やじうまミニレビュー

オーエフティー「ステンレスファウンテン」

~金属製で清潔感のあるペット用自動給水器
by 伊達 浩二


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


オーエフティー「ステンレスファウンテン」

 猫はほおっておくと水をあまり飲まない。うちの鉄蔵がそうなのだが、いろいろな器を試して見ても、ただ水を置いておくだけだと、ほとんど飲まなかったりする。

 どうも、猫は自分がノドが乾いたから飲むというよりも、遊びの要素がないと飲んでくれないようなのだ。そういえば、普段でも、洗面台の蛇口からしたたる水滴とか、普段は入れない浴室の洗面器の水などは、よく飲んでいる。普通の器でも、ちょっと高い場所の台の上に置くと、体を長く伸ばし、伸び上がって飲んでいることが多い。

 とはいえ、猫の飼い方の本を読むと、病気の予防のためにも、できるだけ水を飲ませた方が良いと書いてある。これまでにもいくつかの給水器を試してきたが、今回はオーエフティーの「ステンレスファウンテン」という自動給水器を紹介する。


メーカーオーエフティー(OFT)
製品名ステンレスファウンテン
購入場所Amazon.co.jp
購入価格10,400円

  ステンレスファウンテンは米国メーカーの製品で、日本ではオーエフティーという代理店が輸入、販売を行なっている。米国メーカーの輸入品とはいえ、和文の取扱説明書が付属しており、ACアダプターもPSE規格に合致したものに交換されている。電源を入れっぱなしで使う製品だけに、ACアダプターが、日本市場にきちんとローカライズされているのは好感が持てた。

 ステンレスファウンテンの特徴は、本体のデザインと素材にある。ステンレスファウンテンの本体は、水滴型のような変わった形をしている。本体の構造は、二枚貝のようになっており、水を溜めるボウルと、ポンプから出た水が流れるフタの2つに分かれている。

 もう1つの特徴は、素材がステンレスであることだ。給水器の素材には樹脂が使われるものが多いので、金属製のものは初めて見た。ステンレスはさびにくく、汚れが付きにくいので水道管などにも使われている。給水器の素材として期待が持てる。

パッケージに書かれた全体の構造。シンプルだこんな感じで詰め込まれているパッケージの内容物。部品の点数は少ない
組み立て前に検品する鉄蔵今回のパッケージには、右のような和文の取扱説明書が付属している

 商品写真はとても高級感があるのだが、実物はそれほどではない。素材に厚みがなく、100円ショップで売っているステンレスボウルに近い。指で叩くとペンペンという音がする。その分、本体は意外と軽く、重さは約800g。水が入っていない状態であれば、片手で持てる。

 本体を構成する2つの部品以外には、これも貝殻のような形をしたユニットがある。このユニットには、水中モーターと活性炭フィルターが内蔵されている。ユニットの周囲から吸い込まれた水が、活性炭フィルターを通ったあと、本体の上の部分から湧き出るようになっている。

 上記のように部品が少ないので、組み立ては難しくない。ポンプが入ったユニットの位置決めがちょっと難しいが、フタに空いている穴に、ユニットのパイプの部分を差し込むと、固定しやすい。

水を濾過するフィルターカートリッジ。活性炭が入っている交換用のフィルターカートリッジ
ちゃんとビニール袋から取りだして、洗ってから使ってねと注意が書かれている。取扱説明書には和文で書かれているので大丈夫洗面台で活性炭の粉を洗い流す
ポンプとフィルターが入るカバー。正式名称は「ポンプハウジング」。貝殻を模したとおぼしきデザイン手前にフィルターカートリッジ、奥に水中ポンプをセットする上にカバーをかぶせる
ステンレスファウンテン本体にセットするモーターのケーブルを、このように通すACアダプタはPSE準拠のものが添付されている
ハウジングの底部には3つの吸盤があり、これで本体に固定する。こんなカーブにせずに箱形にした方がきっちり固定できると思うのだがよく押しつけて固定するフタをかぶせる。位置決めが難しいときは、あらかじめハウジングをフタの穴に通してから固定すると良い
二枚貝のような不思議なデザイン30cm定規との大きさ比較

ちょっと神経質だが、満足度は高い

 本体の組み立てが終わったら水を入れる。水の量は最大で2L弱ぐらい入る。

 ステンレスファウンテンに電源スイッチはない。水中モーターから伸びたケーブルをACアダプターに接続すると、動き始める。水が入っていない状態で電源を入れると、故障の原因になるので注意したい。水が出てくるようすは、以下の動画でご確認いただきたい。

