長期レビュー

東芝「TORNEO W VC-SG711」 後編

~豊富なアタッチメントでエアコンの上のホコリまでバッチリ取り除く
by 阿部 夏子

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



東芝「TORNEO W VC-SG711」

 2種類のサイクロン機構を搭載した東芝「TORNEO W(トルネオダブル) VC-SG711」のレビューをお届けしている。後編となる今回は、豊富なアタッチメントの使い勝手や、気になるお手入れ方法を中心に紹介していこう。

 トルネオダブルの特徴や、基本的な構造を紹介している前編は→コチラ

アタッチメントがとにかく使いやすい

 様々な機能が搭載されているトルネオダブルだが、やはり掃除機の基本機能となる吸引力がスゴイ。絨毯やカーペットなどホコリやゴミが絡みつきやすい場所の掃除をすると、みるみる内にダストボックスの中にゴミが溜まっていくのを見るのは、爽快ですらある。

 本体には、この吸引力を活かして床だけでなく、家中のあちこちを掃除するための様々なアタッチメントが付属する。ふとん用ブラシや丸ブラシなど一般的なブラシだけでなく、アタッチメント専用のホースや伸縮ノズルまでついて、その数なんと7点! これは管理するのが大変だなーと思っていたら、専用の収納袋までが付属するという念の入りようだ。

本体にはロングブラシ、ふとん用ブラシ、洋服布用ブラシ、丸ブラシの4つのアタッチメントのほかに、アタッチメント専用のホースや、伸縮ノズルなどが付属するアタッチメントを入れるための専用袋が付属する

 使ってみて特に感動したのが、ロングブラシだ。ブラシを引き出して伸ばすことで、直角に曲げられるので、これまでなかなか掃除できなかったエアコンの上や、棚の上までしっかり掃除できる。

ロングブラシブラシ部分を伸ばすことで、直角の角度をつけられる
エアコンの上など、高いところを掃除するのに便利角度がついているので、奥までしっかり掃除できるリビングにある天窓を掃除するのにも役だった

 高いところを掃除するときに便利だったのが、吸い込み口付近に備えられているゴミセンサーがゴミを感知すると光る「ゴミ残しまセンサー」だ。ゴミを吸っている場所を目で確認できない代わりにセンサーがゴミの有無を教えてくれる。掃除をしながら自然に目に入るホース部分に備えられているのも良い。

ホースにはゴミの有無をセンサーで感知して光る「ゴミ残しまセンサー」がついている。高い場所だと、ゴミの場所を目視できないが、センサーがゴミを教えてくれるので便利

 布団ブラシの使い勝手もなかなか。布を巻き込むことなく掃除できるので、カーテンやソファーカバーなど様々な場所で使える。

 アタッチメントが豊富なのは、なにもトルネオダブルだけに限ったことではないが、専用の収納袋をつけるなど、ユーザーの使い勝手に配慮している点が好印象。どれも、しっかりした造りで、アタッチメントならではの操作や本体との操作も全く問題なかった。

付属の布団ブラシ布を巻き込まないので、布団やカーテンの掃除に便利

ここまで水洗いできるの? ハイレベルなお手入れにびっくり

 トルネオダブルでは、2つのサイクロン機構を搭載しており、ダストボックスも2種類搭載されている。とはいっても、単純にゴミ捨ての手間が2倍になるわけではない。2種類あるサイクロンのうち、日常的にゴミ捨てするのは手前にある「デュアルトルネードサイクロン」だけで、12気筒のサイクロン「ミクロトルネードシステム」の方は3カ月に1回程度。今回は1カ月程度使った状態で、ゴミ捨てを行なったが、容量的にはまだまだ余裕があった。

定期的にゴミ捨てを行なう「デュアルトルネードサイクロン」のダストボックス12気筒のサイクロン「ミクロトルネードシステム」の下にもダストボックスが備えられてるミクロトルネードシステムのゴミ捨ては3カ月に1回程度。写真は1カ月使ったところ。中にはミクロサイズの小さなゴミが溜まっている

