長期レビュー

パナソニック「ヒートポンプななめドラム NA-VR5600」 その2

~縦型並みに進化した洗浄機能
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「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)




ヒートポンプななめドラム NA-VR5600
 前回は、2009-10年モデルのドラム式洗濯乾燥機のトレンドをおさらいした上で、センサー技術による制御、という新たな領域に達したパナソニックのNA-VR5600を選んだ経緯を解説した。

 今回は、いよいよ製品そのもののレビュー、特に洗濯機の本質的な性能である、洗浄機能を検証したい。


メーカーパナソニック
製品名ヒートポンプななめドラム NA-VR5600
購入価格218,000円
購入店舗ヨドバシ.com

「ドラム式は洗浄力が弱い」と言われるワケ

 ところで、洗浄機能はドラム式洗濯乾燥機の弱点、というのはもはや通説になっている。量販店で配布している買い物ガイドにも、子どもがいる家庭で泥汚れが多い場合は縦型を、といったことが書かれていることもある。ただ、メーカー側もその点はよくわかっていて、省エネ性能アップと並んで、毎年のように新しい機構を導入し、「ドラム式=洗浄力弱い」というイメージを払拭しようとしている。

 ドラム式洗濯乾燥機はドラムを回転させ、衣類が上から下に落ちる衝撃で叩き洗うのが根本的な洗浄の仕組みだ。一方、縦型洗濯機は、衣類を水に浸して回転させ、水流と衣類同士がこすれあって洗う、もみ洗いに近い。

 叩き洗いは、衣類表面の汚れを落とす力や、入れた衣類をまんべんなく洗浄する力は十分だが、洗浄液の浸透力や、衣類の奥についた汚れを落とす点については、もみ洗いに比べ不利と言われ、この点が洗浄力では縦型に劣る、という根拠になっていた。

 ドラム式の洗浄力を上げる試みとして一般的なのは、ドラムそのものをブラッシュアップして叩き洗いの効果を高める方法だ。日立のように大型のドラムにして落下距離を大きくするというのもその範疇に入るし、そのほかのメーカーも、ドラム内部の突起の形状を最適化したり、ドラムの傾きを微妙に変えるなど、毎年のように改良が加えられている部分でもある。

 だが、それだけでは限界がある。そこで出てきたのが、もみ洗いを取り入れるアプローチだ。その先駆が、2007年のメジャーモデルチェンジでパナソニックが搭載した「ダンシング洗浄」。これはドラムの上から衣類を落とす叩き洗いではない。ドラムを回転させるのではなく、揺らす(ダンシング)ことによって、衣類同士のこすれあわせ、洗浄力を上げる仕組みだ。

もみ洗いと叩き洗いを組み合わせ、さらにそこに洗浄液の水流を当てる
 2008年モデルではさらにこのダンシングに加えて、洗浄液を高圧で衣類に吹きかけて内部の汚れを落とす「パワフルジェット水流」が加わった。そしてこのNA-VR5600では、その水流が2本になり、さらに洗浄力がアップしているという。本当は動画で衣類が「ダンシング」する模様をお伝えしたいのだが、ドアが光を反射する素材で、撮影が難しい。メーカーのWebページにデモがあるので参照されたい。

 と、いろいろ書いたが、端的に言うと、2007年以降、洗浄力に勝る縦型と同じ仕組みを取り入れ、弱点の克服をしてきた、ということが言えそうだ。

しょうゆもソースもケチャップもキレイに。十分な洗浄力

洗浄中の様子。少ない水量で濃い洗浄液で洗うため、泡だらけに見える
 うんちくはともかく、汚れ落ちについてさっそくテストしてみよう。

 今回は、綿100%のタオルに、しょうゆ、中濃ソース、トマトケチャップをそれぞれ大さじ一杯垂らして、特に水で洗い流さず、そのままの状態で洗濯した。実際の利用シーンに近づけるため、このタオルの他にも洗濯物を3kg、入れてある。

 やはり、センサーを搭載して自動制御するのがウリなのだから、「おまかせ」で洗浄したときの能力を見てみたい。「おまかせ」モードは、電源を入れ、スタートボタンを押す。その後、洗浄時間を自動算出し、指示された分量の洗剤を入れれば洗濯が始まる。12分の洗浄と2回のすすぎを行なう。

左からしょうゆ、中濃ソース、トマトケチャップ。しっかりと乾かしてから洗濯するおまかせモードだと、12分洗浄すると表示されたキレイな仕上がり。この写真ではシミがわからない

