やじうまミニレビュー
イーチャンス「ROBOSTIR(ロボステア)」
通販でよく見かける“自動鍋底かき混ぜ器”の「ROBOSTIR(ロボステア)」。買ってしまった! |
テレビ通販には不思議な魅力があって、そんなに欲しくないのについつい手を出してしまう。中でもアメリカ人がオーバーアクションで「どうだい! ジョン! これ凄いだろっ!」ってなセリフで展開する通販番組には、ついテレビの前でうんうん! とうなずいていると思ったら、電話を手にしていたなんてことが多発。
筆者がコレまで買ったものは、布のアチコチを結ぶと、いろんなドレスや服になるというものから高圧スチーム洗浄機、ナイフセットに油汚れが魔法のように落ちる洗剤、車の補修剤などなど。ゆうに数十万円は使っているだろう(笑)。
そんな中、最近チョー気になっていたものがある。それが「ROBOSTIR」(ロボステア)だ。
番組によれば、フライパンなどで炒め物をしたり、鍋で煮込みをするときに、ROBOSTIRを具材と一緒に突っ込んでおけば、自動的に鍋底をくまなくかき混ぜてくれて、具材が焦げないというのだ! 最初は「アメリカ人は鍋をかき回すのも面倒なのかよっ!」とツッコミを入れていたが、電話番号が画面に出る頃には「なんかスゲー欲しいかも?」になっていた。
これさえあれば家族の大好物のオニオングラタンスープやパスタのソースを作る手間が省けるということもあり、以前からロックオンしていた。電話をかけるのはしばらくためらっていたが、インターネット通販で安いところを見つけたので、「カゴに入れる」ボタンを押してしまった(笑)。
製品名 | ロボステア |
購入場所 | 楽天市場 |
購入価格 | 3,980円 |
■回転部分もないのにクルクル回る秘密は、巨大バイブレーターにアリ!
テレビを見ていて一番気になったのは「なんで回転部分もないのになべ底をクルクル回ってかき回すんだろう?」という点だ。さっそくパッケージを開けて、添付されている電池をセットし、スイッチONすると疑問が一挙解決! 上部には、スマートフォンなどに入っているバイブレーションモーターの巨大なヤツが入っていて、その振動がステンレス製の足に伝わって動くというものだった。
さらにもう1つ、足の先についているシリコン製のゴムにも秘密がある。一方だけ
に向けた溝が切り込まれており、振動して少し飛び跳ねると必ず半時計まわりに回転するのだ。ちょうど、植物の「ねこじゃらし」を手に持って、グニュグニュ握ると、手の中に入っていったり逆に出てきたりする、あの原理と同じってワケだ。
アメリカ人スゲー! スゲーよ! アメリカ人!
左側がかき回す足、右の2つがバイブレータ本体となっている。電池は付属するが、写真は筆者が取り替えた電池を使用している | 3本の足のうち1本には、長いシリコンベラが付いていて、足の届かない中央部分をかき混ぜる |
足の裏にはこのような出っ張りが付いていて、ねこじゃらしと同じ原理でクルクル回るようになっている | パッケージには「その自信はどこから来るの?」というアメリカンっぽい謳い文句が並んでいる |
なお足のシリコンは250℃の耐熱性になっているほか、本体がステンレスの足で持ち上がっているので、強火のフライパンの上に乗せてもノープロブレム! 足の高さも8cmあるので、深い鍋に入れて使ってもアベイラブル! もちろんフッ素樹脂加工されたフライパンに傷をつけることもナッシング!
そしてパッケージには「どこから来るんだよ? その自信は?」というアメリカ独特のうたい文句がこれ見よがしに並んでいる。だって「It Stirs... So You Don't Have To!」だもん。通販風に超意訳すると「アナタはまだ手でかき混ぜてるんですか? これさえあれば、もうかき混ぜるなんて原始的な調理は必要ありません!」ってな感じだ。
試しに鍋に入れてスイッチを入れてみると、テレビと同じように広い鍋底をくまなくかき回してくれるじゃないかっ! でもちょっと待ってください、なんとなーく、テレビで見たのよりパワフルに回ってないようにも見えるぞ……。
イヤイヤそんなことは、Don't Worry! レッツトライ! でございます。
■面倒な手作りジャムが簡単にできる!
