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効果的に節電する方法を考える【増補版】

 3月14日より、東京電力は輪番停電を開始した。しかし、予告されたすべての停電が実施されたわけではなかった。これは電力消費が予測よりも少なく、需給のバランスが崩れていなかったからだと説明されている。

 つまり、企業や個人が節電に協力することで、強制的な停電の引き金が引かれることを、少しだけ引き止める可能性があるというわけだ。

 ここでは、一般的な家庭を想定して、どの家電をどのように使用したら効果的に節電できるかを考えてみた。どうせ、節電をするのであれば、できるだけ有効にやりたいと思ったからだ。

家庭内の消費電力の4割はエアコンと冷蔵庫

出所:資源エネルギー庁 平成16年度電力需給の概要(平成15年度推定実績)
※割合は四捨五入しているため、合計が100%になりません。パナソニックサイトより転載

 電気製品の消費電力は、「使用する電力×時間」で決まる。つまり、「節電」の基本は、使用する電力を下げるか、使用時間を短くすることだ。

 使用する電力を下げるわかりやすい方法は、温度設定など消費電力が変えられる要素があれば、少しでも控えめな設定にすることだ。暖房器具であれば、設定温度を数度変えるだけで、消費電力は大きく変わる。

 使用時間を短くする方法は、極端に言えば使わないということだが、それでは困ってしまう。必要なときだけ使って、用事が終わったら電源を切ることが大切だ。人間がこまめに操作するが難しければ、センサー付きの器具やタイマー機能を使って、自動的に電源を切ってもらうことを考える。

 では実際に、どの家電が電力を消費しているのか見てみよう。

 やや古いデータだが、資源エネルギー庁の「平成16年度電力需給の概要(平成15年度推定実績)」で、家電別の消費電力がわかる。

 大きい順に見ていこう。まず、エアコンが25.2%、冷蔵庫が16.1%、照明器具が16.1%、テレビが9.9%、電気カーペットが4.3%、温水洗浄便器が3.9%、衣類乾燥機が2.8%、食器洗い乾燥機(食洗機)が1.6%、その他が20.2%となっている。

 エコポイント制度の対象となっているエアコンと冷蔵庫が1位と2位を占めている。逆に言えば、この2つの家電が省電力になることで、家庭全体の消費電力が下がるという見通しが、エコポイント制度対象製品に選定された理由だろう。この2つの家電で家庭の電力消費の4割を占める。

 順番に器具別に具体的な節電方法を見ていこう。

 まずエアコンだが、これは長時間使用するので、設定温度を少し変えるだけで、大幅な節電ができる。たとえば、今の時期であれば暖房の設定を、24度から22度程度に変えるだけで良い。オフィスなど複数の人間がいる場所では、設定温度を下げることは難しいが、暑いほどの設定ではなく、寒くない設定にすると頭を切り換えると良いと思う。もちろん、一人しかいないのであればエアコンを切って厚着をしたり、膝掛けなどを使うという選択もある。

 冷蔵庫の場合は、温度設定を高めにすると多少有効だが、エアコンほどではない。むしろ、扉の開閉をできだけ避け、開けたらすぐに閉めるだけで、だいぶ消費電力が異なる。また、チルド冷蔵などヒーターを使う機能は便利だが、消費電力は増える。冷蔵庫は冷やして保存するものという本来の機能に立ち戻って、シンプルに使いこなすことが節電への近道だ。

 照明器具は、不要な照明を消すことが一番有効だ。人がときどきしかいない場所については、センサー付の照明器具を使って、人が居るときだけ点灯し、いなくなったら自動的に消えるようにすると有効だ。たとえば、廊下やトイレ、洗面所などはセンサー付照明器具にすると、スイッチを点けたり消したりする手間も省けるので、便利でかつ節電になる。

