やじうまミニレビュー

ルクエ「スチームロースター イエルバ」

~ローストビーフや鯛の塩焼きが電子レンジで簡単に作れる
by すずまり


やじうまミニレビューは、生活雑貨やちょっとした便利なグッズなど幅広いジャンルの製品を紹介するコーナーです


ルクエ「スチームロースター」

 筆者は魚が好きだが、魚を焼く網は手入れが面倒だ。いざ自宅で焼くとなると、「焼き加減を見るのが大変そう」とか、「使用後の魚焼きグリルや、オーブンの角皿やアミを洗うのが面倒だな……」と諦めていた。準備から後片付けのことまで考えると、できるだけ手間は少ないほうがいい。

 そんなとき、シリコン製の調理器具で有名なルクエから、魚をまるごと調理できる「スチームロースター」という商品が登場したことを知った。


メーカールクエ
製品名スチームロースター
購入場所Amazon.co.jp
購入価格2,780円

 ルクエのスチームロースターは、本体サイズが約265×120×95mm(幅×奥行き×高さ)のシリコン製の円形容器だ。容器の耐熱温度は220℃。冷凍庫、食器洗浄機で使用できるが、オーブントースターでは使えない。

 本体は一見やわらかなボウルなのだが、片側に突起部、反対側に切り込みがあり、突起部を切り込みに差し込むと、筒状に変形する。ここに魚を入れて電子レンジやオーブンで加熱すると、食材を包み込んでいるため蒸し焼き状態になる。しかし、両サイドは開いているので、そこから食材の表面の水分が飛び、パリッとした状態を作り出せるという。

パッケージの中は、本体、多言語対応の取扱説明書兼レシピと、ジョセップ・パラオナ・ビニェス氏のレシピが収録された日本語の「スターターレシピ」「スチームロースター」の口は、片側の突起部を切り込みに通すだけという簡単さ開いた状態はボウルのよう。実際にボウルとして使ってもよい
閉じた状態では、突起部をつまんで持ち上げる裏返した状態

 本体にはレシピ10品分が収められた「スターターレシピ」が付属している。スペインのバルセロナに本社を持つメーカーらしく、このレシピを監修しているのは、スペイン大使館御用達のシェフ、ジョセップ・パラオナ・ビニェス氏だ。

8分で美味な「ミニポテトのロースト」を

 付属レシピの中から、まず手始めに作ってみたのは、「ミニポテトのロースト」だ。作り方は非常に簡単。粗塩150g、水15g、黒こしょう、タイムを用意したら、「スチームロースター」に小さめのジャガイモを皮のまま入れ、塩などの他の材料もすべて入れて軽く混ぜる。「スチームロースター」を閉じて、電子レンジに入れたら、500Wで8分加熱し、塩を落とせば完成だ。

粗塩、ジャガイモ、粒のままの黒胡椒、ドライタイプのタイム、水材料をすべて「スチームロースター」の中で混ぜる「スチームロースター」を閉じて、電子レンジへ
500Wで8分加熱するとできあがり表面の粗塩を落としていただくジャガイモの皮のパリっとしながら、中はホクホク状態。胡椒とタイムの香りもいい

 包み焼きのような状態になるため、ジャガイモの表面はサラリとしているが、中がホクホクだ。単に皮ごと電子レンジで加熱したじゃがいもと違い、表面に粗塩が付着していて、適度な塩気があとをひき、つい手が伸びてしまう。料理の付け合わせや、お酒のおつまみによさそうである。急いで1品追加したいときに重宝するだろう。

 なお、レシピには食材として「ベビーポテト」が記載されていたが、今回はじゃがいもで代用した。スペインのシェフのレシピだけに、身近には手に入りにくい食材もあるので、そんな時は近い食材を使っている。

わずか10分で「鯛の塩焼き」

 粗塩を使って包み焼きにするという点で、「ミニポテトのロースト」と共通しているのが「鯛の塩焼き」である。

 こちらも作り方は非常に簡単だ。まず、鯛1匹、粗塩500g、水50cc、エクストラバージンオリーブオイル少々を用意。「スチームロースター」に粗塩と水を入れてよく混ぜたら、内臓を取り除いて、代わりにキッチンペーパーを詰めた鯛を真ん中に置く。キッチンペーパーを詰めるのは、鯛の形が崩れるのを防ぐためだ。500Wの電子レンジで8分加熱したら、そのままフタを開けずに2分おいて、2分後に中から鯛をとりだし、皮をむく。最後にオリーブオイルをかけてできあがりだ。お好みでレモンを振りかけてもOKである。

用意したのは、小鯛1匹、エクストラバージンオリーブオイル、粗塩、水「スチームロースター」の中で、塩と水を混ぜる中央に小鯛を立たせ、周りの塩をまぶしておく
フタを閉じる。はみ出しても気にしないそのまま電子レンジへ10分でできあがった「鯛の塩焼き」
皮をむいて、オリーブオイルをかけていただく使用後の塩の様子。バリバリに固くなっている

 たったこれだけでおいしい魚料理ができあがる。鯛の身にほどよい塩気があり、とてもおいしい。おかずにすれば、ご飯がぐんぐん進んでしまう味なのだ。電子レンジにお任せできるので、加熱調理中はひっくり返すタイミングを気にすることもなく、安心かつ楽ができる。

 よく考えると、これはいわゆる「塩釜焼き」の状態に近い。実際に塩釜焼きのレシピを探してみると、その多くは、塩釜作りにも多少手間がかかっており、さらにオーブンで小一時間かけて焼き上げている。それが「スチームロースター」なら数分で済む。味を気軽に楽しみたいだけなら「スチームロースター」が便利だろう。

