やじうまミニレビュー

タカラトミー「にぎってク~ルエコFan」

~レバーを引くと風をブンブン起こす手動ミニ扇風機

やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです
タカラトミー「にぎってク~ルエコFan」

 各地で30℃を越える真夏日を記録するニュースが流れている6月某日。プラモデルを買いにオモチャ屋に行ったら、面白い扇風機を見つけた。それがコイツ。タカラトミーの「にぎってク~ルエコFan」だ。

 「こんなモンどこでも売ってるよ!」とディスプレイの向こうで突っ込んでいるアナタ!よーく見て欲しい。フツーのヤツとは違うでしょ? これによく似たどこでも売っている扇風機は、乾電池2本で動くヤツだけど、このにぎってク~ルエコFanは、手回し式なのだ。

メーカータカラトミー
製品名にぎってク~ルエコFan
購入場所Amazon.co.jp
購入価格787円

風の当たる範囲は狭いが、長い間涼を取れるアイテム

 この製品はパッケージに入っていないので、店頭で実際に使ってみることができる。筆者も何じゃこりゃ? と手にとっていじくってみたが、風はそれなりに届く。説明するのが実に難しいのだが、涼しさはウチワほどではないが、乾電池で動くものと互角か、それより若干上といった感じだ。

 とりあえず触ってみて感心したのが、レバーをひと握りすることで羽が数十回転するという高いギヤ比と、レバーを離したときもほとんど回転が減速しないというラチェット機構(自転車のペダルを逆回しにこいでもバックせずに空回りする機構のこと)が、この中に入っているという点だ。

横のレバーを本体側へ押し込むと、ビューン! と音を立てながら羽が回転する
回転する羽に指が当たっても、柔らかいので安全。素材はポリプロピレン(PP)。数枚の書類をまとめて入れるクリアファイルと同じだ
風を送れる範囲は狭め。顔の一部程度といったところか

 さっそく自宅に帰って遊んでみると、レバーを一握りすると羽がおよそ50回転すると判明。レバーを押し込める角度はだいたい30度ぐらいなので、360度のギヤ比に換算すると1:6,000だ。これだけ高いギヤ比だとレバーはやや重め。涼しい風が感じられるほど回転させるには、だいたい3~2kgの握力で、0.5秒に1握りする感じ。これよりゆっくり握ったり軽く握っても、羽は回転するが、涼しいと思えるほどの風は起きない。

 基本的な持ち方は、人差し指と中指をレバーにかけて持つようだ。1分も連続して握っていると、疲れるというか指の腹が痛くなってくるので、その時は親指をレバーにかけて逆手に持つとラク。これを交互に繰り返せば、かなり長時間風を送っていても、疲れがたまらない。手動送風機の“王者”ウチワは、数分も仰いでいると腕がだるくなってしまうが、にぎってク~ルエコFanならそれよりも長めの使用が可能だ。

これが基本的な順手(基本)持ち。長いこと使ってると、人差し指と中指の腹が痛くなってくる
順手で指が痛くなりだしたら、親指でレバーを押す“逆手持ち”にする。これで人差し指と中指を休めると、かなり長時間使える

 音の大きさは若干気になる。ギアを何段にも入れているため、羽根の回転中はそれぞれのギアの遊びでガラガラと大きな音が立ってしまう。またレバーを強く握りすぎると、ラチェット機構がうまく噛み合わず、たまにガッ! という大きな音がでるときもある。モーター式の小型扇風機ではこれらの音がしないので、オフィスや電車内などでちょっと使っても気が引けることはないが、にぎってク~ルエコFanだと少しためらわれてしまうかもしれない。屋内の静かなイベントよりも、屋外のイベントなどで一時的に涼を取る用途の方がよさそうだ。

音の比較。順番は乾電池式のミニ扇風機→にぎってク~ルエコFan→うちわ

 自分らしさと涼しさをより演出するために、オリジナルのデザインにも変えられる。取っ手の柄は、透明なプラスチックを取り外すと変えられるようになっていて、製品にはあらかじめ3種類のデザインが入っている。この中で一番涼しげなのは、白熊がデザインされたものだが、オリジナルデザインにすればさらに涼しさを演出できる。なお、当レビューでは水色を紹介したが、ほかにもポケモンがデザインされたイエローと、リラックマがモチーフのピンクも用意されている。

取っ手のカバーを外すとデザインが変えられる。個人的にはどれもイマイチ清涼感が感じられなかった
清涼感あふれる自作のデザインを作ってみた。こりゃ見るからに涼しそう!
本体にはストラップを付けられる穴もある。もしかしたらスマートフォンの電池冷却用としても使えるかも(笑)

「ク~ルエコFan」vs「ウチワ」vs「電池式のミニ扇風機」、どれが涼しい?

即席の風力計。風力発電用のモーターはちょっと特殊なヤツだったので、スマートフォンのバブレーション用モーターに取り替えている

 乾電池式のミニ扇風機とク~ルエコFanは、両者とも同じような価格で同じようなサイズではあるが、どちらの方が涼しいのか? また、伝統的な“手動式送風機”であるウチワよりも涼しいのか? ここで見極めてみたい。

 計測するデータは風力だが、手元に風力計がないので、子どもの学習用の風力発電キットをちょっと改造して調べてみることにした。厳密な風力ではないが、これで発電できた電圧を見てば、風の強さが数値化できる。

即席の風力計で、「ク~ルエコFan」vs「ウチワ」vs「電池式のミニ扇風機」の風の強さ対決をやってみた

 こうして3つの風力を計ってみると、驚くべき結果が出た。

・乾電池式ミニ扇風機:112ポイント
・ウチワ:63ポイント
・ク~ルエコFan:119ポイント

※ポイントが高い方が、風力が強い

 風力はク~ルエコFanがトップで、乾電池式のミニ扇風機よりも強い風となった。体感的にはウチワが一番涼しかったんだが、風力はク~ルエコFanの半分ほどしかなかった。

 これにはカラクリがあって、人が涼しいと感じるのは風力だけでなく、風の量もある。羽の直径からすると、ク~ルエコFanと乾電池式ミニ扇風機の風量はほぼ互角だが、ウチワは面積が広いぶん圧倒的に風量が多い。だから体感的にはウチワがもっとも涼しく感じられたというわけだ。

 結果をまとめてみよう。体感的な涼しさは、広い部分が涼しくなるウチワに軍配が上がるものの、腕全体の筋肉を使うので疲れやすい。逆にク~ルエコFanは、顔の一部しか涼しくならないが、動かすのは指だけなので、さほど疲れず体温上昇も少なそうだ。体力エネルギー的に省エネなのも、ク~ルエコFanだ。なお、乾電池式のミニ扇風機は、一番ラクして涼しくなれるが、乾電池代でお財布が寒くなるという欠点もある。

 これからの季節、屋外でのイベントが多くなる。そんなときに、電池代も気にせずちょっとだけ涼を取るならク~ルエコFanがオススメだ。

藤山 哲人