長期レビュー

三菱電機「霧ヶ峰 ムーブアイFit ZWシリーズ」

~気になる電気代、メンテナンスの手間は?
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「長期レビュー」は1つの製品についてじっくりと使用し、1カ月にわたってお届けする記事です。(編集部)



 最終回となる本稿では、エアコンの生命線とでも言うべき、消費電力=電気代についてと、空気清浄機能など付加機能、さらに気になるメンテナンスをご紹介する。なぜ霧ヶ峰を選んだかについて述べたその1、センサーと気流制御がもたらす快適さについて触れたその2も併せてお読みいただきたい。


3週間使いました! 電気代は?

省エネの鍵を握る「ムーブアイ」

 エアコンの性能について、誰もが気になるのは電気代がいくらかかるか、つまり省エネ性能だろう。7月3日の導入以来、およそ2週間強たったことになるが、1日平均約6時間。27℃設定で使用したが、累計の電気代表示は840円だった。1日平均でおよそ50円といったところ。月1,500円のペースで使っていたことになる。もっとも関東地方は本格的な猛暑に襲われているわけではないので、8月に入ったらもう少し額は上がるだろう。

 この額は高いか。答えはNoだ。昨年、我が家の7月の電気代は、6月に比べプラス4,500円だった。このほとんどが、エアコンと見られる。もちろん我が家にはリビングだけでなく、2つの寝室にもエアコンがあるがこの2つはほとんど稼働していない。決して定量的なデータでなくて申しわけないが、感覚的には半額ぐらいになった。

電源オンからオフまでの料金表示リセットするまでの積算表示。

 この差はもちろん、エアコンの性能自体によるものが大きいのだが、それだけではない。使い手の意識も確実に変わった。それは現在の運転状況を知らせるランプが付いているからだ。本体左側に付いている、3枚の葉っぱで現在の運転がどれだけ「エコ」かを表示する機能である。1つ点灯しているときが「床温度」を見て運転しているとき、2つの時が床温度に加えて「人の居場所」を、3つ点灯時はさらに「空間」を見ている場合、といった感じになる。つまり、3つのセンサーが効いているかどうかを視覚的に表現してくれるのだ。1つ点灯時で約30%、2つで約40%、3つで約65%の省エネになるという。

暑い部屋で電源を入れた直後。まずは部屋全体をフルパワーで冷やすので、葉っぱは1枚しか表示されない5分もすると、室温が落ち着き、省エネ運転へと切り替わる

 このサインをまめにチェックしていると、ほとんどが葉っぱ2つ、ないしは3つで運転していることがわかる。運転してすぐは、一気に部屋を冷やすため、1つしか点灯しないことが多い。だが、5分ほど経つと、センサーの検知結果が徐々に運転に反映され始め、2つ、3つと増えていく。これが見えたからといって、大きく何かが変わるわけではない。だが、「あ、まだ1つしか光ってない。そういえばちょっと温度下げ過ぎかなあ」などと無駄な運転に気づく1つのきっかけとして非常に役立つ。

 導入前の段階では、この機能に関しては私は懐疑的だった。「エコ度がわかるから、だからなに?」と。だが、それでもそこでただ光っていることは、決してムダではない。光っていれば、たまに「アレ、どうなってるかな?」と見るのが人間の性。そして見てしまえば、「どうせなら葉っぱを増やしたい」と思い始める。クルマでも今、燃費をリアルタイムに表すインジゲータが流行しているが、省エネ性がもっとも重要な基本性能とされるエアコンも、こうした機能は標準になっていくのではないだろうか。

意外と便利な「空気清浄」「脱臭」

リモコンに「脱臭空清」ボタンが付いている。湿度と温度も別に管理できるのが特徴

 近年の高級エアコンの標準機能とも言える、「空質」関連機能についても触れよう。つまりは空気清浄や脱臭機能のことだが、これもまた、当初あまり期待していなかった。というのも空気清浄機や脱臭機といった専用機をすでに導入していたからだ。

