長期レビュー

象印「極め羽釜 NP-ST10」最終回

~安い買い物ではないが、その価値はある。絶対損はしない
by 藤山 哲人

 
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




 希望小売価格が13万円の象印の最高級炊飯器「圧力IH炊飯ジャー 極め炊き 南部鉄器 極め羽釜 NP-ST10」について全3回に渡ってレビューをしているが、今回が最終回となる。

 これまでの連載では、南部鉄器の内釜で炊いた「かまど極め」モードでおこげごはんを楽しんだり(第1回)、さまざまな炊飯メニューでごはんを炊いてそのおいしさを家族の感想と数値的なデータで見てきた(第2回)。

 最終回は、急速炊飯や予約炊飯、玄米や雑穀米の炊飯など、あると便利な機能やヘルシーなメニューについてを見てみよう。また炊飯器もだいぶ汚れてきたので、お手入れの簡単さなどについても紹介する。

 そして最後に、「この希望小売価格136,500円の高級炊飯器は、本当に買う価値があるのか?」という疑問に答えを出したい。

14分で炊ける特急炊飯はイマイチ、29分の急速炊飯は◎

 「炊飯の予約を忘れた!」「PTAの会議が長引いて夕食まで時間がない!」「行楽渋滞に巻き込まれて夕食の時間が過ぎてる!」という場合に便利なのが急速炊飯だ。一般的な炊飯器には、1つの時間設定しかできないものが多いが、本製品は以下のような、「特急」「急速」という2つのメニューを備えている。

【2種類の急速炊飯メニュー】
モード炊飯可能な
合数
特徴
特急0.5~4合最速で14分、遅くても29分で炊き上がるという超高速炊飯
急速0.5~5.5合最速で29分、遅くても35分で炊き上がる高速炊飯モード

 14分で炊き上がるというのは非常に便利そうだが、炊き上がりのごはんの味が心配だ。実際に炊飯してどんなものになるのかをテストしてみよう。

 特急と急速のどちらが早く炊けるのがが分かりにくいが、3合の米を炊いてみたところ、特急では21分、急速では30分となった。さて、炊き上がりのごはん粒の様子を見てもらおう。

左が特急、中央が急速、右がふつうで炊いたごはん粒。給水時間がほとんどないので、特急、急速ともごはん粒が小さめだ

 またそれぞれの歯ざわりは次のようなグラフになった。

特急はこれまでに見たことがない食感だ急速は弾力がありつつも芯があるような感じこちらは、ふつうモードで炊いたグラフ

 試食した家族の感想は、全体的にあまり芳しくなかった。

【急速炊飯のごはんを食べた家族の感想】
メニュー家族の感想
特急これはイマイチ。外側はベタベタで中は芯が残っている。
お箸でごはんをつまみあげると、団子状にくっ付いたごはんが取れてしまう。
甘みもない
急速しゃっきりモードより硬く甘みもない。
ただ、特急のようなベタつきがなく、見た目はふつうの炊き上がり。
特急よりはごはんを食べている感じがする

 筆者はしゃっきりしたごはんが好みではあるが、特急は外がベタベタ、中は硬すぎで、さすがにこれはいただけない。糖度も9%と、メニューの中で一番低い。

 かたや急速は、通常の半分の時間でよくここまで炊けるなぁと感心するほどで、糖度もふつうより3%低いだけの12%だった。炊飯の時間を考えると、いくら急ぎとはいえ、おかずや汁物の準備をしていれば30分は経ってしまうので、我が家の場合は、特急メニューは不要というのが本音だ。

玄米と雑穀、おかゆでおいしくヘルシーな食卓を

 最近はヘルシーな食事を心がける人が多くなっているようで、現在発売されている炊飯器のほとんどは、玄米を炊くメニューを備えている。また、雑穀米を混ぜた白米をよりおいしく炊飯するメニューを備える機種もある。

 本製品も玄米も雑穀米にも対応しているので、ヘルシーごはんを色々炊いてみた。

 まずは「玄米活性」メニューから。このメニューは、玄米に含まれる栄養素を最大限に引き出して炊飯するというもの。炊飯に3時間以上もかかるが、健康には代えられない、ということで実験。

