長期レビュー

東芝「VEGETA GR-E62FX」 その2

~野菜のムダを少なくしてくれる「エコな冷蔵庫」
by 神原サリー

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



東芝「VEGETA GR-E62FX」。容量は最も大きい618Lを選択。ブリーズシャンパンと、グランブラウンの2色が用意されている。今回はブリーズシャンパンを購入した

 東芝ホームアプライアンスの冷凍冷蔵庫「VEGETA(ベジータ)」のレビューをお届けしている。第1回では、「ベジータ」を選んだ理由、冷蔵庫の各室の特徴、これまで使用してきた冷蔵庫との消費電力の違いをご紹介したが、今回は、購入の最大の理由であった「野菜好きにうれしい機能」について、詳しく紹介していこう。

第1回は→コチラ


1週間経っても野菜がシャキッとしたままの「うるおい補給野菜室」に感動

 ベジータを選んだ最大の理由は、「野菜室」が中段に配置されていること。野菜室は、料理中にひんぱんに出し入れするが、ベジータ以外の大型冷蔵庫は、すべて中段ではなく下段に配置されている。ただし、ベジータがすごいのは野菜室の配置場所だけではない。

 ベジータの野菜室は、扉の開け閉めや野菜の量によって変わる温度や湿度などの環境をセンサーで見張り、必要に応じてうるおいを補給している。そのため、野菜の保存に必須な「湿度」が高い状態で保たれているのだ。実際に使ってみると、時折、冷蔵室の扉に「センサーうるおい」というグリーンのランプが点灯する。これが、野菜室内にうるおいのある冷気を補給しているサインなのだ。

 ベジータの野菜室は、湿度が約95%と高いので、ニオイの強いもの以外は基本的にラップは不要。買ってきた野菜をそのままの状態で、保存してみたところ、ほうれん草もチンゲン菜も、7日後でも購入時とほとんどそん色のない新鮮さを保っている。驚いたのはセロリもそのまま保存できていたこと。これまで使用していた冷蔵庫では、軸の部分は水分があっても時間が経つにつれて葉先はしおれてしまっていたのだが、ベジータで保存したところ、全く変わりのない姿だった。そのほか、グリーンアスパラや、使いかけの白菜も同様だ。

「ベジータ」は野菜室がまん中に配置されているのが特徴野菜室にうるおいを補給している際には「センサーうるおい」のランプが点灯する購入して7日後のほうれん草とチンゲン菜。十分に瑞々しさを保っている

 野菜の鮮度を奪うものとして、野菜から放出されるエチレンガスの影響があるが、「ベジータ」は東芝独自の「ピコイオン」の放出でエチレンガスを分解するという。1週間経っても元気な姿なのは、こうした働きも関係しているのだろう。

 使い残してしまったシイタケやエリンギは、なんと翌週に持ち越しても、変色もなく水分を保持していた。ここまで鮮度を保てるのは、1週間のまとめ買い派としては大満足。ついつい多めに買いがちな野菜を、使い切れずにダメにして捨ててしまうということもない。まさに「エコな冷蔵庫」だと実感した。

立てて保存できるボックスに入れて6日間経過したアスパラガスと白菜購入して7日後のセロリもシャキッとしている8日経過後のシイタケとエリンギ

ラップなしでサラダが保存できる!?

 “うるおいたっぷり”は野菜室だけではないのも、「ベジータ」の特徴。記者発表会の時も冷蔵室の中に、ラップをしないままの料理を入れていたが、果たして本当なのか? それを実証すべく、ベビーリーフ、茹でアスパラ、トマトなどが入ったサラダをラップしないで、冷蔵室に入れてみた。

 夕食時に1皿多く作っての実験だったが、翌朝見てみると全く変わりがない。結局そのまま置いておき、約24時間後の次の夕飯時に取り出してみた。さすがにやわらかなベビーリーフは、一部元気のないものも見受けられたが、トマトもアスパラも切りたて、茹でたてとほとんど変わらない瑞々しさ。実際に食べてみても、味に変化はなかった。

ラップ不要という冷蔵室にサラダを入れてみた24時間経過後のサラダ。ベビーリーフは少し水分が抜けていたが、トマトや茹でアスパラは全く変化なし

 ただ、冷蔵室は、他の食材の出し入れなどを多くするので、ラップなしで料理を保存すると、手が触れてしまうこともあるだろう。さすがに長時間保存するのは無理があると思うが、たとえば帰宅が遅い家族用のサラダなど、テーブルに出しておきたくないものを冷蔵庫にしまっておく時には、便利だ。これまで、先に作っておいた料理を冷蔵庫で冷やしておきたいという際にも、一人分ずつラップをしてしまっていたが、これからはムダにラップを使う必要がなくなったのはうれしい。野菜室に続き「エコな冷蔵庫」を実感したのだった。

生のまま野菜を冷凍できる「野菜そのまま冷凍」機能を使ってみた

 初代「ベジータ」の発売時から気になっていたのが、「野菜そのまま冷凍」機能だ。野菜は水分量が多いので、これまで冷凍するのは難しいと思っていた。茹でたブロッコリーや野菜入りカレーを冷凍することはあっても、生の野菜をそのまま冷凍するという発想はこれまでなかった。

 ベジータでは、野菜をゆっくり凍らせることで、野菜の細胞破壊を防ぎながら冷凍。下ゆでしなくても“おいしい冷凍”ができるという。野菜そのまま冷凍は、製氷室右側にある「上段冷凍室」を使う。