 点灯している時間が長い器具については、白熱電球を蛍光灯やLED電球に交換して、使用する電気を減らすという手もある。

 温水洗浄便器は、便座のヒーターを止めるたり、設定温度を下げるのが有効だ。また、便座のフタを閉めて置くだけでも節電効果がある。便座の熱が逃げにくくなれば、ヒーターが動作する回数が減るからだ。

 テレビは、調査時点のブラウン管中心から液晶へと表示装置が変わっているので、家庭内に占める消費電力の割合も下がっているだろう。見る時間を減らすという手もあるが、地震情報が気になる今の時点ではむずかしい。最新の製品では、人感センサーで人が居るときだけ点灯するなど節電の工夫もされているので、それらの機能を活用する方が前向きな姿勢だろう。

 電気カーペットは、暖房器具共通の方法として、設定温度を下げれば良い。カーペット全面ではなく、人がいる半分とか1/3だけを暖められる製品も少なくないので、そういう機能も有効に使いたい。

 また、電気カーペットなどの場所が固定して暖房器具は、人がいなくなっても暖め続けていることが多い。対策としては、電気カーペットとコンセントの間に入れる独立型のタイマーなどを使うと良い。一定時間経過したら、自動的に電源を切れるようにするのだ。

 次は乾燥機だ。資料の調査時点である平成15年は2003年なので、まだ洗濯乾燥機は普及度合が低かった。したがって、ここでは衣類乾燥機しか出ていないが、洗濯乾燥機の普及が進んだ現在は、使用する電力の比率はもっと高いものになっているはずだ。

 洗濯乾燥機の場合は、比較的簡単で有効な節電の手段がある。洗濯乾燥機で洗濯だけおこなって、乾燥機能を使わずに干すのだ。一例を上げると、洗濯のときの消費電力は230W、乾燥時は850Wと3倍以上違う。つまり、ベランダなどに、洗濯物を干す手間と、取り入れる手間はかかるが、かなりの節電ができる。

 しかし、外に干せないなどの理由で洗濯乾燥機にしている人もいるだろう。その場合は、洗濯物の量に注意したい。少ない洗濯物を何度も洗って乾燥させるよりも、まとめて洗濯と乾燥をした方が良い。逆に多すぎる洗濯物を乾燥すると消費電力が増えてしまう。その洗濯機に合った量を、もう一度確認して、適当な量を覚えておくと良いだろう。

 乾燥を省略するという手は、食洗機でも使える。高温のお湯で洗うと食器も暖まっているので、乾燥機能を使わなくても、思っていたよりも早く乾くものなので、お試しいただきたい。

ピークシフトも大切。スイッチを入れる前に時刻を意識する

 ここまでは、消費電力の面から見てきたが、節電にはもう1つの側面がある、それがピークシフトだ。

 電気は、製造したら、貯めておくことができない。たとえば、電力の消費量が少ない夜間に作った電気を貯めておいて、昼間の消費量が多い時間に使うということが、たいへんに難しい。

 つまり、1日の内で、一番電気が使われる時の需要に合わせて、電気を供給できる体制を準備する必要がある。

 では、いつがピークかというと、季節によって異なっており、今回の停電に関する東京電力のリリースによれば、3月は調理器具が使われる18時〜19時がピークとなっている。この時間に夕食の調理や照明器具の点灯などが行なわれるからだ。

 ついでに言うと1年間で、一番電気を使うのは夏の午後3時ごろが多い。エアコンがぶんぶん回り、甲子園の高校野球を写すTVが活躍する季節だからだ。

1年間の電気の使われ方の推移
出典:「原子力・エネルギー」図面集 2007 1-21
電気事業連合サイトより転載

 ピークシフトを意識する、節電の方法が変わる。つまり、ずっと切っておくことがつらいものでも、電力消費が多い時間帯だけ使用を避け、ピークを少しでも低くすることが有効な手段となるからだ。ずっとガマンするのではなく、使うタイミングを考えるだけで良くなるのだ。

