家電製品ミニレビュー
シャープ「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80」
プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80 |
今回紹介するのは、シャープの「プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80」だ。テレビコマーシャルでの“プラズマクラスターはシャープだけ♪”とリズミカルに歌う名キャッチフレーズも有名だが、その実際の効果のほどはどうだろう? 実際に使って試してみた。
なお、今回試用した機材は試作機によるものであり、実際の製品と異なっている場合があります。
メーカー | シャープ |
製品名 | プラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80 |
希望小売価格 | オープンプライス |
購入場所 | ヨドバシ.com |
購入価格 | 94,800円 |
製品本体 | 左側面 |
右側面 | 背面 |
■壁際に設置できないので、存在感がダイレクト!
KI-AX80の適用床面積は21畳、まずは箱から出して、自宅の約20畳のリビングキッチンに設置した。適用床面積からいうと、我が家のリビングキッチンにピッタリの製品だったわけだが、サイズ感は「うわ、やっぱり加湿空気清浄機って大きいなぁ」という印象。
本体サイズは410×340×684mm(幅×奥行き×高さ)で、リビングにおいての存在感は大画面テレビと同じくらいある。
誤解しないで欲しいのは、KI-AX80が特別大きいというわけではない。各メーカーが展開する加湿空気清浄機のフラッグシップモデルは、だいたいこんなサイズ感だ。しかも、KI-AX80は車輪が付いているので、掃除する際などに、わざわざ持ち上げなくても、女の人でも片手で移動がラクに行なえる。
底面にキャスターを搭載 | 掃除する際などは、片手でカンタンに動かせる | 本体使用時はキャスターをロックすることもできる |
ただ、KI-AX80がどうしてここまで存在感を発するのか。それは後側にフィルター集塵機構がついているため、壁際に完全に寄せることができない。取扱説明書によれば、3cmくらい空間を空けて設置しなければならないとされている。
その後、2週間ほど経っても、やはりこの大きさだけは慣れなかった。ちなみに我が家では、数年前から空気清浄機と加湿器を別々に使っている。複合モデルではなく、単機能モデルを選んだのは、本体サイズの問題が大きい。
■給水タンクはかなり使いやすく、常に清潔!
給水タンクはワンタッチで取り外しできる |
KI-AX80の最大加湿量は、1時間当たり760mlとかなりパワフルだ。本体には容量4Lの巨大な給水タンクが内蔵されている。加湿機能を使うためにはまず、この給水タンクに水を入れる必要がある。
給水タンクは本体の右側に搭載され、ワンタッチでカンタンに取りはずすことができる。しかも使いやすいのが、キッチンのシンクで給水する際、給水タンクの高さが33㎜と、蛇口の下にほぼちょうどよく収まるところ。手で押さえてなくても、スタンディングポジションをキープしてくれるので、タンクの容量である4Lを一気に給水できるのだ。
さらに、上面には取手として自動的に折り畳まるハンドルがついているので、持ち運びもしやすいほか、給水の間口自体も広めで、手を中に突っ込んで洗うことができるのも良い。
24時間つけっぱなしにして使った場合、1日~2日に1回は給水しなければならないので、給水タンクの使いやすさは重要だ。その点、KI-AX80の給水タンクはかなり評価できる。もちろん、給水タンクの水量が空っぽになると、前面にある加湿中のサインが赤く点滅するお知らせ機能も備える。
蛇口の下に給水タンクぴったり入る | 給水タンクの上部にはハンドルを搭載 |
■派手な動きはないがいつの間にか臭いを取る
さて、いよいよ具体的な使い心地を紹介していこう。この季節になると、我が家では鍋が定番。今年もキムチ鍋、豆乳鍋、ちゃんこ鍋を、ビール片手にローテーションすることになりそうだ。
ただ、鍋をやる時にどうしても気になるのがニオイ――特に最近の住宅は密閉性が高く、閉め切っていると、空気が室内に溜まったまま、まったく動かない。放っておくと、知らぬ間に壁に付着臭がついてしまう可能性もある。
そこでまず試してみたのが、空気清浄機能だ。ひとまず鍋に火を掛けて、あえてキッチンの換気扇を止めて、その効果や反応がどれほどのものか確認してみた。
加湿空気清浄機を“自動”というモードで動作させたまま、鍋を火にかける。すると2~3分ですぐ、ニオイセンサーサインが赤に変化する。やや強めな中運転に切り替わった。
室内は密閉された状態なので、いつもだったら、鍋の臭いが充満するが、加湿空気清浄機が駆動し続けることで、ニオイが全く気にならなかった。また、食べ終わった後もニオイが残ることはなかった。室内の気流の循環まで、計算されたシャープ独自の循環気流と、素早い吸塵スピードのおかげだろう。
ニオイセンサーが赤く点灯したら、部屋のニオイを感知している証 | 空気清浄機モードは天面左側 | 脱臭フィルターは10年間手入れの必要がない「トリプル機能脱臭フィルター」を採用 |
実際のフィルター | 脱臭フィルターは活性炭と無機吸着材の2つの素材を合わせる | 集塵フィルターには0.3μmのハウスダストを99.97%以上集塵できるという「HEPAフィルター」を搭載。HEPAフィルターも10年間交換不要で、手入れも不要 |
■朝起きた時にリビングの空気が澄んでいる