 なお、ミクロトルネードシステムのゴミ捨てのタイミングは、お手入れランプで知らせてくれるので、ユーザーがゴミ捨て時期などを気にする必要はない。また、3カ月程度ゴミを溜めっぱなしというと、ニオイや菌の繁殖が気になるという人もいるかもしれないが、ミクロサイズのゴミが入るダストボックスの上には、UV除菌ライトが搭載されているので、その点も安心だ。

 驚いたのは、2種類のサイクロンシステム両方とも、分解、水洗いに対応している点。12気筒のサイクロンも全て分解して、それぞれ水洗いできるというのだ。日常的に必要な手入れではないが(メーカーに聞いたところ1年に1回程度でいいという)、清潔性にこだわりのある人には嬉しい機能だ。

ミクロトルネードシステムのダストボックス。中は4つに別れている中にはミクロサイズのゴミが溜まっていた。写真は、約1カ月使って溜まったゴミ12気筒の周りにも細かいゴミが付着している
ミクロトルネードシステムは全て分解可能で、水洗いにも対応するデュアルトルネードサイクロンも分解できる付属のお手入れブラシなどで細かいホコリを取り除く

 最初は、2つのダストボックスにそれぞれのゴミ捨てがあることに、抵抗を覚えていたが、普段使っている分には、ダストボックスが2つあるということも忘れてしまう。ミクロトルネードシステムのダストボックスを見ると、本当に細かい粉のようなゴミが溜まっていて、改めてトルネオダブルの性能の良さを実感できた。

使い回しにはちょっと不満が残る

 吸引力、アタッチメントの使い勝手、お手入れ性もマルのトルネオダブルだが、気になった点もある。それは、本体を移動させるときの取っ手の位置と本体の形だ。

 トルネオダブルの取っ手は、本体と一体になっているので、パッと見てどこの取っ手があるかわかりにくい。また、本体を立てて収納している場合、横から取っ手を引き出すのがほぼ不可能な形状となっている。12気筒のサイクロンを背負った未来っぽいデザインを重視したのかもしれないが、日常的に使うことを考えると、やはり取っ手は最初から出っ張っていた方が使いやすい。

 形状については、本体後方が出っ張っている部分が気になった。前方と後方の幅が違うので、椅子や机の脚の部分にこの出っ張り部分が引っかかってしまうのだ。ヘッドやパイプの使い勝手が優れているだけに、本体がスイスイついてこないことにストレスを感じた。

取っ手は普段は本体に収納されており、持ち運ぶ時だけ引き出すタイプ本体後方が左右に出ているデザインなので、テーブルの脚や椅子の脚に本体が引っかかってしまうことがあった

ユーザーニーズに応えた1台

 約1カ月に渡りトルネオダブルを使ってきて一番感じたのが「ユーザーのニーズをよく反映しているな」ということ。たとえばフィルターの自動お掃除機能をなくして欲しいという声もよく聞いていたし、使い勝手が計算しつくされたアタッチメントの充実度もほかにはないものだ。

 また、サイクロン内部まですべて水洗いできるという構造もユーザーニーズに応えたものだろう。というのも、日本のユーザーは清潔性にこだわる人が多く、本来掃除する必要がそれほどない場所であっても「掃除できる」ということを重視する傾向があるという。たとえば、便座と便器の境目部分。日本メーカーの高級機種では、便座をそのまま上に上げて、拭き掃除ができるようになっているが、海外ではこのようなニーズは一切ないという。話が長くなってしまったが、それくらい日本では、水洗い、丸洗いにこだわる人が多いということだ。

 ゴミ、それもミクロサイズのゴミを溜める場所を水洗いOKとするには、メーカー側に苦労があっただろう。きめ細かい使い勝手まで追求した日本製らしい1台だ。

 2回のレビューでは紹介しきれないほど、多機能な製品なので、機能性や構造にこだわる人には一度チェックして欲しい製品だ。



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2012年4月17日 00:00