「玄米活性」の炊き上がりは、ごはん粒が立っている状態。ごはん粒はぬか層を突き破って、白米が顔をのぞかせている

 炊き上がりでフタを開くと玄米独特の香が部屋に漂う。食べてみると、栄養価が最大限引き出されているのだろうか、玄米独特のにおいがかなり強くなっている。筆者はそれほど玄米が嫌いというワケではないが、ちょっとキツかった。またごはん粒も少し柔らかめで胃にはやさしそうだが、噛み応えがないのが残念。これは、かなり玄米を食べなれた人向けのメニューだろう。結局、3合炊いた玄米を家族5人で食べたが1合近く余ってしまった……。

 続いて、「玄米 ふつう」メニューで炊いてみた。

「玄米 ふつう」で炊いたごはん。おいしく炊けたサインのカニ穴がいっぱい。ごはん粒も一般的な炊飯器で炊いた玄米ごはんとほぼ同じ

 玄米活性に比べると臭みも少なく、歯ごたえも玄米ごはん独特の“プチっと感”でいっぱい。玄米をはじめて食べる人なら、こちらで炊くことをオススメしたい。こちらも3合を5人で食べたが、完食! なお玄米は咀嚼回数が増えるので、満腹になりやすい(脳の満腹中枢は咀嚼回数に影響される)ので、いつもより1合少なめぐらいに炊くのが、我が家ではちょうど良かった。

 また雑穀米も試してみた。結果から言うと、これメッチャウマいっす! とくにたくあんとの相性が絶妙!

 作り方は簡単で、ふつうにごはんを炊くのとまったく同じ。水の量も同じだ。違うのは炊飯前に市販の雑穀米の素をサラサラと入れて「雑穀米 白米 ふつう」メニューを選ぶだけ。

市販の雑穀米の素を入れて、炊飯前によくかき混ぜる
炊き上がりは、ちょっとお赤飯のような感じ雑穀米の素にも影響されるかもしれないが、ほんのり塩味が効いていておいしい。たくあんとの相性は超抜群

 これも家族に大人気で完食。しかも「翌日はお弁当に雑穀米のおにぎりをもって行きたい!」という中高生の娘からのリクエストがあったほどだ。

 さらにおかゆも試してみた。何も入ってない白がゆだとちょっと物足りないので、レシピブックにあった中華風の「雑穀おかゆ」を作ってみた。

 どうやら極め羽釜のおかゆは、重湯(おもゆ)のない全がゆになるようだ。中華料理の朝がゆのようにオジヤのような感じに仕上げるには、倍の合数の水を張るといいだろう。たとえば1合のお米なら、2合分の水を張ると、オジヤのような5分がゆになる。

レシピブックに載っていた、中華風の「雑穀おかゆ」は、鶏がらスープに醤油とごま油で味をつけ、具材は切り干し大根ときくらげという変わったもの炊き上がりは、重湯のない全粥になる。ウマイ!

 我が家は5分がゆ派なので、重湯の少なさが少し気になったが、味はとてもウマイ! これも家族で好評だった。

熟成炊きは甘くて和食に合う。すしめしはスーパーで売ってるヤツよりもウマイ!

 残るメニューは、お米のおいしさを最大限に引き出すという熟成炊きと、お寿司用のすしめしだ。まずは熟成炊きから試してみた。

 極め羽釜で炊いたごはんは、だいたいどのメニューでも蒸らし工程で余分な水分を飛ばすため、ごはん粒の水分が少なめになっていた。しかし熟成炊きは、ごはん部に一番水分を含んでいるようでピカピカのごはんだ。

「熟成炊き」のごはん粒は、これまで見たメニューのどれよりもピカピカと光っておいしそう。ヨウ素液の反応は、ごはん粒の深までα化(澱粉が糖分に変化)しいているので甘そうだ

 家族で試食してみた感想は「凄く甘くておいしいし、固さもちょうどいい感じ。これはお漬物と焼き魚を食べたくなるごはんだねー」と好評。糖度を調べてみると18%と、「もちもち」モードと同じ甘さだった。

 一方食感は、次のようになった。

左はふつうの食感、右は熟成炊きの食感。データで見る限りそんなに違いがないように見えるが、実際に食べると違う

 グラフを見るとほとんど同じカーブを描いているが、実際に食べてみると違いがある。どちらもごはんの中央部分ぐらいまで歯が入るとスッと噛み切れるが、そこまでの過程が少し異なっている。ふつうは0.07秒辺りで若干硬い部分があり、わずかに圧力がかかっている。おそらくこれは、ごはんの表面のもちっとした部分が少し噛み切れたのだろう。

