グッドデザイン大賞候補に、パナソニックの“マッサージソファ”やダイソンの小型掃除機など


「グッドデザイン賞ベスト15」に選ばれたデザイナー
 日本産業デザイン振興会は10月1日、2009年度のグッドデザイン大賞の候補となる「グッドデザイン賞ベスト15」を発表。生活家電の分野では、パナソニック電工がデザインしたマッサージチェア「マッサージソファ EP-MS40」、ダイソンのサイクロン式掃除機「DC26 タービンヘッド エントリー」が、照明の分野ではNECライティングの冷陰極蛍光ランプ「+CLine(プラスシーライン)」が選ばれた。

 グッドデザイン大賞は、その年のグッドデザイン賞において最も優れた作品に贈られる賞。今回選ばれた「グッドデザイン賞ベスト15」の中から、11月6日にグッドデザイン大賞が決定する。

パナソニックの「マッサージソファ EP-MS40」は、ソファーのような外観のマッサージチェア。デザイナーによれば“家具”を意識しているという
 パナソニック電工がデザイン、パナソニックが発売する「マッサージソファ EP-MS40」は、首や肩、腰から脚までマッサージできる家庭用のマッサージチェア。丸みを帯びた“ラウンドスタイル”のデザインを採用することで、ソファーのようなコンパクトなデザインを特徴としている。

 グッドデザイン賞の審査委員からは、「これまでデザイン性に富んだマッサージチェアは存在したが、機能は確実に劣っていた。今回マッサージチェアのパイオニア、パナソニックが初めて『家具』と呼べるものを登場させてきた」との評価を受けている。


ダイソンのサイクロン式掃除機「DC26」は、日本の住宅市場を考慮し、本体を従来機種に比べコンパクト化した
 ダイソンのサイクロン式掃除機「DC26 タービンヘッド エントリー」は、本体サイズが205×320×266mm(幅×奥行き×高さ)と、従来製品と比べ体積比で40%減、底面積で35%減と大幅にコンパクト化した点が特徴。底面積はA4サイズ1枚に収まるほど小さいという。

 審査委員は「今回日本の住宅事情を徹底的に調べ、性能を一切犠牲にすることなく前機種から一回り以上の小型軽量化を実現した。(中略)エンジニアリングに対する自信とぶれのないデザイン姿勢は高く評価できる」としている。

NECライティングの冷陰極蛍光ランプ「+CLine(プラスシーライン)」。天井や壁に組み込んだ「建築化照明器具」として発売される
 NECライティングのプラスシーラインは、直径4mmという細長い蛍光管を採用した蛍光灯「CCEL(冷陰極蛍光ランプ)」を使用する照明器具。これまでは主に液晶テレビのバックライトの光源として利用されていたが、プラスシーラインは天井や壁に組み込んだ「建築化照明器具」として発売される。審査委員からは、建築における設計の自由度を向上した点、LEDと違って色のばらつきがない点が評価されている。

 大賞の候補となる15件のラインナップは以下の表の通り。

【グッドデザイン大賞の候補となる15点】
メーカー・団体名製品名
パナソニック電工マッサージチェア EP-MS40
ダイソンサイクロン掃除機 DC26 タービンヘッド エントリー
ロスフィーフラクタルひよけ
本田技研工業乗用車 インサイト
トヨタ自動車ハイブリッド乗用車 プリウス
三菱電機主軸モータ SJ-Dシリーズ
NECライティング建築化照明器具 プラスシーライン MMC07101/09101
日立メディコデジタル超音波診断装置 HI VISION Preirus
TOTO公共トイレ レストルーム
ワークビジョンズ+
岩見沢レンガプロジェクト事務局
岩見沢複合駅舎
サムスン電子ミニノート型パソコン N310
パナソニックデジタルカメラ LUMIX DMC-GF1C
サムスン電子46型 LED液晶テレビ LED7000
ソニー液晶テレビ ブラビア ZX1シリーズ
GREEN TOKYO
ガンダムプロジェクト
実行委員会
GREEN TOKYO
ガンダムプロジェクト


生活家電、照明以外の大賞候補も写真で紹介しよう。写真はソニーの液晶テレビ「〈ブラビア〉 ZX1シリーズ」。背面のデザインまで意識した“全方位デザイン”が評価されたサムスン電子の46型LED液晶テレビ「LED 7000」は、ガラス工芸のような美しさを狙った二重射出成形が特徴サムスン電子からは、ミニノート型パソコン「N310」も候補に選ばれた。デザイナーは無印良品の家電製品ややKDDIの携帯電話を手掛けた深澤直人氏

パナソニックはデジカメ「LUMIX DMC-GF1」も大賞候補に。女性のバッグに入れて持ち出せるコンパクトさが、ブログへなどの社会文化を創り出すと評された産業分野からは、三菱電機の主軸モータ「SJ-Dシリーズ」も候補に。華飾を排した外観が、「産業機器デザインの手本」として審査員一同から満票の評価を得たという医療分野からは、日立メディコの「デジタル超音波診断装置 HI VISION Preirus」が選出。患者に安心感を与えるような優しげなフォルムが特徴

乗用車では、トヨタの「プリウス」が候補にホンダの「インサイト」も、プリウスと同様対象候補となったTOTOの公共トイレ「レストルーム アイテム01」は、“誰にでも使いやすい空間”を意識してデザインされた。審査委員からは“使用者が自ずとマナーを守ることにつながる”と評価された
北海道のJR岩見沢駅の新駅舎も大賞候補となった。一般公募のデザインコンペで最優秀賞を受賞したデザイン案に基づいて作られているこちらは幾何学模様の日除け「フラクタルひよけ」のミニチュア。日除けが風を受けて熱を発散するため、輻射熱が溜まらず、一般の日除けよりも快適だという。自然界の遮熱効果を利用し、しかも安価という点で評価された7月から8月にかけて、東京のお台場に展示されていた“実物大”のガンダムも、グッドデザイン大賞候補となった

 日本産業デザイン振興会は、2009年度のグッドデザイン賞の主な受賞作品を展示する「GOOD DESIGN EXHIBITION 2009」を、東京ミッドタウン・タワー5階のデザインハブにて開催する。入場料は無料。会期は10月1日から11月8日まで。 また、10月30日から11月3日の間、歴代のグッドデザイン賞受賞商品の中から、家電やインテリアなど家庭用品を中心に販売する「グッドデザインストア」を、東京ミッドタウン・ガレリア3階の特設スペースに開設する。

グッドデザイン大賞候補などを展示する「GOOD DESIGN EXHIBITION 2009」が、東京ミッドタウンで開催されている「GOOD DESIGN EXHIBITION 2009」の会場のようすグッドデザイン大賞が決まるのは11月6日



(正藤 慶一)

2009年10月1日 16:24