家電製品ミニレビュー

多彩な付属品と長いホースが大活躍するミーレの掃除機

ミーレ・ジャパン「コンパクト C2 ホームケアスペシャリスト SDCO0NB」

 今回は、ドイツで100年以上も続く家電メーカー、ミーレの掃除機「Compact C2 HomeCare Specialist(コンパクト C2 ホームケアスペシャリスト) SDCO0NB」(以下、SDCO0NB)をご紹介しよう。

 SDCO0NBは、コンパクト C2シリーズの最上位モデルだ。手入れがラクな紙パック式で、HEPAエアクリーンフィルターが搭載される、パワフルで排気がとてもクリーンな掃除機だ。

 多彩な付属品を標準装備しており、床はもちろん、家具、隙間、布団、機器や繊細な調度品に至るまで、天井付近も含んだ家中を、徹底的に、強力、かつ優しく掃除できる。

メーカー名ミーレ・ジャパン
製品名コンパクト C2 ホームケアスペシャリスト
品番SDCO0NB
希望小売価格オープンプライス
購入場所ヨドバシ.com
購入価格79,920円

 もっとも快適なのは、掃除機本体を持ち上げる場面がとても少ない点だ。ホースが長くて軽く、丈夫でよじれにくいため、吸込口が床から天井付近まで、縦横無尽に届く。わざわざ掃除中に本体を持ち上げる必要が極端に少ない掃除機なのだ。

多彩なノズルと付属品、特にクリーンなエアシステムを搭載

 本体の大きさは250×430×230mm(幅×奥行き×高さ)で、重さは4.5kg。本体にホース、ステンレス製延長管、ハンドル、標準床用ノズルを取り付けたトータルの重さは6.5kgとなる。紙パック式掃除機の中では少々重い。コードの長さは5m。

 標準床用ノズルは、フローリング、畳、毛足の短い絨毯と、床の種類に応じて対応できる。

 ノズルに装備できるアタッチメントは、毛足の長い絨毯用の「ターボブラシ」、ソファや布団に向く取り回しのラクな「ハンドターボブラシ」、長さ560mmの「すきま用ノズルロング」、向きが自在に変えられる「ユニバーサルブラシフレキシブル」に、パソコン周り、AV機器、調度品にも便利な「マイクロセット」など、全部で11種類。床に限らず、家中の狭い場所までくまなく掃除できる。

 SDCO0NBに採用されている、「ダストパック」と呼ばれる紙パックがかなり特徴的。ダストパックは9層の特殊フィルターで構成されており、集塵容量はなんと3.5L! 国内メーカーのほぼ倍の量だ。パックの内外に格子状のプロテクターネットが張り巡らされ、ガラスや釘を吸っても破れにくい丈夫な作りになっている。それでいて、価格は国内の高性能紙パックとさほど変わらない。取り外し、取り付けは簡単で、とてもわかりやすい。

開梱した様子。本体、ホース、ハンドル、延長管、床用ノズルに3つの標準的なセット(上)に、様々な付属品を装備しているので、部屋中のお掃除に役立てられる
容量3.5LのダストパックをA4サイズの見開きのカタログに広げた様子。ダストパックは9層の特殊フィルターで構成されている。取り外し、取り付けはワンタッチで簡単

 しかも、紙パック式なのに排気は驚くほどクリーンだ。吸い込まれたゴミや埃は9層の「ダストパック」で濾され、次に「モーター保護フィルター」で濾され、最後に大型の「HEPAエアクリーンフィルター」から排気される。トータルで11層のエアークリーンシステムとなる。

 HEPAエアクリーンフィルターは、ミーレの最上位のもので、0.3ミクロン(μm)の微粒子を99.9998%も集塵するという。スギ花粉(30ミクロン)、黄砂(4ミクロン)、PM2.5(2.5ミクロン以下)と言われているので、この集塵率は相当高いと考えて良いだろう。交換時期が視覚的にわかる「タイムストリップ機能」も備えており、取り替えはワンタッチでできる。約1年使い続けられる。

