ダイキン、“世界初”上下左右の気流で素早く空調するエアコン「うるるとさらら」

~温度ムラ抑制・省エネ・肌の保湿効果も

うるるとさらら Rシリーズ
 ダイキン工業は、上下左右の四方に気流を送り、素早く空調するエアコン「うるるとさらら Rシリーズ」を、11月20日に発売する。価格はオープンプライス。各タイプのラインナップは以下の表の通り。


型番電源冷房
能力
適用床面積
(暖房)
適用床面積
(冷房)
APF省エネ基準
達成率(2010年)
年間消費
電力量
店頭予想
価格
AN22LRS-W単相100V2.2kW6~7畳6~9畳6.5112%678kWh18万8千円前後
AN25LRS-W2.5kW6~8畳7~10畳6.5112%771kWh20万8千円前後
AN28LRS-W2.8kW7~9畳8~12畳6.5112%863kWh22万8千円前後
AN36LRS-W3.6kW9~12畳10~15畳6.0122%1,202kWh23万8千円前後
AN40LRS-W4.0kW11~14畳11~17畳6.0122%1,336kWh24万8千円前後
AN40LRP-W単相200V4.0kW11~14畳11~17畳6.2126%1,293kWh24万8千円前後
AN50LRP-W5.0kW14~17畳14~21畳5.7103%1,758kWh27万8千円前後
AN63LRP-W6.3kW16~20畳17~26畳5.0100%2,525kWh30万8千円前後
AN71LRP-W7.1kW17~21畳20~30畳4.6102%3,093kWh32万8千円前後

上下左右に気流を送る「4方気流」。省エネ/温度ムラの抑制/美肌効果も

上下左右の4方向に気流を送る「4方気流」を世界で初めて採用した

 「うるるとさらら」は、業界で唯一加湿/除湿機能を搭載した高級エアコン。本製品では、エアコン室内機の吹き出し口から、天井/床面/壁に沿うように風を送る「4方気流」を搭載した点が特徴。部屋の形状やエアコンの設置場所によって、全12パターンの送風がリモコン操作で選択できるため、エアコンが隅に設置された部屋でも空調できるという。

 4方気流を実現するために、室内機の両側面には、“世界初”となる横吹出し口を新設。また、室内機下部には大型の「ビッグフラップ」を採用し、人に当たらないよう風を遮りながら上下に送風する仕組みになっている。

  この4方気流により、部屋の隅々まで風が届くため、従来よりも温度ムラを防いだ素早い空調が可能となった。暖房運転で室内を22℃に到達する際の時間は、従来の60分から45分へと約25%早くなったという。また、設定温度を高くせずに温度ムラが防げるため、従来よりも消費電力量を約20%削減できるという。

 さらに「うるる加湿」機能による加湿運転の際には、部屋の隅々まで加湿し、また直接肌に当てない運転もできるため、肌の保湿力が向上。目尻のシワを低減する効果もあるという。

室内機の両側面に、世界初の「横吹き出し口」を採用。その下には、風を遮り人に当てないビッグフラップを備えている4方気流の図解。壁と天井、床に沿うように気流を送る冷房時には天井に、暖房時には床面に沿うように運転。運転モードに合わせて気流角度が設定される。横吹き出し口から風を送らない設定も可能

運転中のようす。両側面から風が送られているのがわかる部屋の隅にエアコンを設置した場合の、部屋の暖まり方の比較。Rシリーズでは45分で部屋が暖まっているが、従来のエアコンでは60分を要した

従来のエアコンとの温まり方の比較。素早く部屋が暖まるので、省エネ効果にもつながる加湿モードの「うるる加湿」なら、部屋の隅々まですばやく加湿でき、しかも風が肌に直接当たりにくいため、保湿力を上げる効果もあるという

 同社ではこの「4方気流」を、人に風を当てずに部屋全体を空調できることから“包み込む気流”と呼んでいる。さらに、4方気流とうるる加湿運転によって、省エネ効果による家計の節約、温度ムラや風が直接当たることによるストレスの軽減、湿度を高めることによる乾燥/ウイルスの抑制、という3つの効果が期待できることから、この2つの機能を合わせて「エアプロテクト」と称している。

