長期レビュー
三菱電機 「炭炊釜 NJ-VX」最終回
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三菱電機のIH式炊飯器 「炭炊釜 NJ-VX」 |
三菱電機「炭炊釜 NJ-VX101」のレビューも今回で最終回。前回は白米をメインにお届けしたが、今回は玄米や雑穀米、炊き込みご飯などを試しつつ、その仕上がりをチェックしてみよう。
[1回目はこちら] [2回目はこちら]■浸し時間ナシで玄米が炊けた!
まずは玄米に挑戦だ。玄米といえば、おいしく食べられる固さに炊きあげるためには、数時間前から浸して……というのは、もう過去のことらしい。
取扱説明書を見たところ、玄米を炊くのに浸し時間に関する注意書きがなかった。まさかと思いつつも、1カップ分だけ玄米を準備して、「お米」キーで「玄米」を選択。いきなり炊飯してみることに。
すると、70分弱で炊きあがった。ふたを開けてよく見ると、ぬか層が破れて胚乳が現れているではないか。食べてみると、従来の炊飯器で数時間ひたしたときと同じ状態! しかも、時間にして10分は早く炊きあがっている。その後2カップでも試してみたが、やはり上手に炊きあがっていた。
炊飯時間は白米の炊飯より20分程長くかかるが、数時間前から準備しておくことを考えたら、思いついたときにすぐ炊き始められるメリットは非常に大きい。圧力鍋をお持ちの方なら、20分程度の加圧で炊飯できるため、所要時間としては圧力鍋が有利。しかし、圧力鍋を持っていない、もしくは、ガステーブルは別の調理で使いたいとなれば、やはり炊飯器ですぐできるのは便利なのである。
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玄米の水位 | 炊きあがった玄米。胚乳が顔をのぞかせているのが分かる | 右は今回使用した玄米。左が「炭炊釜」で炊いた玄米 |
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ぬか層が被れているので、玄米独特の固さは軽減される。ただしプリプリ感には欠け、パサついた感じがすることも | 食べやすい玄米のできあがり | 水に浸さず、圧力鍋で20分炊いた玄米の状態。どちらがいいかは好みが分かれるところかも |
■3分づき米1カップを「分づき米」モードで炊いてみる
次は「分づき米」に挑戦。しかしその前に、分づき米がどういうものであるかをご存知だろうか。
先ほど炊いた玄米は、お米から「もみ殻」だけを取り除いた状態を指す。一方で、精白米(胚乳)というものもあり、これは玄米から「胚芽」と「ぬか層」を全て取り去った状態になる。
この中間が「分づき米」で、胚芽とぬか層を3割取り除いたものが「3分づき米」、7割取り去ると「7分づき米」となる。胚芽やぬか層は栄養を豊富に含んでいるので、精白米寄りか、玄米寄りかでは、栄養分と食感(味)をトレードオフしている状態といえるだろう。
話がややそれたが、炭炊釜には、この「分づき米」モードも用意されている。「玄米がいきなりあれだけ炊けるのだから、ぬか層がやや削られた分づき米だって、当然柔らかく炊けるに違いない!」というわけで、偶然にも知人から貰った「3分づき米」1カップで試したところ、ビンゴ! 白米に近い柔らかさで炊きあがった。
ただし、残っているぬか層のせいか、白米ほどの輝きやシャキッと感はない。どちらかというと、ボソっとした食感である。表面が磨かれていないのだから、仕方ないのだろう。
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これが分づき米。「3分づき米」とのことだが、かなり精米されたものもあるようだ | 「分づき米」で炊飯 |
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完成直後の「分づき米」 | 見た目はツヤもシャッキリ感もないが、素朴な味わい |
■白米に発芽十六雑穀を入れて「雑穀米」で炊飯
今度は、雑穀米に挑戦だ。
これまでの炊飯器では、雑穀を混ぜたときは白米と同じ炊飯をしていた。しかし炭炊釜には、「雑穀米」モードも用意されていた。せっかくなので、どんな具合に炊けるのかと、やずやの「発芽十六雑穀」で試してみた。ちなみにこの雑穀は、通常の白米炊飯で炊ける製品である。
結果、気持ちいつもより固めに仕上がった気がする。この違いを表現するのはなかなか難しいのだが、お米が緊張しているような、そんな固さを感じた。取扱説明書の16ページに「麦を混ぜて炊くときは、水を2mm以内で多めにしてください」とある。わずかに水が足りなかったのだろうか?
