やじうまミニレビュー
小森谷嘉右ヱ門堂「FIRの器」
小森谷嘉右ヱ門堂「FIRの器 小判形焼皿」 |
近年、電子レンジで発熱する皿が増えているが、今回紹介する「FIRの器」もそのひとつだ。“FIR”とは「far infrared rays(遠赤外線)」の略で、有田焼の磁器に無機炭素を調合し、電子レンジのマイクロ波分子で遠赤外線を発生させることで、ラップを使わずに魚や卵、肉などを芯から焼き温めて料理を作れるという。
今回試したのは「小判形焼皿」という、楕円形で底面に底面に溝が刻まれたタイプだが、底面が平面になっている丸形の深皿や一合炊きの釜「匠の釜」という製品もラインナップされている。
メーカー | 小森谷嘉右ヱ門堂 |
製品名 | FIRの器 小判型焼皿 |
希望小売価格 | 3,675円 |
購入場所 | Amazon.co.jp |
購入価格 | 1,890円 |
製品の表面は、光沢のある青緑色でツルツルとした感触だ。皿の縁の部分はグレーでザラザラした感触になっており、手に持ったときに滑りにくい。サイズは210×160×35mm(幅×奥行き×高さ)で、質量は実測で約420gだった。
食材ごとの加熱時間などが書かれた料理レシピも付いており、魚や肉をはじめ卵料理など幅広い料理のやり方が載っている。今回はこの本に載っている調理法に従っていくつかの料理を作ってみた。
皿の裏面 | 底面には溝がついている |
縁はザラザラした仕上げ | 付属のレシピ本 |
(1)生鮭の切り身
レンジ弱で3分加熱し、裏返して強で2分加熱する。焦げ目は付かず、切り身から出た脂分が切り身に付いて脂っこくなる。ガスグリルで焼いた場合のカラッとした感じの仕上がりとは少し違うが、これはこれでジューシーでおいしい。
(2)サワラの西京漬け
付属の料理レシピではサバの西京漬けだったが、今回はサワラで試してみた。レンジ弱で4分加熱し、裏返して強で2分加熱。生鮭とは違ってパサついた感じの仕上がりとなった。焦げ目もなく、あまりおいしくない。切り身のサイズに対して加熱時間が長すぎたと思われる。
最初に作った生鮭の切り身 | サワラの西京漬けは、加熱時間が長すぎたのかあまりおいしくなかった |
(3)サンマの塩焼き
旬のサンマも焼いてみた。まず最初にサンマの裏表に切れ目を入れて、2つに切って塩をふる。クッキングシートを皿の上に置き、半分に醤油を塗る。その上にサンマを置いてシートを折って包み込む。加熱中に広がらないようにシート左右の端の二方を1cm幅に2回折る。
ここまで準備ができたらレンジ強で2分、さらにシートに包んだままひっくり返して1分加熱する。レシピの写真を見ると薄く焦げ目が付いているが、自分で試したところ焦げ目はできなかった。ただし味自体はガスコンロで焼いたものとほとんど変わらない。サンマから流れ出た脂をクッキングシートが吸い取ってくれたせいか、さっぱりしていておいしかった。
クッキングシートで包み込む | 加熱後の状態 |
(4)ビーフステーキ
ここまで魚ばかりだったので、肉料理の王道、ステーキにもチャレンジした。レシピでによると、付け合わせ用のポテトも同時に調理できるという。
牛肉は筋切りをして塩・コショウをふる。ビニール袋にポテトとサラダ油、塩、コショウを入れて混ぜて、つけ合わせとして肉と一緒に皿に置く。レシピ本には最初に1分30秒加熱し、さらに肉をひっくり返してから1分加熱すると書いてあるが、肉が大きかったせいか生焼けの部分が残ってしまったので、3分間追加加熱した。すると今度は少し加熱しすぎたようで、肉が少し固くなってしまった。ベストな加熱時間を見つけるまでは試行錯誤が必要のようだ。
牛肉を乗せてポテトを添える | ビーフステーキ |
