経産省、夏の節電目標を一律15%に引き下げ

 経済産業省(経産省)は2日、東京電力と東北電力管内の電力削減目標を一律「15%」に引き下げると発表した。

 これは、4月28日に開催された海江田経産相の記者会見の形で発表されたもの。2日に質疑応答も含めて詳細な内容が公開された。

 それによれば、東京電力の発電能力の積み増しがあったことを理由に、一律の節電目標として15%という数字が決定された。この目標は東京電力および東北電力の2つの管区で共通の目標となる。

 また、会見では、東京電力から東北電力への電力支援について積極的に行なうとしている。現時点では、東北電力の方が震災の被害が大きく、発電能力の上積みの可能性も低いことが理由と思われる。

 今後、東京電力管内の受給について、さらに余裕ができた際も、削減目標をさらに引き下げるよりも、余力分を東北電力に分けることが考えられている。

 従来の電力削減目標は、4月8日に首相官邸で開催された「電力需給緊急対策本部」で決定され、公表されていた。目標は3段階に分かれており、契約電力500kW以上の大口需要家は「25%」、契約電力500kW未満の事業者は「20%」、家庭/個人については、「15~20%程度」という幅のある目標設定となっていた。

 今回、電力需給緊急対策本部の開催を待たずに経産相が目標値を発表したことについては、首相官邸を中心とした本部会議などの機構が変更となる可能性が高いことや、連休前に新しい目標を通知して準備を進めることが理由とされている。

 その後、東京電力側で、ガスタービンなどの緊急発電設備の新設や、揚水発電所の発電容量の見直しなどが進み、供給できる電力の上積みが進んでおり、削減目標の緩和が見込まれていた。

 しかし、多くの企業では25%を目標にした削減策の公開や実施が進んでおり、今回の緩和により、再度の見直しなどが必要となる可能性がある。






(伊達 浩二)

2011年5月6日 02:20