長期レビュー
三洋「GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000」 その1
■世界初! 米からパンが作れるライスブレッドクッカー
三洋「GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000」 |
世界に誇れる美味しいお米を、パンでも味わえたら……三洋電機のライスブレッドクッカー「GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000」(以下、GOPAN)はそんな想いから開発が進められたといいます。パンや麺類など食生活の多様化により、日本の米の消費量は年々減少の一途を辿っていますが、米から作った米パンが普及することにより、お米の消費量を増やし、日本の田んぼの風景を未来の子供達にも伝えたい――開発から5年後、GOPANは誕生しました。
今回から3回にわたってご紹介するのは、発売前から評判になっていた三洋電機「GOPAN」です。パン好きな主人が早くから予約していたため、我が家には発売日翌日には届きました。
メーカー | 三洋電機 |
製品名 | GOPAN(ゴパン) SPM-RB1000 |
希望小売価格 | オープンプライス |
店頭予想価格 | 5万円前後 |
大きさは普通のホームベーカリーより一回り大きく、持ち上げてみるとちょっと重いです。サイズは354×278×387mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは11kgです。
本体上部 | 大きめでわかりやすい操作部 | 中の様子がはっきり見えるガラス窓 |
本体背面 | コードの長さは1.25m |
本体側面 | 本体とパンケース(米パン用、小麦用、羽根3種、計量スプーン、洗浄ブラシ、生種おこし容器、計量カップ) | パン用、麺用と使い分けるため、3種類の羽根が付属する |
■米粉を使わずに「米パン」が作れる
GOPANが今までのホームベーカリーとは全く違うのは、大きさや重さだけではありません。まず、製品名はホームベーカリーではなく「ライスブレッドクッカー」です。
これまでのホームベーカリーでは、米粉を利用して「米粉パン」を作ることはできましたが、「ライスブレッドクッカー」であるGOPANは、米粉ではなく、米そのものを使って米パンをつくることができるのです。
そのために、お米をミルして米粉にしてくれる「全自動お米ミル機能」(約6,300回転/分のミル用モーターを内蔵)など新しい技術を搭載しています。このミルを使って、まずお米をペースト状にして、それからパン生地を作っていきます。お米はとても固く家庭用の小さな製品で、粉状にするのはとても大変だといいますが、三洋電機では粉ではなくペースト状にすることで、米からパンを作ることを実現しています。
米粉は、まだ一般的ではないので、どこでも買えるというわけではありませんが、米ならばどこでも買えます。GOPANなら、わざわざ米粉を買わずにお米からお米パンができるのです。
米パン羽根はずっしり重く、保護カバーをはずすと中には米を砕くミル刃が |
また、GOPANでは小麦を全く使わずに米パンを作れる「小麦ゼロお米パン」コースも備えています。これは、小麦アレルギーのある方には朗報ですね。もちろん小麦グルテンを使用して作るお米パンや、普通の小麦パン、ピザ生地、うどんにパスタ、ジャム、おもちまで作れます。
■掃除機並みの運転音にびっくり
さて、我が家(おとな3人家族)ではお米を玄米で購入しています。一度に30kgを購入するのですが、なかなかお米が減らないのです。平均すると、米食は1日1度ぐらいなので、これも仕方ありませんね。
パンも食べたいけど、お米も食べないと……みたいな我が家にはGOPANはまさにぴったりの製品です。GOPANは、マスコミでも取り上げられることが多く、テレビで試食している人が「おいしい!おいしい!」「もっちもちだぁ」などとニコニコ顔でコメントしていたのを見ていて、期待はどんどん高まりました。
始めて使うときは、「どんなおいしいパンができるのかしら」とワクワクした気持ちで一杯でした。このあと、悪戦苦闘することになるなどとは、思いもせずに……
GOPANでは、米パンメニューとして、お米を小麦グルテンを使用する「米パン」と、お米と上新粉を使う「小麦ゼロお米パン」の2種類が搭載されていています。材料は、小麦グルテンを使う米パンの場合は、無塩バターかショートニング、上新粉を使う小麦ゼロ米パンの場合は、オリーブオイルをそれぞれ使います。そのほかに必要なのは、水、塩、砂糖、ドライイーストと、小麦のパンを作る時と変わりません。
基本となる材料は米 | 小麦グルテンを使う米パンを作るときはショートニングか無塩バターを使います | ドライイースト、塩、砂糖はそれぞれしっかり分量を量ります |
まずはお米とグルテンを使用してのお米食パンに挑戦しました。普段は大雑把な私ですが、今回は、デジタル表示のキッチンスケールを使って、きちんと材料を量りました。焼きたてを頂きたいので、朝8時に出来るようにタイマーセットして、準備は完了です。
セットしてしばらくして、びっくり。「がぁーっ、がぁーっ、がぁーっ、がぁーっ」というすごい音が聞こえてきました。これは、お米をミル(粉砕)している音のようです。30秒ぐらいで一旦、音は止み、また5分後ぐらいに同じ音がしてきました。この音は、断続的に50分近く続きます。
