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長期レビュー

東芝「VEGETA GR-E62FX」 最終回

〜野菜の下ごしらえに大活躍! 料理の幅が広がる冷蔵庫
by 神原サリー

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



東芝「VEGETA GR-E62FX」。容量は最も大きい618Lを選択。ブリーズシャンパンと、グランブラウンの2色が用意されている。今回はプリーズシャンパンを購入した

 東芝ホームアプライアンスの冷凍冷蔵庫「VEGETA(ベジータ)」のレビューをお届けしている。第1回では、「ベジータ」を選んだ理由、冷蔵庫の各室の特徴、これまで使用してきた冷蔵庫との消費電力の違い、第2回では、購入の最大の理由であった「野菜好きにうれしい機能」について紹介したが、今回は「野菜冷凍ドライ」機能の実力や、熱いごはんもそのまま冷凍できる「熱もの冷凍」、気になる製氷室のお手入れ方法を詳しく紹介していこう。

第1回は→コチラ
第2回は→コチラ

「野菜そのまま冷凍」のドライモードを試してみた

 ベジータには、野菜に特化した機能がいくつも搭載されている。これまでに、高湿で野菜が長持ちする野菜室機能や、野菜をそのまま冷凍できる「野菜そのまま冷凍」機能などを紹介した。これまで野菜の冷凍といえば、下ゆでしたものを使うのが一般的だったが、刻んだ野菜を生のままで保存袋に入れて冷凍できるため、手間もかからず、使い残した野菜の使い切りや再利用にもなるのだ。

 今回は、野菜そのまま冷凍に搭載されている「野菜冷凍ドライ」モード(以下、ドライモード)について紹介しよう。野菜冷凍ドライとは、野菜に風を当てながら、時間をかけて冷凍させることで、野菜の水分を飛ばすモードだ。野菜そのまま冷凍と同じように、上段冷凍室手前の冷凍プレートを使うが、野菜冷凍ドライの場合は、野菜を保存袋や密閉容器には入れず、ラップを敷いた上、もしくは浅めの容器に重ならないように置く。

野菜室の下にある上段冷凍室 野菜冷凍ドライモード機能を利用するには、冷蔵庫扉にあるタッチパネルの「冷凍機能ボタン」をタッチして「野菜冷凍ドライ」に設定する 上段冷凍室手前のトレーをブルーの面にして、保存容器に入れてパプリカをセット。ふたはしないのがポイント
ドライモードで冷凍したパプリカ。色鮮やかなままで、1つ1つがパラパラと離れている

 まずはまとめ買いしてあったパプリカで試してみることにした。1cm幅に刻んで容器に入れ、冷凍プレートのブルーの面を上にしたところに置く。冷蔵庫の扉にあるコントロールパネルの冷凍機能ボタンをタッチして「野菜冷凍ドライ」に設定すればOK。野菜そのまま冷凍では約3時間後に冷凍が完了したが、ドライモードではじっくりと時間をかけて水分を飛ばしながら冷凍するため、冷凍が終わるまでに約8時間かかった。

 取り出してみると、パプリカの鮮やかな色合いはそのまま。1つ1つがくっつくこともなく、バラバラの状態で冷凍されている。なお、長期保存する場合は下段の冷凍室を使った方が良い。

これは便利!「ベチャッとしない炒め物、油ハネのない揚げ物」ができる

 ドライモードで冷凍した野菜を使って料理をすると、どんな利点があるのだろう。ドライモードと、野菜そのまま冷凍の違いも気になるところだ。

 まずは、パプリカを使ってガーリックオイル味のパスタを作ってみた。オリーブオイルでニンニクと赤唐辛子を炒めた後、ベーコンとアスパラガスを加えてさらに炒め、赤と黄色の冷凍パプリカを投入。あっという間に火が通り、色鮮やさは生のままの時と変わらない。具材に火が通ったところに、茹でたてのパスタを加えてできあがった。

 使い勝手のよさは、前回試した「野菜そのまま冷凍」の際とそんなに変わらない。ただ、水分が抜けているせいか、多めのオリーブオイルで具材を炒めているところにパプリカを入れても、油がはねることもなく、シャキッと仕上がっているように感じた。

