長期レビュー
東芝「VEGETA GR-E62FX」 その1
使い始めて9年になる冷蔵庫、まだ壊れてはいないものの、外側の塗装にも傷みが出てきてそろそろ買い替えを考えたいところ。特に冷蔵庫は、この5年での省エネ技術の進化は目覚ましく、劇的に消費電力量が少なくなってきている。9年なら十分買い替え時期といえるだろう。
さて、どれにしようかと考えたのだが、わが家の生活スタイルと私自身の使い勝手を考えると東芝ホームアプライアンスの「VEGETA(ベジータ)」しか思いつかなかった。なぜなら、現在発売されている450L以上の大型冷蔵庫で、野菜室がまん中に配置されたものはベジータだけだからだ。加工済みの冷凍食品や冷凍素材をあまり使わないので、料理中に冷蔵庫を開け閉めする頻度は圧倒的に野菜室のほうが多くなる。その際に野菜室が一番下に配置してあると、しゃがみ込んで取り出さなければならず、使い勝手がよくない。
東芝「VEGETA GR-E62FX」。容量は最も大きい618Lを選択。ブリーズシャンパンと、グランブラウンの2色が用意されている。今回はプリーズシャンパンを購入した | 自宅のキッチンに設置したところ |
ベジータは、野菜室を真ん中にレイアウトするだけでなく、うるおいのある冷気で野菜の鮮度を保って保存する「うるおい補給野菜室」や、下茹でをしないで生のままの野菜を冷凍保存できる機能など、野菜にこだわった機能が充実している。また、冷蔵用と冷凍用、2つの専用冷却器を搭載しているなど、省エネ性に優れている点も大きな特徴だ。
というわけで、購入機種は東芝の「VEGETA GR-E62FX」に決定。今回から3週にわたって、ベジータの魅力や使い勝手をお伝えしていく。
メーカー | 東芝ホームアプライアンス |
製品名 | VEGETA GR-E62FX |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシ.com |
購入価格 | 283,800円 |
前の機種が465Lタイプで野菜室の大きさや冷蔵室の大きさに若干不満を感じていたので、今回は思い切って現行機種で最も大容量の618Lを選択。横幅75cmと大きいが、キッチンのレイアウトを変えることで何とか置くことができた。
■ワンタッチで開くのが便利な冷蔵室
食品を入れる前に、まずは庫内の各部屋の容量や特徴を見ていこう。
冷蔵室のドアは指で軽く押すだけで簡単に開く「スマートタッチオープンドア」を採用している。あまり勢いが強すぎると跳ね返って危ないが、そこはちょうどよく調整されている。両手がふさがっている時でも肘などで開けられるので便利そうだ。
片方の扉だけを開けて、必要なものを取り出せばいいので、冷気を逃がさずよりムダのない使い方ができる。
軽く触れるだけでドアが開く「スマートタッチオープンドア」 | ワンタッチドアのボタン部分を押すと、冷蔵室上部の突起が飛び出してドアが開く仕組みになっている |
冷蔵室の容量は307L。奥行は約42cmで、ワインの瓶などを寝かして置いても、十分余裕がある。逆にいえば、奥行がたっぷりしているので、整理用のトレーなどを活用するのがよさそうだ。もちろん、手を伸ばせば最上段以外は奥まで手が届く。
冷蔵室の扉を開けてみたところ。チルドルームなどを合わせて容量は307L。奥行があるので整理トレーを活用するのがよさそうだ | 冷蔵室奥のスリット部分からうるおいのある冷気が出てくる仕組み | 卵ケースには14個収納可能。ピコイオンの働きで除菌できるという。中の仕切りをひっくり返せば卵パックのまま収納も可能 |
卵ケースはドアポケットではなく、製氷用のタンクの脇に設置され、最大14個まで収納可能。その下には小物を入れるボックスがついている。
また、卵ケース右側のチルドルームは幅が狭いものの深さがあるため、21Lと容量的には満足できそうだ。これまでは製氷タンクの右側すべてがチルドルームだったため、チルド内の肉や魚を取り出す際にはドアを全開しないとならなかったのだが、右側のドアの幅に合わせてチルドルームが設けられているので、ドアを片方しか開ける必要がない。よく考えられていると感心した。
ドアポケットの使い勝手も重要なポイントになるが、この点も下段に収納したペットボトルや牛乳パックなどは、横からも取り出せるようになっているので使いやすい。
冷蔵室内の冷気は85%に保たれるため、ラップなしでも乾燥することなく食材を保存できるというが、果たしてどうだろうか。これは後々、試してみたいと思う。
卵ケースの下は引き出し式の小物入れになっている | 卵ケース右側のチルドルームは21L。深さがあり、右側の扉を開けただけで出し入れできるのが便利だ | LED照明で明るく見やすい。ドアポケットの下段は横からも出し入れできる |
■容量たっぷりの野菜室と冷凍室
次にベジータの一番の特徴でもある野菜室をみていこう。わが家では週末に生鮮食品その他をまとめ買いするのだが、スーパーのかごを2つ分くらいは野菜が占める。そのため、これまでは野菜室(108L)だけでは入りきらず、冷蔵室にも分散して収納していた。GR-E62FXの野菜室の定格内容積は144Lとたっぷり。しかも内トレーも含め、しっかりと手前まで引き出せるため、奥まで見渡すことができる。
