LED電球、どれを買う?

東芝「E-CORE 一般電球形9.4W LDA9L」

~60W型白熱電球との交換に適した、明るいLED電球
by 藤原 大蔵

東芝の明るいLED電球が、より明るく小さく、安くなって再登場

東芝ライテック「E-CORE(イー・コア) LDA9L 650lm」

 60W形白熱電球と同等、もしくはそれを超える明るいLED電球が続々と登場しているが、、今回はその中から、東芝の「E-CORE(イー・コア) LDA9L 650lm」を紹介したい。白熱電球と取り替えるイー・コアシリーズの中では“ハイエンドモデル”に位置する、もっとも明るい一般型LED電球だ。

 実は東芝は、1年半以上も前に、60W形白熱電球と肩を並べられる、とても明るいLED電球「LEL-AW8L」を世に送り出していた。しかし、発売当時の実勢価格は6千円台と高価で、しかもサイズはやや大きめ。当時のLED電球の中ではダントツの明るさを誇っていたが、購入のハードルは高かった。

 しかし、その後継機種にあたる「LDA9L」は、実売価格は当時よりも約2千円ほど安い。そして、サイズもコンパクト化され、より取り替えやすく進化した。電球自体の明るさは全光束650lmで、前モデルから50lmアップしている。日本電球工業会の基準で言えば「40W形白熱電球相当」に当たるが、下方向への明るさでは60W型白熱電球に相当するという。

 今回は、この明るいLED電球を、60W形白熱電球と電球型蛍光灯、さらに100W形白熱電球との取り替えも考慮に入れて紐解いていこう。


メーカー名東芝ライテック
製品名E-CORE(イーコア)
品番LDA9L
全光束650lm
定格消費電力9.4W
口金E26
光色電球色
白熱電球と比較した明るさ
(JELMA基準・ランプ単体)
40W形相当
定格寿命40,000時間
平均演色評価数Ra80
調光器・密閉器具対応-
サイズ(高さ×直径)107×60mm
重量132g
購入価格
(yodobashi.com 7/25時点)
4,480円
※60W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V57W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用 
※※40W形白熱電球は三菱電機オスラムの 「LW100V38W2PZ」(2個パック143円で購入)を使用
100W形白熱電球は日立の15%省電力タイプのソフトシリカ「LW100V85W」(1個パック105円で購入)を使用
※※電球形蛍光灯は、2008 年の特集で 総合的に性能の高かった 
パナソニックの 「パルックボール プレミアQ(クイック)」(1,390円で購入)を使用


【基本スペック編】

サイズ比較

 サイズは実測で107×60mm (高さx直径)。従来モデル「LEL-AW8L」よりも12mm、電球形蛍光灯(114mm)よりも背が低くなった。口金付近の太さも27mmと、白熱電球(32mm)よりも細い。ほとんどの器具に問題なく取り付けられそうだ。全体的には電球らしいフォルムの中に収まっている。

 注目したいのがヒートシンク(放熱部)。銀色で、しかもギザギザ状のスリットが入っている。最近は凹凸の無い放熱部が当たり前になってきているLED電球の中では目立つ。

高さは107mm(中央)と、60W形白熱電球(左)より13mm背が高い程度。口金付近は白熱電球よりも細い。多くの器具に取り付けやすいだろう。放熱部のヒートシンクが目立つが、以前のものよりもずっとコンパクトになった。重量132gは、LED電球の中では重め直径は60mm(中央)で、LED電球の中では平均的。光源部は半透明の樹脂製で、LEDチップがやや透けて見える

 重量は実測で132gと、軽量化が進むLED電球の中で重いグループに入る。とはいえ、それよりも重いものをレビューで取り上げてきた経験からすると、使用する器具が傾くような重さではないので、器具への負担はさほど心配しなくても良いレベルだろう。


器具に取り付けたようす

 器具とのバランスはとても良い。半透明な樹脂製のグローブの中央にはロゴが刻印されており、とても電球らしい。凹凸のあるヒートシンクは、器具をかなり覗き込んでやっと見える程度なので、ほとんど気にならない。多くの器具に問題なく取り付けられそうだ。

