やじうまミニレビュー
ダイソン「Dyson groom」
■ブラッシングと掃除が一度にできるペット用ツール
ダイソン「Dyson groom」 |
室内で犬を飼っている人にとって、犬の抜け毛は深刻な問題だ。私自身、小さいころからゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、バーニーズマウンテンドッグ、ダルメシアンと抜け毛の多い犬種ばかりを飼ってきたが、1日2回は掃除機をかけるのは当たり前、ブラッシングは週に複数回と「毛」の処理には手を焼かされてきた。
犬の毛の問題というのは、自宅の床をきれいに保つということだけでなく、犬の毛並みをきれいに保つという2つの目的がある。ペットのブラッシング専用グッズは数あれど、この2つの目的を1つで達成できるという製品はこれまで少なかった。まずはブラシでブラッシング、それからブラシの毛を取り除いて、掃除機をかける。二重、三重の手間が必要だった。
10月より発売になったダイソンのペットケア用アタッチメント「Dyson groom(ダイソン グルーム)」はそれを一度に済ませてしまおうという画期的な製品だ。
メーカー | ダイソン |
製品名 | Dyson groom |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ダイソンオンラインストア |
購入価格 | 7,350円 |
Dyson groomはダイソンの掃除機の先端に取り付けて、使用するアタッチメントだ。本体には、犬の毛だけでなく、古い角質まで取り除けるという独自の「スリッカーブラシ」を搭載している。このブラシで、まずは犬をブラッシング、その後ブラシに付いた抜け毛をそのまま掃除機で吸い取るので、毛が床などに舞うのを防ぐことができるという。古いタイプのキャニスター型(DC21/DC22/DC23)とハンディクリーナー(DC16、DC30、DC31)、スティック型(DC24)を除く、ダイソンのほとんどの掃除機に対応する。
製品パッケージ | 製品本体 | 本体上部にはブラシの長さを調節するトリガーが設置されている |
対応する犬種は、ミディアムからロングコートの成犬で、ウールやむく毛、巻き毛の犬種には適さない。今回は妹の愛犬であるパグのペコで試してみた。
パッケージには、本体とともに、掃除機接続用のアダプタが同梱されている。自宅で使っているDC26のturbinehead entry(タービンヘッドエントリー)に取り付ける場合は、アダプタは必要なかった。取り付けは、ホース先端のボタンを押して、まず据付のヘッドを外して、Dyson groomを「カチッ」と取り付けるだけだ。
自宅で使っているDC26のturbinehead entry(タービンヘッドエントリー) | ヘッド部分 | Dyson groomを取りつけたところ |
本体は、ブラシ面と表面部分の二重構造で、上部のトリガーを押してブラシを外側に押し出すようになっている。トリガーでブラシの長さを調節できるようになっているほか、未使用時にブラシが露出しない構造にすることで、安全性にも配慮しているという。
トリガーを押していない状態では、ブラシは出ていない | トリガーを押して、ブラシの長さを調節する | ブラシを出している状態 |
犬種や毛の長さに応じて、ブラシの長さを調節できる | ブラシを短めに出した状態 | 掃除機接続用のアダプタが同梱されている |
■犬って掃除機嫌いじゃなかったっけ?