 続いて試したのは、ドライモードで冷凍したキャベツ、パプリカを使った炒め物。まずは豚肉を炒めてから、キャベツ、パプリカの順で炒めた。生の野菜を使った時は、野菜を投入すると火力が足りなくなって、ベチャッとしてしまうことの多い野菜炒めなのに、ドライモードで冷凍した野菜を使うと、フライパンに水がたまらない。しかもすぐにかさが減るので、とても炒めやすいのだ。

ドライモードで冷凍したパプリカを使ったパスタ。食感は生のものを使ったときとほとんど変わらない ドライモードで冷凍したキャベツ、パプリカで作った炒め物。水気が出ないので炒めやすく味もしっかりつく

 食べてみると、水分が出ていないために少なめの調味料でも味がしっかりとつき、シャキッとした歯触りでおいしい。野菜の甘みも増しているようだ。「うーん、これはすごいぞ!」と唸ってしまった。

 ドライモードの実験はまだまだ続く。次は揚げ物だ。東芝「ベジータ」のウェブサイトには「野菜そのまま冷凍」「野菜そのまま冷凍ドライモード」の野菜を使ったおすすめレシピが掲載されていて、参考になる。そこで紹介されていた「野菜のマヨフリッター」をパプリカで試してみることにした。衣はマヨネーズ、牛乳、薄力粉を順に混ぜ合わせるだけと簡単。ドライモードで冷凍したパプリカを衣を入れたボウルに入れ、170℃の油で揚げる。凍っていた素材なのに、油ハネがなく、みるみるうちに揚がる。これは楽しい。

ドライモードで冷凍したパプリカをフリッター用の衣にそのまま投入 衣にからませるようにする 揚げている際に油がはねないのがうれしい
パプリカとオクラのマヨネーズフリッターのできあがり

 サクッとした衣にはマヨネーズのかすかな酸味があり、パプリカの甘みと相まって美味。今回はフリッターで試したが、天ぷらを作る時にも便利そう。普通、天ぷらを作るときは、衣の温度が低くないとカラッと揚がりにくいため、衣を冷やす工夫をすることが多いが、ドライモードで冷凍した野菜を使えば、野菜自体が冷たいので、衣に氷を入れて冷やす手間もいらない。

煮物やアメ色玉ねぎもスピーディに仕上がる

 記者発表会時にも「おすすめメニュー」として紹介されていたカボチャの煮物。ドライモードで冷凍しておくと、カボチャの水分がとんでいるために煮物の味がしみこみやすいのだという。これも試してみないわけにはいかない。

 カボチャは一口大の食べやすい大きさに切ってから、上段冷凍室の冷凍プレートの上にラップを敷き、その上に並べて冷凍する。冷凍されたカボチャを手にとってみると、軽い。見た目の大きさは変わらないが水分が抜けているのだなと実感した。

カボチャをドライモードでそのまま冷凍に。トレーの上にラップを敷き、食べやすい大きさに切ったカボチャをのせて冷凍する 冷凍が完了したところ 手で持ってみると、水分が抜けているためか軽く感じた

 こうして下ごしらえされたカボチャを煮物にする際は、味付けをしたダシ汁にそのまま投入すればOK。どれくらいの時間で煮えるだろうかとストップウォッチで計測してみたところ、約15分で芯まで火が通り、まわりがホロッとやわらかくなっている状態になった。これは速い。

 さて、味のほうはどうかといえば「味が濃い!」。そうなのだ、これまでならカボチャの水分で味が薄まるのを考慮して、濃いめの味付けにしていてちょうどよかったのだが、今回はだし汁の味がそのままカボチャに入るので、薄いくらいの味付けが適していたのだった。これは次回からの教訓として頭に入れておきたい。少ない調味料で煮上がるという点では、先の炒め物の味付けにもつながる。ドライモード、恐るべし。

冷凍が完了したカボチャはチャック付きの保存袋に入れて、冷凍室下段で保存する 煮物の際には、味付けをしただし汁に冷凍のまま投入。ふたをして中火で加熱した わずか15分で、味がしみ込んでほっくりと柔らかく煮えたカボチャ