排気は、ダストパックを通った後、さらに「モーター保護フィルター」と大型の「HEPAエアクリーンフィルター」を通って排出される。排気は徹底してクリーンだ
HEPAエアクリーンフィルターは、最初に左端のボタンを押して、タイムストリップ機能を起動させる。起動すると赤いラインが浮かび(中)、時間の経過とともに赤いラインが右へ伸びていき、交換時期を教えてくれる

 準備は、本体にホース、スポットライトの付いたハンドル、ステンレス製の延長管、標準床用ノズルを順に差し込んでいけば完了だ。組み立てる前にスポットライト付きハンドルに付属の電池を取り付けておく。プラスのドライバーが必要だ。

標準的なセットを組み立てた様子。ネイビーブルーの本体がきれいだ
組み立て前にハンドルをドライバーで分解し、スポットライトのための単4電池を3本取り付ておく

実感する吸引力

 吸引レベルの調節、電源のON/OFFは本体側で行なう。ON/OFFスイッチは足でポンッと押すタイプ。国内メーカーの多くは、ハンドルにスイッチがあるのが当たり前なので、これは慣れが必要だろう。

 標準床用ノズル(AirTeQ)は、床の種類に応じて切り替えられる。フローリング、Pタイルや畳はブラシを出し、毛足が短い、またはループ編みの絨毯はブラシをしまって使う。この切り替えは、左右どちらの足先でもできる。

吸引レベルは6種類。セレクターを回して選ぶ(上)。電源のON/OFFはフットスイッチを足でポンと押す方式だ
床の種類に合わせてブラシの出し入れができる。切り替えは足で踏み込むだけなので簡単だ

 実使用感は、ノズルと床の密着度が高く、かなり強力な吸引力を感じる。それでも、手に馴染むハンドルと堅固な延長管で、ノズルを押し込む時に力が入りやすい。ノズルの車輪が大きいので、引く時は軽い。フローリングの仕上がりは、目地の奥まできっちりとキレイになり、ざらつきも無くサラリと気持ち良い。

 毛足の長い絨毯敷の床は、ノズルをターボブラシに取り替えて掃除する。空気の流れで高速回転するブラシが、絡みついた髪の毛やゴミをしっかり掻きだし、あっという間にキレイになる。ブラシと絨毯の密着度も高いので、奥に潜むチリや埃を同時にしっかりと吸い取っているのが実感できた。

フローリングを掃除している様子。ノズルと床の密着度が高く、きっちりホコリが取れる。床の目地も完璧だ
ターボブラシは、絡まった髪の毛、毛足が長い絨毯敷の奥に潜むチリやホコリまでしっかり取り除いてくれる

 今回のレビューにあたり約2週間、掃除機をかけずに挑んだ。驚いたのは、ダストパックに髪の毛、綿埃、絨毯の遊び毛はもちろん、パウダー状の微粉が想像以上に取れていたことだ。

 どちらも床とノズルの密着度が高く、多少力は要るが、想像以上のゴミの取れ方を見て、相当スッキリとした気分が味わえた。もちろん排気も全く気にならない。

 使用中快適なのは、本体をチマチマ動かさなくて済むことだ。ホースが1.9mと長いので、本体を動かさなくても、立った姿勢のまま約2.5m先までノズルがラクに届くからだ。

 テーブルの下など、多少家具が入り組んだ箇所も、本体が邪魔にならずにどんどんノズルを突き進められる。またホースは、両端とも左右に360度回転する。掃除中にホースがねじれないのはラク。

 さらに、本体は軽快に動かせる。底には、スムーズに360度回転するキャスターが付いており、前後、左右、斜めと、自由自在に移動する。スムーズな動きと、高い安定性が揃っているので、掃除中に本体が転がったり、ひっくり返ることが1度も起きなかったのはすごい。また、一時的に掃除を中断する時の、パーキングホルダーが便利だ。

長くて軽く、ねじれにくいホースで、本体を動かさなくても可動範囲がとても広い(上)。下は自宅で使っている国内メーカーの掃除機。可動範囲に歴然とした差がある
本体裏には360度スムーズに回転するキャスターが3つ付いている。使用中に本体が転がることは皆無だった。掃除を一時中断する時、ノズルが本体に収められる(下)