2歳・メスの“お姫様”ペコちゃん。男性が大好きで、女性には懐かないという習性をもつ |
さて、実際に使い始めるまえに、今回の主役のペコのことを軽く紹介しておこう。性格はかなり臆病。道を散歩していて、横断歩道などで道の色が白などに変わっているとそれにびっくりして、震えてあるけない始末。知らない人には、まず懐かないという甘やかし放題甘やかされた“お姫様”のような犬で、掃除機は当然のように苦手だ。
ダイソンは、独自のサイクロン構造と、強力な吸引力が魅力の掃除機。私自身、吸引力の強さが気に入って5年来のダイソンユーザーであるが、運転音は小さいとは言えない。Dyson groomは、掃除機のヘッド部に取り付けて使用するため、ペコのような臆病な犬に使えるか最初はかなり不安だった。
このような不安を覚えるのは、何もペコのような臆病な犬を飼っている人だけではないだろう。大きな音を立てて、室内を動き回る掃除機を苦手とする犬は多い。ダイソンの製品ページでは、使い方のヒントとして、このような不安を覚えるユーザーに対してDyson groomの使い方を丁寧に絵入りで説明している。今回はこのヒントに乗っ取って使ってみた。ステップは大きく分けると3つある。
1)掃除機に慣れさせる
掃除機を出しておいて、犬の視界に入るように置いておく。掃除機の存在に慣れたら電源を入れて、音に慣れさせる
2)Dyson groomを掃除機に装着しない状態でブラッシングする
3)ブラッシングに慣れたら、掃除機にDyson groomを装着。電源を入れて使ってみる
これらの、手順の間にも犬に話しかけたり、触ったりとコミュニケーションを取ることが大事だという。
■リラックスとコミュニケーションが大事
実際に手順に従ってやったのが、下の写真だ。見慣れない物体にペコも最初は、逃げるようにしていたが、ブラッシングされることが気持ち良いらしくて、次第にリラックスしてきた。難関だったのは、やはり掃除機の電源を入れるところ。妹に抱いていてもらっている状態で、優しく話しかけながら使うことでなんとかクリアできた。ちなみに、その際の運転は、強ではなくて、弱に設定している。
Dyson groomは「怖いもの」ではなく「気持ちいいもの」と犬に認識させることが重要だ。
最初は何これ? という目で完全に怯えていた | ちょっと慣れてきたところ。「ふーん、なんか気持ちいいじゃん」とでも言いたげな様子 | 慣れてくると、この表情。舌がまくれ上がっているのは、気持ちいい時も怯えているときも一緒のようだ…… |
Dyson groomを使っている様子 |
ブラッシングしたあとのブラシにはペコの短い毛が、パラパラと付いている。そのままの状態で、トリガーを数回引くと、ブラシに付着した毛が中にさっと吸い込まれる。ブラッシングの途中で、こまめに毛を吸引すれば、床に毛が落ちることなく、ブラッシングができるというわけだ。
今回は妹に抱いてもらって使用した | ブラシが短い毛にもしっかり絡んでいる | ブラッシング後の表面 |
実際には、ブラッシング後にペコが身体をブルブルと振るわせて、体に残った毛を周囲にまき散らしていたので、ブラッシング後に掃除機をかけなくても良いというわけではない。ただ、周囲に毛の舞い散る量が圧倒的に少ない。また、掃除機本体がそこにあるので、ブラッシング後の掃除を自然な流れでできるというのも良い。
また、しっかりブラッシングすることで、その後の毛が舞い散る量も少なくなる。いつもならペコが遊びに来た日は、フローリングの至るところに短い毛が付着していて、掃除機を2回はかけているが、Dyson groomでブラッシングしたこの日は、床に付いている毛の量がいつもよりかなり少なかった。
なお、今回は使わなかったが、ダイソンでは延長ホースとの併用を推奨している。ペコは小型犬でブラッシングする面積が少ないが、大型犬で身体が大きい場合はブラッシング面積もその分広くなる。延長ホースを取りつけることで、ヘッドの可動部分が大きくなるため、付けた方が便利だろう。
掃除機のアタッチメントではあるが、掃除用というよりはケア用品に近い印象。今後期待したいのは、対応ペットの広がりだ。トイプードルなど巻き毛の犬種はもちろん、長毛種の猫でも需要がありそうだ。
特に評価できるのは、Dyson groomのブラシの質の高さ。パグの毛は短いため、普通のブラシでブラッシングすると、毛がブラシに絡まずに床に落ちてしまう。Dyson groomのスリッカーブラシは、35度の角度が設けられているため毛が舞い散ることなく、しっかりとブラシに絡んでいる。ブラシは固めで、ペコも気持ちよさそうだった。
Dyson groomは、ダイソンユーザーであることが第一の使用条件になる製品だが、それでも売れるだろうな――というのが正直な感想。ただブラッシングの手間を省くとか、室内をきれいに保つためのツールというわけではなく、犬への愛情が感じられる製品だ。
2010年 10月 18日 00:00
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