 対する熟成炊きは歯がお米の中央に来るまで、弾力を保ったままのようだ。よく炊飯器の宣伝では「はりとツヤのあるごはん」なんて言葉を耳にするが、より弾力性の高い「はりのあるごはん」が炊けるのが熟成炊きのようだ。

 硬さはふつうでも、より甘いごはんを食べたい場合、とくにシンプルな和食には、熟成炊きがオススメだ。

 続いては、個人的にメインイベントのすしめし! なにせお寿司が食える!(笑)

 すしめしで炊いたごはんの甘みは一番少ない9%となり、歯ごたえはシャッキリ。このごはんにすし酢を含ませると、表面がツヤツヤ、ごはん粒も少し膨らんでシャリになる。それでいて、炊き上がりのしゃっきり感は損なわれていない。

「すしめし」の炊き上がりのごはん粒は、お米の形がしっかり残ったシャッキリ系ヨウ素液の反応を見てみると、中央部は紫が濃く、澱粉のまま歯ざわりはごはんの半分以上が硬い状態で、そこを過ぎるとコリッ!っと切れる
大量のお酢を入れる。シャリになるとそんなに酸っぱくないのが不思議ごはん粒はすし酢を含んで、テラテラのプックリに歯ごたえは、すし酢を加えたので噛んだ瞬間の圧力が少し低くなるものの、炊き上がりのしゃっきり感はそのままのようだ

 さて、実際に手巻き寿司を作って食べてみると、実にウマい! スーパーで売っている手巻き寿司なんて比較にならないほど、ホロホロとほぐれるごはんが口いっぱいに広がって、ネタのおいしさとの相乗効果でデリーシャス!

 ただ、握り寿司を作るとなると難しかった。我が家は手巻き寿司よりも、シャリを家族総出で握りまくり、後は好きなタネを乗せて食べるという握り寿司をよくやるのだが、極め羽釜で炊いたすしめしは粘りがほとんどなく、握ってもごはんがまとまりにくい。おにぎりよりも硬く握ると、ようやくまとまるという感じ。ただし、これはお米の種類にも影響されるかもしれない(我が家はあきたこまちを使っている)。

ウチのお寿司は握りが中心。ネタの乗っていないシャリを大量に作って、あとは好みのネタを乗せて食べるというスタイル。手巻きの人はシャリをほぐして食べることになっている


予約炊飯はごはんが柔らかめになる。炊き分けモードで硬めに

 最後の炊飯機能は「予約炊飯」だ。

 予約炊飯自体はフツーの炊飯器でもポピュラーで便利な機能ではあるが、水を張った内釜を入れて炊飯開始まで数時間経ってしまうので、どうしても米が水を吸ってしまう。そのため、ふつうに炊いたときよりもごはん粒にベタツキ感が出てしまうことが多い。

 しかし本製品では、蒸らしの段階で余分な水分を飛ばす機能があるらしい。予約炊飯独特のベタツキ感がないおいしいご飯が炊けるかをテストしてみた。

 テスト内容は、夜中の12時に予約炊飯をセットして、6時間後の朝6時に炊き上がるというもの。結果、炊き上がったごはん粒と歯ごたえは、次の通りだ。

左は6時間後にセットした予約炊飯で炊いたごはん粒、右はすぐに炊飯したごはん粒。いずれもふつうメニューで炊いたもの。予約炊飯すると水を吸ってしまうので、ごはん粒が少し大きくなっている青い線がすぐに炊いたごはん、オレンジの線が6時間の予約炊飯をしたごはんの食感。予約炊飯はだいぶ柔らかくなってしまった

 歯ごたえを見てみると、ふつうで炊いたときに比べると柔らかく、モチッと感も少なくなってしまった。実際に食べてみると、ごはん外側のベタツキも少し気になる。どうやら極め羽釜をもってしても、予約炊飯でごはんは柔らかめになってしまうようだ。

 しかし筆者は思いついた! 予約炊飯で柔らかくなってしまうなら、炊き分けモードでしゃっきりさせれば、ふつうで炊いたごはんに近くなるのでは!?

 思い立ったら即実験。さっそく予約炊飯を6時間後にセットして、しゃっきりで炊いてみた。

 ふつうに比べると形がかなり違うが、味や食感はどうだろう? 試食してみると、やはり外側のベタツキはどうにもならないが、歯ごたえのグラフを見てみると驚きの結果になった。

しゃっきり(左)で予約炊飯すると、なぜかごはん粒が縦長になった。ふつう(右)に比べると外見はかなり違う青がふつうで炊飯した食感、緑は6時間予約でしゃっきりで炊いたもの。驚くほど似た食感になることが判明!