 一般的に、消費電力が大きい家電としては、アイロン、電子レンジ、ドライヤー、炊飯器(IHタイプ)、電気ストーブ、自動食器洗い機、掃除機、トースター、卓上IH調理器、洗濯乾燥機、ホットプレートなどがある。

 これらを全部、使わないで暮らすことはむずかしいが、ある時間帯だけ使わないというはできる。調理家電であれば、夕食の時間をずらすとか、事前に調理が済む料理にするなどの方法が考えられる。掃除機や洗濯機であれば、スイッチを入れる前に、「いま何時なのか」と考える習慣を付けるだけでも良い。みんながピークを避けることで電力消費の山がなだらかになれば、それで成功といえるのだ。

細かくつぶすなら待機電力だが

 もう1つ、「待機電力」についてお話しておきたい。

 家電製品は、人が使っていないときでも、人の操作にする対応できるように少しだが電気を消費している。これを待機電力という。

 待機電力の比率は、家庭で使用する電力全体の7.3%を占める。これを大きいと見るか小さいと見るかは難しいが、ごく乱暴にさきほどの消費電力順の各製品の数字と比べると、テレビに次ぐ5番目にあたるので、無視はできない数字だ。

 ただ。待機電力の対応は難しい。というのは、1つの家電が大きく待機電力を消費しているのではなく、いくつもの製品が少しずつ使っているので、対策にも手間がかかるのだ。

 たとえば、待機電力の消費量は多い順に、ガス給湯器、ビデオデッキ、電話機、エアコン、テレビ、高機能便座、衛星放送チューナー、電子レンジの順になる。1番目のガス給湯器でも13%、8番目の電子レンジでは4%しか占めていない。

 一番多いガス給湯器の待機電力でも、全体の13%ではなく、全体の7%のうちの13%だから0.9%にしか相当しない。それだけの電気を節約するために、使用しないときに、そのつどコンセントを抜いて回るのはたいへんだ。私には続けられそうもない。その分を他の方法でカバーしたいと考えてしまう。たとえば、エアコンの温度設定を数度変えることの方が、全体の消費電力は少なくなる。

 何もかもガマンしたり、気にしすぎてしまうすると気持ちがすさんでしまう。待機電力を退治すると思ってしまうと、ゼロを目指したくなるが、イライラしては生活がつらくなる。自分が快適に続けられることを基準として考えて方法を決めると良いだろう。

出所:(財)省エネルギーセンター「平成17年度 待機時消費電力調査報告書」より
パナソニックサイトより転載

結論

 長々と書いてきたが、そろそろ結論をまとめよう。

1)冷蔵庫など、電源を切らない電気製品は控えめな設定にする。必要がないときはできるだけ手を触れない
2)エアコンやホットカーペットなどの冷暖房器具は設定温度を控えめにし、できるだけ電源を切る。切り忘れるならタイマーを活用する
3)洗濯乾燥機や食洗機は、洗濯/洗浄機能だけ使って、乾燥機能を使わないようにする
4)照明器具は人が居る場所だけ使う。面倒ならばセンサー付器具に頼る
5)消費電力が大きな家電製品を使うときは、電力需要のピークを避ける

 もちろん、これらすべてを必ずやる必要はない。電力が逼迫している状態は、東京電力のサービスエリア内では4月末までは続くと思われる。続けられる範囲で、節電の習慣を付けていけば良いと思う。その時のコツは、ガマンではなく楽しむことだ。絶食すると思うとつらくなる。カロリーを減らして地道にダイエットすると思った方が良いだろう。

 東京電力だけではなく、東北電力についても強制的な停電がおこなわれそうな状況だ。これを機会に、電気製品の使い方を考え直してみると、これまでとは違ったものが見えてくるかもしれない。

【15日6時30分増補】各製品の節電方法を増補して、記述を整理しました。申しわけありません。

【17日2時0分お詫びと訂正】読者からのご指摘を受け、表題を改訂させていただきました。ご不快の念を抱かれた皆様にはお詫びいたします。





(伊達 浩二)

2011年3月15日 00:00