三菱、次世代半導体の採用で省エネNo.1のエアコン「霧ヶ峰」

~“したいこと”で選ぶ新感覚のリモコン搭載
霧ヶ峰 ZWシリーズ

 三菱電機は、インバーターに次世代半導体を採用することで省エネ性能を高めたエアコン「霧ヶ峰 ZWシリーズ」を、10月下旬に発売する。価格はオープンプライス。ラインナップは以下の表の通り。



シリーズ名型番電源冷房定格能力店頭予想価格発売日
霧ヶ峰MSZ-ZW221単相100V2.2kW20万円
前後

33万円
前後
10月下旬
MSZ-ZW2512.5kW
MSZ-ZW2812.8kW
MSZ-ZW281S単相200V11月下旬
MSZ-ZW361単相100V3.6kW10月下旬
MSZ-ZW361S単相200V11月下旬
MSZ-ZW401S4.0kW10月下旬
MSZ-ZW561S5.6kW
MSZ-ZW631S6.3kW
MSZ-ZW711S7.1kW


半導体改良で“省エネNo.1”。新フラップで強弱同時の吹き分けも可能

 同社のエアコンでは最高級モデルに当たるエアコン。ZWシリーズでは、省エネ性能を高めるため、エアコンの圧縮機を駆動するインバーターのパワー半導体に、世界で初めて炭化ケイ素(SiC、シリコンカーバイド)を採用した点が特徴。炭化ケイ素は、現行使用されているケイ素(Si、シリコン)に比べて、絶縁耐力が10倍以上高いというメリットがあるとされる。この炭化ケイ素の採用により、電気抵抗による電力の損失(スイッチング損失)を、従来モデルの約60%低減したという。

 これにより、冷房能力3.6kWタイプの期間消費電力量は、従来モデルの1,183kWhから1,110kWhと、約6%低くなった。APF(通年エネルギー消費効率)は6.5となり、同社では「省エネNo.1」としている。なお、炭化ケイ素を採用しているのは、冷房能力2.8kW、3.6kWの2タイプのみとなる。

従来までは、インバーター素子内部で電力の損失が発生していたZWシリーズでは、世界で始めて炭化ケイ素をインバーターに採用。従来モデルと比べ、電力の損失を約60%低減したというZWシリーズのインバーター

 室内機の新機構としては、風向板に「3D気流フラップ」を採用した。これは、室内機の左右に分割された合計4枚のフラップを別々に動かすことで、異なる2種類の風が送れるというもの。例えば右側のフラップでは、気流を絞り込んで遠くまで届く強い風を送る一方、左側ではフラップを上下に広げて弱い風を送るということもできる。これにより、体感温度が異なる人が同じ部屋にいても、快適な空調ができるという。

 また従来モデルに引き続き、センサー機能「3Dムーブアイ」も採用する。これは、室内機中央部の赤外センサーが左右160度に動き、室内を940エリアに分け、熱画像を分析するというもの。3D気流フラップと合わせて、状況に合った温度や気流を自動で調整できるため、快適でムダのない運転ができるという。

左右に分かれたフラップが、2枚それぞれ動くことができる「3D風向フラップ」ZWシリーズでは、2枚のフラップにそれぞれモーターを搭載。それぞれが自在に動かせる従来モデルのフラップ。フラップは左右に分かれているが、前後のフラップは2枚同時にしか動かない
【お詫びと訂正】初出時、ZWシリーズと従来モデルのフラップの写真を逆に表示しておりました。訂正してお詫びさせていただきます。

部屋の温度を見張る「3Dムーブアイ」。内部には赤外線センサーが縦に10個並んでいる3Dムーブアイと3D気流フラップにより、体感温度がそれぞれ異なる場合でも、快適に使用できるという


“○○したい” 気分で選ぶ簡単操作「快適セレクト」

快適セレクト機能を搭載したリモコン。ボタンは表面に出ているだけとなる
 操作面では、“全体を冷やしたい”“足元を暖めたい”“部屋干ししたい”といった具体的なシーンで運転を選ぶ「快適セレクト」機能をリモコンに搭載した。3.5インチのフルドット液晶に、シーン別の絵が表示されるため、エアコンの動作が直感的に分かるという。選択後は、3Dムーブアイが部屋の状況を見ながら、ユーザーが選んだ運転を自動で切り替えて運転する。快適セレクトは全21シーンが用意される。

 リモコンにはまた、運転中に持ちあげることで1時間の電気代を表示する「おしらせナビ」機能も搭載。このほか、3Dムーブアイの周囲には、暖房時は赤、冷房時は青のように、運転ごとに異なる色を表示する機能も搭載されている。


冷房時のメニュー。“風をよけたい”や“風で涼みたい”といったこともできるメニューの下にはイラストが描かれている。なお霧ヶ峰には、水の微粒子「ピュアミスト」を放出する機能も備わっている
暖房時のメニュー詳細な設定もできる

 室内機のサイズは全タイプで798×313×295mm(幅×奥行き×高さ)。室外機は800×285×550mm(同)で、MSZ-ZW630SとMSZ-ZW710Sは809×300×630mm(同)となる。室内機のカラーはクリアホワイトとクリアブラウンの2色。

3Dムーブアイの周囲には、運転ごとに色が変わるカラーLEDが用意されている室内機の分解モデル

三菱電機 永友秀明 静岡製作所長

 三菱電機の永友秀明静岡製作所長は、快適セレクトを新採用した理由について「携帯電話の世界では、スマートフォンなどインターフェースの画期的な進化が新しい流れを生んでいるが、この流れをルームエアコンにも応用した。これまでは『ボタンが多すぎる』、『難しすぎて分からない』など、お客様からなかなか使いこなせない声があったが、快適セレクトなら、したい気持ちを選ぶだけ。とにかく簡単です」と説明。また、炭化ケイ素の半導体の採用については、「三菱電機はデバイスから作る唯一のメーカー。業界の先陣を切って、(炭化ケイ素の半導体という)世界最先端の省エネ技術が搭載できた」と、技術力に自信を見せた。


猛暑でエアコンの生産ラインはフル稼働

 永友氏はまた、この夏のエアコンの生産状況について「6月前半までなかなか夏が盛り上がらなかったが、後半から一気に盛り上がり、(エアコンを生産する静岡製作所の)ラインをフル稼働した。今でもフル稼働は続いているが、部品調達が瞬時にできるという国内生産のメリットが最大限に活かされている状況となっている」と、猛暑の影響を大きく受けたことを明らかにした。

 なお同社では、家電製品の高度な機能が、より簡単に使いこなすためのアシスト機能を「らく楽アシスト」と命名し、エアコンのほか、冷蔵庫やテレビなどの製品群に搭載し、宣伝・販促していくという。三菱電機のリビング・デジタルメディア事業本部 役員理事の梅村博之副本部長は「新たなユニバーサルデザインの設計ガイドラインを策定し、シニアから子供まで、みんながもっと使いやすいものづくりを具現化した」としている。

高度な機能も使いやすい家電を「らく楽アシスト」シリーズと名づけて展開、宣伝販促活動を行なっていくという三菱電機 リビング・デジタルメディア事業本部 役員理事 梅村博之副本部長




(正藤 慶一)

2010年8月24日 16:34