TOTO、“国内最小”洗浄水量4.8Lのタンクレストイレ

 TOTOは、洗浄水量が4.8Lで国内最小のタンクレストイレ「ネオレスト ハイブリッドシリーズ」を8月3日より発売する。シリーズはデザインの異なるAHタイプと、RHタイプの2タイプが用意され、全7機種。希望小売価格は最上位機種の「AH3」「RH3」が379,050円。

ネオレスト ハイブリッドシリーズ RH3ネオレスト ハイブリッドシリーズ AH3
付属のリモコン本体正面フタを開けた状態
本体の操作部カットモデル。機能を説明するTOTOレストルーム事業部 秋吉 修氏

 同社では、これまでに、洗浄水量規制が厳しいアメリカや中国などで洗浄水量4.8Lタイプの便器を展開してきた。日本市場では、これまで洗浄水量が4.8Lのものはなかったが、環境配慮が高まっているとして、今回初めて販売に踏み切った。今回のネオレスト ハイブリッドシリーズは、従来海外で発売していたものとは違う、タンクレスタイプの製品となる。

世界では、便器の洗浄水量に規制を設けている国が多いという同社では、これまでに海外使用の製品として洗浄水量4.8Lの製品を展開していた洗浄水量を少なくすることは、世界レベルでの節水、CO2削減につながるとする
用途によって、使用する水を使い分けるハイブリッドエコロジーシステム

 洗浄性能を落とさずに、水量を少なくするために内部構造と、便器のボウルの構造を見直した。便器の洗浄では、便器のボウル内から配水管への汚物排出力と、配水管内の搬送能力の2つの性能が重視されている。

 TOTOでは、少ない水で、排出・搬送能力を維持するために、排出時にポンプで加圧した水、洗浄時にタンク内の水をそれぞれ使い分ける「ハイブリッドエコロジーシステム」を2007年の同シリーズより搭載している。

 新機種では、従来の5.5Lから更に少ない4.8Lを実現するために、水流の流れに着目した。ボウル内で、水が効率よく回転、洗浄を行なえるようにボウルの上部に棚となる部分を作った。また、搬送時の水の流れがよりスムーズになるように、配水管の角度を従来の57度から48度に変更し、より緩やかにした。

使用水量を更に少なくするために、ボウルの形状を改善した新形状のボウルと配水管ボウルは水が効率よく均等に回転するようにフチの下に「棚」となる部分を作った
場所による水量の変化を防ぐ「給水圧学習機能」

 また、水圧の違いによる水量変化を防ぐため、洗浄時間を時間ではなく、水量で制御する「給水圧学習機能」を新たに搭載した。これは、場所ごとの水圧をセンサーで測定し、水圧に併せて吐水時間を変更、調節するというもので、これにより、場所に関係なく水量を一定に保つことができるという。

 これらの改善により大洗浄時の使用水量は4.8L、小洗浄時の使用水量は4Lとなりこれは「国内最小」の使用水量としている。

 更に“意志を持った環境配慮”ができる機能として水量3.8Lの「eco小洗浄」を設けた。これは、掃除の時や男性の小用時に使用するモードとしており、水量4Lの小洗浄を使用するときに比べ、4人家族(男性2人、女性2人)で年間438Lの節水効果があるという。

eco洗浄ボタンは、通常の洗浄ボタンと一緒に設置されているeco洗浄を選ぶことで、大きな節水につながるという

 そのほか、ウォッシュレット機能では快適性を向上させるために、水量は従来のまま、水の流れだけを変更した「新ワンダーウェーブ洗浄」を新たに採用した。同社のウォッシュレットでは、従来1秒間に70個の水玉を吐水していたが、新ワンダーウェーブ洗浄では水玉に大小を織り交ぜ、1秒間に大、小それぞれの水玉を50個ずつ、計100個の水玉を吐水している。これにより、使用時に水流の強弱が感じられるほか、大きい水玉を吐水することで、「たっぷり感」を実感できるとしている。

 掃除のしやすさでは、本体側面のハンドルを回すと、本体前方が持ち上がる「お掃除リフト」機能を搭載した。ユーザーからの「継ぎ目部分の掃除が気になる」との声を活かした機能で、便器と便座の間に手を入れて掃除ができるというもの。

大きい水玉と小さい水玉を交互に発生させる「新ワンダーウェーブ洗浄」。水量は同じでも快適性が向上したというお掃除リフトは、通常は本体側面に収納されているハンドルを引き出して使用するハンドルを回すと、便器と便座の間にすき間ができ、手入れが楽になる

 デザイン面では、直線的なラインを採用し「空間美」をイメージしたAHタイプと、曲線的なラインを採用し「くつろぎ」をイメージしたRHタイプの2タイプを用意した。同社では、各シリーズのイメージに合わせた手洗い器や水栓、リモコン部など周辺部材も併せて発売し、「好みに合わせた空間づくりが可能」としている。

会場では製品のイメージに合わせた展示が行なわれていた。写真は「空間美」をイメージしたAHタイプ「くつろぎ」をイメージしたRHタイプ製品のイメージに合わせた水栓なども同時発売される

 そのほか、RHシリーズでは、便座とフタに断熱材を内蔵した「ダブル保温便座」を採用している。これは便座からの放熱を抑えるもので、フタを閉めた状態では、閉めない状態よりも約30%の節電が可能になった。

TOTO 代表取締役 副社長執行役員 宇塚 敏夫氏

 TOTO 代表取締役 副社長執行役員 宇塚 敏夫氏は「水量4.8Lはこれからのグローバルスタンダード」とし、今後同社より発売する製品全て、洗浄水量4.8Lにすることを明言した。更に、洗浄水量を下げることは、大幅な節水・CO2削減につながるとし、「世界全体で取り組んでいく問題。2011年までに、使用水量4.8Lの製品を全世界で80%以上にしたい」と語った。

 会場では、「陶器以外を使った比較的安価な便器が好調ですが、どう感じていますか」との質問が出た。宇塚氏は「品質、洗浄性能には絶対の自信を持っている。今後も陶器製の便器を作り続ける」と答えた。





(阿部 夏子)

2009年6月23日 18:43