【白熱電球:60W形】
電球の端が少し覗いている程度の角度から撮影した
【電球形蛍光灯】
電球の直径は白熱電球と同じだが、高さがあるため、内側のらせん状の蛍光管が透けて見える
【E-CORE LDA9L】
放熱部はかなり覗き込まないと見えない。器具に取り付ければLEDチップはほとんど目立たず、電球らしい自然な見え方になる


光の広がりかたと配光性

 光の拡散性については、全体的には光源部を中心にほぼ球形に広がっている印象。しかし、横方向やソケット方向へは、さほど届かないようだ。

【白熱電球:60・40W形】
ソケットぎりぎりまで明るい。電球を中心に床面に近いところから光が広がっている
【電球形蛍光灯】
白熱電球と同じようにソケット付近も光が届く。しかし遠くまでは光が届かない印象だ
【E-CORE LDA9L】
光源部を中心に、ほぼ球形に光が拡散する。電球の横方向、ソケット付近への光の回り込みは弱めだが、光は遠くまで届く印象

 電気スタンド型の器具に取り付けると、光はシェード(傘)の上方に偏ってしまう。シェードから漏れる上下の明るさの差はどうしても大きくなってしまい、白熱電球のように本来の器具の雰囲気は活かせない。しかし、器具のシェードの半分ぐらいは明るくなっているので、インテリアライトとしてならそれなりに使えるかもしれない。

【白熱電球:60W形】
シェードは中心からまんべんなく光り、シェードの上下からほぼ同じ明るさの光が漏れる印象もある
【電球形蛍光灯】
白熱電球と遜色なく、シェードのほぼ中心からまんべんなく光る。シェードの上下からもほぼ同じ明るさの光が漏れる
【E-CORE LDA9L】
シェード上半分が明るく輝いているが、下半分はあまり明るくならず、光にムラができてしまう。とはいえ、それなりには光が届いているので、インテリアライトとしても使えるかもしれない

明るさ(55cm直下の照度)

 55cm直下の明るさは875lxだった。これは、60W形白熱電球、従来のLEL-AW8Lの800lxを軽く上回る数値だ。全光束は、日本電球工業会の基準では、電球全体の全光束は「40W形白熱電球相当」となるが、少なくとも直下に関しては、60W形白熱電球と取り替えても暗くならない。

 個人的には、100W白熱電球との取り替えもアリなように感じた。100W形は1,250lxなので、明るさは多少我慢することになるが、100W形にも似た力強い明るさを実感した。

【白熱電球:60W形 800lx】
光源を55mm上方にセットし、直下照度を計測した
【白熱電球:40W形 467lx】【電球形蛍光灯:475lx】
【白熱電球:100W形(参考) 1,250lx】【E-CORE LDA9L:875lx】
日本電球工業会の基準では「40W形白熱電球相当」だが、60W形白熱電球よりもハッキリと明るい

 明るさが際立つLED電球だ。従来モデルのLEL-AW8Lよりもさらに明るくなり、サイズはぐっとコンパクトになった。器具との相性も良くなり、後継機種として明らかに進歩がうかがえる。電球色のLED電球全体の中でもトップクラスの明るさがあるので、多くのシーンで活用できそうだ。



【実使用編】

 ここからは実際の生活シーンに取り付けて、よりリアルな使用での実力を探って行く。なおLDA9Lは密閉器具には対応していないので、浴室や密閉型のインテリアライトには使用していない。


玄関

 玄関については、白熱電球と比較しても、まったく遜色ない雰囲気が演出できた。

 60W形白熱電球と比べた場合、さらに明るくなった印象だ。床面までしっかりと光が届き、玄関の隅々までしっかり明るい。暖かみのある自然な光色は、華やかで心地良い玄関が演出できるだろう。“光が広がる”タイプのLED電球ではないが、影が強く落ちないのも良い。

 100W形白熱電球と比較しても、ひどく暗くなったという印象にはならないので、取り替えも十分に現実的だろう。

【白熱電球:60W形】
床面まで光が届き、十分な明るさがある
【白熱電球:40W形】
玄関としては、もうすこし明るさが欲しいか
【電球形蛍光灯】
比較すると色が不自然に感じる。また、点灯して明るさが安定するまで時間がかかる
【白熱電球:100W形(参考)】
60W形よりずっと明るい玄関になる
【E-CORE LDA9L】
光が床面まで隅々と届き、60W形白熱電球よりも明るい玄関になった。明るく華やかな玄関が演出できる

