【次世代照明技術展 2011】
ローム、LEDチップの“3D配列”で明かりが広がるLED電球

~薄くて曲がる有機ELデバイスも

 LED照明など、次世代の照明装置・部品・材料の展示会「第3回次世代照明技術展 ライティングジャパン」が、1月19日、東京ビッグサイトで開幕した。会期は21日までの3日間。入場料は5,000円だが、事前登録で無料になる。

 本誌では、会場にて公開された家庭向けの照明器具を中心にお伝えする。


光の広がりは“白熱電球並み”立体的にLEDチップを並べたLED電球

AGLED 3Dモデル 昼白色相当(左)と電球色相当

 ロームのブースでは、LEDチップを立体的に配列することで、光の拡散性を高めたLED電球「AGLED(アグレッド) 3Dモデル」を公開していた。発売中で、価格はオープンプライス。実売価格は5,980円前後。

 E26口金に取り付けられるLED電球で、光の拡散性を重視した点が特徴。LEDは光の指向性が強いため、LED電球をペンダントライトに取り付けた場合、直下は明るいものの、光の広がりは白熱電球よりも狭いことが多かった。

 しかし、この「3Dモデル」では、LED電球内にLEDチップを立体的に配置。横方向へ光が広がるような構造とした。これにより、壁や天井にも明かりが広がり、一般的な電球と似た、明るい配光が実現できるという。同社では「白熱電球に近いイメージであかりが広がるLED電球はAGLEDだけ」としている。

 また電源部分は、空中への輻射ノイズを軽減する「アルミシールド構造」を採用。無線信号やリモコンなど、赤外線信号への影響を与えにくいという。さらに、電球のグローブは、落としても破片が飛び散りにくい樹脂製となっている。

LED電球内部に、立体的にLEDチップを配置。これにより、部屋全体に明かりが広がるという下方向への明かりを重視した「ワイドパワーモデル」(右)との、光の広がりの比較内部構造。電源はノイズが発生しにくい作りになっているという
【3D立体配列モデルのラインナップ】
タイプ3D立体配列モデル
品番LDA8L-G/3LDA8N-G/3LDA6L-G/3LDA6N-G/3
光色電球色昼白色電球色昼白色
全光束550lm640lm330lm390lm
白熱電球と比較した明るさ
(下半球光束)
60W相当40W相当
消費電力8W6W
寿命40,000時間
サイズ(最大部直径×全長)60×123mm55×110mm
質量180g120g

 このほか、下方向への明かりの強さを重視した「ワイドパワーモデル」4製品、全光束を700lmと強力にした電球色の「ハイパワーモデル LDA10L-H」も発売している。

 なお、本製品は丸善電機が販売しており、電源ユニットやLEDチップなどのパーツがローム製となる。

全光束が700lmと明るい「ハイパワーモデル」。光色は電球色のみ下方向への明かりが強い「ワイドパワーモデル」も発売中
【ハイパワーモデル・ワイドパワーモデルのラインナップ】
タイプハイパワー
モデル
ワイドパワーモデル
品番LDA10L-HLDA9N-GLDA9L-GLDA6N-GLDAL-G
光色電球色電球色昼白色電球色昼白色
全光束700lm535lm450lm335lm285lm
白熱電球と比較した明るさ
(下半球光束)
60W相当40W相当60W相当40W相当40W相当
消費電力10W9W6W
寿命40,000時間
サイズ(最大部直径×全長)60×125mm60×108mm55×108mm
質量185g130g110g


薄くて曲がる新しい光「フレキシブル有機ELデバイス」

フレキシブル有機ELデバイス「OUGI」

 ロームのブースではこのほか、薄くて曲がる有機ELデバイス「フレキシブル有機ELデバイス」も展示していた。

 有機ELは、薄型で面発光でき、発光効率が高い点が特徴の光源。LEDと並び次世代の光源として注目されている。

 「フレキシブル有機ELデバイス」は、厚さ約0.3mmと非常に薄く、しかも曲げられる点が特徴。会場では、扇形に曲げられた「OUGI」、海草のような形状の「SeaWeed」、ブレスレットとして使えそうな「Lightning Bracelet」の3デバイスが展示された。ロームでは用途として、テーブルランプや読書灯といったインテリア照明、航空機・自動車の内装用バックランプ、美術品や写真のライトアップなどを挙げている。

波状に曲がった「SeaWeed」。日本語に訳すと「海草」手にはめてブレスレットとして使えそうな「Lightning Bracelet」





(正藤 慶一)

2011年1月19日 16:50