続いて、これからの季節メインで活躍することになるであろう、加湿空気清浄機能を試してみる。冬は空気の乾燥がどうしても気になる。空気が乾けば乾くほど、ウイルス蔓延の原因にも。風邪を引かないためにも、ある程度湿度をキープすることが重要だ。
ひとまず24時間連続で、加湿空気清浄機機能を使用し続けてみた。ちなみに、空気清浄機と加湿空気清浄機能は、それぞれ自動、花粉、エコ、強、中、静音という6つの機能があるので、ここでは自動モードにしてみた。ちなみに、24時間加湿空気清浄運転をさせた場合の電気代は約6円(目安)となる。
連続運転中の湿度は62~63%ぐらいでキープ、空気がきれいになっていることが、深呼吸するまでもなく分かる。夜中も駆動させっぱなしにすると、朝起きてきた時のリビングの空気が、かなり澄んでいると感じだ。数年前から我が家で使っている空気清浄機単体の製品よりも、空気清浄効果を感じることができた。
一方、翌日はエコモードでさらに24時間動かしてみる。エコモードは、自動モードに比べると運転音も少なく、電気代も約半分の3円(24時間駆動の場合)となる。しかし、効果はしっかり実感できた。朝起きた時のリビングの空気がきれいなのも自動モードと変わらない。もしかしたら、前日に自動モードを24時間入れたままにしたというのも関係あるのかもしれない。
よく空気清浄機や加湿空気清浄機などを使っても、あまり効果が分からないという人がいるが、そういう人に注意したいのは、起動時間。基本的には24時間付けっぱなしにして使うものだということを知っておいて欲しい。たとえば、室内に人がいる時にだけONにして、いなくなるとOFFにするという使い方では、本当の効果は実感できないのだ。
シャープでは、寝室などでの使用を想定して、デジタル表示の光量を3段階で調節できる機能も備えている。表示を切った状態でも、起動できるので、使用中のデジタル表示が気になって眠れないということもない。
操作パネル | 自動運転中の湿度は60%以上で保たれる | 風量は6段階で切り替えできる |
デジタル表示は3段階で光量を調整できる | 光量を落とした状態 | 寝室などで使う場合は表示をOFFにできる |
本体に内蔵されている加湿ローター | 取り外し可能で、掃除ができるので常に清潔に保てる | チャイルドロックを3秒長押しすると、ボタンを押しても反応しなくなるので、子供のいる家庭では安心 |
■プラズマクラスターはおそらく効いている
いよいよ加湿空気清浄機機KI-AX80の1番の特徴、プラズマクラスターを見ていこう。そもそもプラズマクラスターとは除菌、脱臭、美肌などに効果があるイオンで、水分を含みつつ、空気中に散布され、ハウスダスト、花粉、ニオイなどをキャッチ。それらを本体に吸い込み、フィルターでキャッチするという。
KI-AX80の製品情報ページには、「イオン発生機に搭載していた、高濃度25000のプラズマクラスターイオン発生ユニットを加湿空気清浄機に搭載。お部屋いっぱいに広がる高濃度のプラズマクラスターイオンと強力フィルター浄化のWパワーで、気になるニオイや浮遊ウイルスの作用を抑え、美肌効果も発揮するさわやか空間へ」と書かれている。
本体上面の蓋を外すと、内側にはプラズマクラスターユニットが設置されている。ここで発せられたプラズマクラスターが、前側の青色LEDが光っているイオン放出路から放出される。
まずは「プラズマクラスターモード」で駆動させてみる。これは空気清浄機や加湿空気清浄機とは独立した機能であり、同時に動かすことはできない。プラズマクラスターモードに設定しているときは、風量調整も変更できない。
24時間起動させようとしたところ、途中でいつのまにか加湿空気清浄に切り替わっていた。おそらく加湿しながら空気をきれいにし、なおかつ一定時間プラズマクラスターイオンを放出するという機能なんだろう。ホームページなどの説明を読むと、加湿空気清浄機能に比べると、浮遊菌抑制スピードが約1.5倍、付着臭脱臭スピードが約1.3倍とあるので、プラズマクラスターを使った方が効果的に、ニオイやアレル物質などを除去できるようだ。
ただ、それを明確な形で体感することはできなかった。プラズマクラスターは目で確認することはできないが、プラズマクラスターモードを駆動させると、強モードに近いぐらいの強さで風を吹き出し、ジーーーっという音がするので、物理的な動きや音で、“あ、今、プラズマクラスターが放出されている”と感じることはできるはずだ。
プラズマクラスターユニットは天面に設置されている | 清掃にはユニット部分に収納されているブラシを使用する |
■花粉の季節にも必須の加湿空気清浄機
KI-AX80を実際に使ってみて、加湿空気清浄機と空気清浄の機能については、しっかりと体感できた。24時間つけっぱなしにすることで、室内のニオイや、朝の空気がいつもとは確実に違っていたからだ。
一方、プラズマクラスターについては、過度に期待してはいけないと感じた。そもそも、空気清浄機で室内の空気をきれいにしているので、そこにプラズマクラスターが加わったことで、何かが劇的に変わるということはなかったからだ。
どちらかといえば、青色LEDを観ながら、気分的に効いているなと、自己暗示をかけるぐらいの側面が強いかもしれない。ただ、女性の場合は、もしかしたら美肌効果などを感じることで化粧のノリがよくなったなど、間接的に男性よりは感じることができるかもしれない。
冬を越えれば、当然だがうららかな春がやってくる。だが、花粉症に悩まされている人にとっては地獄の季節でもある。かくいう自分も、二十数年花粉症であり、ちょっとしたベテランだ。花粉をいかに除去するか、さらにはハウスダストをいかに舞い上げないかなど、室内のほこり対策などは徹底したい。その時に、今回試したシャープのプラズマクラスター加湿空気清浄機 KI-AX80は、役に立つことは間違いないだろう。
2011年11月17日 00:00