先端エネルギーでは洋上風力発電が有望。2030年には8倍に

――富士経済調べ

 調査会社の富士経済は、先端的なエネルギー産業についてのレポートを公開した。

 このレポートでは、有望な先端エネルギーシステムについて、2020年および2030年の世界市場の規模を予測している。

 今回、公開された分では、洋上風力発電、太陽熱発電、定置型電力貯蔵システム(SESS)、地熱バイナリーの4分野について予測されている。

先端エネルギーシステムの市場規模水位(出典:富士経済)

 海上に風車を浮かべて発電する「洋上風力発電」では、2011年の市場規模が3,864億円なのに対し、2020年は4兆3,442億円に拡大するとしている。しかし、2030年以降は新設が少なく、設備更新が中心となるため3兆875億円に縮小するとしている。それでも、2011年比では8.0倍に拡大する。

 反射鏡を用いて太陽熱を集めて発電する「太陽熱発電」は、2011年に5,200億円の市場が2020年には1兆5,000億円、2030年には2兆1,600億円(2011年比4.2倍)に拡大する。日本は中緯度で太陽熱発電には適さず、アメリカ、オーストラリア、中東、北アフリカ、中国、インドなどが有望としている。

 リチウムイオン電池やNAS電池などを利用した「定置型電力貯蔵システム(SESS)」は、2011年は171億円に留まっているが、2020年に1,257億円、2030年に1,434億円(同8.4倍)に拡大する。SESSは発電量の変動が大きい再生可能エネルギーの大規模化に伴って注目を集めている。とくに、電気自動車の量産効果でリチウムイオン電池の価格低下が見込まれるという。

 「地熱バイナリー発電」は、地熱発電が使用する水ではなく、沸点の低い溶剤を用いて発電する。すでに国内でも2カ所が稼働している。2011年の市場規模は140億円だが、2020年は4,270億円、2030年には4,305億円(同30.8倍)と予測している。

 また、この4つ以外で、市場が拡大する可能性が高いシステムとして海洋温度差発電、フライホール蓄電、電磁誘導給電、磁界共鳴給電などを挙げている。また、太陽光発電システムでは、2030年以降には変換効率40%を越える量子ドット太陽電池システムが主流になるとしている。






(伊達 浩二)

2012年6月29日 00:00