本製品を使って料理するに当たり、筆者と奥さん、そして婆ちゃんを交えて、常に鍋をかき回さないと焦げ付いてしまう代表を選考した。その結果、手始めにジャム作りをしてみることになった。
なにせジャムは、砂糖(グラニュー糖)とフルーツから出てくる水分を煮詰めるので、弱火でゆっくり加熱しながら、砂糖が焦げないように常に鍋をかき混ぜる必要がある。鍋から離れられないレシピとして、これ以上のものはないだろう。
調理中のようすと結果は、以下の写真とムービーの通りだ。
かなり大量の砂糖をドサっ!と……。こりゃジャムは食べ過ぎると太るわなぁ~ | かなり勢いよくかき混ぜているROBOSTIR。とろみが少ないと具材がグルグル回るほど |
ブルーベリーの調理中にROBOSTIRを使用しているところ |
手で混ぜるとおよそ30分ほど鍋に張り付きになってしまうが、ROBOSTIRを使うと30分待つだけ(ただし10分ぐらい煮込んだところでいったんアクを取る)で手作りジャムの完成。鍋底を見ても焦げは一切なく、売ってるのと変わりないブルーベリージャムができた。
できあがったジャムは荒熱を取って冷蔵庫で冷やす | 手作りジャムはよりブルーベリーに近い味でおいしい。鼻に抜ける風味もいい! |
なおマニュアルによれば、アルカリ単3電池(4本必要)を使った場合の連続利用時間は4時間とあった。なおニッケル水素電池を使うと、かなり振動が弱くなってしまう点に注意して欲しい。乾電池だと1.5Vが4本で計6Vでモーターを回せるが、ニッケル水素電池だと1.2V×4本なので4.8Vとなり、満充電していても少し使い込んだ乾電池なみに振動が弱くなってしまうからだ。
■運転パワーは3段階から選べるが、かき混ぜる強さに比例しない
運転パワーは、本体上にあるスイッチを押すごとに、OFF→弱→中→強→OFFと切り替わる。ゴムである程度防水効果があるので安心 |
ROBOSTIRでジャムを作ってみて気づいたのだが、必ずしもバイブレーションの振動を強くする必要はないということ。バイブレーションの強さは3段階に切り替えられるものの、ウマくかき混ぜられない場合がある。
煮たり炒めたりする具材の粘り気や重さによって、強だとサッパリかき回さないが、弱にしたらうまくかき混ぜられるということがあった。
どの強さがベストなのかは料理次第なので、実際にROBOSTIRを鍋に入れて一番よくかき混ぜられる強さを探る必要がある。例えば、スープのようなとろみが少ないものは強がベスト。とろみが多いものは、弱にすると調子がいいようだ。また煮込み料理などは、加熱しはじめと完成間近ではとろみが変わってくるので、ちょいちょいROBOSTIRがうまく回っているかをチェックするといいだろう。
■冷凍ピラフを炒めたものの重すぎて回らず……
冷凍ピラフ2人前に挑戦したが、重すぎたためか、写真のような状態で立ち往生してしまった |
次に試したのは、冷凍ピラフだ。電子レンジでも調理できるが、やはりフライパンで炒めたほうが香ばしくておいしく仕上がるため、ウチではもっぱらフライパンで炒めている。
が! 冷凍ピラフが食卓に並ぶのは、子どもがおやつの時間にお腹を猛烈に空かして機嫌が悪いときや、朝昼晩のご飯がいつもの時間に間に合わなかったときだ。こんなときは、ピラフを炒めるのと同時に、目玉焼きやウインナーを焼いたり、スープやサラダを同時に調理しなくてはならない。ピラフを自動で混ぜてくれたらどんなに助かることだろう。ということで、冷凍ピラフ1袋(500g)2人前を、ROBOSTIRでうまく混ぜられるかも試してみた。
冷凍ピラフにROBOSTIRを使用したが……うまく混ざってくれなかった |
結果は残念ながら重すぎて回せなかった。ごはんが主食じゃないアメリカ製のROBOSTIRにはムリがあるのかもしれない。ただし、分量を1/3程度にすれば、うまく混ぜられた。おやつでちょっとだけ作るときには重宝するかもしれない。
■スクランブルエッグは牛乳アリで。五徳の傾きにも注意
続いて試したのは、スクランブルエッグだ。これならさほど重くないし、うまくできるだろう……と思ったが、実際に作ってみるとちょっと微妙。最初は卵だけで作ってみたのだが、大きなダマがいくつかでき、ちょっとスクランブルエッグとは言いがたい。
卵だけで作ったスクランブルエッグ。っていうか、失敗した卵焼きに近い…… | 卵に牛乳を加えてみたところ、そこそこスクランブルな(かき混ざった)状態になった |
こちらは卵だけで作っているところ。うまくかき混ぜられない |
牛乳を加えればうまく作れた |
そこで卵に牛乳を多めに入れて、再度チャレンジしてみたところ、今度はまぁまぁ合格点のスクランブルエッグが完成。どうやら卵だけで作ったスクランブルエッグは、火の通りが早すぎて大きなダマになってしまうようだ。火の通りの早い食材は、水や牛乳、スープなどを加えて、ROBOSTIRがかき混ぜる時間を確保してやるといいだろう。
またここで気がついたのは、ガス台の五徳が傾いていると、ROBOSTIRが鍋全体を混ぜられないという点だ。「目玉焼きを作ると、どうしてもフライパンの端っこに逃げちゃう……」なんて場合は、五徳の傾きを疑ってみるといい。ウチの五徳もかなり傾いていてROBOSTIRがいつも右手前ばかり混ぜていたので、これを機に傾きを直した(笑)。
■豆料理の代表「チリコンカン」でリベンジ!