 塩の中に立てて、まぶして加熱するという方法は、鯛だけでなく、別の魚の塩焼きにも活用できる。旬によって調理する魚を変えていくのも楽しそうだ。

「海老の鉄板焼き風」が2分で

 海老料理というと、加工が面倒臭そうというイメージから、これまであまり作ってこなかった。しかし、レシピにある「海老の鉄板焼き風」は、そのイメージを覆すものだった。「スチームロースター」に岩塩と胡椒を入れたら、海老を2匹入れ、上からオリーブオイルとレモングラスをかけて、500Wの電子レンジで2分加熱するだけというものだ。まさにあっという間に1品完成である。

 熱いうちに殻をむいて食べるのだが、海老のシンプルなおいしさもさることながら、海老から出た、うま味あふれるダシと岩塩が混ざり、これもまたおいしい。パンを浸して、残さず食べたくなる味である。

用意するのは、海老2匹、塩、胡椒、レモングラス、オリーブオイル先に岩塩と胡椒を入れ、上に海老をのせて、オリーブオイルレモングラスをかける
たった2分で「海老の鉄板焼き風」が完成。フライパンよりも早い海老から出たうま味をリゾット風のスープご飯に加えていただいたところ、絶品だった

憧れの「ローストビーフ」は7分30秒

 最後は「ローストビーフ」である。これまで作りたいと思っていた料理の上位にありながら、作ったことはなかった憧れの一品だ。ローストビーフ用の肉が高いという理由もさることながら、肉の価格に見合う、高度なテクニックが必要そうに思えていたため、なかなか手が出なかったのだ。

 これまでの料理とは違って、下準備が必要だ。肉にオレガノなどのハーブやスパイスで下味を付け、30分ほど寝かせ、ベーコンを巻き付ける。電子レンジの加熱時間はたったの7分30秒。加熱後は、10分そのまま蒸らせば完成だ。加熱時、肉の下に水とにんじんを入れておくのだが、にんじんは肉と一緒に加熱されながら、落ちてきた肉汁でほどよい味つけがなされるため、付け合わせも同時に作れてしまうのもうれしい。

ローストビーフ用のもも肉に、おろしニンニク、塩、胡椒、オレガノを用意スパイスを肉全体によくすり込んで、30分寝かせる周りにべーコンを巻いて縛る
「スチームロースター」ににんじんと水を入れておくにんじんの上に肉をのせる500Wの電子レンジで7分30秒加熱し、その後10分おく
完成したローストビーフ同時に、つけあわせのにんじんもできあがり
ベーコンごと肉をスライス。ただしベーコンはバラバラになりやすいので要注意「スチームロースター」があれば、ローストビーフができる! 

 レシピで紹介されていたのは、300gの牛フィレ肉だが、今回は400g以上ある牛もも肉を使用した。このため、加熱の長さや蒸らし時間がやや心配だったが、ローストビーフビギナーにしては、いい具合に仕上がったのではないだろうか。

 その後何度が試したが、電子レンジと、300g程度の肉、スパイス、「スチームロースター」があれば、誰にでもおいしいローストビーフが作れると分かった。来客時に自家製のローストビーフが出せるようになったというのは大きな喜びであり、自信になった。「スチームロースター」様々である。

ロースト以外でも活躍

 ちなみに“ロースト”とは関係ないのだが、意外と出番が多かったのがお餅の温め直しである。「スチームロースター」に固くなった小ぶりのお餅3個を中にいれたら、600Wの電子レンジで50秒加熱すると、柔らかく熱々のお餅ができる。お皿にのせたり、ラップをかけて加熱すると、お皿とラップの両方にくっついてしまうことがあるが、「スチームロースター」はシリコン製ゆえに、箸でつまめば簡単にはがれ、べたつきが残ることもない。おかげで、お汁粉やお雑煮にお餅を入れたいときなどに、必要な分のお餅だけが難なく温められるので、ずいぶんお世話になった。

繰り返し利用できるという点で、お餅の温めにも役立つ加熱しすぎても、箸で簡単に取り除ける

 このほか、同じルクエの「スチームケース」ほどではないが、温野菜作りや、オイルを加えた炒め物風の調理も可能だ。また、薄切りのお餅を加熱してみたところ、かき揚げ風のノンフライスナックができた。工夫次第で、活用の幅は広がりそうである。

 なお、「スチームロースター」の中に液体が貯まっているときはこぼれやすいので、電子レンジの出し入れを慎重にしよう。

水と塩を加えて、サラダ用にブロッコリーを調理汁物等に入れて使う、薄切りの切り餅を入れて加熱してみるかき揚げ状になった
ざくざくした歯応えで、立派なお菓子になりそうだこぼれやすいので、水分が多いときは取り扱いに注意しよう

調理には欠かせない存在に

 以上、「スチームロースター」付属のレシピ集を中心に試してみたが、どれも手間がかかりそうな印象を抱く料理ばかりなのに、実際に試してみると、これだけでいいのかと驚いてしまうほど簡単に作れる。包んで電子レンジに入れるだけで、中はふっくら、外はぱりっとした味わいに仕上がる。特にお気に入りなのは、「鯛の塩焼き」と「ローストビーフ」の2つだ。「鯛の塩焼き」は焼き魚が食べたいというときに、「ローストビーフ」はおもてなし料理に活用している。

 使用後の洗浄も簡単で、柔らかいので収納場所にも困らない。今ではかなり出番の多い調理器具となった。多忙な生活の中で、手軽に一品増やしたい方、料理のレパートリーの幅を広げたいと考えている方は、ぜひお試しいただきたい。





2012年 3月 9日   00:00