電気ケトルの転倒・落下による乳幼児のやけどに注意――消費者庁

 消費者庁と国民生活センターは、電気ケトルの落下や転倒による乳幼児の熱傷事故が発生していることを受け、消費者に対し、乳幼児の手の届くところに電気ケトルを置かないこと、お湯漏れ防止などの安全対策が取られた製品を選ぶことなど、注意を呼びかけている。

 電気ケトルの転倒により乳幼児が熱傷を負ったという情報は、これまでに消費者庁に15件、国民生活センターの事故情報データバンクに1件、日本小児科学会に2件報告されている。消費者庁に寄せられた15件の被害程度は、生命に危険はないが入院を要する「中等症」のものが4件、入院の必要がない「軽症」が11件という内訳になっている。

 事故原因としては、「電気ケトルを床に置いて使用し、乳児がはいはいをして倒した」という、電気ケトル本体を倒してしまった例、「コードに足を引っ掛けて、電気ケトルが落下した」のような、コードを引っ張ったことで本体が倒れる例などがあったという。消費者庁では、乳幼児が熱傷を負う原因の一つに、そもそも使用者が電気ポットとの違いを認識していないことを挙げている。

消費者庁によれば、乳幼児が熱傷を負う原因の一つに、使用者が電気ポットとの違いを認識していないことを指摘している電気ケトルと電気ポットの特徴・違い

 現在販売されている電気ケトルには、転倒による熱傷事故を防ぐために、点灯時のお湯漏れを防ぐ機構や、転倒時に注ぎ口が上を向いてお湯が漏れにくい構造の製品も出ている。しかし、高齢者が本体が軽い製品を好むなどの理由で、すべての電気ケトルに安全対策が採用されているわけではないという。

 消費者庁では事業者に対し、消費者が購入前に安全対策の有無を知るのが難しい場合があるとして、電気ケトルの広告やカタログ、外箱に、消費者が安全対策の有無を判断できるよう表示を拡充、または工夫するなど、事故防止に取り組むよう要請をしている。

 消費者に対しては、乳幼児は大人よりも体表面積が小さく皮膚も薄いため、熱傷を負った場合は重症になりやすいことを指摘。そのうえで、乳幼児の手の届くところに電気ケトルを置かないこと、お湯が少ない電気ケトルは乳幼児の力でも倒れやすいため、容器内に熱湯が入っていることを忘れないこと、お湯漏れ防止機能など安全対策が取られた製品を選ぶことを呼びかけている。

フタによるお湯漏れ防止機構の一例構造による転倒時のお湯漏れ低減仕様。ハンドル部分が重たいため、点灯しても注ぎ口が上を向き、流出量を抑える





(正藤 慶一)

2012年11月28日 16:21