雑穀米は、入れる雑穀(製品)によってかなり食感が変わると、個人的に感じている。ゆえに、別の雑穀を入れた場合は、また違う仕上がりになることも考えられる。まずは、お手元の雑穀を指示通りに炊いて、期待した食感が得られなかった場合などに、このモードを試してみるといいのかもしれない。
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雑穀米に挑戦。白米2カップに雑穀を1袋混ぜた | 「雑穀米」を選んで炊飯 |
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炊きあがったばかりの雑穀米 | 今回はやや固めの仕上がりとなった |
■もち米で「山菜おこわ」や「お赤飯」を作る
ここからは、第1回目で試した「リゾット」同様に、取扱説明書内で紹介されていたレシピを試してみよう。
まずは「山菜おこわ」である。材料は、もち米3カップに、山菜の水煮を1パック。洗ってから1時間ひたしたもち米に、醤油大さじ1、お酒大さじ1、塩小さじ1、出汁の素適量を加え、上に刻んだ山菜を乗せる。内なべの水加減だけは「おこわ」モードを使うが、炊飯は特に専用モードはなく、「白米」の「かため」を選択する。
44分後、おこげ付きの山菜おこわが完成した。見た目は、普通の炊き込みご飯と言っていいだろう。おこげは香ばしいし、もち米のもっちりした食感と山菜の歯ごたえがおいしい。贅沢を言うと、専門店の店先で見るような、蒸し上げられた湯気の向こうで、もち米がキラキラと輝いたような感じはなかったが、準備も簡単で、面倒くさがりの筆者にはピッタリ。即、料理のレパートリーに追加となった。
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山菜おこわに挑戦だ | 水加減は「おこわ」の目盛で | 炊きあがった直後の「山菜おこわ」 |
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簡単においしくできた | しかもおこげ付き! |
実は御赤飯も同じ要領で炊ける。ゆであずきともち米で試したところ、こちらも難なく完成。手抜きしてゆであずきを使用したせいで、色がいま1つだったが、こんなに簡単に御赤飯が味わえるなら大歓迎である。
これだけでも十分ではあるが、できれば「芳醇炊き」のような、もち米専用のモードがあるといいのではないだろうか。「もち米が、蒸しあげたようなツヤと食感に!」なんてことになったら、かなり嬉しい。やはりスイッチ1つでおいしくできるなら、それに超したことはないのだ。
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赤飯を作るために、もち米とゆであずきを用意した。通常ならあずきではなく「ささげ」を使用する | 完成したお赤飯。実はこれも初めて作った | ごま塩を振っておいしくいただいた。実はこの後、我が家におこわブームが訪れた |
■ご飯を早くシャッキリ炊きたい方におすすめ!
というわけで、3回に渡って「炭炊釜」を使わせていただいたが、結論としてはその性能に十分満足している。特に良かったのが、いろんなお米が浸し時間なしでおいしく炊ける点。家事的に見ても大助かりだ。
手入れも、慣れれば苦にはならない。洗い物の中で一番手のかかりそうなのが、分解パーツの多い放熱板だが、さっと洗い流せて水切れも良い。最上位機種のような“蒸気レス”ではないが、全く気にならなかった。
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放熱板からフィルターをはずした様子 | 放熱板に取り付けられているカートリッジを外し、分解 | 水切れがいいので、すぐ拭き取れる |
炊飯中の水蒸気の様子。蒸気はゆるやかに立ち上るため、ほとんど存在感はない。ただし、天板のある場所で炊飯すると水滴がつく |
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炊飯後は、放熱板を伝った水がふたの付け根に溜まりやすいが、思った程多くなかった |
また細かい部分だが、ふたの付け根に水があまり溜まらないのも好印象だった。一般的な炊飯器だと、開閉しているうちに、ふたの内側を伝って水滴が溜まってしまい、キッチンペーパーなどでこまめに吸い取らないと、水が落ちてお米がふやけたりなど、あまり衛生的とはいえないのである。しかし炭炊釜は、まったく溜まらないとは言わないが、“今すぐ拭き取らねば”と思わせるほど溜まることはなかった。
強いて要望を挙げるとすれば、内釜の目盛と、フタを開けるフックボタンの位置だろうか。
「炭炊釜」の目盛は、1回目で紹介したとおり「Vぴた目盛」で、非常に見やすいのだが、白米・無洗米に限られる。できれば、玄米や分づき米などの目盛りも、白米・無洗米同様に目盛りを向かい合わせにつけていただけないものか。
このVピタ目盛りは向かい合わせに印字されているので、内釜を置いた場所が傾いていてもすぐ分かる。しかし玄米などの目盛りはごくフツーのものなで、傾きが分かりにくい。また、目盛同士も近いので、見誤りそうになる。すべてVぴた目盛にするとかなりクドくなってしまうので全部そうしろとはいわないが、Vぴた目盛の使いやすさを知った後だと、もう普通の目盛りには戻れないというのが正直なところだ。
フタ開閉用のフックボタンは本体にあるが、位置がやや下すぎるように感じた。些細なことかもしれないのだが、これだとボタンを押してからふたが制御できず、設置台の縁にフタをぶつけてしまうことがあった。ボタンがフタ側にについていれば、ボタンを押した後も、そのままスムーズにホールドできるという安心感がある。
最上位モデルの「蒸気レスIH」では、ふた側にフックボタンがある。スクエアなデザイン同様、こちらも採用していただけるとありがたかった。
とはいえ、いろんなお米が少ない浸し時間でおいしく炊けるのは本当に良かった。場所を取らず、見やすく、操作が簡単で、おいしく、調理バリエーションも豊富。長時間保温が必要なご家庭にも、急いで炊飯したい方にも、そして、手軽に炊き込みご飯が作りたい方にもおすすめできる炊飯器である。
2010年9月21日 00:00
「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)