 だが今、これらの専用機はいらないかな、と思い始めている。思ったより効果が高いのと、エアコンと一体となっていることにより、場所を取らず、また音が気にならないからだ。特に脱臭機能はその効果が高く、室内でホットプレートを使って焼肉をした後も、30分ほどですっかりニオイがなくなった。専用の脱臭機だと5~10分で済むことを考えれば、性能の差は確かにある。だが、私の場合だとエアコン1台で済む手軽さのメリットがそれを上回る。

 冬場になって風邪が流行る季節になったら、シャープのプラズマクラスターイオン発生器と組み合わせても面白いかもしれない。

もう少しパワーが欲しい「除湿」

 逆に、期待はずれだったのは除湿機能だ。霧ヶ峰では温度設定と湿度設定が別れており、個別に操作できる。だが、実測値と設定値を付き合わせると、設定値のプラス10~15%程度までしか除湿できなかった。我が家では、60%に設定した場合で実測70%前後、50%に設定した場合で実測63%程度にしかならなかった。50~60%を保ちたいので、結局設定湿度は40%固定にしているが、実測ではおおむね55~60%といったところだ。湿度が下がるスピードも、専用機を使ったときと比べるとかなり遅く感じられた。冷房併用時の除湿については、もっとパワーが欲しいと感じた。

 もっとも、冷房と併用ではなく、除湿の単体運転だと状況はかなりましになる。もちろん、冷たい風を出さずに暖めてから吹き出す「再熱除湿」を採用しているので、一昔前のエアコンのように、除湿運転をするとやたら寒くなる、といったことはない。

 総じて言うと人にもよるが、私の場合だと除湿器単体を併用する必要はまだあると感じる。

手入れは……することがない!

 エアコンでやっかいなのは、フィルター掃除をはじめとするメンテナンス。結論を先に述べてしまうと、この霧ヶ峰ではユーザーがやる作業はほぼ、ないと言っていい。

 普通のエアコンでは2週間に1度の清掃が必要なフィルターも、自動フィルター清掃機能がこなしてくれる。フィルターから落としたホコリは本体にあるダストボックスに溜まるが、これを空にするのは10年に1度でいいという。平均的な製品の買い換えサイクルを考えれば、10年に1度というのは、「1回もやらなくていい」のとほぼ同義だ。

 また、イヤなニオイの原因となる熱交換機の汚れやカビについても、汚れにくいコーティングをかけた素材と、汚れがついてもそれを落とすオゾンシャワー機能という、予防と対策の2段階で配慮されており万全だ。

 説明書ではユーザーが行なうべきメンテナンスとして、全面パネルの掃除と熱交換機のホコリ落とし、空気清浄用のフィルターの掃除の3点を挙げているが、掃除の頻度はいずれも「汚れが気になったら」とされており、運転や消費エネルギーに大きな影響を及ぼすものではない。つまり、ユーザー側でやらなければならないことは、ほとんどないのである。

 また、他社のエアコンで、フィルター自動清掃機能が出始めた頃、一部のユーザーが訴えていた「掃除の際の騒音」もほとんど気にならない。積算運転時間が24時間を超えるごとに掃除をする仕組みだが、「あ、今やってる」と明確に気づかない程度の音だ。この点も、よほど神経質な人でなければ気にする必要はないのではないか。

センサー&メンテフリーのエアコンに病みつき

 最後に、今回導入した霧ヶ峰を一言で「動かしていることを意識させないエアコン」とまとめたい。これまでは、フィルターの手入れや吹き出すニオイ、寒すぎる、暑すぎる、風が体に直接当たる、といった具合にことあるごとにエアコンの存在を嫌でも実感させられてきた。

 しかし、センサー技術とメンテフリー構造のおかげで、そうした「エアコンを使っている」感じが全くしない。ただ快適な部屋にいるなあ、と感じさせるだけなのだ。その「なんにもない」感じこそが、今時エアコンの快適さなのだろう。

 10年使うと考えれば、下のクラスとの価格差は年間1万円程度。この投資は、十分にアリではないかと、今、強く感じている。



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2009年7月22日 00:00