 なお、我が家には階段はないが、ノズルの2.5mという可動域は、階下に本体を置いたまま、階段の半分以上もノズルが届く距離に相当する。本体を持ち上げて移動させる回数がグンと減るだろう。

豊富な付属品で部屋中をキレイに

 1.9mの長いホースは、床掃除だけでなく部屋の縦方向の掃除にとても重宝する。本体を持ちあげなくて済む取り回しの良さは、11種類も装備する付属品の能力を最大限に引き出し、とても軽快に掃除が進められる。それらの例を簡単に紹介しよう。

1.9mのホースのおかげで天井付近までハンドルが届くので、装備する付属品が縦横無尽に使える(上)。自宅で使っている掃除機は高い位置まで届かない

・デスク上(付属品:ホコリ取り用ブラシ)

 我が家の仕事用デスクの幅と、その上に乗るディスプレイの上までの高さはどちらも1,200mmある。掃除機本体をデスク左端の床に置いたまま、右端に乗っているディスプレイ上の端までブラシがラクに届く。デスク上の掃除が椅子も動かさずに終了した。

1,200mm幅のデスクの上を全て、掃除機本体を固定したまま掃除できた

・カーテン(付属品:家具用ノズル)

 吸引レベルを最弱にすると、衣類やカーテンのホコリも優しく取り除ける。本体を持ちあげなくても、ノズルはカーテンの上方に余裕で届くので、空いている手でカーテンのドレープを丁寧に広げながら進められた。

床に本体を置いたまま、カーテンの上から下までしっかり掃除機がかけられる

・家具や換気扇の上(付属品:ユニバーサルブラシフレキシブル)

 背よりも高い位置にある家具のトップ面や、換気扇の上もラクに届いた。もちろん、本体は床に置きっぱなしで掃除できた。付属品は、フレキシブルに向きが変えられるので、延長管をつければ天井のホコリも簡単に除去できる。

高い位置の換気扇も延長管を使わずに掃除できた(左)。天井など照明が当たりにくい場所も、スポットライトを当てて掃除できる。いつの間にかできる蜘蛛の巣も確実に除去できる

 ハンドルのスポットライトは、延長管を伸ばしたノズルの先までしっかり明るく照らせるほどパワフル。照明が届きにくい場所の汚れもハッキリと見える。

スポットライトはボタンを押すと約40秒点灯し、徐々に自動で消える(左)。延長管をフルで伸ばしても、ノズルの先まで届くほど強力だ

・家具の隙間、冷蔵庫の裏側(付属品:すきま用ノズルロング)

 付属する「すきま用ノズルロング」の長さは560mm。一般的なすき間用ノズルが届かない場所や、動かしにくい家具のすき間の奥まで掃除できる。ノズル中央部が柔軟に曲がるので、部屋の隅にできる隙間の掃除もラクだ。本体を遠くに置けるので、かがんでも邪魔にならない。

柔軟に曲がる「すきま用ノズルロング」で、冷蔵庫の裏側も底もきっちりキレイに

・ベッド、布団(付属品:ハンドターボブラシ)

 ハンドターボブラシは、布団やベッド、布張りソファの掃除に威力を発揮する。ブラシの密着度が高いので強い吸引力を感じるが、シーツや張り地を巻き込まずに、ガッツリキレイにできる。ホースが長いので、ベッドの端から端までブラシが楽に届いた。

ハンドターボブラシで、セミダブルベッドの奥から手前、端から端まで、掃除機を一切持ち上げずに掃除できた

・パソコン周り、AV機器、調度品(付属品:マイクロセット)

 マイクロセットには、90㎝の風圧を抑えるブラシ・ノズル兼用のホース、2本の大小の延長ノズル、毛先が柔らかいブラシがワンセットになっている。傷を付けたくない機器、繊細なガラス製品なども、指先でヘッドを動かすことでホコリが取り除ける。