 ポイントは、丸のままではなく、千切りや拍子切りにカットしたり、ブロッコリーやカリフラワーなどは小房に分けるなど、食べやすい大きさにすること。カットした野菜は、水気を切ってチャック付きのビニール袋などの保存袋に入れて冷凍する。

野菜室と冷凍室の間にある「上段冷凍室」下ゆでなしで生のままの野菜を冷凍する際には「冷凍機能ボタン」をタッチして「野菜冷凍」に設定する上段冷凍室で「野菜そのまま冷凍」した後は、下段の冷凍室に移して保存する

 たとえばみそ汁に入れる千切りの大根も、少し多めに切っておいて、その一部を「野菜そのまま冷凍」に。上段冷凍室の「野菜冷凍マット」(ブルーの面)の上に保存袋に入れた野菜を並べたら、冷蔵室の左扉にあるタッチパネルの「冷凍機能ボタン」を押して「野菜冷凍」に設定すればOK。「野菜冷凍」の表示が消えてしっかり冷凍できたら、最下段にある冷凍室に移して保存する。

みそ汁用の大根を刻む際に多めに刻んで保存袋に入れて「上段野菜室」へ大根のほか、長ネギ、パプリカも余った分を保存袋に入れて「野菜そのまま冷凍」。ブルーの「野菜冷凍マット」に置くのがポイント多めに買ったキャベツやニンジン、マッシュルームなども上段野菜室で「野菜そのまま冷凍」に

 料理のたびに少しずつ「冷凍野菜」を作っておいたり、鍋ものの後に余ってしまった野菜やキノコ類を冷凍したりしておくと、ちょっと汁ものが欲しいというときにも、すぐに取り出して使える。ちなみに、冷凍野菜を食べる際は、加熱するのが基本。煮立ったお味噌汁や熱したフライパンに、凍ったままの野菜をそのまま入れて使う。

 本当に便利だと思うのは「すでに切ってある」こと。遅くに帰宅して急いで夕飯を作らなくてはいけないときでも、「そのまま冷凍の野菜」があれば、まな板要らずで料理が出来てしまったりする。また、野菜を多めに切ってしまった時も、冷凍すればいいので、ムダがない。

 みそ汁や炒め物、きんぴら(※ニンジンのみ冷凍したものを使用。ごぼうは冷凍に向かないので生のものを使っている)など、冷凍野菜をうまく使うことで、これまで以上に副菜が増え、食卓が充実してきた印象だ。しかも、仕上がりは冷凍野菜を使ったものとは思えない“いつもどおりの味や食感”なのが嬉しい。

キノコ類の中では日持ちのしないエノキだけも「野菜そのまま冷凍」すれば長持ちする忙しい朝や夕飯時にみそ汁を作る際にも、沸騰しただし汁に凍ったままのキャベツ、エノキだけ、油揚げを入れればスピーディ(※油揚げのみ、通常の急速冷凍)野菜室にあったチンゲン菜とわかめも加え、卵を落としたら具だくさんのみそ汁の出来上がり
きんぴらごぼうを作る際にも「野菜そのまま冷凍」済みの人参が活躍牛肉、ゴボウを炒めてフライパン内の温度が高いところに投入するのがポイント刻む手間も省けて、あっという間にきんぴらごぼうが出来上がった

生のまま「一気冷凍」と、「野菜そのまま冷凍」ではどう味が変わる?

 というわけで、野菜そのまま冷凍機能には大満足なのだが、これまで生のままの野菜を冷凍した経験がなかったので、ひょっとしたら普通の冷凍室で「急速冷凍」してもうまく冷凍できるのでは? という疑問が沸いた。そこで、普通の急速冷凍と野菜そのまま冷凍では、どのような違いが出るのか実験してみた。

 千六本(マッチ棒の大きさ程度に切った状態)に刻んだ大根を、一気冷凍と野菜そのまま冷凍でそれぞれ冷凍。凍ったものを取り出してみると、見た目が全く違う! 一気冷凍したものは、大根が固まってしまっていて、見た目も白っぽい。一方、野菜そのまま冷凍は、大根が分かれていて、色も元の大根の色に近い感じだ。

 この大根で味噌汁を作ってみたところ、食感が全く違っていた。野菜そのまま冷凍でゆっくりと冷凍したものは、生の大根を刻んでみそ汁にした時と同じようなホロッとやわらかで甘みのある味わいなのに、一気冷凍した大根は、時間をかけて煮込んでもホロッとならず、シャッキリ感とも違うギシッとした食感が残り、甘みも少ない。

試しに下段の野菜室で千六本にした大根を「急速冷凍」してみた左が「急速冷凍」した大根、右がゆっくり時間をかけた「野菜そのまま冷凍」の大根。それぞれみそ汁にしたところ。見た目は変わらないが食感が全く違う

 普通の冷蔵庫の冷凍室で、いくら野菜をカットして冷凍したとしても、おいしく冷凍できないことがはっきりした。野菜を生のまま冷凍するのは、野菜の細胞破壊を防ぎながら冷凍するベジータならではの機能なのだ。

 うるおいたっぷり、ラップなしで保存できる冷蔵室と野菜室、さらに野菜をそのまま冷凍できる便利さで、ベジータの時短とエコを実感した。次回は、「野菜そのまま冷凍」のさらなる進化バージョン「ドライモード」の実力や、熱いごはんもそのまま冷凍できる「熱いもの冷凍」のほか、製氷室のお手入れなどについて紹介するのでお楽しみに!



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2012年4月3日 00:00