やじうまミニレビュー

備えあれば憂いなし! ゲリラ豪雨対策に、水で膨らむ“土のう”

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
アイリスオーヤマ「緊急簡易土のう」。土のう10個(というより、ペラペラなので「枚」?)がセットになった簡易土のう

 先日ニュースを見ていると、九州地方でゲリラ豪雨が降り、多くの家屋が浸水したという。そこでフッと思い出したのが、Webでチラッと見かけた水で膨らむっていう「土のう」だ。

 土のうは、水をせき止めるために積み上げる土の入った袋のこと。サイズは、10kgのお米の袋と同じぐらい。工事現場にもよくあるし、豪雨の際に店舗の入り口や地下に向かう階段の前に何個も積み上げてあるのを見かけたことがあるだろう。

 普通土のうには、その名のとおり袋に「土」を入れる。しかし1袋は30〜40kgと非常に重たく、担ぐのがやっという感じだ。だから普通は工事用の一輪車や台車で運ぶが、設置場所に何十個も運ぶとなると、これまた重労働になる。

メーカー名アイリスオーヤマ
製品名緊急簡易土のう
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,891円

 ここで紹介するアイリスオーヤマの「緊急簡易土のう」は、重さが指1本で持てる109g! 女性どころか幼稚園の子どもでも持ち運んで設置ができる。そしてイザ雨が降ると、水を吸収して1袋20kgの土のうになる。水を吸って膨らむので正しくは「水のう」かも……。

 パッケージには土のう10個、およそ200kg分が入っているが、片手でも軽々と持ち上げられるこの商品。本当にこんなに小さいものが、土のうになるのかを試してみた!

膨らます前の土のうは、50×60cmの袋。重さは109g。
水を吸わせるとわずか10分で20kgの土のうになる!

土のうの設置はラクラク! あとは雨が自然に膨らませてくれる

 袋から土のう1袋を出してみると、大きさはだいたい50×60cmぐらい。40Lのゴミだし袋の半分、スーパーでくれるレジバッグの特大サイズぐらいだ。

 袋は4方向が糸で縫ってあるので、中身を見ることはできないが、冬に使う携帯カイロ2個分の高分子吸収体が入っていた。好奇心に負けてしまい(笑い)、土のうを1枚破って中身を出したのがこれ。

カイロと違い破れやすい紙でパックされた高分子吸収体
袋の中を出してみると、サラサラの微粒子。紙おむつの中にもコレが入っている

 携帯カイロと違って、破れやすい紙の袋にサラサラの高分子吸収体が入っている。保管するときは投げたり強い衝撃を加えたり、重いものを載せないほうがいいみたい。

 土のうの設置の手順はこんな感じだ。

手順1:水の浸入を防ぐ板を玄関の前などに立てかける

直接土のうを積み上げるより、板を立てたほうが効率的。ただの重りとして土のうを使うなら板は不要

手順2:乾いて膨らんでいない状態の土のうに水を吸わせる

膨らんでいない状態の土のうに水を吸わせる。ペラペラの土のうが20kgの大きく重い土のうに早変わり!

手順3:1袋20kgまで重く膨らんだら柱に立てて積み上げる

柱に立て掛けるようにして、膨らんだ土のうを積み上げる

 土を入れる本物の土のうなら、土のあるところで土のうを作って、玄関先などまで持ってこなくてはならない。土のう5個を運ぼうと思ったら、20kg×5で100kg。筋肉痛は免れないだろう。でもこの土のうなら110g×5なので550g。往復するどころが5枚まとめて持って行き設置できるので、筋肉痛になる余地がないのだ!

【お詫びと訂正】
記事初出時、設置手順に誤りがありました。土のうを乾いた状態で積み上げてから水を吸わせると表記していましたが、水を吸わせて膨らんでから積み上げるのが正しい手順です。お詫びして訂正いたします。

 急いで土のうを膨らませたいときは、お風呂の残り湯に土のうを突っ込めば10分もせずに膨らんでくる。

左から水に入れた直後、5分経過、7分後

 袋に印刷されている説明では10分で膨らむとあったが、実際には7分程度のようだ。実際桶に入れて膨らませてみたところ、水かさが変化しないので「ちゃんと膨らんでるのか?」と疑心暗鬼に駆られた。が! 桶から出すと「うぉー! ほとんど水吸ってる!」状態なのだ。ちなみにこの桶は30Lの水が入るので、2/3の20Lくらいを、土のうに入っている100gの高分子吸収体が吸い込んだということだ。

 なお土のうの高さが足りないというときには、口についている紐を引っ張って結ぶと、巾着のように丸く膨らむ。なお膨らんだあとの土のうは、わずかだが袋の隙間からゼリー状の高分子吸収体が「ムニュ!」と出てくるので注意しよう。

口の紐を結ぶと巾着のように膨らむ
一度膨らんだ土のうは、持ち歩いたりしたときに縫い目からゼリー状の物体が「ムニュ!」と出てくるので注意

 土を入れた土のうとほぼ同じなのだが、いくらか違和感もある。それは簡易土のうが圧倒的に柔らかいという点。土なら踏み固めて、土のうの固さを調整できるが、高分子吸収体は固さの調整ができない。また形を整えられないので、角が空きがちになる。もう1点は、完全に水没すると「それほど重くない」という点。お風呂の中に水を入れたビニール袋を入れればわかるが、水から出すときはズッシリと重いが、お風呂の中に入れると軽くなっちゃうのだ。あくまで簡易土のうということで、便利さを重視した製品と見ておきたい。

 さて雨が過ぎたら2~3日天日干しすると、半分ぐらいの大きさ(重さも)にまで小さくなる。自治体のルールにしたがって、紙おむつと同様に廃棄が可能だ。

ゲリラ豪雨の多い昨今、家にひとつは備えておきたいアイテム

 駐車場や玄関が半地下になっている家ではマストアイテムとして常備しておきたい。一般家庭でも近年のゲリラ豪雨被害は、年々酷くなっているようなので、もしもの保険として備えておきたい。

 筆者のように好奇心旺盛なヒトにもオススメ。ちょっと実験するにはちょうどいい高分子吸収体が手に入る(笑い)。

あまった高分子吸収体でオリジナルの芳香剤を作って遊べる!

 (それが意図的であったとしても)たまたま余ってしまった土のうは、高分子吸収体を取り出して水とアロマオイルを吸わせて芳香剤にすることもできる。ただし! 全部やると20kgの芳香剤ができるので注意だ。

 使い終わった土のうの中身を家庭菜園で使ってもいいだろう。菜園の土にまぜれば、日照りの日が続いても保湿してくれるので、水やりの回数を減らすこともできる。

 本格的な防災用品として使うには無理もあるが、家庭で使う緊急用の土のうとしては十分に価値があり、あまった高分子吸収体は面白く使える楽しみもある。

藤山 哲人

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