電源を入れて、水が出てくるようす

 水はかなりの勢いで湧き出す。鉄蔵も関心はあるのだが、警戒して、最初は湧き出る部分ではなく、溜まっている水ばかり飲んでいた。

ACアダプタを接続すると、水が湧き出るもう使って良いんですか? と振り返って確認する鉄蔵こわごわと頸を伸ばして水を飲む鉄蔵。溜まっている方の水を飲んでいる

 湧き出す水量は、水中モーターにあるスライドスイッチで5段階に調整できる。我が家では、最強の5段目か、それより1つ少ない4段目が使いやすかった。

水量は、水中モーターにあるスライドスイッチで5段階に調整できる。これが一番強い状態で、水が盛り上がっている水量を調整中の状態。ここまで分解しないと調整できない。最強の5段目か、それより1つ少ない4段目がお勧め

 しばらくすると慣れて、湧き出る部分にも口をつけるようになった。しかし、こっちで飲むとステンレスファウンテンの周囲に水がこぼれてしまう。給水器の周囲は、水に濡れて良いようにペットシートやタオルなどを敷いておいた方が良い。我が家では、本来はまな板である丸い板の上に置くことにした。

本体がステンレスなので、顔が映り込んでいる湧き出た方の水を飲んでいるところ。こっちで飲むと周囲に水がこぼれてしまう。周囲は濡れても良いようにしておこう

 モーターの音はかなり静かだ。リビングルームに置いている限りは、生活音にまぎれてほとんど気にならない。深夜に確認してみると音はしているので、寝室に置くとうるさく感じる人もいるかもしれない。いずれにしても、通常の状態ではステンレスファウンテンの動作音は、給水器としては、静かな部類に入る。

 残念なのは、水が少なくなると、モーターがうなって大きな音を立てることがある点だ。これは水中モーターが本体の底に張り付いているのではなく、貝殻型のカバーに包まれて底から離れた位置にあるためだ。モーター自体は静かなので、ケースの形状を改善してほしい。

 また、モーターが入っている貝殻型のカバーは、3つの吸盤で本体に固定されているのだが、これが浮いていると、音がうるさくなる。同様に、フタの部分がずれていると、共鳴して音が大きくなる。本体がステンレスで軽量なため、音を抑えることができないようだ。きちんと組み立てられていれば問題はないのだが、ちょっと扱いに気を遣うところがある。

 逆に、ステンレスファウンテンの良い点としては、水や給水器の汚れがわかりやすいことがあげられる。給水器は、湧き出す部分以外は水面が見えない製品が多く、水の汚れに気がつきにくいが、ステンレスファウンテンなら、水の状態も本体の汚れもよく見えるので気持ちが良い。ちょっと、水を替えようとか、カバーをそろそろ洗わなければとか、手入れをするきっかけが作りやすい。

 なお、フィルターカートリッジの寿命は約4週間とされているので、最初に予備のカートリッジも買っておいた方が良いだろう。

ちょっと高価だが、留守がちな家庭には必須

 ステンレスファウンテンでは、ペット用の給水器として重要な3つの要素をうまく満たしている。1つは、水を常に供給すること。ペットが飲みたいときに、器に水が入っていないのではしょうがない。ステンレスファウンテンは最大2Lの水が溜められるので、数日から1週間ぐらいは水が切れる心配がない。小旅行ならば安心して出かけられる。

 2つめは、清潔で新鮮な水を供給すること。ほとんどの給水器では、活性炭などを使って水を濾過するようになっている。人間用の浄水器ほどではないが、ある程度水質が保てるし、塩素の臭いも軽減される。

 3つめは、水に動きをつけること。特に猫の場合、遊びの要素があるとないとでは飲む水の量が違う。水中モーターを使って、湧き出るような動きや、流れるような動きを作ることで、ペットの関心を引くことができる。猫にとって魅力的なようで、鉄蔵の場合は水を飲んでくれる量がぐっと増える。

 本体のみで約1万円、フィルターもセットで買うと1万2千円前後という価格は、高価に感じるかもしれない。だが、昼間に人がいなかったり、複数の猫がいる家庭にはそれだけの価値がある製品だ。これまで5台試してきたペット用浄水器のなかでも「エコノミーファウンテン」と並んで推薦できる。

 同じデザインと構造で、本体の素材が陶器になった「セラミックファウンテン」という製品もある。こちらだと、本体の重さがステンレスファウンテンの0.8kgから、2.0kgへと重くなっているので振動しにくいかもしれない。私自身は、陶磁器類は割ってしまうことが多いので手が出なかったが、扱いに自信がある方は、そちらを候補に入れると良いだろう。

 なお、フィルターカートリッジや水中モーターを始めとして、個々の部品は代理店から個別に購入できる。長く使い続ける製品だけに、長く在庫を持っていてほしい。





2011年 10月 26日   00:00