ブラシ・ノズル兼用のホースはPC周り、リモコンなどの掃除に便利(上)。マイクロセットのブラシは、調度品などにも使えるほどブラシが柔らかい

 以上、どこもかしこも、高さに関係なく、本体をずっと床に置いたままスムーズに掃除機がかけられた。ホースが重くて短かったら、いずれも「掃除機を持ち上げ続ける」という力仕事が加わっていたことだろう。こんなにもラクに、床以外も徹底して掃除できたのは初めて、と言っていいほど新鮮な体験だった。

最小で174Wの消費電力

吸込みパワー最大時、消費電力は1,125Wだった。切り替えるごとに消費電力が下がり、最小時は172W。運転音は比較的静かだ

 SDCO0NBは、吸込みパワーが掃除機をかける場所、汚れの具合に応じて6段階も選べる。最大時の消費電力は1,125W。セレクターを回すごとに1,009W、786W、580W、428Wと段階的に下がり、最小時では172Wになる。

 普段から定期的に掃除機をかけているなら、「エネルギーセーブ(786W)」前後のパワーで十分だろう。密着度が高いノズルも動かしやすくなり、軽快に進められる。ターボブラシも勢い良く回転する。

 また、強さを調整してからスタートでき、しかもモーターは徐々に回転数が上がっていく仕組みがあるので、弱めのパワーを選んでスタートすれば、立ち上がりから静かに掃除機がかけられる。最小時の吸込み音は特に静かなので、夜間でも周囲への騒音をほぼ気にせずに運転できるだろう。

部屋ごとに床質が違う家、床から天井まで徹底的に掃除機をかけたい人向け

 実際に使ってみて、他社の掃除機よりもアドバンテージを感じるのは、床はもちろん、カーペットの奥まで掃除ができる吸引力。それでいて、排気がクリーンなこと。さらに、多彩な付属品と長いホースで、天井付近にあるものまで、ラクな姿勢で縦横無尽に掃除機がかけられのは魅力的だ。

 しかし、弱点もある。

 日本の住宅によく見られる「ホットカーペットカバー」の掃除が、標準床用ノズルもターボブラシも使い物にならなかった。吸込みパワーを落としても吸引力が強いため、軽いラグ、または薄手の敷物も含め、もれなく巻き込んでしまい前へ進めないのだ。

 そんな時は、ハンドターボブラシに取り替えればスイスイと掃除できるのだが、1つの部屋で、軽い敷物に出会うたびにいちいち変えるのは、掃除が億劫になりかねない。特に、どんな床でも全てOKと言っても過言ではない「自走式ヘッド」の掃除機から買い換えた場合、相当煩わしく感じる。

 もう一つは、吸込みパワーの選択、ON/OFFが手元でできない点だ。国内メーカーの多くは、ハンドルだけで全て操作できるのが当たり前になりつつある昨今、時代に逆行している感がある。

標準床用ノズル、ターボブラシはホットカーペットカバーには使えなかった。吸引力が強く、柔らかく薄いカバーを巻き込んでしまい、前へ進めない(上)。ハンドターボブラシに取り替えればOKだが、頻繁な取り替えは煩わしい
本体を立てた左右のどちらにもノズルが収納できる(上)。3種類のブラシ、家具用ノズル、すきま用ノズルは、本体、ハンドルのどちらにも取り付けておける。探す手間が減る

 とはいえ、もっとも動かすホース、ハンドル、ノズルは電源と無関係なので、その分故障は少ないと考えていいだろう(以前10年以上使っていた掃除機は、ハンドル部分のスイッチがダメになり、モーター部は問題無いのにまるごと買い替えねばならなかった)。もともと、20年間の使用を想定してテストしている製品だけに、耐久性はかなり期待できる。

 吸引力は確かなので、フローリング、畳、絨毯敷と、部屋ごとに床質が明確に分けられている、比較的広い家にお住まいの方には特にオススメできる。また、床から天井までのインテリアや家具などを、徹底的に掃除したい方、紙パック式でクリーンな排気の掃除機をお探しの方にも、魅力的な掃除機と言える。

藤原 大蔵