ROBOSTIRのクセを色々と掴んだので、最後は少し手の込んだ料理にもチャレンジしてみた。メキシコ料理で有名なタコスに挟む肉と豆の煮込み「チリコンカン」だ。ピリッ!と辛い刺激的な味は、夏にピッタリの料理。ついでに、ビールにもめちゃくちゃ合う。
すでにピラフで重いものは回せないのが分かっているので、ここでは2人前を作ってみることにした。本当はひき肉を炒めるところもROBOSIRでやりたいところだが、うまくほぐれるほどパワーがないので、そこは手動で勘弁してやろう。
次にキドニービーンズ(赤インゲン豆)とトマトジュース、フレッシュトマトのみじん切りなどをフライパンに入れ、市販のシーズニングミックスで味をつける。
そしてROBOSTIRを投入! 最初はシャブシャブの状態なのでスイッチを中にして、極弱火で煮込んでいく。五徳を水平に直したかいもあって、ROBOSTIRは28cmフライパンの隅々をかき回してくれるようになった。It's so COOL! その間筆者は、原稿を書くことに専念。時間の有効活用ができるのがROBOSTIERの良いところだ(実際はDiscovery Channelで世界の珍しい飛行機をチェックしていたのだが……)。
ひき肉をほぐしながら炒めるのはROBOSTIRでできないので手動で調理 | 具材を全部いれたら、あとはROBOSTIRにお任せ。テレビを見てもいいし、洗濯物をたたんでもいいだろう。オレってつくづく主夫だと思う(笑) |
20分ほど経過して、CMの間にフライパンの状態を見てみると、水分が飛んでいた。ただ、まだ豆に味が入っていなかったので、少し水を加えて再度煮込む。いつもはフタをして水分を逃さないようにしているが、ROBOSTIRを使うとフタができない点をデメリットに感じる人もいるかもいれない。
28cmの広めのフライパンでも、五徳がちゃんと水平になっていれば、フライパンの隅々までくまなくかき混ぜてくれる |
チリコンカンの調理中に使用しているところ。動きも軽快だ |
50分ほど煮込み、番組が終わったころには、豆にもいい感じに味が入り、だいぶとろみが出てきた。そこでROBOSTIRのスイッチを中から弱にして、とろみが強くても混ぜられるようにスイッチを切り替え。ちょうど1時間ほど煮込んだところでできあがりだ。
チリコンカンとサルサ・メヒカーナ。サルサが余ってしまったら、目玉焼きに乗せて食べたり、スープの浮き身にしても美味。メキシコ人は、何にでもこのサルサをかけて食べるのだ |
これだけでも十分おいしいのだが、より本場に近づけるために、メキシコ風のソース「サルサ・メヒカーナ」も作った。作り方は簡単で、タマネギ、ピーマン、トマトのみじん切りに、塩と一味唐辛子で辛味を入れただけ(本当はピーマンじゃなくて、ハラペーニョという青唐辛子を使う)。
このサルサ・メヒカーナをかけつつ、チリコンカンを味わうと、Oh! デリーシャス! テレビのCMの間にちょいちょい鍋の状態を確認するだけで、おいしいチリコンカンができた。まさに奥さん要らずのROBOSTIR! ……いや、言い過ぎた! すいません奥様! 僕には奥さんが必要です!
