年には電力小売が自由化される。電力小売自由化のタイミングで、太陽光発電の売電価格が電気料金より安くなるため、太陽光で発電した電力は「売る」から「賢く使う」へ変化していくという。

片流れの屋根に250Wの太陽光パネルを設置。変換効率は20.1%
左奥から、ヒートポンプ給湯器「東芝エコキュート(HEMS対応)」、定置式家庭用蓄電システム「eneGoon(エネグーン 6.6kWh)」、家庭用燃料電池「エネファーム(700W)」
2016年には、太陽光で発電した電力は売らずに、賢く使うほうへとシフトする。同社はその後、2018年には発送電の分離が進み、2020年~2030年にはZEHが標準化されると予測する

各種センサーにより快適さが保たれる居住空間

 実際の設備としては、快適な住空間を提供するため、温度/湿度/照度を感知するセンサーや、居住者の動きを把握する画像認識型の人感センサー「スマート アイ センサー」により、空調や照明を自動で制御する。省エネと快適性を両立させる。

スマート アイ センサー。従来の赤外線人感センサーでは検出しにくい、わずかな動きも検知する
人の動きをカメラでセンシングする
従来は4台のセンサーが必要だった範囲を、スマート アイ センサーでは1台でカバーできる

 また、室内の空調や照明は、スマートホームディスプレイで居住者が操作することもできる。スマートホームディスプレイでは、照明や空調に加え、カーテンの開閉などを「自動」「おはよう」「おでかけ」「おかえり」「おやすみ」の5つのモードでコントロールできる。

スマートホームディスプレイでは、照明や空調のほか、カーテンの開閉などを操作できる
発電電力と消費電力が一目で分かる
おでかけモードでは、照明や空調、さらにカーテンの開け閉めを制御。無駄な電気の使用を抑える

 ヘルスケア分野では、居住者の胸や腕に装着し、健康状態や睡眠状態を測定するウェアラブル端末と、照明やエアコンなどの設備を連動させるなど、生活のパターンに合わせた機器の制御システムを開発していくという。

 スタッフによると、将来的にはドアノブに触ることでその人の生体反応が分かるなど、家全体で居住者のデータを収集・分析できるようになるかもしれないという。

寝室では、「おやすみアシスト」機能付きのマルチカラーLEDシーリングライトを使用している
洗面所には、ミラーディスプレイを設置。天気や気圧のほか、基礎体温や血圧などを確認できる。すべての花びらがきれいに開いているかどうかで、その日の体調がわかるほか、1週間後の体調の予測データを確認することもできる
血圧の花びらをタッチすると、これまでの血圧データが表示される

太陽光パネルやエネファームなど同社のスマートホーム向け製品を展示

株式会社東芝 コミュニティ・ソリューション社 コミュニティ・ソリューション事業部長の丸山竜司氏

 Toshiba Smart Homeについて、株式会社東芝 コミュニティ・ソリューション社 コミュニティ・ソリューション事業部長の丸山竜司氏は、「環境(エネルギー)、こころ(快適)、からだ(ヘルスケア)をコンセプトにしたアイテムを展示しています。今回は、3つの電池による光熱費の最小化(エネルギー)、各種センサーと空調・照明の連動(こころ)、照明による快適な睡眠(ヘルスケア)を含め、現在、当社より発売されている製品をご覧いただけます」と述べた。

 また、将来的には、純水素型燃料電池や燃料電池自動車との連携など、水素をエネルギーとする社会を見据えたスマートホームの開発を目指すとした。

中野 信二