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サンテックパワージャパン、100年企業を見据えた事業戦略を発表

 サンテックパワージャパンは、今月で創業50周年を迎えるにあたり、次の50年を見据えた事業戦略説明会を開催した。

 親会社である中国の順風インターナショナルクリーンエナジーは、世界最大級のクリーンエネルギーにおけるトータルソリューションプロバイダー。世界80カ国以上で事業を展開し、昨年末時点での累積出荷量は12GWを超える。

 日本法人であるサンテックパワージャパンは、1967年7月に創業した太陽電池メーカー、MSKを前身とし今月50周年を迎えた。35年以上の太陽光発電販売実績、20年以上のシステム設計実績を持ち、7月末時点での太陽光パネルの累積出荷量は1.3GW超。パワコンや蓄電システムなどの周辺機器も取り扱う、国内有数の太陽光発電システムのプロバイダーだと言える。

サンテックパワージャパンの沿革
サンテックパワージャパンの太陽光パネル累積出荷量の推移

 2016年度は約200MWを出荷。産業向けが約85%、住宅向けが約15%であったという。また、既に減収を発表しているが、これは太陽光発電モジュールの市場価格の低下を主要因だったと分析。一方で、輸入コストの低下や国内輸送コストや国内部材調達コストの削減により、増益となったという。

 2015年第4四半期以降、7四半期連続で黒字を達成し、2017年度の出荷量は1.5倍の300MWを目標として、増収増益を見込んでいる。

2016年度の財務面の概要
事業面での概要

自家消費の拡大に向け、蓄電システムの必要性が高まる

 登壇した取締役社長、高 瞻(ガオ ジャン)氏は、100年企業を見据えた今後の事業戦略も語った。

 FIT制度が改正され、余剰買取期間が終了するユーザーが出て来る2019年以降も、再生可能エネルギーの市場は拡大していくと予測。だが今後は、自宅で作った電気を自宅で消費する、自家消費が拡大する。そうした新時代に必要な製品やサービスを提供していくことが重要だとした。

取締役社長の高 瞻(ガオ ジャン)氏

 「具体的には、長く安心して使い続けられる太陽光発電システムの開発が急務です。耐久性に優れた太陽光パネルはもちろん、自家消費時代になれば蓄電システムの必要性がより高まってきます。さらに、日本全国をカバーできるアフターサポートの強化も必須となります」(ガオ氏)

 特に蓄電システムに関して、ハイブリッド蓄電システムを開発中で、2018年後半に発売予定。普及のネックとなっている価格を、従来の70%に抑えるのが目標だという。

参考展示された産業向けの太陽光パネル
従来比で30%コストを抑えたハイブリッド蓄電システムを開発中

 「低コストでハイパフォーマンスな発電所開発にも力を入れていきたい。当社の親会社である順風グループは、コスト競争力に優れた企業で、欧米での実績も多いです。今後は、同グループのソリューションも活用して提案していきたい」(ガオ氏)

 同社は現在、国内8カ所を運用。年間推定発電量は約18MWで、一般家庭約4,000軒分に相当する電力となる。さらに23.5MW規模の太陽光発電所を三重県に開発中。同発電所の開発は、順風グループの経験と、サンテックパワージャパンの調整力をフルに活用しているという。

発電事業の加速
三重県に23.5MWの特別高圧太陽光発電所を開発中

 「日本の消費者や事業主は、グローバルで比較しても、再生可能エネルギーに対する認識が非常に高いと思います。そう考えると日本では、特に太陽光の市場はまだまだ成長していくと考えています」(ガオ氏)

発電施設の保守管理事業も強化

 ガオ氏は、メンテナンスフリーではない太陽光発電所で、長期に安定して発電させるためには、プロによる24時間の監視が必要だとする。さらに発電所の保守管理が義務化され、健全な運用が強く求められている。

 「当社は太陽光パネルのモジュール会社としての歴史の中で、サポート業務の経験も豊富です。今後は、その経験をより活かした、O&M(保守管理)事業を一層強化していきます」(ガオ氏)

 具体的には、営業活動の強化や全国のサポート体制、拠点の拡大、遠隔監視センターの機能強化を挙げた。特にO&M遠隔監視センターについては、今年5月に装備をリニューアル。各種の遠隔監視ツールに対応するとともに、24時間体制で全国の太陽光発電所を監視。現地に出向いて調査すべきかが遠隔から判断可能にすることで、調査コストの削減も実現したという。

O&M遠隔監視センターの機能強化
O&Mサービスの現状の契約発電所
新規で3サイト合計3.6MWのO&M契約を獲得予定

 同社は、太陽光モジュールの販売をこれまで以上に促進しつつ、O&M事業などにも力を入れることで、100年企業を目指していくと締めくくった。