トイレ

 トイレの使用には明るすぎる。40W形白熱電球でも十分な明るさが感じられるので、あまり長居しない場所にLDA9Lを使うのは、正直言ってもったいない。よほど明るいトイレを望まない限り、これでなければという必要性は感じられなかった。

【白熱電球:60W形】
明るく気持ちよく過ごせる
【白熱電球:40W形】
少し暗いが、狭い空間なのでまだまだ十分に明るく感じる
【E-CORE LDA9L】
狭い空間には明るすぎる。一般的なLED電球で十分だろう

 なお、トイレは点滅頻度が高いため、点滅回数が寿命に影響する電球形蛍光灯の写真は割愛する。


リビングルーム

 透過タイプの器具との相性はとても良い。テーブル面は白熱電球を超える明るさで、壁面も電球形蛍光灯以上に感じられたからだ。特に拡散性の高さを謳ったLED電球ではないが、器具を通して光が拡散し、部屋全体の明るさのバランスも良い。光色も自然だ。暖かみがあり、それでいて活気あるリビングルームが演出できるだろう。

【白熱電球:60W形×2 透過タイプのシェード】
光が部屋全体に行き渡り、十分な明るさがある
【電球形蛍光灯×2 透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部、側面へも光が広がる。しかし、テーブルはLED電球よりも暗い印象で、色被り(余計な色が加わること)によりくすんで見える
【E-CORE LDA9L×2 透過タイプのシェード】
暖かみがあり、活気あるリビングルームが演出できる。テーブル面は白熱電球よりも明るく、壁面や天井面は電球形蛍光灯に負けない明るさ感が得られる。部屋全体の明るさのバランスが良い

 非透過タイプの器具の場合、好みが分かれるかもしれない。手元の明るさを最優先するならいいが、テーブル面が眩しく感じるほど明るくなってしまった。部屋全体の光のコントラストが極端になってしまうので、くつろいだ雰囲気のリビングルームを演出したいならば、もう少し暗いものを選んだ方がいいだろう。

【白熱電球:60W形×2 非透過タイプのシェード】
十分な明るさが得られ、コントラストのある空間になっている
【電球形蛍光灯×2 非透過タイプのシェード】
白熱電球のように上部へも光が広がるが、透過タイプと同様、色がいまひとつ
【E-CORE LDA9L×2 非透過タイプのシェード】
テーブル面が明るくなりすぎたかもしれないが、手元の明るさを優先するならばいいだろう。全体的に光のコントラストが強めに出ている

食事の風景

 食事のシーンはとても良かった。食べ物すべてがおいしそうに映え、食器の質感、ランチョンマットなどの微妙な色の違いも判別できた。写真では白熱電球をベースに撮影しているため、全体的にオレンジ色が強調されて写っているが、肉眼では色彩がくすむ事なく色鮮やかで、とても良い印象。明るく、そして華やかな食卓が演出できるだろう。

【白熱電球:60W形】
食事は全体的においしそうに見える。ただし赤みが強い光色のため、モスグリーンのランチョンマットが茶色に見えてしまう
【電球形蛍光灯】
色味のバランスが崩れ、食卓全体がくすんだ印象になってしまう。特に、ハムの色味が悪く出ているようだ
【E-CORE LDA9L】
写真では全体的にオレンジ色が強調されてしまうが、肉眼では食べ物はとても色鮮やかに、おいしそうに見えていた。微妙な色も識別できるので、明るく華やかな食卓が演出できるだろう。オススメだ


消費電力は9W。60W形白熱電球なら約1年5カ月で元がとれる

 LDA9Lの消費電力は9W(実測値)。60W形白熱電球の消費電力が56Wなので、交換すれば消費電力が1/6以上も節電できることになる。

 その一方で、電球代の元を取るまでの期間は1年5カ月と、今年レビューしてきたLED電球の中では、やや長めの試算となった。これは初期費用、消費電力とも高めなので、回収に時間がかってしまうことが大きい。とはいえ、電球の交換回数は少なく、また初期費用を回収した後も、さらに12年以上も節電が続けられるという点では、交換するメリットは十分にある。

