中部電力、浜岡原発の運転停止を受け入れ

~60Hz圏の電力需給逼迫へ

 中部電力は9日、経産省を通じて菅総理大臣から要請を受けていた、浜岡原子力発電所の運転停止を受け入れると発表した。

 浜岡原子力発電所は、全部で5つの原子炉がある。1号機と2号機は老朽化のため廃炉に向けて停止中、3号機(110万kW)が定期点検中で、現在は4号機(113.7万kW)と5号機(138万kW)のみが稼働している。今回の決定により、すべての発電機が停止する。

 中部電力は、平成23年の電力供給計画では、最大電力需要を2,560万kWと見込んでいる。それに対して2,999万kWの供給力があり、439万kWの供給予備力があるとしていた。しかし、浜岡原発の全面運転停止により、3号機から5号機合わせて365万kWの発電力が失われることになり、対応を迫られることになる。

 また、中部電力は、電力需要が逼迫している東京電力や九州電力へ電力を融通しているが、これも送電できなくなる可能性が高い。浜岡原発が停止することにより、比較的余力のあった60Hz県内の地域についても、今夏の節電が重要な課題となってきた。

 中部電力が同時に発表した電力需給計画では、7月から9月の3カ月間に渡って、最大電力が供給力を上回る見込みとなっている。東京電力などの50Hz地区への送電(75万kW)を取りやめ、待機状態にある武豊火力発電所3号機(37.5万kW)を起動した状態でも、供給予備率は2.1~4.1%と低い水準に留まる。

中部電力による電力需給計画。表1は浜岡原発を停止した状態で需給がショートしてしまう。表2は融通している送電を取りやめ、休止中の火力発電所を起動した状態の想定
電力会社間の連携状況(東京電力資料)。北海道→東京や、中部→九州などは間に別の電力会社を挟んで玉突きのように送電している





(伊達 浩二)

2011年5月9日 19:38