 そしてもう1つ、やってみてびっくりしたのが、ドライモードで冷凍した玉ねぎを使って作るアメ色玉ねぎの仕上がりの速さ。カボチャと同様、冷凍プレートの上にラップを敷いて、その上に薄切りにした玉ねぎを広げて冷凍する。重ならないように並べるのがポイントなので、1回に冷凍できる分量は中1個程度。折を見て、こまめに「冷凍玉ねぎ」を作っておくとよいだろう。

 このドライ冷凍の玉ねぎをフライパンで炒めると、最初はわずかばかりの水分が出るが、それがとんだ状態になると、まもなく色が茶色に変わり、5分程度でアメ色玉ねぎができてしまう。最初はここまでスピーディにできると思わなかったため、ちょっと目を離した隙に一部が焦げてしまったほどだ。

 アメ色に炒めた玉ねぎは絶妙な甘みがあるため、カレーやシチューなどのおいしさの隠し味になったりするが、フライパンにつきっきりでいないとならず、30分以上も時間がかかってしまう。それが、こんなに簡単にできるとは驚きだ。

玉ねぎの薄切りもドライモードで冷凍。なるべく重ならないように並べるのが大切なので1回あたりに冷凍できるのは中1個程度 凍ったら保存袋に入れて下段の冷凍室へ フライパンに少量の油を入れ、凍ったままの玉ねぎを投入
すぐにしんなりとし、水気が少し出てきた 5分程度で水気が飛び、アメ色に変わった 簡単アメ色玉ねぎに、そのまま冷凍したカリフラワーを入れて作ったビーフカレー

 いろいろ試してみて分かったのは、ドライモードは、おいしい料理のための「下ごしらえ」であるということ。普通の「野菜そのまま冷凍」は、野菜のロスを少なくし、料理のついでに行なう作業だが、ドライ冷凍はもっと積極的な冷凍と言ったらいいだろうか。生のままの野菜ではできない、ドライ冷凍だからこその特徴をフル活用して、便利でおいしい料理ができるのがうれしい。

「熱もの冷凍」のごはんは、まるで炊きたてのようなおいしさ

 上段冷凍室の機能には、ほかにもごはんや料理をできたての熱々のままで冷凍できる「熱もの冷凍」がある。今でこそ、国内メーカー各社の冷凍室で採用されている機能だが、最初にこの機能をつけたのは東芝だ。

 まずは、一番使用頻度の多いと思われる、炊きたてのごはんで実験してみることにした。夕食時に多めに炊いたごはんを、食卓に出す前に広げたラップの上に1食分ずつ置いて、ふんわり包んで上段冷凍室へ。アルミ面を上にした冷凍プレートの上に置き、冷蔵庫扉のタッチパネルの「冷凍機能」ボタンにタッチして「熱もの冷凍」に設定。だいたい180分後に表示が消え、冷凍が完了。冷凍野菜と同様、下段の冷凍室に保存した。

熱いごはんをそのまま冷凍する際には「熱もの冷凍」に設定する 炊きたてのごはんをラップに広げ、冷まさずに包むのがポイント 上段冷凍室手前の冷凍プレートをひっくり返し、アルミ面を上にしてごはんを置く

 さあ、電子レンジで温めて、食べてみることにしよう。電子レンジの80℃の自動あたために設定して、冷凍ごはんを加熱。ラップを開いてみると、ふんわりとほぐれ、米粒がくっついていない。これまでの冷めたごはんを冷凍したものとは違い、ふっくらしている。ごはん茶わんに移す際にも、ほぐしやすく形を整える程度でよいことに驚いた。

 食べてみると、見た目同様、ふっくらとしていて、ごはんの甘みや旨みが感じられる。まるで炊きたてのようだと言ったら言い過ぎだろうか。ごはんのおいしさはでんぷん質のα化(糖化)にあるが、冷めるに従ってそれが減少してしまうのだという。

電子レンジを80℃の自動あたためにセットして、冷凍ごはんを加熱。ラップを開いてみると、これまでの冷凍ごはんのイメージを覆すようなふっくら感がある お茶わんに入れる際もふわりとしているので簡単にほぐすことができた

 熱もの冷凍ではその減少率が5%に抑えられるため(冷めたごはんの冷凍では約14%)、甘みのあるごはんが再現できるのだという。熱もの冷凍時には、消費電力が10%アップするというが、「ちょっとごはんが足りない」「1人分だけ炊くのは面倒」という時には、冷凍室にこんなおいしい冷凍ごはんが常備されていたら便利だろう。

