パナソニック、汚れ度合いを検知して省エネ・節水するななめドラム洗濯乾燥機


ななめドラム式洗濯乾燥機「NR-VR5600」。写真左は、発表会に出席したフリーアナウンサーの久保純子さん
 パナソニックは汚れ度合いに応じて自動で省エネ・節水運転をするななめドラム洗濯乾燥機「NA-VR5600」と「NA-VR3600」を発表した。両モデルともに9月26日から発売する。

 NA-VR5600は、左開きモデルの「NA-VR5600L」と右開きモデルの「NA-VR5600R」があり、カラーバリエーションは基本のクリスタルホワイトに加え、左開きモデルのみノーブルシャンパンが用意される。NA-VR3600も同様に左開きと右開きのモデルがあり、同様に左開きモデルのみノーブルシャンパンが用意される。価格はいずれもオープンプライスだが、実売価格はNA-VR5600が30万円前後、NA-VR3600が26万円前後となる見込み。






ナンバーワンの省エネ・節水性能をさらに強化する「エコナビ」


NA-VR5600(左)とNA-VR3600(右)
 パナソニックによれば、本モデルは9月1日現在、国内の洗濯乾燥機としては省エネ・節水ともにナンバーワンとなる機種。それに加え、衣類の量と汚れを感知する3つのセンサーを搭載し、自動で運転内容を制御する新機能を「エコナビ」として搭載した。

 エコナビにより、洗濯の定格容量である9kgの洗濯時において、汚れが多い衣類と少ない衣類を洗濯した場合、消費電力量は最大で約10%、水は約7%の節約になり、洗濯時間も約15%短縮されるとしている。同社によれば、汚れに応じて運転内容を自動で変えるシステムは、本モデルの「エコナビ」が業界初だという。

 

6kgの洗濯乾燥運転における、消費電力量の860Wh、使用水量の56Lは「業界No.01」さらに、3つのセンサーで自動で運転内容を変える「エコナビ」機能を追加した
たとえば、同じTシャツでも汚れに差がある場合は……汚れている方は時間をかけてしっかりと洗う汚れていない場合は、それに応じてスピーディかつ省エネで運転する

 センサーは従来から搭載している布量センサーに加え、新たに泥汚れセンサーと汗汚れセンサーを搭載した。これらのセンサーが「洗い」工程での洗浄水の汚れを見ることで、衣類の汚れ度合いを推測するという仕組みとなっている。

 泥汚れセンサーは光学センサーとなっていて、光の透過率から洗浄水の光のにごり度合いを判定する。汗汚れセンサーは電極センサーで、洗浄水の電気の通りやすさから、衣類についた汗などの水に溶け込んだ汚れを判定する。なお、布量センサーは、ドラムの回転負荷から洗濯物の重さを感知するという従来と同じものとなる。

 泥汚れセンサーと汗汚れセンサーは、水の汚れ度合いを18段階で判定する。汚れが少なければ、その少なさに応じて洗いの工程が短縮され、時間・電力・水量がセーブされる。パナソニックの担当者によると、従来の洗濯機の場合、常に汚れが最大であると想定して洗濯プログラムが設計されているため、本モデルでは汚れが最大と判定されたときにのみ、従来の洗濯機と同等の洗濯プログラムを実行し、それ以外のときはエコナビによって最適な節約が行なわれる。開発中のモニター試験によると、実使用環境でも「スポーツなどで汚れたユニフォームばかりを洗う」といった極端な状況でない限り、汚れが最大と判定されることはまれなため、ほとんどのケースではエコナビによって自動的に節約が行なわれるという。

泥汚れセンサーと汗汚れセンサー。後述するジェット水流の循環ルートに搭載されるエコナビによって汚れが最大でないと判定されると、エコナビランプが点灯する

 洗濯を開始するとまず布量センサーで布の量が判定され、それに応じた洗剤を投入する。そのあと水を1回循環させ、洗剤が溶けただけの状態の水の透過度合いと電気の通りやすさを計測する。その後、何回か水が循環したあと、洗濯開始から約6~7分後に、再び水の透過度合いと電気の通りやすさを計測し、その変化から洗濯物の汚れ度合いを判定する。そのため、最終的な洗濯にかかる時間などは、洗濯開始から6~7分が経過しないとわからない仕組みとなっている。

 仕組み上、「たくさんのきれいな衣類に1点だけ醤油のシミがある」といった、全体に対して極端に小さな汚れは感知されにくい。パナソニック担当者によると、そうした集中した汚れは普通の洗濯機でも不得意とするところなので、あらかじめシミ抜きなど行なうことを推奨しているという。また、皮脂などの脂汚れはセンサーでも検知できないが、こちらも普通の洗濯では不得意とするところなので、新機能である「ナノイー」の「プレ洗浄コース」が効果的だという。

「ジェット水流」や「ナノイー」も強化

 ななめドラム洗濯機は、洗濯物をドラムの上から下へと落とす「たたき洗い(ダンシング)」とドラムの小刻みな回転による「もみ洗い」がメインとなるが、パナソニックの場合、昨年モデルの「NA-V5500」より洗濯物に水流を吹き付けて洗浄水の浸透を良くする「ジェット水流」を搭載している。

 昨年モデルではジェット水流は1本のみだったが、今年の本モデルからは、ジェット水流が2本の「Wジェット水流」となった。従来のジェット水流に比較すると、水が噴射される範囲は約2.6倍になっているという。パナソニックでは、ジェット水流などによって洗浄力を高めることで、時間・電力・水量の節約につながるとしている。

 上位モデルのNA-VR5600では、従来から搭載している水の微粒子イオン「ナノイー(nanoe)」を使って洗浄する機能に、新たに「プレ洗浄コース」が加わった。従来のナノイーは、水洗いに弱いものの除菌・消臭や洗濯槽のカビ抑制のために使われていたが、プレ洗浄コースでは、洗濯の2時間前からナノイーを洗濯物に浸透させることで、洗濯機では洗いにくい皮脂汚れなどを効果的に洗い落とすことができるという。NA-VR3600はナノイー機能を搭載しない。

 このほか、ドラムの回転数を減らしてセーターなど傷みやすい洗濯物に対応する「上質おうちクリーニングコース」を搭載するほか、ボディ側面を振動・騒音を抑える新形状とした。

 またNA-VR5600については、コントロールパネル部を非表示時には何も見えなくなるハーフミラーデザインとしたほか、ボディの一部に抗菌効果があるとされる銀を配合している。

NA-VR5600のコントロールパネル部NA-VR3600のコントロールパネル部

 本体のサイズは幅639mmで奥行きが716mm、高さは1021mm、重さはNA-VR5600が83kgでNA-VR3600が82kg。定格容量は洗濯が9kgで乾燥が6kg。9kgの洗濯時は使用水量が72Lで消費電力が79Wh、6kgの洗濯乾燥時は使用水量が56Lで消費電力が860Wh(標準時)。使用水量などは最大のもので、エコナビによって減少する。


2009年9月1日 19:22