 また、100W形白熱電球との交換にもオススメしたい。消費電力は83Wから9Wと、1/9以上も節電ができることになる。当然、暗めになってしまうが、玄関のシーンでは、十分な明るさが感じられた。また、元を取るまでの期間が11カ月以内と、早い時期に回収できてしまう。この夏は一般家庭でも節電が求められている状況もあり、この機会にできうる範囲内で見直すことは、電力逼迫を回避することに大いに貢献できるだろう。

【白熱電球:60W形】
消費電力は56W。消費電力1Wあたりの発光効率は、14.46lm/Wになる
【白熱電球:40W形】
消費電力37W。発光効率は13.1lm/W
【60W形 電球形蛍光灯】
消費電力10W。発光効率は75lm/W
【白熱電球:100W形(参考)】
消費電力83W。発光効率は18.31lm/W
【E-CORE LDA9L】
消費電力9W。発光効率は72.22lm/W

 電球形蛍光灯との交換については、現状に満足しているならば、取り替えはお勧めしない。元を回収するのに8年11カ月とかなり時間がかかってしまう上、消費電力もさほど変わらず、大きな節電は見込めないからだ。ただ、明るさ、光色、さらに演色性は確実に電球形蛍光灯を凌ぐので、“明かりの質”を重視する場面での交換は勧めたい。

【東芝 E-CORE LDA9L】
従来の光源と比較した“いつになったら元が取れるか”試算
製品名消費
電力
(実測)
1カ月3カ月半年
(6カ月)
11カ月1年1年
5カ月
2年2年
3カ月
4年8年
11カ月
E-CORE
LDA9L
9W4,528円4,624円4,768円5,009円5,057円5,297円5,633円5,778円6,787円9,622円
白熱電球100W型
83W549円1,438円2,876円5,203円5,648円8,080円11,295円12,734円22,591円10,028円
白熱電球
60W形
54W370円966円1,932円3,493円3,792円5,425円7,583円8,549円15,166円33,825円
白熱電球
40W形
37W269円665円1,329円2,389円2,587円3,719円5,174円5,839円10,348円23,085円
電球型
蛍光灯
10W1,445円1,554円1,719円1,992円2,047円2,321円2,704円2,868円4,018円10,028円
※表中の金額は、電球代と電気代をプラスした「維持費」  ※1日の使用時間は8時間と仮定
※白熱電球には、4カ月ごと、電球形蛍光灯は4年6カ月ごと電球代を加算する (切れた電球代の購入費として)
※電気代は1kWh=22円で計算


明るく演色性も良い。60W形白熱電球との交換に

 LDA9Lの最大の特徴は、(1)60W形白熱電球以上の明るさ、(2)高い演色性、の2点が両立しているところにある。低価格のLED電球には、ここまで明るさと演色性が両立しているものはなかなか見当たらない。

 購入価格の4,480円に関しては、低価格化が進むLED電球の中ではまだまだ高価かもしれない。しかし、従来モデルの6千円台から4千円台へと、購入しやすくなっており、明るさについてもさらに明るくなっている。おまけに、多くの器具へ取りつけやすいよう、サイズもコンパクト化されている。

 なお、AMラジオのそばで点灯しても雑音は発生しなかった。ノイズによる悪影響を心配することもないだろう。

 全体照明で使用している60W形白熱電球との交換としてなら、LDA9Lは大いに満足できるだろう。明るさと演色性が必要な多くの場所にお勧めしたい。


東芝ライテック 「E-CORE(イー・コア) LDA9L 650lm」はこんなLED電球

・60W形白熱電球よりも明るく、自然な電球色のまま交換できる

・100W形白熱電球から取り替えれば、大幅な節電が見込める

・食事のシーンにも十分に活用できる高い演色性

 ・60W形白熱電球と交換した場合、1年5カ月で元が取れる(1日8時間使用)









2011年7月27日 00:00