■洗うのは簡単だけど収納場所に困る
調理後には当然お手入れが必要だが、作業はこの上なく簡単。バイブレーターの本体と足を切り離し、軽く洗剤で洗うだけでOKだ。食洗器にも対応しているので、面倒は一切ない。
ブルーベリーやターメリックなどは、お箸や台所の天板に色移りして片付けが大変。ジャムを作ったときも、紫色のジャムがバイブレーター本体に跳ねて付いてしまった。でも、濡れタオルでサッとひと拭きするだけで、本体の汚れは簡単に落ちた。
ただし、置き場所には困る。足は裾が広がっているので、狭い日本のキッチンだと置き場所がないのだ。菜ばしと一緒にコップに差し置くわけにもいかないし、引き出しにしまうと、いつも使う調理道具としては難がある。ウチでは足をフックに掛けて吊るしているが、バイブレーター本体には電池が4本入っているので、よっぼどしっかり足を本体をセットしておかないと、本体が抜け落ちてしまうので注意が必要。アメリカ仕様なのでロック機能などないのだ(笑)。日本人が作ったら,バイブレーター側にフックを引っ掛ける穴を開けていたに違いない。
お手入れは簡単。本体から足を引き抜いて、軽くゆすぐだけで汚れが落ちる。耐熱なので食洗器に入れてもOK | ジャムはベトベトしているのでスポンジで洗う必要があるが、たいていの汚れは軽くゆすぐだけで大丈夫 | ウチではキッチンのフックに引っ掛けて保管している。ただし、本体と足をしっかり差し込んで置かないと、バイブレータ本体がゴトッ! と落ちてしまうので注意 |
■とろみの少ない煮込みや、みじん切りの炒め物なら大助かり!
使う前は「鍋をかき回すのも面倒なのかよ! なんてものぐさなアメリカ人だ!」と、実にマユツバな商品に思っていたが、実際に使ってみたところ、料理によっては、大助かりするシーンも多々ありそうだ(もちろん、使えない場面もあるのだが)。
今回様々な料理を試してみて、ROBOSTIRが機能を発揮できそうな料理をまとめてみると、次のようになりそうだ。
・とろみの少ない煮込み料理やソース
今回作ったジャムやチリコンカンをはじめ、中華風の卵スープやステーキ用のグレイビーソースなど、とろみの少ない料理は確実にかき混ぜてくれる。ただし、とろみの多いカレーやシチュー、ベシャメルソース(グラタンのホワイトソース)などはうまく回らない。
・みじん切りの炒め物
フライパンに張り付きになる代表のもう1つが、料理本では1行で書かれてしまう「タマネギを弱火でアメ色になるまで炒める」というヤツだ。「お前! それスッゲー時間かかるじゃん!」と本に文句を言いたくなるが、ROBOSTIRを使うと、みじん切りならタマネギ2個ほどが自動でアメ色になるまで炒められる。
ただし千切りの場合は、ほかのタマネギと絡まってしまい、重過ぎてかき混ぜられないことに注意して欲しい。
逆にROBOSTIRではまったく歯が立たないのは、次のような料理だ。
・肉じゃがなど具材が重いもの
肉じゃがやお芋の煮っ転がし、野菜がゴロゴロ入ったカレーなどは、具材が重いものはまったくかき混ぜられない。
・水分の少ないもの
チャーハンやピラフ、きんぴらごぼうなど水分が少ないものは、たとえフッ素樹脂加工が施されていても、具材がフライパンにくっ付いてしまう。ROBOSTIRではかき回せない。
ただし、文中で紹介したように、スクランブルエッグのように牛乳などの液体を混ぜられる料理であれば、水分を足してやることでROBOSTIRでも調理できる場合もある。
これらを総合すると、子どものいない世帯や一人暮らしなら、料理の手間というコストを考えると、実売価格4,000円という価格でお釣りが来るほど便利に使える調理器具だ。またファミリー世帯でも、ジャムやソース、タマネギのみじん切りをアメ色になるまで炒めるという場合にはかなり重宝する。少なくとも、買ってみたけど2、3回使ってお蔵入りということはないだろう。
あなたのキッチンにレボリューション! ROBOSTIRでレッツ! エンジョイ、クッキング!(通販番組風に)
2012年 8月 1日 00:00
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