長期レビュー
シャープ「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」 最終回
~“誰でも簡単に使える”サイクロン式掃除機
シャープの「プラズマクラスター掃除機 EC-VX210」。写真のようにコンパクトに置くことも可能だ |
●自走、床上の吸い込み、フローリング掃除……機能十分のヘッドは文句ナシ
ヘッドはパワーブラシに自走機能搭載でパワフルかつ手軽な操作が可能。本文には書いていないがサイレンサーも付いている。文句なし! |
「パワーブラシ」とは、ヘッド内部に付いたブラシをモーターで回転する機能。ブラシで床面を掻き込むため、じゅうたんや畳など、ゴミが奥に入り込みやすい床面に高い効果を発揮する。高級モデルの掃除機に多く見られる機能で、実際にカーペットで使ってみると、しぶとくこびりついた髪の毛もすぐに取れ、あっと言う間にキレイになった。
もう一つの「自走」機能も、高級モデルの主流となっている。これは、ヘッド裏面に搭載されたタイヤが回転することで、前に押し出す操作をサポートするというもの。その名の通り、ヘッド自身が前に動いているかのような操作が得られ、ちょっと前に動かすだけでスルスルと思い通りに動いてくれる。ちなみに、ヘッドの重量は従来比25%減という480g。重くて苦労することももちろんなかった。
このほか、他社製品でも多く採用されている、床上のゴミを取り除く吸い込み口もあり、トレンドをしっかりと抑えている印象だ。
意外と良かったのが、吸引だけでは取れないホコリも絡め取る「極細ループから拭きブラシ」。掃除機を掛けたフローリングが、その名の通り、拭き掃除をしたかのようにツルっとしている。フローリングにブラシを当てるため、振動でうるさいのは難点だが、確かな効果が得られる。
吸い取る力が強い分、ブラシやタイヤにゴミとして吸い込んだ髪の毛が絡みつくことも多いが、それ以外は非常に満足している。
ヘッド裏面。カラフルな色のブラシがモーターで回転し、床のゴミを掻き取ってくれる。フローリングをから拭きしてくれる効果もあるという | ただし、床に落ちた髪の毛が絡みつきやすい。説明書によればハサミを使って切るとのことだが、ブラシの毛を切ってしまわないように注意 | ブラシは取り出して水洗いが可能 |
●手軽に使えるベンリブラシ。スキマ用ノズルは吸引力弱め
パイプを取り外すだけで使える「ベンリブラシ」は、その名の通り便利。AV家電に溜まったホコリを一気に掃除できる |
この中では「ベンリブラシ」が、その名の通り便利。パイプを取り外し、ハンドル近くにあるブラシを引き出すだけで使えるという手軽さが特に魅力的だ。AV家電の上に積もったホコリを吸い取る場合など、ヘッドでは取りづらいところにサッと使えるのはありがたい。
「ベンリヘッド」は、ふとんやカーテンの掃除に使えるパーツ。高級モデルの掃除機では、ふとん用ヘッドは採用されている例は他社にもあるためさほど珍しくはないが、ふとんの布に吸い付くことなくスルスルと掃除がけができるのはうれしい。細かい話をすると、「つぎ手パイプ」と「ベンリホース」という別のパーツを組み合わせて使うため、面倒くさがりの自分には煩わしく感じられた。ちなみに、ペットの抜け毛取りにも使えるとのことだ。
「2段伸縮すき間用ノズル」は、その名の通り伸縮できる細いノズル。スキマや手の届きにくいところにもノズルが届くため、ソファーの背面の掃除にはピッタリだった。しかし、「エコ掃除」や「弱」ではややパワー不足に感じられたので、今度は「強」にすると、吸い込み口が細いためか、空気抵抗で運転音がうるさかった(ちなみに説明書では「弱」で使用するように指示されている)。言ってしまえば、ごくありきたりのノズルだ。
ふとん掃除に使える「ベンリヘッド」。高級タイプの付属品としてはありきたりだが、掃除後にダストカップを見ると、しっかりとホコリが取れているのには地味に感動 | 手の届きにくいところも掃除できるスキマ用ノズル。パワーは弱め | PS3のスキマに溜まったホコリ掃除には意外と使えた |
●ほとんど同じ機能のコンパクトタイプもある
母親に使ってもらったが、本体サイズの大きさは嫌われてしまった |
