政府、関西電力管内での10%節電を決定

~北海道と沖縄を除く全国で電力需給が逼迫

 政府は、関西電力管内において10%以上をめどに節電に取り組むことを決定した。期間は7月25日から9月22日で、平日の9時から20時が対象となる。

 関西電力は、7月21日からは高浜発電所4号機(87万kW)が、22日からは大飯発電所4号機(118万kW)が、4カ月間の定期検査に入る。また、定期検査の終了後に調整運転という名目で発電していた大飯原子力発電所1号炉(118万kW)が、故障により16日に停止した。

 さらに、7月18日には、中国電力の三隅火力発電所(100万kW)が故障により停止したため、中国電力からの融通(72万kW)が受けられなくなった。

 これにより、関西電力の最大供給力は2,943万kWへ低下した。最大電力需要予測の3,138万kWに対して、195万kWの不足となる。予備率はマイナス6.2%となり、東北電力のマイナス6.6%、東京電力のマイナス8.8%に近い深刻な水準に達する。

 三隅火力発電所が故障から復旧しても、最大供給力は3,015万kWに留まり、123万kWが不足する。予備率はマイナス3.9%となる。

今夏の需給見通し。左の3社が50Hz圏内、右の6社が60Hz圏内。お互いの圏内では比較的大容量の電力が融通できる。沖縄電力は地理的に離れており、他の電力会社と電力を融通できないため記載されていない

 なお、今回の節電は、政府からの呼びかけに留まり、東京/東北電力管内のような、電気事業法第27条による強制的な電気の使用制限は行なわれない。

 また、東京/東北電力管内と同様に、社会や経済活動に与える影響を避けるため、下記の業種については、一定の緩和処置を取るとされている。

1.生命・身体の安全確保に不可欠な施設(病院、上下水道等)
2.安定的な経済活動・社会生活に不可欠である一方、電力の使用形態から制限の一律適用が困難な施設(鉄道、クリーンルーム、データーセンター等)
3.被災地の復旧・復興に必要不可欠な施設(被災地の自治体庁舎等)

 すでに電力使用制限令が発動されている東京/東北電力と、今回10%節電が決定した関西電力を除く電力会社においては、「国民生活および経済活動に支障を生じない範囲での節電」を呼びかける。具体的には、照明器具や空調機器の使用制限などが想定されている。

 また、翌日の予備率が3%未満になると予想される電力管内がある場合には、政府が前日夕刻と当日朝に「電力需給逼迫のお知らせ(仮称)」を発出し、節電を呼びかける。

西日本5社の8月の需給見通し。原発の再起動ができず追い込まれたが、供給力増加対策で多少持ち直していた各社の供給力増加対策の内容。補修作業時期の変更は、定期検査の時期を夏のピーク時からずらすという対策。北陸電力と中国電力は関西電力への融通を取りやめる





(伊達 浩二)

2011年7月20日 18:29