 おお! ふつうで炊いたごはんとそっくり! このように予約炊飯する場合は、炊き上がりを少し硬めにセットしておくと、予約炊飯とは思えないおいしいごはんになるようだ。


お手入れは普通の炊飯器と同じで簡単

 これですべての炊飯メニューを試し終えた。テストに使ったお米は15kgで、ウチの冷凍庫は冷凍ごはんだらけに(笑)。ここまで使い込むとかなり汚れも目立ってくるので、お手入れの紹介もしておきたい。

 まず毎回洗う必要がある内ブタは、ボタン1つで片手で簡単に取り外し可能。そして流しまで持って行ったら、二重になっているフタをさらに分解。これも片手でワンタッチだ。

フタは二重になっているが、食卓から流しにもって行くときは2枚に分解せず1対型のまま取り外せる
流しでさらにフタを分解して洗えばいい出っ張りは圧力バルブだけで、あとはフラット。スポンジが引っかかることもなく洗いやすい

 突起は2つの圧力調整バルブだけなので、スポンジが引っかかるとこもなくキレイに洗える。マニュアルどおり正しく使って吹きこぼれなどしなければ、ほとんど汚れず、ましてやバルブにごはんやおねばが固まってしまうこともないだろう。

 さらにマニュアルによれば、フタの上部についている蒸気を抑える機構も毎回洗うようにとの指示がある。これも取り外しは簡単で、上にキュポ! と引っ張るだけ。

蒸気口は上に引っ張ると簡単に取れる。流しに持って行きフタを開けて中を洗い流すだけでOK。なおゴムパッキンも取り外し可能

 ここにおねばが上がってくることはまずないので、ボタンを押して分解しても、とくに汚れはなかった。軽く水洗いするぐらいでいいだろう。

 毎回のお手入れはこれだけ。最近の炊飯器ならどのメーカーも同じような構造になっているので、ごくごく一般的なお手入れと言える。

 毎回ではないものの、定期的にやった方がいいのは、本体フタの圧力バルブを駆動させる部分と、内釜の回りの溝、そして内釜をセットする部分だ。まずバルブの駆動部分は、金属部分と駆動部を濡れふきんでサッとふき取るだけでキレイになる。穴も大きいので、指が奥まで届きお手入れも簡単だ。

フタの裏側にもセンサーがついているので、汚れが目立つ場合は軽くひと拭き内釜の回りの部分は、ごはん粒などが溜まりやすい。大きな塊があると圧力がかからないとこなどもあるのでこまめにチェック内釜をセットする部分は、ヒーターとセンサーがあり、おいしいごはんを炊く重要な部分。汚れたら水ぶきするといい

 内釜の回りの溝には、水分やおねば、ごはん粒などがたまりやすいが、本体が黒なので汚れが分かりやすい。汚れはサッとふき取るだけで大丈夫。また内釜をセットする部分は、多くのセンサーやヒーターがある部分なので、週1ぐらいで拭き掃除をするのがいいだろう。ここが汚れるとセンサーの感度が鈍ったりするため、おいしいごはんを炊くのに重要なお手入れだ。

 またこの炊飯器はIH方式なので、本体下に通気口がある。IHはヒーターだけでなく、電子部品も熱を出すので、ホコリっぽい場所に置いてある場合や、床に置いて炊飯してる場合は、通気口を掃除機で必ず吸い取るようにしたい。

今回の一品:「湯の子」

 炊飯器のメニューはすべて試したと前述したが、実はまだ1つ残っているものがある。それは炊飯メニューではなく「湯の子」と呼ばれるものを作るメニューだ。湯の子とは懐石料理などに出る料理で、羽釜の底に残ったおこげにダシを入れて煮立てたもの。言うなれば、おこげの雑炊だ。

 かまど極みメニューでできたおこげを楽しむなら、ぜひコイツをオススメしたい。結論から言うと、超絶にウマいからだ! 