給水ホースまで洗える自動製氷機

 最後にお手入れについて、少し紹介しておこう。冷蔵庫のお手入れで最も重要なのは、食品や調味料などをこぼしてしまったら、固まる前に拭き取ること。また、庫内の棚やチルドケースなどは年に2回程度、水洗いをするのが望ましいという。

 そんな中で、一番頻繁にお手入れが必要なのが自動製氷機部分だ。給水タンク内のフタや浄水フィルターは1週間に1度、給水パイプや給水ポンプは月に1度スポンジなどを使って水洗いすることで、水あかやカビの防止になる。取り外しや組み立てはそんなに面倒ではないので、手軽にできそうだ。

冷蔵室の卵ケース脇にある給水タンク 給水タンクのフタを開けたところ フタを裏返したところ。左が給水パイプと給水ポンプ。まん中が浄水フィルター
給水ポンプと給水パイプを取り外したところ。細部まで分解して洗うことができる 浄水フィルターのフィルターケースを取り外したところ 給水タンクを取り外すと奥に水受けケースが見える

 また、ベジータの製氷機は、給水タンクのほか、給水経路である水受けケースも取り外すことができ、製氷皿へとつながる給水ホースも洗うことができる。取扱説明書によれば、この部分は年に1〜2回のお手入れでよいそうだが、清潔でおいしい氷のために忘れずに行ないたい。

製氷皿へとつながる給水ホースのついた水受けケースも取り外して洗うことが可能 自動製氷機関連で洗うことができる部品たち
給水タンク上部のカバーをスライドさせて水を入れる アイスボックスの貯氷量は氷を平らにならした時で160個程度

野菜好きにうれしい機能満載、料理の幅が広がるベジータ

 冷蔵庫といえば、食材を新鮮に保存したり、常温では傷んでしまう料理を保存しておくためのもの…というのがこれまでの常識だったように思う。また、週末などにまとめて料理したものを小分けにして冷凍するホームフリージングという使い方もあった。

 だが「ベジータ」は、そうした冷蔵庫の概念を覆すような、一歩進んだ冷蔵庫だ。あらかじめ刻んだ野菜を冷凍しておくことで、多忙な毎日でも簡単に野菜豊富な料理が作れる「野菜そのまま冷凍」機能や、水分をとばして冷凍させることで煮物、炒め物、揚げ物などがぐんとおいしくなる「野菜冷凍ドライ」など、料理の下ごしらえ機能として積極的に使える点が新しい。

 1週間経っても元気なままで野菜を保存できる、使いやすいレイアウトの野菜室を含め、野菜にこだわりたい人には本当に嬉しい冷蔵庫といえるだろう。

 ちなみに取扱説明書によれば、野菜そのまま冷凍・野菜冷凍ドライに適さない野菜はナス、ほうれん草、ゴボウ、さやえんどうなどのアクの強い野菜と、レタスやきゅうり、青ジソ、カイワレ大根など生で食べる野菜とある。この点にだけ注意すれば、日ごろ使う野菜の活用範囲は広い。じゃがいもも「そのまま冷凍」できるそうなので、芽が出る前に早めに冷凍保存して、ポテトサラダ作りに使ってみたいと思う。

 これまであまり重要視してこなかった「たっぷり容量の冷凍室」も、冷凍野菜や冷凍ごはんの保存のほか、お取り寄せで届いた地方の名店の食材などの保存に重宝している。初回に計測してみたとおり、消費電力も低く、今回の買い替えは正解だったと実感。タッチパネルの上部についている「eco」ボタンの表示が消えてしまうと、何だか落ち着かない気持ちになり、扉の開け閉めにも気を使うなど、使う際の「省エネ・節電」にも配慮されていてありがたい。

フレッシュナビ機能を使うと、現在どこを冷却中なのかが表示される。また、約10%の節電が可能な「節電モード」もある 扉の開閉が多いとパネル上部の「eco」ボタンの表示が消えてしまう

 8〜10年以上、同じ冷蔵庫を使っていて、買い替えを考えている人や「野菜好き」な人にはぜひおすすめしたい冷蔵庫だと思う。



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2012年4月10日 00:00