 ダイキン工業 空調営業本部 事業戦略室 商品企画担当部長 萩原良彦氏は、今回新たに4方気流を採用した理由について、「調査では、84%の人が部屋の隅にエアコンを設置しており、欲しいところに気流が届かないという声もあった。さらに、気流が届かない/温度ムラができる/風が体に当たって不快/喉・肌が乾燥するという、エアコンにとっては“仕方がない”と思われていた点でストレスを感じている意見が多かった。これを少しでも解消したかった」と説明した。

送風エリアはリモコン操作で切り替える4方気流と加湿機能が省エネ/快適/健康を守ることから、4方気流とうるる加湿を「エアプロテクト」と称している

エアコンに対する不満点の最上位は電気代。しかし、気流が届かない/風が体に当たって不快など、風/温度/乾燥に関する不満も多かったエアコンの設置場所の84%が部屋の隅という調査結果。そのため、エアコンを使用しても温度ムラが多く発生していた空調営業本部 事業戦略室 商品企画担当部長 萩原良彦氏


熱交換器・ファンなど改良、業界トップクラスのAPF

 本体内部の機構では、熱交換器と送風ファン、圧縮機のモーターを改良し、APFを「業界トップクラス」の6.2とした(冷房能力4.0kWクラス)。11年前のモデル「AN409SXPV」と比べると、電気代は年間で約9千円節約になるという。

 熱交換器では、冷媒が通る管の太さを業界最小径の「4mm」とし、冷媒のスピードを向上。管内の熱伝導率が40%向上した。また、熱交換器自体の形状は、空気の吸い込みをスムーズにするため円弧形状に変更した。さらに送風ファンの表面には、風回りのロスを低減するよう、ゴルフボールのようなディンプルが加えられている。

 なお、気流を左右バランス良く送れるよう、室内機内部の電装品はすべて中央に配置されている。同社ではこれを「シンメトリー構造」としており、特許も取得しているという。

冷媒管の直径を4mmと小さくした熱交換器を採用(写真右)。熱伝導率を40%向上している送風ファンには、ゴルフボールのようなディンプルを加え、風回りのロスを低減している室内機内部の電装品をすべて中央に配置した「シンメトリー構造」。特許を取得しているという

 室内機の本体サイズは、全機種が798×268×295mm(幅×奥行き×高さ)。室外機のサイズは、AN22LRS-WとAN25LRS-Wが828×327×675mm(同。最大時)で、それ以外のモデルは、858×331×693mm(同。最大時)となる。

 ちなみに、前モデルでは使用時間と電気料金を本体前面パネルに表示する「おしえてエコパネル」が搭載されていたが、今回は本体ではなくリモコン上で表示される。また、9月に発売した「GRシリーズ」では、同社の空気清浄機に搭載されている除菌ユニット「光速ストリーマ」が備わっていたが、本製品では「4方気流」に訴求を絞るため、ストリーマを搭載しなかったという。

4方気流は“他社には真似できない”

ダイキン工業 取締役兼常務執行役員 空調生産本部長 萩原茂喜氏
 ダイキン工業 取締役兼常務執行役員 空調生産本部長の萩原茂喜氏は、今回のRシリーズの4方気流について「これまでのエアコンは、気流を正面一方向だけに風を送るのが常識だったが、世界初の4方向の気流で、お客様をやさしく包み込むことができる。これは他社には真似ができない」とコメント。新機能に自信を見せた。

 萩原氏はまた、2009年上期のエアコンの集荷台数を説明。景気の不況感や夏の天候不順などにより、前年同期比で13%減となる445万台と、前年と比べ大幅にダウンしたことを明らかにした。

 下期も前年同期比で6%減となる230万台との見通しだが、萩原本部長は「暖房シーズンに向けて、エアコン暖房に拡大のチャンスがある。エアコンは化石燃料を燃焼する暖房機と比べて、お年寄りから子供まで安心して使えて、しかもCO2排出量も少ない。さらに、省エネ性も高く、環境意識の高い商品。これからますます省エネ性能の高い商品にニーズが集まってくる」と、下期の巻き返しに期待した。



 ダイキン工業はまた、寒冷地向けのエアコン「うるるとさらら DXシリーズ」も同時に発売する。DXシリーズでも4方気流が採用されている。希望小売価格は、399,000円~577,500円。



(正藤 慶一)

2009年10月6日 17:48