(5)ベーコンエッグ
FIRの器は、油を使わずに料理ができるというのも利点だ。ベーコンエッグも油を使わずに作れるので、さっぱりと食べられる。作り方は、最初に皿を1分ほどレンジで温めてから取り出し、ベーコンを乗せて卵を割って入れる。卵の黄身の部分に楊枝で3カ所ほど刺して小さな穴を空けて、1分30秒加熱する。できあがりは黄身の部分が少し生の状態だったので、さらに30秒ほど加熱したらちょうどいい仕上がりになった。油を使わないため目玉焼きの味がさっぱりとしておいしい。
(6)総菜のコロッケ
スーパーなどで売っている総菜コロッケは普通に温めると全体的に柔らかくなってしまうが、「FIRの器」ではカリッとした食感に仕上がり柔らかくなりすぎない。また、一部分が冷えているようなこともなく、全体的に温めることができた。オーブントースターやガスコンロのグリルを使ったような仕上がりに近く、おいしい。
ベーコンエッグ | コロッケはカリッとした食感に仕上がった |
(7)さつまいも
小さく切らずに加熱するよう書いてあったので、まるごと1個を皿に乗せてから大さじ3杯の水を入れて、レンジ強で5分加熱。さらに裏返して強で3分加熱する。取り出して切ったところ、さつまいものサイズが大きかったせいか中がまだ固いところが残っていたので、さらに3分加熱したところ、今後はちょうどよくなった。
しかし、味は蒸し器を使った場合よりも少しパサついた感じで、甘味も薄くあまりおいしくない。もう少し水の量を増やせばよかったかもしれない。
皿に水を入れて加熱 | 少しパサついた感じに仕上がった |
(8)にんじん
皮をむいて縦に4等分して皿に乗せて、大さじ2杯の水を皿に入れてレンジ強で4分加熱。さらに裏返して強で2分加熱する。パサつくこともなく、茹でた場合よりも素材の旨味が残っていておいしい。
(9)じゃがいも
十文字に切れ目を入れて皿に載せて、大さじ3杯の水を皿に入れてレンジ強で5分加熱。さらに裏返して強で5分加熱する。切れ目を入れたせいか、少々パサついた感じではあるが許容範囲内で、味は良好。
茹でたときと同じ感じに仕上がった | 加熱すると十文字の切れ目が少し広がる |
以上、魚、肉、野菜、卵と様々な食材で料理を作ってみた。表で一度温めてから裏返してもう一度加熱するという調理法が多いので、「レンジのスイッチ1つで簡単調理!」とはいかない。また、魚では残念ながら焦げ目が付かなかったので、焦げ目にこだわる人にはおすすめできない。
ほかに、仕上がりに満足がいかなかったのは、サワラの西京焼きとビーフステーキ、さつまいもの3品。これらについては自分なりのベストな加熱時間や水加減を見つける必要があるだろう。
調理する上での注意としては、加熱直後に皿がかなり熱くなること。取り出すときは厚手の布巾や鍋掴みなどを使わないと火傷する恐れがあるので注意が必要だ。
また、魚を加熱するときに身が破裂する恐れがある点も気をつけたい。今回はサンマを調理するときに、説明書通りに切れ目を入れてから加熱したが、それでも加熱中に数回、破裂音が聞こえた。
もっとも便利だと思ったのはベーコンエッグだ。最初に黄身に穴を空けるのは少々面倒だが、フライパンを使わずに目玉焼きを作ることができて、しかも皿でそのまま食べられるので楽だ。
総菜のコロッケも、ふつうの皿を使って電子レンジで温めるよりもカラッとした感じに仕上がる。揚げ物の温め直しにはかなりおすすめだ。
ふつうの皿に比べて価格が高めなのが気になるが、一人暮らしなどで効率よく調理を済ませたい人は検討してみる価値はあると思う。
2012年 10月 12日 00:00
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