実際に1週間分の野菜や果物、麺つゆなどの調味料などを入れてみたところ、ちょうどよく収まり、大満足。アスパラなど立てて保存したほうがよい野菜のためのスタンドも便利だ。ここまでぎっしり詰め込むと引き出しが重くなるのではと危惧したが、高耐荷重レールが使われているためか、スムーズに引き出せた。
冷蔵室のすぐ下、冷蔵庫のまん中に野菜室をレイアウトした点が特徴。容量も144Lとたっぷり | 1週間分のまとめ買いをした野菜を入れてみたところ。これまでポリ袋に入れたりラップで包んでいたのがそのままでOKなのはうれしい | トレーの下には重いものを、手前にはビン類を収納 |
重いものを入れても楽に引き出せるように、家具などに使われる高耐荷重レールが使われている | 野菜室内にうるおい補給中には「センサーうるおい」のランプが点灯する |
野菜室のすぐ下には、ミネラルウォーターを使っての製氷もできる製氷室と、「熱もの冷凍」「野菜そのまま冷凍」などの機能を備えた28Lの冷凍室がある。
熱もの冷凍、野菜そのまま冷凍などの機能がホームフリージングに便利な「冷凍室上段」。容量は28L | 上段の冷凍室左にある製氷室。容量は16L |
この小型冷凍室では、プレートの使い分けと操作パネルでの冷凍機能選択で、炊きたてのご飯などを熱いままでおいしく冷凍できる「熱もの冷凍」と、多めに刻んでしまった野菜や鍋もので残った野菜などを生のままで冷凍できる「野菜そのまま冷凍」とを使い分けることが可能。野菜そのまま冷凍には、今回のモデルからドライモードもついており、野菜の水分量を減らして味のしみ込みをよくするなど、“下ごしらえ”に便利だという。これは次回以降、さらに詳しく紹介していくつもりだ。
炊きたてのごはんや出来たての料理を一気に冷凍する「熱もの冷凍」では冷却効果の高いプレートを使用する | 「野菜そのまま冷凍」ではひっくり返して、断熱効果の高いブルーのプレートを使用 |
また、最下段の冷凍室は123L。これまで使っていたものが75Lだったので、約50Lも収納量が増えたことになる。冷凍食材はあまり利用してこなかったが、これからは“お取り寄せ”なども活用してみよう。冷蔵庫が変わることで、新しい生活スタイルも楽しめるとしたら、何だかわくわくしてくるではないか。大きな冷凍室を眺めて心が浮き立ってきた。
最下段の冷凍室。123Lと大容量 | 野菜室、冷凍室ともに収納の目安が示されていてわかりやすい | 冷凍室の内トレーを引き出したところ |
■ワットチェッカーで新旧モデルの電気代をチェック! 驚くべき結果は?
1日24時間、365日使う冷蔵庫。だからこそ、省エネ性能がモノをいう。省エネ技術が進んだというが本当にそのようになっているのだろうか。実測値で確認すべく、わが家の新旧2台の冷蔵庫にワットチェッカーをつけて、その1時間あたりの電気代予測値、約24時間の消費電力量と電気代をチェックしてみた。
これまで使っていたのは東芝の2003年モデルの「GR-NF475CK」。こちらの1時間あたりの電気代は3.4円、24時間使用後の消費電力量は1.54kWhで電気代は34円だった。一方、ベジータGR-E62FXの1時間あたりの電気代は0.6円、24時間使用後の消費電力量は0.61kWh、電気代は13円と表示された。
消費電力量で計算してみると、前の冷蔵庫のわずか39%。容量が約1.3倍と大きくなっているのに消費電力量は61%も少なくなっている! あまりの驚きの結果に「買い替えてよかった!」を実感した。
これまで使っていた2003年製の東芝冷蔵庫「GR-NF475CK」をワットチェッカーで計測してみたところ、1時間あたりの電気代は1.4円に | GR-NF475CKを24時間使用した際の消費電力量は1.54kWh | GR-NF475CKを24時間使用した際の電気代は34円 |
ベジータGR-E62FXの1時間あたりの電気代は0.6円と表示された | ベジータGR-E62FXを24時間使用した際の消費電力量は0.61kWh | ベジータGR-E62FXを24時間使用した際の電気代は13円 |
ここで1つ注意したいのは、2006年5月1日から日本工業規格(JIS C 9801)「家庭用電気冷蔵庫及び電気冷凍庫の特性及び試験方法」が改正され、年間消費電力量の試験方法を実際に家庭で使われる状況に近い試験条件に変更したことだ。これによって、年間消費電力量として表示される数値がそれ以前のものに比べて、“大きく”なっている。
わが家の2003年製の冷蔵庫のドアポケット部分に表示されていた年間消費電力量の数値は、250kWh/年。ベジータGR-E62FXの年間消費電力量は270kWh/年。数値だけみると、それほど変わらないようにも思うが、これは試験方法が異なるため。前述したように、実際には60%も消費電力が低減されているのだ。2006年5月以前の冷蔵庫を使用している場合は、表示されている年間消費電力量が今のものと異なることをぜひ念頭においてほしい。
1つの製品を長く使うことももちろん大切だが、省エネの観点からいえば、10年近く使った冷蔵庫は買い替えるのがやっぱり正解なのだ! と納得したところで、今回のレポートは終了。来週は野菜室の鮮度保持の様子や、「野菜そのまま冷凍」の使い勝手について紹介する予定なのでお楽しみに。
2012年3月27日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)