 レシピブックには、キムチチゲやミネストローネをアレンジした湯の子が掲載されていたが、ここでは我が家流のシンプルな湯の子を紹介させていただこう。

「湯の子」メニューでは、まず「かまど極み」でおこげを作るあとはおこげに濃い味のお吸い物(ダシ)を張って、好みの具材を入れてスタートするだけ

 まずは味の濃いお吸い物を作っておく。湯の子の味を左右するので、本格的にかつおぶしからダシをとるのがベストだが、簡単に作るなら「ほんだし」などのだし調味料でも大丈夫。永谷園のマツタケのお吸い物やしじみスープでも試してみたがウマかった(笑)。

 中に入れる具材は、雑炊なので基本的に何でもアリ。キノコや野菜類、肉類など冷蔵庫のあまりものでいいだろう。注意するのは、炊飯器での加熱時間が15分と短いので、小さめや細めに切ることぐらいだ。ここでは彩りを考えて、ささみとにんじんの細切りを入れて作ってみた。あとは湯の子メニューを選んで炊飯ボタンを押すだけ。およそ15分で湯の子ができあがる。

最後に彩りの緑色のものを乗せて、香ばしさを増すためにここでは白ゴマをふっている。めちゃくちゃウマそうでしょ? だってウマイんだもん(笑)

 できあがりは、卵を入れていないおじや風だが、これが絶妙にウマい。おこげの香ばしさはそれほどないが、水分の抜けたおこげがダシをいっぱい吸い込んでくれるので、お米を口に含むとダシの味がジュワッと広がる。残りのごはんを使えば「もうお腹いっぱい!」と言っていた家族も「チョットだけ食べる!」と言い出すこと確実。残りごはんはすべてなくせるという副次効果もある。

 「別に炊飯器でなくてもできるでしょ?」という意見もあるかもしれないが、具材を入れて15分放置しておくだけなのはとても簡単だ。またよりおこげの香ばしさを強調したい場合は、お茶漬けなどに入れる市販のあられを最後に加えるといいだろう。

家族が楽しんでいるし、健康にも効果が出た。プライスレスな喜びが得られる

 さてほぼ1カ月に渡って連載してきた象印の「圧力IH炊飯ジャー 極め炊き 南部鉄器 極め羽釜」(NP-ST10)だが、今回の最大のテーマである「13万円の価値があるのか」について結論を出そう。先に言ってしまうと、「アリ」だ。

極め羽釜で炊いたおこげごはんは、これまで試したどんな炊飯器より、本物の羽釜で炊いたごはんに近い

 理由としてはまず、家族の反応がとても良い。おいしく、かつ確実にしゃっきり~もちもちまで炊き分けれられる機能のため、中高生の子どもたちは明日のお弁当を、おかずをリクエストするかのように、「もちもちで!」とごはんの炊き方を指定するほど。これまで色々な炊飯器を試してみた筆者も、かまど極みメニューで炊いたごはんは、本物の羽釜で炊いたごはんに一番近いと感じている。

 なによりその価値を証明できるのは、娘たちの反応だ。実はこの炊飯器、レビューも終わったのでそろそろ編集部に返さなくてはならないのだが、子どもと奥さんは「えーっ! コレ返しちゃうの~」と未練たらたらなのだ(マジで……)。中学生の娘にいたっては「黙ってれば貸してること忘れるよ!」ときている。オイ! オーイ! お父さんはそんな娘に育てた覚えはないぞ!

5段階の炊き分けで、甘さと食感も違うおいしいごはんが毎日食べられる。濃い味のおかずがいらなくなるので、高血圧が改善された! これには驚いた

 さらにもう1つの驚きがある! 筆者は高血圧のため定期的に血液検査をしているのだが、医者が言うには「あれ? 食生活変わった? 血液検査の結果が、見たことないぐらいに改善されてるんだけど……」と。

 ごはんの味をテストするので揚げ物を控えていたのも原因なのだが、おいしいごはんがあると味の濃いおかずがいらないので、塩分は減るわ、悪玉コレステーロールは減るわ、雑穀米の影響(?)でカルシウムは増えるわで、血液から見るとかなり健康になったと医者は言う。おいしいごはんは、健康にも効果もありそうだ。確かに13万円は高いかもしれないが、その価値はある。


家族での楽しい食事は、プライスレスなお父さんの宝物

 レビューを始める前は「誰がこんな炊飯器買うのさ?」と疑っていた筆者だが、1カ月使い込んでそのおいしさを味わった結果、唯一の引っかかりであった値段の高さは払拭された。プライスレスの家族の喜び、そして健康も提供してくれる炊飯器と考えると、安いとは言わないまでも、絶対に失敗しない、買って後悔しない炊飯器となるに違いない。いや、必ずなるだろう。




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2012年10月4日 00:00