よく見るとソースのしみが黄色く残っているのだが、写真でもほとんどわからない
 まったくといっていいほどシミが残っていない。目を凝らしてみるとわずかにソースをこぼした場所がうっすらと黄ばんでいるが、よく見ないと分からないレベルだ。私もこれまで何台か洗濯機をテストしているが、ここまで落ちた経験はない。すくなくとも、3年前のななめドラム、NA-VR1100よりは確実に洗浄能力はアップしていると言っていい。

 次に、洗浄時間が短い、「お急ぎ」モードで実験した。この実験には、2つの目的がある。1つは文字通り、汚れが強い場合でも「お急ぎ」モードが実用に値するか、というのが1つ目。2つ目は、センサー制御で最適化された「おまかせ」モードに無駄がないかどうかだ。同じ汚れのものを「お急ぎ」モードで洗濯して、しっかり汚れが落ちるのならば、「おまかせ」は念入りすぎて、無駄な電力を使っている、ということになる。両モードでの汚れ落ちを比較することで、いかに余計な動作をせずに省エネ運転しているかどうかがわかるわけだ。

 「お急ぎ」モードで運転を開始すると、洗浄時間が5分と表示された。「おまかせ」の半分以下である。結果は以下の通り。

同じく左からしょうゆ、中濃ソース、トマトケチャップお急ぎモードでは洗浄時間は5分。おまかせの半分以下だ全体的に黄ばんでいるのが写真でもわかる

5分ではやはり、シミが抜けきらない
 結果から言うと、やはりこちらもよく汚れは落ちている。だが、「おまかせ」と比べると、明らかにソースのシミの黄色が濃い。比較せず、「お急ぎ」モードのサンプルだけを見れば、かなり綺麗に洗えている、と思うだろうが、比べてしまうとやはり「おまかせ」の結果が欲しくなる。倍以上の洗浄時間とそれにかかるコストは、適正なものだと言えるだろう。

 限られた条件での実験と、普段、使っている印象を総合すると、縦型並みの洗浄力はあるのではないかと思っている。「ドラム=洗浄力が弱い」というイメージは、着実に過去のものとなりつつある。縦型との比較は、同じパナソニックの縦型洗濯機「NA-FR70S2」をレビューした際にも、同様の実験を行なっているのでこちらも参考になるだろう。

脱水時の振動、音もおだやか。就寝中の運転にも

 ここで、使用時の騒音についても触れておこう。ドラム式洗濯乾燥機で、もっとも騒音が激しいのは脱水工程だ。NA-VR5600のスペックは、洗濯時32dB、脱水時41dB、乾燥時42dBと、実は数字上で言えば乾燥時が一番うるさいことになるのだが、体感は脱水工程の方が上に感じる。

 これには2つ理由がある。1つ目は音への慣れだ。乾燥時はエアコンや空調機器のように一定の音がずっと続くので、慣れやすい。だが、脱水はモーターを回転速度を上げ、そして数分で落とし、というサイクルを繰り返すため、耳に付くのだ。

 2つ目は振動だ。脱水時は高速でドラムが回転しているため、本体が揺れる。洗濯槽を高速回転させて水を外側に弾き飛ばす仕組みは縦型洗濯機と変わらないが、洗濯乾燥機は回転軸が垂直に立っているため、騒音も振動も抑えやすい。だが、軸がななめになっているドラム式洗濯乾燥機では、音も振動も段違いに増える。そこをどう抑えるかが各社、技術の見せどころで、中には自動車に使うサスペンションを応用しているメーカーもあるくらいだ。

 というわけで、本体の上に、水を入れたワイングラスを置いた状態で、脱水運転をしてみた。

ワイングラスに水を入れ、本体の上に置いた状態で脱水運転をした

 グラスの水はこぼれるどころか、わずかに波が立つ程度。騒音も隣の部屋にいると「ホントに動いているのかな?」と思ってしまうくらい静かな洗濯時に比べればうるさいが、気になるレベルではない。感覚的に言うと、玄関から部屋までドアがない、1Kの洗面所に置いたら多少の音は聞こえるだろう。だが、廊下とドアで区切られた部屋であれば、寝ている途中に使用しても、眠りを妨げられることはないだろう。

 というわけで、今回は洗浄能力と静音性について紹介した。最終回となる次回は、乾燥とナノイー運転、そして気になる省エネ性能についてお届けする。



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2010年1月22日 00:00