お米をミルする音。想像以上に大きい音に驚いてしまいました |
固いお米をペースト状にするので、掃除機程度の音はすると聞いていましたが、結構な音です。音が気になるなら、セットをなるべく早い時間に済ませたほうがよさそうです。
■初めての米パンの出来映えは……
カチカチでまったく膨らんでない |
そして、朝8時に完成の電子音。
待望の米パンのできあがりです。上の蓋は透明になっていて、中の様子は丸見えなんですが、なんだか様子がおかしいのです。開けてびっくり! 全くふくらんでいないのです。
なにこれ? 完全に失敗です。
きっとなにか手順を間違えたんだな――そう思い、マニュアルを読み返しましたが、思い当たる節はありません。室温? 水温? それとも材料? ネットでいろいろ調べてみると、既にGOPANでの米パン作りに失敗したブログをいくつか発見しました。
その記事を読んで見ると、初回の大失敗の原因はたぶん砂糖かなと思い当たりました。GOPANで使用する砂糖は、精白した上白糖かグラニュー糖なのです。我が家では普段、これらの白い砂糖ではなく、茶色いキビ砂糖や三温糖を使っています。今回も、なんの意識もせずにキビ砂糖を使っていました。
さて、今度は白い砂糖を使って再挑戦です。砂糖をグラニュー糖に変え、他の材料もきちんと計測しました。初回と同様、朝8時にタイマーをセット。今度こそ大丈夫! 自信満々で眠りに就きました。
翌朝、キッチンからは香ばしいいい香りがしてきました。今回はうまく出来たかな、と期待を胸にフタを開けたところ、やっぱり膨らんでいない。前回よりは、形になっているものの、高さは10cmちょっとで、まだまだ膨らみが足りません。
初回よりはきちんとした形になっているが、やはり膨らみが足りない。 |
もう一度、ネットで情報収集したところ、ある注意点が出ていました。それは、「水温をあなどるな!」ということです。たしかにマニュアルにも室温が20℃以下の場合は水温は20℃、室温が20℃以上なら水は10℃でとあります。
タイマーで作る時は、セットした時の室温と発酵が始まる時の温度差が出るので、さらに注意が必要のようです。
これらの情報を得て、翌朝セットの予約タイマーで作るのは、一度成功してからにすることにしました。できあがりを見ると、水分が足りていないようなので、水温と水の量を再調整して、作ることにしました。
我が家では、自宅で玄米を精米機でお米にしているので、おそらく市販の米とは水分量が違うのかもしれません。
3度目の正直といわんばかりに、今回は以下の点に注意しました。
(1) 使用する水。室温が20℃以上なので、氷を使用して10℃ぐらいまで下げる。
(2) マニュアルに書かれている水分量より増やす。(10cc=10gほど)
(3) タイマーは使わず、セットしたらすぐスタートする。
これらを守ってリベンジ開始! 水温と材料の計量に注意しながら、スタートボタンを押しました。
すべてセットして、さあスタート |
まずは、お米に水を含ませて砕きやすくする「浸水タイム」が約30分ほど続きます。続いてお米をペースト状にする「米ミル工程」です。30秒のミル音のあと、生地を冷却するために約5分停止。これを約80分間続けます。最初はびっくりしたミル音も、3度目になると、慣れてきたのか、あまり気にならなくなりました。
ミル段階が終わると、つぎに、小麦グルテンとイーストが自動投入ケースから投入されて、約13分間の「こね工程」に入ります。次に、約65分の「発酵工程」を終えると、羽根が回って「焼き工程」の準備が始まります。羽根が回るのは、米パンが焼き上がったあと、パンから羽根を引き出しやすくするためだといいます。
ここまで来たらあとは、焼くだけです。焼き時間は約50分。GOPANの周りからは、だんだん香ばしい香りがしてきました。ガラス窓から覗いてみると焼き色がほんのりついて、今度こそ、成功していそうです。
焼き上がりの「ピピッピピッピピッ」という、お知らせ音がしてから、本体ふたを開けます。とりけしキーを押して、コンセントを抜いてから、米パンを取り出します。この時、パンはかなり熱いので、ミトンなどを使って、網の上に取り出します。
やりました! ふっくら、こんがり、焼き上がっています | 少し冷ましていきます | 型崩れを防ぐために、横にして置きます |
3度目で晴れて、成功しました! 外側はこんがり、中はふんわりしてそうで、何よりとってもいい香りです。小麦で作ったパンとは違う、米パンならではの香ばしい香りがキッチン中に広がっていきます。
網の上に取り出して、15分ほど冷ましてからさっそく食べてみました。外側はカリカリの中側はふっかふかのモチモチで、とてもおいしいです。
羽根をとってみました。ねじるようにして取り出します | 米パンの底には羽根を取り出した後が残っています | しばらく置いて切ってみました。ちょっと空洞がありますが、断面はきらきらでもちもち |
さてさて、失敗談を含めて、米パンの成功までをご紹介しました。次回は、さらに基本のお米食パンを極めてから、アレンジ例なども一緒にご紹介したいと思います。
2011年3月22日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)