ただし、やっぱり気になるのがその本体サイズの大きさ。実は先日、EC-VX210を実家に持って行ったところ、母親(主婦・60歳)から「ちょっと大きすぎ」と言われてしまった。EC-VX210を他メーカーの高級サイクロン式掃除機と比べてみても、決して突出しているわけでないが、大きい部類に入ることに変わりはない。
コンパクトタイプの「EC-AX110」。EC-VX210よりも音はやや大きめだが、そのほかの機能はほとんど同じ |
ただし、運転音は大きく異なる。EC-AX110は56~約49dB(新基準では60~約52dB)なのに対し、EEC-VX210は48~約44dB(新基準で54~約47dB)と、スペック上で確かな差がある。静音性は譲れない、という人は、EC-VX210が正しい選択と言えるだろう。
メーカー | 品番 | 愛称 | 本体サイズ (幅×奥行き×高さ) | 重量 (本体のみ) |
シャープ | EC-VX210 | プラズマクラスター 掃除機 | 250×420×262mm | 5.4kg |
EC-AX110 | 266×343×253mm | 4.2kg | ||
東芝 | VC-3000X | クワイエ | 262×374×245mm | 5.8kg |
日立 | CV-RS3100 | - | 276×405×284mm | 5.3kg |
パナソニック | MC-JC20WX | - | 282×387×289mm | 5.4kg |
三洋 | SC-XD3000 | エアシス | 280×347×240mm | 4.8kg |
三菱 | TC-AJ15P | スタミナストロング | 232×395×246mm | 4.3kg |
ダイソン | DC26 motorhead complete | 205×320×266mm | 3.35kg |
●主婦も気に入る、吸引力の高さと使いやすさ
ところで、前項で実家にEC-VX210を持っていった話をしたが、せっかくなので母親が使用した感想も紹介しておこう。
最初はEC-VX210のサイズに文句を言っていた母親だが、吸い込みパワーの強さとヘッドの操縦のしやすさに大いに感心していた。ダストカップを見ると、これまで使っていた古い紙パック式掃除機では取り切れなかった、細かいゴミがたんまりと集塵されている。
実は母親はサイクロン式を使うのは初めてだったが、最初に少しレクチャーしただけで、ゴミ捨ても難なくできていた。ダストカップが本体からワンタッチで取り出せて、ハンドルをひねるだけで捨てられるという手軽な操作のおかげだろう。紙パックとは違い、吸い取ったゴミが目視できるため、達成感があると言っていた。
母は吸い込みパワーと操作性の高さを気に入ったようす。10年前から使っている紙パック式掃除機との性能さに驚いていた | ちなみにダストカップの取り出しは、写真内の矢印の部分を押すだけ。あとは2回目で紹介したように、ハンドル部分をぐるりと回すだけで捨てられる |
運転音については、マンション住まいのため「うるさくもなければ静かでもない」という厳しい評価だったが、「夜9時までなら使っても大丈夫かも」と、部分的ながら夜の使用にもGOサインが出た。
その日は持ち帰らずそのまま置いておいたのだが、次の日にまた掃除したようだ。気に入ってもらったのはうれしいが、私の家に帰ってくるのはいつになることだろうか……。
●誰でも簡単に使えるサイクロン式掃除機
掃除機は各メーカーとも「吸引力」だったり「静音性」の高さを謳っており、どれを選んだら良いか迷ってしまう人が多いだろう。
しかしEC-VX210は、吸引力の高さも静音性も両立しつつ、しかもサイクロン掃除機の弱点であるゴミ捨てやメンテナンスの面倒さも省いている。その点では、他のサイクロン式掃除機よりも確かに優れている。
「誰でも簡単に使えるサイクロン式掃除機」として、掃除機の購入を検討しているすべての人にお勧めしたい。
2010年2月24日 00:00
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「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)